障害児が「普通にいる」クラス求め……「インクルーシブ教育」の壁 - withnews(2019年1月9日)

https://withnews.jp/article/f0190109001qq000000000000000W07q10601qq000018555A
http://archive.today/2019.01.09-092529/https://www.hokkaido-np.co.jp/article/261649?pu

年が明け、もうしばらくすると入学シーズンを迎えます。子どもが障害を抱えていたり、発達に遅れがあったりすることによって不安を抱えている家族がいます。希望する教育が受けられる学校のある街に引っ越す家族もいます。三つの家族の決断から、障害児の就学問題について少し考えてみました。
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樋口英明さん 原発の運転差し止め判決を出した元裁判官 - 北海道新聞(2018年12月25日)

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/261649?pu
http://archive.today/2019.01.09-092529/https://www.hokkaido-np.co.jp/article/261649?pu

2014年5月に福井地裁で関西電力大飯原発福井県)の運転を差し止める判決を言い渡した樋口英明元裁判長(66)。11年3月の東京電力福島第1原発事故後初の差し止め判決となったが、今年7月の控訴審で一審判決は取り消された。どんな思いで判決を書いたのか、原発再稼働が進む現状をどう見ているか、樋口さんに聞いた。

■強い地震が来れば原発は耐えられない前提で議論していた

――福島事故が起きるまで原発についてどう考えていましたか

「恥ずかしながら全く関心がなかった。専門家が『安全だ』と言うのを信じていました」

――そんな樋口さんが14年の大飯原発の差し止め判決に続き、15年には関電高浜原発福井県)の再稼働を差し止める仮処分も決定しました。なぜ原発を止めるべきだと考えるようになったのですか

「まず、裁判の争点が原発は強い地震が来ても大丈夫かという点ではなく、強い地震が来るか来ないかという点だったことに大変驚きました。原告の住民は『来るかもしれない』と主張し、関電は『来ない』と反論していた。つまり、原告も被告も強い地震が来れば原発は耐えられないとの前提で議論していたのです。大飯原発の耐震設計の目安となる基準地震動は当時700ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)でした。関電はその1・8倍の1260ガルまでは耐えられると言っていた。逆に1260ガルを超えると危ないことは認めていたのです。そのうえで700ガル以上の地震は来ないと言っていた。それが信用できるかどうかです」

――信用できない、と。

「はい。国内では2000年以降、東日本大震災(2933ガル)や今年9月の胆振東部地震(1796ガル)を含め千ガル以上の地震が16回、700ガル以上だと29回も観測されています。原発のある場所だけは揺れないなんて保証は何もない。判決にも書きましたが、実際、05年以降に四つの原発で5回、基準地震動を上回る揺れを観測しました。最もひどい例は東電柏崎刈羽原発新潟県)で、建設当時は基準地震動を450ガルと想定していたのに、07年の新潟県中越沖地震でその3倍を超える1700ガル近い揺れを記録し2300ガルに引き上げた。過去に決めた数字が想定を超えたから修正したのです。大飯原発の数字だけは正しいと言われても信用できません」

――だから差し止めた。

「大手メーカーの住宅は3000ガルとか5000ガルに耐えられるよう設計されているものもあります。原発は一般住宅より耐震基準が低い。それでは話になりません」

――判決を出すのに迷いや葛藤はなかったのですね。

「結論が決まっていたので葛藤はありませんでした。私はその後、名古屋家裁に異動します。家裁では離婚問題などを扱いますが、子の親権者を父母のどちらにするかを決めるのはすごく難しい。国全体から見れば小さな問題かもしれませんが、そっちのほうがよほど悩みました」

――判決で国富とは何かを論じた部分が印象的です。あの文章に込めた思いを聞かせてください。

「二つのこだわりを持っていました。一つは保守から見ても革新から見ても納得できる文章にしようと。なので何十回も練り直しました。今は保守が原発を推進していますが、国土や故郷を大事にするのが保守のはずで、保守こそ再稼働に反対すべきだと思います」

