障害者郵便割引不正:村木被告公判 証拠欠く苦しい検察 傍聴席、失笑も-毎日新聞(2010年6月23日)

http://mainichi.jp/universalon/clipping/news/20100623ddn041040013000c.html
http://megalodon.jp/2010-0625-1457-38/mainichi.jp/universalon/clipping/news/20100623ddn041040013000c.html

◇具体的指示の文言消え
 厚生労働省元局長、村木厚子被告の論告は「〜と考えるのが自然・合理的だ」「〜と優に認められる」など、間接的な証拠から推認する遠回しな表現が目立った。

 検察が1月に行った冒頭陳述では、村木被告は04年6月上旬ごろ「決裁なんていいんで、すぐに証明書を作って。心配しなくていいから」と、上村被告に偽証明書の作成を指示したとされた。その証拠は上村被告の捜査段階の供述調書だったが、特捜部の取り調べに問題があったとして大阪地裁が証拠採用せず、論告では具体的な指示の文言は消えた。その代わり、「上村被告は思い悩んでいたが、村木被告の指示を受けて作成を決断したと考えるのが合理的」という言い回しになった。

 村木被告が04年5月中旬ごろ、「凜(りん)の会」の倉沢邦夫被告の要請を受け、証明書の発行は間近だと郵政公社(当時)幹部に電話で伝えたくだりもなくなった。倉沢被告の供述調書が証拠採用されず、公判でも倉沢被告が否定したためだ。

 上村被告が拘置中、取り調べの模様を記録したノート*1にも言及し、「(取り調べで)上村被告が一貫して村木被告の指示を否定したとする裏付けにはならない」と指摘。ノートの内容と公判証言との整合性を根拠に、供述調書を証拠採用しなかった裁判所への批判ともとれる文言が盛り込まれ、検察の窮地を浮き彫りにした。