特定秘密保護法への抗議声明-子どもと法21(2013年12月12日)

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特定秘密保護法案採決に抗議する

国民主権の下では政府の持つ情報はわれわれ主権者の財産である。そもそも情報にアクセスできなければ、主権者であるわたしたちにおいて国の在り方や政府の方針について正しい判断ができない。特定秘密保護法案はこれとは全く逆の立場に立ち、わたしたち国民に対して多くの情報を隠蔽しようとするものである。

「特定秘密」の範囲は広範かつ不明確であり、範囲を定めるのは行政である。(ようやく)参議院の審議でその監視制度を作るといって提示されたが、それも行政機関によるものであり、何らのチェック機関にもなりえない。逆に法律の内容では行政から国会が支配されかねない構造になっている。また、司法においても被告人の防御権が否定されるようなものとなっている。三権分立が否定される状況である。

まず指摘すべきは、この法律はこのように日本国憲法体制の根幹を否定するものであるということである。

のみならず、「特定秘密」の秘匿のために、その取得・漏えいなどの実行行為そのものだけでなく、過失犯、共謀、独立教唆、煽動という広範な行為をも独立して処罰できるとされており、罪刑法定主義に反するばかりか、わたしたち市民にも刑罰が及ぶなど具体的にもさまざまな憲法上の問題がある。とりわけ懸念されるのは普通の市民の活動がテロリズムの名のもとに犯罪化されてしまう恐れがある。内容的に、公安警察保護法ともいうべきものとなっているのである。

こうした深刻な問題があったがゆえにこの法律には多くの反対があり、それが広がっていった。それは国内だけではない。国連人権高等弁務官はこの法案につき、「日本国憲法が保障する情報アクセス、表現の自由を適切に守る措置がないまま法制化を急ぐべきではない」と述べ、強い懸念を表明した。

日本国憲法を遵守すべき義務のある立場の者がこのような違憲の法案を提出。しかも数にものを言わせ、十分な審議もせず強行採決をしたという手続の問題も示した。

私たちは特定秘密保護法案採決に抗議するとともに、ただちに特定秘密保護法の廃止を求める法律案を上程することを求める。


2013年12月12日
子どもと法・21(子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会)

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