■大勢が「やめるべきだ」と言い続ければ司法も変わるはず

――もう一つのこだわりとは。

 「原発事故で故郷を追われた人の気持ちを少しでも代弁したいと思いました。私は10万人を超えるようなたくさんの人をこの目で見たことがない。東京ドームが満員になってもせいぜい5万人とかです。福島では10万人以上の人が一斉に故郷を追われ、生活を失った。その重みを考えるべきです」

――その判決は控訴審で取り消されました。大飯原発は新規制基準に適合する、とした原子力規制委員会の判断を合理的と認めた。どう思いましたか。

原発が安全だときちんと確認して取り消したのなら、私も安心できるし、この国にとっても良いことです。でも判決は、新規制基準はつじつまが合っている、それに従っているから心配ないといった理屈だった。心底がっかりしました。規制基準は専門家が作るのでつじつまは合って当然です。多くの裁判で規制基準は合理的だと言われていますが、国民を原発放射能の危険から守れない恐れがあるなら不合理なんです」

――それでも原告は最高裁に上告しませんでした。なぜでしょう。

「住民が最高裁に少しでも期待するなら上告したと思います。でも全く期待しなかった。控訴審の誤りを最高裁が正すことは100%ないと思ったんでしょう」

――国内では原発の危険性を認定し、運転を差し止めるなどした裁判は3・11前に2件、3・11後に4件の計6件です。06年に北陸電力志賀原発(石川県)2号機の運転差し止め判決を出した元裁判官の井戸謙一弁護士(64)は11月、札幌市内の講演で「今ほど運転差し止め判決を書きやすい時代はないのに、出てこないのがもどかしい」と話していました。

「私も非常にもどかしい。司法は福島事故を直視すべきです」

――原発の再稼働の状況をどう見ていますか。月刊誌に「小舟で太平洋にこぎ出すようなもの」と寄稿していました。危ない、と。

 「嵐は来ないと信じて大海原に出て行くようなものです。運が良ければ助かるが、そうでなければ大変なことになる。危ないというのは《1》事故が起きた時の被害が大きい《2》事故の発生確率が高い―という二つの意味があります」

――今後、原発はどうするべきだと考えますか。

「個人的な意見ですが、地震を予知できない以上、全ての原発をすぐに停止すべきだと考えています。地震は、いつ、どこで、どのくらいの強さで来るか分からない。徐々に原発を減らしたとしても、唯一動いている1基を強い地震が襲うかもしれない。ロシアンルーレットのようなものです」

――道内では今月、函館市民らが電源開発大間原発青森県)の建設差し止めを求めた裁判の控訴審が札幌高裁で始まり、札幌地裁では北海道電力泊原発(後志管内泊村)の廃炉を求める裁判が行われています。

脱原発を目指す人にとっては、3・11後も多くの裁判が原発を容認していることに無力感を覚えるかもしれません。でも、無力であることと非力であることは違う。一人一人の力は小さく、非力でも、多くの人が原発に関心を持ち『原発はやめるべきだ』と言い続ければ、司法も変わるはずです」


<略歴>ひぐち・ひであき 1952年三重県鈴鹿市生まれ。京都大法学部卒。83年福岡地裁判事補任官。静岡や宮崎、大阪など各地の地裁や家裁、高裁などに勤務。福井地裁の裁判長として2014年5月に大飯原発3、4号機の運転差し止め判決、15年4月には高浜原発3、4号機の再稼働を差し止める仮処分決定を出した。17年8月に名古屋家裁部総括判事で定年退官。津市在住。

<ことば>基準地震動 原発の耐震設計の目安とする地震の揺れのこと。敷地周辺でさまざまな地震が起きると仮定して計算する。速度が速くなっていく割合を示す加速度の単位ガルで示し、数字が大きいほど揺れが強いことを表す。2007年の新潟県中越沖地震では、柏崎刈羽原発の揺れが最大で1699ガルに達したと推定されている。国内で観測された最大値は08年の岩手・宮城内陸地震での4022ガル。泊原発の基準地震動は、建設当時が370ガル、東日本大震災当時が550ガル、現在は620ガルで耐震設計をしている。

<後記>1999年2月、北電泊原発3号機の建設と運転差し止めを求めた裁判の判決で、札幌地裁は「具体的な危険は認められない」と原告の訴えを退けた一方で「原発を中止する選択もある。自分たちの子供に何を残すのか賢明な選択をしなければならない」と付記した。樋口さんはこの文章に「3・11以前からの裁判官の葛藤が表れている」と話した。

