「原発再稼働どんどんやるべき」 福島事故後停止で経団連会長 - 共同通信(2019年1月15日)

https://this.kiji.is/457819827105891425?c=39546741839462401
http://archive.today/2019.01.16-052722/https://this.kiji.is/457819827105891425?c=39546741839462401

経団連の中西宏明会長は15日の会見で、東京電力福島第1原発事故後に停止している原発について「再稼働をどんどんやるべきだ」と述べた。原発の新設や増設も認めるべきだとの認識を示し、エネルギー政策の在り方を巡り国民的な議論を呼び掛けた。
経団連は以前から再稼働を推進する立場を貫いている。ただ、原発への反対論は根強いだけに中西氏の発言が反発を招く可能性がある。
中西氏は「安全について十分議論し尽くしている原発も多い。(立地、周辺)自治体が(再稼働に)イエスと言わない。これで動かせない」と強調。こうした状況の打開に向けて「(公開で)討論しないといけない」と語った。

柏崎市長「再稼働条件まだある」 東電社長と会談 - 共同通信(2019年1月15日)

https://this.kiji.is/457743199201412193
http://archive.today/2019.01.16-053033/https://this.kiji.is/457743199201412193

東京電力の小早川智明社長は15日午前、再稼働を目指す柏崎刈羽原発が立地する新潟県柏崎市を訪れ、桜井雅浩市長と会談した。桜井市長は事故時の避難計画に触れ「再稼働を市民が認めるための条件はまだまだある」と述べた。
6、7号機は再稼働に必要な国の審査に合格し、東電が安全対策工事を実施中。桜井氏は、再稼働を認める条件の一つとして、1〜5号機の廃炉計画を6月をめどに提出するよう求めている。小早川社長は「6月までに何らかの回答をする。意見交換しながら検討を進めたい」と強調した。
小早川社長は刈羽村も訪れて品田宏夫村長と会談した。

県民投票不参加、提訴へ 市民団体 宜野湾市に「投票権侵害」 - 東京新聞(2019年1月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019011602000143.html
https://megalodon.jp/2019-0116-1031-22/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019011602000143.html

米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設の賛否を問う県民投票(二月二十四日投開票)を巡り、宜野湾市の市民団体が十五日、市内で記者会見し、同市の県民投票への不参加は投票権の侵害だとして、市に原告一人当たり一万円の損害賠償を求め提訴する方針を明らかにした。今後、原告を募集し提訴は三月になる見込み。
募集期間は二月二十四日までで、宜野湾市有権者が対象。一人千円の訴訟費用が必要となる。不参加を表明している宮古島市などでも同様の動きがあるが、原告の募集に向け、資格など詳細な要件を公表するのは宜野湾市が初めて。
市民団体は「二・二四県民投票じのーんちゅの会」。会の共同代表宮城一郎県議は会見で「われわれの権利が本当に奪われる直前まで来ており、しっかり募集期間を設け原告団を集めたい」と述べた。
宜野湾市の松川正則市長は、投票に関する予算を市議会が否決したことを受け、不参加を表明している。
一方、玉城デニー知事は十五日、県民投票に事実上の不参加を表明したうるま市の島袋俊夫市長と市役所で面会し、実施するよう協力を要請した。

「私も投票できない」 デニー知事、県民投票予算案の否決を指南した宮崎氏に不快感 - 琉球新報(2019年1月15日)


https://ryukyushimpo.jp/news/entry-861315.html
https://megalodon.jp/2019-0116-0925-59/https://ryukyushimpo.jp:443/news/entry-861315.html

