裁判長「堂々と胸張って生きて」 成年被後見人の選挙安易な制限に警鐘(1/3)-産経ニュース(2013年3月14日)

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「どうぞ選挙権を行使して、社会に参加してください。堂々と胸を張って生きてください」。14日午後、東京地裁の103号法廷。判決要旨の朗読後、定塚裁判長が原告の名児耶匠(なごや・たくみ)さん(50)にこう語りかけると、見守った支援者の大きな拍手が鳴り響いた。

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130314/trl13031420500007-n2.htm
http://megalodon.jp/2013-0315-1058-09/sankei.jp.msn.com/affairs/news/130314/trl13031420500007-n2.htm

平成19年の参院選以降、選挙案内のはがきは届かなくなった。清吉さんが匠さんの将来の財産管理に備え成年後見制度の利用を申し立て、後見人に選任されたためだった。

「娘を助けるための制度で、なぜ権利を奪われるのか」(清吉さん)。謝る両親に、匠さんは「いいよ」と寂しそうにつぶやいた。
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原告代理人の杉浦ひとみ弁護士は「しっかりとした論述に基づく判決だ」と話し、全国で審理中の同種訴訟について「違う判断を示すのは厳しいのではないか」との見方を示した。

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http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130314/trl13031420500007-n3.htm
http://megalodon.jp/2013-0315-1058-39/sankei.jp.msn.com/affairs/news/130314/trl13031420500007-n3.htm

有田伸弘・関西福祉大社会福祉学部准教授(憲法学)の話「日本は普通選挙を掲げながら、実際は障害者を排除した制限選挙だった。平等な社会に向けた判決で、評価できる。ただし、裁判所が能力による選挙権の制限を『合理的』と認めた点には懸念が残る。現在の日本で選挙権を行使するには、原則として候補者の名前を書く能力が必要だ。しかし、その能力がない人は選挙権を剥奪されてもよいのか。より多くの人に投票が可能になるような制度作りが必要だ」

矢鋪(やしき)渉・宮崎産業経営大法学部教授(民法)の話「福祉の現場では従来、被後見人の選挙権が剥奪されることを懸念し、成年後見制度の活用をためらう風潮もあった。今回の判決でそうした風潮の改善が期待できる。障害者の希望が政治に届くようになることも画期的だ。選挙権は国民の重要な権利であり、一律に被後見人の選挙権を剥奪してきた公職選挙法は乱暴だったと言わざるを得ない。今回の判決を、障害者の意思が反映される社会を実現するきっかけとすべきだ」