福島原発事故後も、今年3月の函館地裁の大間原発建設差し止め訴訟の棄却など、まるで事故がなかったかのような司法判断が続いている。樋口さんの言うように関心を持ち続けたい。(報道センター 関口裕士)

重大なルール違反が発覚した厚労省の「毎月勤労統計調査」、やはり長年意図的に問題を隠蔽していた - BUZZAP!(2019年1月9日)


https://buzzap.jp/news/20190109-mhlw-lie2/

多くの日本企業が長年行ってきた偽装、改ざん、捏造、隠蔽と同じ事が中央省庁でも行われていたことになります。詳細は以下から。
厚労省「毎月勤労統計調査」のルール違反、やはり意図的なものだった
BUZZAP!では昨年末に厚生労働省が賃金や労働時間などの動向を調べて毎月公表している「毎月勤労統計調査」で、従業員500人以上の事業所は全数調査するルールだったものの、一部のみ抽出するケースがあったことを報じました
問題が発見されたのは東京都の事業所を対象にした調査で、都内に約1400ある500人以上の事業所の3分の1の500程度のみを抽出して調べていたことが判明。
勤労統計は、統計法で国の重要な「基幹統計」と位置付けられていましたが、これによって調査の信頼性が崩れ去ったことになります。
しかし本当の問題は、厚労省がこの極めて重大なルール違反を意図的に隠蔽していたこと。

厚労省、勤労統計で問題隠し公表 長年偽装の疑い - 東京新聞(2019年1月8日)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019010801001876.html
https://megalodon.jp/2019-0109-1605-22/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019010801001876.html

賃金や労働時間の動向を把握する「毎月勤労統計調査」で、厚生労働省が、全数調査が必要な対象事業所の一部が調べられていないミスを認識しながら問題を説明せず、正しい手法で実施したかのように装って発表していたことが8日、分かった。問題の隠蔽とも言われかねず、批判を招くのは必至だ。
また、ミスが見つかった東京都内の事業所分については、全数調べたように見せかける偽装が長年行われていた疑いがあることも判明。開始時期などについて、厚労省が調査している。
勤労統計は月例経済報告といった政府の経済分析や、失業給付の算定基準など幅広い分野で用いられる国の「基幹統計」。(共同)

さらに今回問題の発覚した東京都の事業所では長年全数調べたかのように見せる偽装が行われていた疑いまで浮上しました。
開始時期などを現在厚労省が調査しているとのことですが、基幹統計を偽装する組織の内部調査の信頼度がどれほどのものかには疑問符を付けざるを得ません。
神戸製鋼所日産自動車SUBARU、KYBなど、日本の大企業でのデータ偽造とその長年の隠蔽が近年大きな問題となっていますが、今回は中央省庁がその舞台となっています。
厚労省の今回のルール違反の隠蔽が東京都以外にも広がっているのか、どれほどの期間行われてきたのか、第三者による公正かつ徹底的な調査が必要です。
◆「毎月勤労統計調査」の問題は9月にも指摘されていた
なお、厚労省の「毎月勤労統計調査」に問題が指摘されたのは今回が初めてのことではありません。BUZZAP!では今年の9月30日に「アベノミクス最重要統計の「賃金伸び率」水増し捏造が「統計委員会」に指摘されてしまう | BUZZAP!」という記事を掲載しています。
これは9月28日に政府の専門的かつ中立公正な調査審議機関である「統計委員会」が、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の賃金伸び率が実態を表していないと公式に指摘したものです。
厚労省は2018年1月、世の中の実態に合わせるとして「毎月勤労統計調査」で大企業の比率を増やして中小企業を減らすデータ補正を行ったものの、その影響を考慮せずに伸び率を算出。企業規模が大きくなった分「賃金が急伸する」という結果となりました。
統計委はこの日、賃金の伸び率は「正式」な数値よりも算出の方法をそろえた「参考値」を重視していくことが適切との意見でまとまりました。また、厚労省がデータ補正の問題を夏場まで「隠蔽」していたことに対して統計委の西村清彦委員長は「しっかりした説明が当初からされなかったのが大きな反省点」と苦言を呈しています。
デフレ脱却を掲げる安倍政権の目玉経済政策であるアベノミクスにとって、賃金の伸びは極めて重要な統計となるため、この時点で既に政策の成否に関する「印象操作」を越えた統計データの「水増し捏造」が行われていたことになります。