2月24日に実施される県民投票を巡り、宮崎政久衆院議員(自民)が保守系の市町村議員を対象にした勉強会で、投票にかかる予算案を否決するよう呼び掛けた問題で、玉城デニー知事は14日、「県民、特に投票に参加しないと言っている市の住民がどう考えるかだ。私自身も県知事だが沖縄市民なので投票できない。そんなことがあってもいいのかという思いはある」と述べ、不快感を示した。同日、宜野湾市内で記者団に答えた。
弁護士資格を持つ宮崎氏は先月、市町村議員を対象にした勉強会で「議員が損害賠償などの法的な責任を負うことはない」などと記した資料を配布し、予算案の否決を呼び掛けていたことが本紙の取材で分かっている。
一方、うるま市の島袋俊夫市長が14日に県民投票への不参加を表明したことについて玉城知事は「条例改正はいろいろ問題があり大変厳しい。時間的問題や混乱も予想されるので、それはできないと(既に)発表した。2月24日に向け、走っている市町村もあるので変更するのは厳しい」と述べ、条例を改正しない考えを改めて示した。
玉城知事は同日夕、照屋寛徳衆院議員(社民)の新春の集いに出席し、あいさつを述べた。その中で県民投票条例について「国会でよくある与党の強行採決のような形で可決したわけではない。しっかりと話し合い、丁寧な手順をもって、ほかの条例とまったく遜色なく、何の変わりもなく、きちんと定められた決まりだ。決まりに従うのが法治国家ではないか」と強調した。

(大弦小弦)「予算案を否決することに全力を尽くすべきである… - 沖縄タイムス(2019年1月16日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/372632
https://megalodon.jp/2019-0116-1032-53/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/372632

「予算案を否決することに全力を尽くすべきである」−。名護市辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票を巡って、保守系議員らの勉強会などで配布された複数の資料。その内容にがくぜんとした

自民党宮崎政久衆院議員が作成した文書で、予算案を否決する道筋を示すような中身だ。「議員が損害賠償などの法的な責任を負うことはない」「費用対効果から実施の意味がない」などの意見も書かれている

▼「勉強」の場とはいえ、否決する側の不安を拭うような内容になっており、投票する権利を持つ住民をないがしろにしていると言わざるをえない

▼そもそも県民投票は、住民の直接請求によって制定された条例に基づいて行われる。選挙権を持つ18歳以上が投票でき、自らの意思を示すことができる。その権利自体を入り口で奪うことを“指南”するような動きは到底許されるものではない

▼資料では議会が予算案を否決した場合、それに反して市町村長が予算案を執行することは「議会軽視で、不適切」との考えも示す。県民投票への不参加を表明している首長らが挙げる理由とも合致する

▼いわずもがなだが、今回の県民投票で埋め立ての賛否について意思を示すことも、示さないことも有権者の自由であり、選択である。ただ、そのことを決めるのは議員でも首長でもない。(赤嶺由紀子)

梅原猛さん死去 「反戦の知」受け継いで - 東京新聞(2019年1月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019011602000176.html
https://megalodon.jp/2019-0116-1034-17/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019011602000176.html

哲学者の梅原猛さんが私たちにのこした大きなものの一つは「反戦の知」ではなかったか。歴史や文学、宗教などを統合して築いた「梅原日本学」の根底にあったのは、生きることを尊ぶことだ。
十二日、肺炎のため亡くなった。九十三歳。
戦時中、動員の工場で空襲に遭うなど強烈な戦争体験を持つ。戦後は西洋哲学を軸に研究生活に入るが「自分自身の生きるよすがにならない」と感じ、人に生きる希望を与える「笑いの哲学」の創造を発意。「ノートを手に演芸場に通う学者」として有名になった。
法隆寺聖徳太子の鎮魂を目的に建てられたとする「隠された十字架」など古代三部作で「梅原日本学」とされる学風を確立した。
従来の学説を根本から否定する刺激的な論考。実証性が問われ、時に「神がかり」とも批判されたが「神がかりになる、すなわちインスピレーションに導かれて書かれないような作品はろくなものではない」と反論。本紙に四半世紀にわたり執筆した随筆「思うままに」の最終回(二〇一七年十二月)でも、独創的な哲学の確立を志す心境をつづった。
同時代に向けて盛んに発言し、行動した。国際日本文化研究センターの創設や「ものつくり大学」の開学に貢献する一方、長良川河口堰(かこうぜき)の建設や名古屋・藤前干潟の埋め立て、諫早湾の潮受け堤防の閉め切りなど、自然環境に影響を及ぼす事業を厳しく批判。脳死に関しては、人間の死として認めない論陣を張るなど、伝統的な死生観に即した視座を保ち続けた。
原発についても「思うままに」では一九九〇年代から「危険であるばかりか、その廃棄物は少なくとも今の科学の発展段階では、現在及び未来の人類の生存に対して脅威」と何度も廃止を説いた。
特筆されるのは二〇〇四年、護憲の立場から「九条の会」設立の呼びかけ人になったこと。人や動物だけではなく、植物や鉱物にも仏性が宿るという思想を尊ぶ立場から、生命を問答無用で奪う戦争には終生を通じて反対した。
「日本人のほとんど全部が戦争を始めることに賛成しても、最後まで反対する人間の一人が私であることは間違いない」(「思うままに」〇三年四月)
他国の脅威を口実に「戦争のできる国づくり」が進む今、この知の巨人が身をもって訴え続けた反戦と生命尊重の思想を、次の時代へしっかり受け継ぎたい。

