速報 少年法「改正」法案可決!

2007年5月24日、参議院法務委員会で少年法「改正」法案(与党修正案)が可決された。同日、民主党は、(1)触法少年の警察による調査は、児童相談所の要請又は同意を受けた場合に限りできる、(2)警察の調査については国家公安委員会規則を定めそれを遵守する、付添人等の立会い、ビデオ記録等による調査過程の可視化等(3)少年院の下限をおおむね14歳以上とする、(4)児童相談所の職員の増員・研修充実等触法事件等に当たれる体制を整備する、(5)重大触法事件の原則送致は削除、(6)保護観察中の遵守事項違反を理由とする少年院送致は削除等の修正案(上記は趣旨のみ)を提出。共産・社民の賛成を得たが否決された。
他方、この日、民主党等野党から、以下(趣旨のみ記載)のような付帯決議案が提出され、全会一致で可決された。

(1)触法少年の調査について格段の配慮、少年の特性配慮を終始徹底する、(2)ビデオ記録等調査過程の可視化も今後検討する、(3)保護観察の理念を後退させないよう、(4)少年院の処遇について児童自立支援施設と連携をとる、(5)保護司の育成、(6)児童相談所児童福祉施設の人的物的整備、(7)医療的ケア必要な子どもがいるので児童精神化の充実、(8)非行防止のため関係機関の連携努力。
25日の参議院本会議で可決予定。

本政府法案は、3月23日、「少年人口に占める刑法犯の検挙人員の割合が増加し、強盗等の凶悪犯の検挙人員が高水準で推移している上、触法少年による凶悪重大な事件が発生しているなど、少年非行は深刻な状況にあり、法整備が必要とする」という理由で提案された。しかしながら、審議をする中で、上記提案理由は理由がないこと、すなわち、立法事実の存在はないことが明らかになっている。
本法案は、衆議院段階で、与党議員も含めて数々の疑問が提起され、その結果、与党は修正案を出すことを余儀なくされた。しかし本質的な問題については何ら修正されていない。そもそも「立法事実」すらないことが明らかになっており、「改正」しなければならない状況はない。「改正」内容についても、なぜなのかとの野党の質疑に、提案者や政府関係者の答弁は形式的なものに終始、疑問には誠意ある回答がなされていない。数多くの付帯決議が付されたことはこのことを裏付けている。


■12歳から少年院送致 改正少年法が成立
東京新聞(TOKYOWeb)2007年5月25日
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007052501000221.html
http://megalodon.jp/?url=http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007052501000221.html&date=20070525142958