PC遠隔操作事件:再発防止へ検証を、報道も姿勢問われ-神奈川新聞(2012年10月28日)

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1210280011/

予告された小学校への襲撃を防ぐことを優先し、少年との接触を急いだとも聞く。だが、人一人の身柄を拘束する逮捕権の行使はあまりに重い。不当に自由を奪い、人権を侵す誤認逮捕は究極の不正義だ。なぜ無実の人間が「自供」したのか。捜査過程の検証は再発防止の第一歩だ。

メディアもまた、問われている。捜査当局の発表に基づき逮捕を報じ、罪なき人を「容疑者」として社会に知らしめた。「何もやっていない」と容疑を否認する少年の供述を記事化してはいる。だが当時、少年に直接取材できない中で、他にどのような取材、報道ができたか。自問は続く。捜査当局の批判に終始するだけではなく、自らの姿勢も省みなければならない。

名誉を回復してほしい−。誤認逮捕の可能性が高まって以降、少年はそう語ったという。その訴えは、関わったすべての人に向けられている。