(筆洗)女優、市原悦子さんが亡くなった - 東京新聞(2019年1月16日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2019011602000165.html
https://megalodon.jp/2019-0116-1043-12/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2019011602000165.html

「寒いだろうなあ」。吹雪の中に姿を消した脱走兵の身の上を心配する女の短いせりふ。だが、その女優が口にすると本物の吹雪に巻き込まれたようなぞっとする効果があった。「私はしばらくあっけにとられてしまったものである」
一九六四年、作家の安部公房は一人の女優についてそう書いた。「彼女は自分で光りだす。ぼうっと妖しく内側から乳色の光をあふれさせる、不思議な発光体なのだ」。乳色の光が遠ざかっていく。その女優、市原悦子さんが亡くなった。八十二歳。振り払おうとしても見る者の心にとどまる強い役者であった。
独特な声や口調を思い出し、「寒いだろうなあ」と頭の中で再生してみる。横なぐりの吹雪が浮かんでくるのである。
演じることについてこう書いている。「悪人と善人というのはない。人には美しい瞬間と醜い瞬間があるだけだ」。人を悪人か善人かで割り切らない。人は両方を抱え生きている。その複雑さと悲しさを意識していた。だから、その演技は深く、人間の臭いがした。
こだわりの人でもある。井上ひさしさんの台本が遅れに遅れた。初日は明日。「最後までどういう筋かわからないのにどう演(や)るんですか。一週間稽古がなかったらやりません」
井上さんの初日を一週間延期させた女優はこの人だけという。才に加えた研究と稽古。それが「発光体」の正体だったのだろう。

奄美の中1自殺原因、一転「教職員からの指導」 - 毎日新聞(2019年1月16日)


https://mainichi.jp/articles/20190115/k00/00m/040/285000c
http://archive.today/2019.01.16-013622/https://mainichi.jp/articles/20190115/k00/00m/040/285000c

鹿児島県奄美市で2015年11月に市立中1年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題を巡り、自殺原因を「不明」としていた同市教委が一転「教職員からの指導」と認めたことが、関係者への取材で判明した。昨年12月に市の第三者委員会は直前の担任による指導が原因だったとする報告書を提出していた。市教委は近く文部科学省への報告を修正する。

三者委によると、要田憲雄・市教育長は生徒が自殺した翌日の臨時校長研修会で「いじめた側の子が責任を感じて自殺した」と説明。生徒の自殺直後に学校が実施した基本調査では「原因は特定できなかった」とし、文科省の生徒指導に関する統計調査でも市教委は16年に「生徒が置かれていた状況は不明」と報告していた。
しかし、調査を進めてきた第三者委は、担任の男性教諭が「同級生に嫌がらせをした」と思い込んで男子生徒にした指導とその後の家庭訪問での対応が不適切で、生徒を追い詰めたと判断。昨年12月に市に提出した報告書で「亡くなった理由を正確に公的記録に残すことは、市教委と学校が事実に向き合うために不可欠」と市教委に文科省報告の修正を求めていた。
市教委の元野弘・学校教育課長は毎日新聞の取材に対し「基本調査などで自殺原因が特定できず『不明』と報告していた。第三者委の提言を真摯(しんし)に受け止めて、修正を決めた」と話した。文科省によると修正は異例。
生徒の父は「学校や市教委は、自殺直前に担任が指導していたと当初から知りながら『不明』と報告し、事実関係をあいまいにして責任逃れをしようとしていたのではないか。学校や市教委は自ら検証すべきだ」と語った。【樋口岳大】

