村木氏「無罪確実」で抜本改革を迫られる特捜検察-日経ビジネス(2010年6月2日)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100601/214712/?P=1

不合理なストーリー設定の背後にある組織の構造問題
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では、何が大きな違いだったのか。一つは、大阪地裁での公判経過が大きな社会的注目を集め、それが検面調書に「特に信用すべき情況」があるのか否かに関して裁判所が被告・弁護側の主張に正面から向き合う状況になったことであろう。そうなったのは、マスコミ報道で垂れ流された「村木氏が政治家に依頼されて虚偽の証明書を作成するように部下に指示した」という検察のストーリーに、村木氏の人柄を知る多くの支援者の人達が強い違和感を持ち、インターネット等を通じて公判経過も詳細に報じるなど冤罪を晴らす活動を展開したからである。これまで特捜部が起訴した事件について一審で無罪判決が出ても、ほとんどが控訴審で逆転有罪となっていたが、この事件では、控訴審は一回で結審し、検察官の証拠請求のほとんどを却下、ただちに結審して、検察官控訴が棄却された。

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同様のことは、無罪判決が確定した東京地検特捜部のPCI特別背任事件についても言える。

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このように検察官立証をあっさりと切り捨てる東京高裁の対応からも、特捜検察の捜査に対する裁判所の見方が大きく変化していることが窺われる。特捜検察の取調べや供述調書作成の手法を、「信用すべき特別の情況」を否定する事実とみる大阪地裁の今回の判断は、今後裁判所の見方として一般的に定着していくと見るべきであろう。

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こうして迷走を続けてきた特捜検察は、ここへ来て、PCI特別背任事件、郵便不正事件と相次ぐ裁判所の厳しい判断によって、まさに窮地に追い込まれている。