第2部 救われた人生 原発差し止め 権力に遠慮しない-東京新聞(2013年5月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/kenpouto/list/CK2013050802000176.html
http://megalodon.jp/2013-0508-2022-35/www.tokyo-np.co.jp/article/feature/kenpouto/list/CK2013050802000176.html

判決ができあがると、もう気負いはなかった。三月二十四日、法壇に立った井戸さんは、淡々と述べた。「主文、志賀原発2号機を運転してはならない」

稼働中の原発の運転差し止めが初めて認められた。被告の北陸電力側はぼうぜんとし、原告住民から歓声が上がる。井戸さんは、おだやかな表情で騒然とする法廷を後にした。その時、導いた答えは、五年後の一一年三月に東京電力福島第一原発で起こった事故を予見していた。

「自分が正しいと思ったことは貫かねばならない」。裁判官は憲法と法律にしか拘束されない。国家権力はもちろん、担当外の裁判官からも干渉を受けない。憲法七六条が規定する裁判官の独立だ

憲法76条が規定する裁判官の独立

第76条
すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。

2  特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。

3  すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。