(余録)米公民権運動の黒人指導者マーチン・ルーサー・キング牧師は… - 毎日新聞(2019年1月15日)

https://mainichi.jp/articles/20190115/ddm/001/070/120000c
http://archive.today/2019.01.16-013645/https://mainichi.jp/articles/20190115/ddm/001/070/120000c

公民権運動の黒人指導者マーチン・ルーサー・キング牧師は名演説家で知られる。代表はあの「私には夢がある」演説だろう。だが、なかには歴史に埋もれたものもある。1964年の「ベルリンの壁」演説もその一つだ。
米ソ対立で隔てられた国境をまたぎ、壁の西側と東側でそれぞれ呼びかけた。「神の下では東も西も北も南もない。壁の両側にいるのはともに神の子であり、人がつくるどんな壁もその事実を消し去ることはできない」
テレビ中継されず、支持者や研究者ですら見落としたというスピーチだ。ベルリン演説といえば、レーガン米大統領の「この壁を壊せ」のフレーズを思い起こす方もいよう。そんな派手さはないが、厳しい冷戦下で訴えた自由や平等への思いはひしひしと伝わってくる。
キング師生誕からきょう90年を迎える米国で、55年前のメッセージがひときわ響くとすれば、米国政治の混迷と無縁ではあるまい。メキシコ国境の「壁」建設をめぐるトランプ大統領と野党・民主党の攻防が激化し、政府機関の一部閉鎖が過去最長に及ぶ政争劇のことだ。
トランプ氏が非常事態宣言を持ち出すに至って緊張はぐんと高まった。強権的な手法に「政情不安な小国」のようとの声が与党から漏れ、野党は法廷闘争も辞さない構えという。
不法移民対策は重要だろうが、分断が深まればそれだけ憎悪も広がる。人種の壁を壊し、懸け橋をつくったキング師である。その懸け橋を壊し、新たな壁をつくるなら、米国史の破壊に映る。

(偽ニュース対策)メディア教育の充実を - 沖縄タイムス(2019年1月16日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/372633
https://megalodon.jp/2019-0116-1046-26/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/372633

選挙や災害時のデマ拡散防止に向け、政府が本格的な対策に乗り出す。
人々を惑わすフェイク(偽)ニュースは民主主義に対する脅威であり、放置してはならない。ルール作りとともに、情報を読み解く力「メディアリテラシー」を高める教育など重層的な取り組みを求めたい。
事実とは異なる情報がニュース報道の体裁をとって、会員制交流サイト(SNS)などから一気に拡散するのが偽ニュースの特徴である。
米大統領選ではトランプ大統領が有利になるような偽の記事が出回り、大きな政治問題となった。熊本地震では動物園からライオンが逃げたとのデマが流れ、騒動になった。
沖縄に関しては、昨年9月の県知事選で候補者個人を誹謗(ひぼう)中傷する言葉や真偽不明の情報が大量に出回ったことが記憶に新しい。
ネットで広がるデマを否定するため、翁長雄志前知事が県議会で「長女が中国の外交官と一緒になり、末娘は中国へ留学していると言われているが、二人とも一度も中国に行ったことがない」と発言したこともあった。
一昨年、米軍ヘリの窓が落下する事故に見舞われた普天間第二小学校に対しては「やらせだろう」などといった心ない電話も寄せられた。フェイクとヘイト(憎悪)がごちゃ混ぜになって広がっているのだ。
ネット事情に詳しい専門家は「フェイク」と「ヘイト」の悪循環が加速している、と指摘する。そのターゲットになっているのが沖縄である。