(こちら特報部)辺野古土砂投入 - 東京新聞(2019年1月9日)

「サンゴ移した」に「事実と異なる」

全体は7万群体 実際は現場外の9群体

安倍晋三首相は6日のNHK番組で、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設現場で進めている土砂投入に触れ、「サンゴは移している」と述べた。しかし、実際は埋め立てに伴って移植対象とする7万群体のうち、土砂投入現場と別の区域はわずか9群体を移しただけ。事実誤認の発言として批判が集まるはか、「そもそも移植が環境保全に結び付くのか」と勉強不足を指摘する声も上がっている。(榊原崇仁)

関連記事
土砂投入海域のサンゴ移植ゼロ 辺野古、首相は「移している」と発言 - 琉球新報(2019年1月8日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20190108#p4

辺野古署名、20万筆 メイさんら賛同 米回答義務の倍に - 東京新聞(2019年1月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201901/CK2019010902000151.html
https://megalodon.jp/2019-0109-1021-48/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201901/CK2019010902000151.html


米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)の新基地建設を巡り、二月の県民投票まで工事を止めるようトランプ米大統領に求める嘆願書への電子署名が八日、期限を迎えた。本紙の確認で、集まった署名数は、米政府が公式に回答する規定数の二倍に当たる二十万筆を超えた。国内外の多くの著名人が賛同するなど関心の高さをうかがわせた。 (村上一樹、島袋良太)
電子署名は米ホワイトハウスの請願サイト「WE the PEOPLE」で実施。辺野古の署名は、日本時間八日午後二時の期限までに約十九万九千八百筆が集まった。期限を過ぎても米政府が回答を掲載するまで署名は可能で、期限の約一時間後には二十万筆を突破した。
この数は、サイトで確認できる中で五番目に多い。最多は、トランプ氏の全事業と財産の没収(約三十六万三千筆)で、銃火器規制法の撤廃(約二十九万六千筆)などが続く。
辺野古の署名は、ハワイ在住で沖縄出身者の血を引く日系四世の作曲家ロブ・カジワラさん(32)が先月八日に始めた。国内外の著名人が会員制交流サイト(SNS)で協力を呼びかけるなど賛同が広がった。中でも、タレントのローラさん、英ロックバンド「クイーン」ギタリストのブライアン・メイさんらの書き込みは大きな反響を呼んでいる。
署名は三十日以内に十万筆を集めると、米政府が回答を義務付けられる。辺野古の署名が十万筆を超えたのは先月十八日。回答はそこから六十日以内となる。ただトランプ氏はオバマ前大統領が始めた請願サイトに批判的なことで知られ、署名が規定数に達しても政府見解を回答しない対応が続いている。
カジワラさんの嘆願書では、昨年九月の沖縄県知事選で新基地建設反対を掲げた玉城(たまき)デニー氏が勝利したのに、日本政府と在日米軍は県民の意思を無視していると指摘。県が新基地建設の是非を問うために二月二十四日に行う県民投票まで、トランプ氏が工事停止を命じるよう求めている。

署名サイト
https://petitions.whitehouse.gov/petition/stop-landfill-henoko-oura-bay-until-referendum-can-be-held-okinawa

「友人も仕事も失った、戻れない」強姦冤罪の男性の失望 - 朝日新聞(2019年1月9日)

https://www.asahi.com/articles/ASM184FS0M18PTIL019.html
http://archive.today/2019.01.09-010547/https://www.asahi.com/articles/ASM184FS0M18PTIL019.html