    ■    ■

総務省が対策の対象に想定しているのは、SNSを手掛けるフェイスブックツイッターなど米IT企業、アプリを通じてニュースを配信するヤフー、LINE(ライン)などの国内事業者だ。
情報を集めて配信する「場」として機能している、これらプラットフォーム企業に、チェック体制の強化や責任の明確化など自主的な行動規範策定を求めたいとする。
プラットフォーム企業がネット上で絶大な影響力を持っていることを考えれば、虚偽情報や人種差別的書き込みを垂れ流すことは許されない。
憲法で保障された「表現の自由」は配慮されるべきだが、現実に起きている混乱や人権侵害に対して、社会的責任を負うのは当然だ。
既にネット広告掲載を見送るなど広告主から責任を追及する声も出始めており、企業としてのスタンスが問われている。

    ■    ■

欧州などと比べ、日本の対策は大幅に遅れており、政府は危機感をもって体制整備に取り組んでほしい。
昨年の知事選で本紙は「ファクトチェック」のチームを作り、偽ニュースを検証した。誤った情報が投票行動に結び付けば、民主主義の根幹が揺らぐと考えたからだ。
基本的な事実が共有されなければ、社会は分断される。
偽ニュースの拡散を防ぐには、ファクトチェックに加え、一人一人のメディアリテラシーを磨いていくことも重要となる。

政府デマ抑止対策 「表現の自由」が前提だ - 琉球新報(2019年1月16日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-861686.html
https://megalodon.jp/2019-0116-1041-41/https://ryukyushimpo.jp:443/editorial/entry-861686.html

選挙や災害時のデマ拡散抑止に向けて、本格的な対策をまとめるため政府が検討を進めている。フェイク(偽)ニュースに影響を受けた人々の投票が選挙結果を左右しかねないという危機感が背景にあるという。額面通りに受け取っていいものだろうか。
昨年の沖縄県知事選では、明らかな偽情報や検証できない真偽不明の情報で候補者を誹謗(ひぼう)中傷する投稿がインターネット上で相次いだ。攻撃の矛先は専ら、政府と対立する玉城デニー氏(現在の知事)だった。
模範となるべき国会議員までがツイッターで事実と異なる情報を発信した。会員制交流サイト(SNS)で怪情報を流布させ他候補のイメージダウンを図る手法を選良と呼ばれる人が平然とやってのける。政治家のモラルの低下を印象づけた。
政府・与党はこのような異常な事態を放置し、傍観していた。ここへ来て唐突に「民主主義の根幹を揺るがす事態になる恐れもある」といった認識が示されるのはなぜか。
参院選などを控え、政権批判の投稿をなくしたいという思惑が透けて見える。
情報を配信している企業によって、誤った投稿内容への責任の在り方や防止策にばらつきがあるのは事実だ。一段の対応を促す必要はあるのだろうが、デマの判定は一筋縄ではいかない。
SNSには虚偽情報があふれる一方、正当と思われる批判・指摘も多々ある。デマの拡散防止を迫られたとき、情報配信事業者はどう対応するだろうか。正当な論評とフェイクの区別がつかず、一緒くたにして処理することが起こり得るのではないか。
政府は、憲法が保障する「表現の自由」に配慮し法制化は見送る方向だという。たとえ法律で規制しなくても、結果として、表現の自由が脅かされる恐れがある。
災害時のデマの拡散防止で何らかのルール作りが必要であることに異論はない。人々を混乱させ、場合によっては人命に関わりかねないからだ。昨年の西日本豪雨では「レスキュー隊のような服を着た窃盗グループが被災地に入っている」という偽情報が飛び交った。北海道地震では、再び大きな地震が起きるとのデマが拡散した。
取り組みが先行する欧州では、欧州連合(EU)が米IT企業やネット広告会社に行動規範の策定を求め、合意した。偽ニュースを流すアカウントの停止、政治広告の出稿者や出資者の明確化、ファクトチェック(事実確認)の強化などの対策も掲げる。
総務省も米IT企業や情報配信事業者に自主的な行動規範の策定を求めることを視野に入れる。表現の自由の侵害につながることがないよう、あらゆる事態を想定し、慎重の上にも慎重を期すべきだ。
SNSを利用する側には、デマの拡散に加担しないだけの分別が求められる。

(斜面)新聞には大きな役割がある。対策を国やSNS事業者任せにしたくない - 信濃毎日新聞(2019年1月16日)

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190116/KT190115ETI090005000.php
http://archive.today/2019.01.16-013901/https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190116/KT190115ETI090005000.php

沖縄の基地建設に反対する人々を虚偽や侮辱を交えて激しく攻撃してきたウェブサイトがある。ネットの世界では既存のメディアよりも情報の拡散力が強い。その編集の手引ともいえる「社外秘」の資料を地方紙の琉球新報が入手した

   ◆

こんな指南がある。タイトルは大げさに、「衝撃の結末が」などクリックしたくなる隠し方を―。執筆者は階級分けされ記事の報酬は公開2日後に会員制交流サイト(SNS)の共有数を基に決める。記事が拡散するほど運営者の広告収入は増えていく

   ◆

新年の連載「沖縄 フェイクを追う」で明らかにしている。同紙は昨年の県知事選で「ファクトチェック」を試みた。フェイク(偽)ニュースを監視し、真偽の結果を読者に伝える。その取材班が引き続きフェイクの発信者を追っている。特定は困難を極め闇の深さは底知れない

   ◆

SNSは「いいね」などのデータから個人の信条や趣向に合う情報を流す。好みの情報にばかり接すると、異なる考えを認めず偏見や先入観が強まる。偽情報に染まりやすい環境だ。知事選では情報を自動で拡散する「ボット」の機能も使われたという

   ◆

3年前の米大統領選でも偽情報を広げた仕組みである。人の口に戸は立てられない。ましてネットでつながり、ひともうけをたくらむ発信者がいれば、偽情報はあふれ出る。民主主義は事実を共有してこそ成り立つ。新聞には大きな役割がある。対策を国やSNS事業者任せにしたくない。

同性婚訴訟 法の下の平等が問われる - 信濃毎日新聞(2019年1月16日)

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190116/KT190115ETI090004000.php
http://archive.today/2019.01.16-014257/https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190116/KT190115ETI090004000.php

憲法24条は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と規定している。これにより同性同士が婚姻関係を結ぶことを否定できるのか―。これを問う訴訟が来月中旬、一斉提訴される。
踏み切るのは全国の同性カップル10組である。
同性婚ができないのは憲法が保障する婚姻の自由を侵害し、法の下の平等に反するとしている。国に損害賠償を求め東京地裁名古屋地裁など各地の裁判所に訴える。同性婚を求めて当事者のカップルが国を提訴するのは、初めてのケースとみられる。
憲法解釈はさまざまだ。裁判所は双方の主張に慎重に耳を傾け、判断してほしい。
訴訟では憲法24条の「両性の合意」が何を指すのかが争点だ。
政府は24条について、同性婚を想定していないとの見解を示している。男女の婚姻を規定しているとの解釈も根強い。
弁護団は「同性婚を禁止した規定ではないと解釈できる」と主張する。旧民法では婚姻には父などの戸主の同意が必要だった。このため、憲法学者には24条は「当事者のカップルが自分の意思で結婚できること」を規定しており、同性同士の婚姻を否定していないという解釈が出ている。
法の下の平等を規定する憲法14条は、人種、信条、性別、社会的身分などにより差別されないと規定する。同性婚を認めないのは差別なのかが問われる。
同性婚は2001年4月に世界で初めてオランダで認められた後、欧州を中心に広がった。アジアでも今年5月に台湾で認められることになっている。現在は先進7カ国(G7)で日本だけが、同性婚やこれに準じた制度を法制化していない。
国内では自治体が同性カップルなどを公認する同性パートナーシップ認証制度が広がりつつある。それでも通常の夫婦と同様の税控除を受けられず、相手が死亡しても遺産を相続できない。
考えなければならないことは、同性や両性を愛することは趣味趣向ではないことだ。生まれ持った性質であり、変わることはないというのが通説である。
異性を愛する人も、同性を愛する人も権利は同様であるべきだ。電通が全国6万人を対象に昨年10月に実施した調査では、8割近くが同性婚に理解を示した。同性婚のパートナーを配偶者として処遇する企業も増えている。社会は実情に即し対応しつつある。裁判所の見識が問われる。