強姦(ごうかん)罪などで服役中に被害証言がうそだったとわかり、再審で無罪となった男性(75)と妻が国と大阪府に計約1億4千万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が8日、大阪地裁であり、大島雅弘裁判長は男性側の請求を棄却した。男性側は控訴する方針。
「(検事は)やや性急な感を免れないが、通常要求される捜査を怠ったというのは困難」「(うその告白を)うかがい知ることができる証拠は(裁判所に)提出されていない」
判決は国側主張にほぼ沿う認定で、男性(75)の訴えを退けた。6年余り拘束された男性は判決後の記者会見で「何も反省しておらず、許せない」と失望をあらわにした。再審無罪が確定して約2800万円の刑事補償も受けたが、「汚名を着せられて多くの友人も仕事も失い、元に戻れるわけがない」と訴えた。男性側代理人の後藤貞人弁護士は「検察が無罪の可能性を検証せずに起訴しても過失はないとする、ひどい判決だ」と批判した。

強姦冤罪事件、国賠請求を棄却 大阪地裁 -毎日新聞(2019年1月8日)

https://mainichi.jp/articles/20190108/k00/00m/040/098000c
http://archive.today/2019.01.08-062643/https://mainichi.jp/articles/20190108/k00/00m/040/098000c

強姦(ごうかん)罪などで服役中に被害者の証言がうそと分かり、再審無罪が確定した大阪市内の男性(75)と妻が、不十分な捜査や裁判所の誤判で精神的な損害を受けたとして、国と大阪府に計約1億4000万円の国家賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は8日、請求を棄却した。大島雅弘裁判長は「通常要求される捜査を怠ったとまでは言えない」と判断した。男性側は控訴する方針。
判決などによると、男性は2008年、10代だった同居の親族女性に性的暴行をしたとして逮捕、起訴された。一貫して否認したが、大阪地裁は09年、被害を申告した女性や目撃者の証言の信用性を認めて懲役12年を言い渡し、11年に最高裁で刑が確定した。
しかし、男性が服役中に「証言はうそだった」と、この女性が弁護士に告白。14年に男性が裁判をやり直す再審を請求し、大阪地裁が15年に無罪を言い渡した。
今回の国賠訴訟では、男性側が「大阪府警大阪地検が無罪を示す証拠の捜査を怠った」と主張。捜査時の医師の診察では性的被害を示唆する診断書が出た。ところが、女性が家族と受診した別の医師は被害を否定しており、女性の告白後の再捜査でそのカルテが見つかった。
判決は、さらに捜査すれば女性の証言の信用性が揺らいだ可能性を認める一方、証言と矛盾しない診断書があった点を重視。「証言は具体的で信用できた」として、捜査や裁判所の判断に違法性はなかったと結論付けた。
男性は逮捕から6年余り拘束され、仕事も失った。判決後の記者会見で「警察や検察、裁判所は自分たちの間違いを認めない。なぜ有罪になったか反省しなければ、また冤罪(えんざい)の被害者が生まれる」と憤った。【戸上文恵】

ゴーン前会長 勾留の在り方も議論を - 東京新聞(2019年1月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019010902000158.html
https://megalodon.jp/2019-0109-1032-48/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019010902000158.html

「無実だ」と日産自動車のゴーン前会長が述べた。不当な勾留だとも。特別背任事件の最中に勾留理由開示手続きで法廷に立った。身柄拘束の在り方について、議論する契機にすべきであろう。
勾留理由開示は、憲法刑事訴訟法に定めのある制度である。例えば憲法三四条は、要求があれば、(勾留の)理由を公開の法廷で示さねばならないとする。
だが、二〇一六年度の司法統計では勾留状の発付は約十万九千件だったのに、勾留理由開示請求が行われたのは、わずか約七百件にすぎない。たったの0・6%である。弁護士が消極的なのは、その手続きをしても効果がないと思われているからであろう。
確かに裁判官は法廷で勾留状に書かれた理由を読み上げるだけに終わる。ゴーン容疑者に対しても「関係者に働きかけて罪証隠滅すると疑うに相当する理由がある。国外に住居があることから、被疑者が逃亡する疑いもある」と裁判官は述べた。
証拠隠滅と逃亡の恐れ−。大半の事件で二つのキーワードが使われ、それを理由に身柄拘束が解かれることはない。だが、あまりに安易に用いられすぎてはいないか。例えば、昨年十二月に中国の通信機器メーカー・ファーウェイの副会長がカナダで逮捕された事件と比較してみよう。
米国の要請による逮捕だったが、保釈は約十日後。保釈金は八億五千万円で、副会長はパスポートを取り上げられ、衛星利用測位システム(GPS)機器も身に着けさせられた。居場所が追跡・特定される。これでは逃亡もできはしまい。事件関係者との会話・通話などを禁止すれば証拠隠滅の恐れもなくなろう。
日本でも一四年の法制審議会の特別部会で、居住先の特定など身柄拘束しないで捜査する「中間処分制度」の創設が議論された。だが、警察・検察などの反対で一蹴された経緯がある。
「ゴーン事件」によって、海外メディアが一斉に日本の刑事司法の問題点を指摘した。もう一度、謙虚に身柄拘束の在り方を再考してみてはどうか。
「容疑はいわれないものだ」「日産には損害を与えていない」−。法廷でゴーン容疑者が主張した言葉は、検察のストーリーと対立する。事件が法律論の争いになる要素もあろう。全面無罪の具体的な主張がある以上、検察側が描く筋書きを鵜呑(うの)みにせず、冷静に事件を見つめたい。