(東京五輪賄賂疑惑)「1票10万ドルで20票が集められ、成功報酬は約2億3千万円」IOC関係者 (1/2) - アエラドット(2019年1月15日)

https://dot.asahi.com/wa/2019011500104.html

2020年東京五輪招致を巡る贈賄の容疑者としてフランス当局から正式に捜査を開始された日本オリンピック委員会JOC)の竹田恒和会長は15日、東都内で記者会見を開いた。

「(嫌疑がかかっている)コンサルタント契約は、通常の承認手続きに従い、締結されたものです。稟議書は通常の承認手続きを経て、回覧され、私が最後に押印しました。私の前にはすでに数名が押印しておりました。これらの契約内容は、ロビー活動および、関連する情報を収集するコンサルタント業務の委託になります。国会の衆参両院の予算委員会をはじめとする各委員会に呼ばれ、招致委員会元理事長の立場で参考人として説明をし、承諾を得たもの」
竹田会長はこうして潔白を7分間、記者団に訴えたが、記者質疑には応じず、会見は打ち切り。集まった外国人記者らから疑問の声が次々とブーイングが上がった。
問題となっているのは、2020年東京五輪招致のコンサルタント契約で、2013年7月と10月、東京五輪の招致委員会がシンガポールコンサルタント「ブラック・タイディングズ」社に約2億3千万円を送金したことだ。
その金が2020年東京五輪招致の集票のために「賄賂」ではないかと、疑惑が浮上しているのだ。
コンサルタント会社は、シンガポールに所在しているが、IOCの委員で国際陸上競技連盟(IAAF)前会長でもあったセネガル人のラミン・ディアク氏の息子、パパマッサタ・ディアク氏の「ダミー会社」とみられているという。
シンガポールでは、ほとんど活動していないペーパーカンパニーの銀行口座に突然、大金が送られてきた。シンガポール人の会社の代表者も、パパマッサタ氏との関係は認めている」(シンガポールの当局者)
IOCの関係者はこう話す。
「あの金額を見て、票を集めた見返りと思っている人は多いよ」
2013年当時、東京はスペインのマドリッド、トルコのイスタンブールと激しく、招致を競り合っていた。また、これまでオリンピックの招致にはさまざまな疑惑が浮上。
招致を目指す立候補都市が直接、投票権を持つIOC委員に直接、アプローチすることが原則、禁じられるようになった。なかでも、アフリカは「大票田」だとして、3都市が集票活動を展開していた。アフリカに大きな影響力があるとされたのが、有力五輪競技、陸上界のトップ、ラミン・ディアク氏であった。
「過去の五輪の招致活動で不正があるたびに、賄賂の授受が噂になった。そこでわかってきたのは、1票の相場です。だいたいが、1票10万ドル(約1100万円)。実際、ある国のIOC委員は『10万ドルで投票してほしいと立候補都市から持ち掛けられた』と証言している。また、五輪招致のコンサルタントをしている人物も『1票10万ドルで、票を集めたことがある』と話している。東京がコンサルタント会社に2回に渡って送金した総額は、2億3千万円でしょう。1票10万ドルとして、20票集めれば、ちょうどこの金額くらいになる。ラミン・ディアク氏の力ならアフリカ以外からも集票できるので、20票は現実的な数字。金額から、まさに集票の報酬、賄賂じゃないか、先々で問題になると多くの関係者は思っていた」
昨年、韓国で開催された平昌五輪でも、韓国企業がディアク親子に集票を依頼したという疑惑が報じられた。リオデジャネイロ五輪の招致でも息子のパパマッサタ氏に“賄賂”を渡したとして、ブラジルのオリンピック委員会の会長が、2017年に逮捕された。
「フランスの司法当局は開始した(起訴するかどうかを決める)予審手続きでとても有名な裁判官をあてているので、日本を本気で立件するんじゃないかとIOCの中でみている人は多くいる」(IOC関係者)
そんな中、IOCでは、このままで本当に東京五輪が開催できるのかとの声もある。

「フランスの司法当局が、竹田会長、東京五輪の招致委員会が送ったカネが賄賂と認定した場合、不正な方法で開催権を得たこととなる。そのまま、五輪を開催させていいのかという意見が招致に負けたヨーロッパの国から出ている」