ゴーン前会長が無実主張 検察が背負った重い課題 - 毎日新聞(2019年1月9日)

https://mainichi.jp/articles/20190109/ddm/005/070/106000c
http://archive.today/2019.01.09-013322/https://mainichi.jp/articles/20190109/ddm/005/070/106000c

会社法違反(特別背任)容疑で逮捕された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者が、東京地裁の勾留理由開示手続きで、「容疑はいわれのないものだ」と無実を訴え、勾留も不当だと述べた。
特別背任容疑は、私的な金融取引の損失約18億円を日産に付け替えたとされるものだ。サウジアラビアの実業家が信用保証に協力してくれたことを受け、ゴーン前会長はいったん契約を自分に戻したが、その後、実業家に16億円送金していた。
ゴーン前会長が損失額とほぼ同じ金額を送金した行為は不自然だ。日産の現地法人もこの送金を知らなかったという。
だが、ゴーン前会長がこの送金をサウジアラビアとの交渉に向けたトップセールスの必要経費だと主張した場合、これを覆すことは容易ではない。これが立証のポイントの一つになるだろう。
ゴーン前会長は、特別背任容疑だけでなく、昨年11月に最初に逮捕された役員報酬の虚偽記載(金融商品取引法違反)の起訴内容についても全面的に否認した。検察との全面対決の構図が見えてきた。
検察は刑事責任の立証以外にもう一つ、ゴーン前会長の長期勾留に対する批判的な国際世論という重い課題を抱えている。
ゴーン前会長の勾留は50日に及んでいる。この間、日本の刑事手続きに対する批判が海外メディアで報じられた。中でも長期勾留の問題は、日本の刑事制度が抱える構造的な問題ととらえるべきだ。
容疑者が否認している場合、起訴後も保釈させずに勾留を長引かせ、精神的に追い詰める手法は、日本の司法当局が繰り返し行使してきた。
過去に受託収賄罪に問われた鈴木宗男衆院議員が否認を続け、437日間勾留された例がある。
こうした手法は司法制度の中で当然視されてきたのも事実だ。だが、ゴーン前会長の勾留問題は、刑事手続きのあり方を見直すきっかけとなるのではないか。
容疑者の取り調べに弁護士が立ち会えない問題もクローズアップされた。欧米の主要国では、不適切な取り調べをチェックする手段として実施している。刑事訴訟法の改正も視野に議論する段階に入っている。

(不参加表明3市に)自治体は主体的判断を - 沖縄タイムス(2019年1月9日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/369384
https://megalodon.jp/2019-0109-1037-04/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/369384

県民投票に対し態度を保留していた市で対応が分かれている。
名護市辺野古の埋め立ての賛否を問う県民投票を巡り、糸満市議会は8日、再議に付されていた予算案を審議した。採決の結果、可否同数となったため、議長裁決で可決した。
上原昭市長は「議会の判断を尊重して実施する」と県民投票に参加する意向を表明した。
賛成した大田守議長は「条例も法律。法にのっとって判断した」と述べた。議長判断を歓迎したい。
うるま市議会は同日、島袋俊夫市長が再議に付した予算案を再び否決した。市議会は夜になって県民投票条例に反対する意見書を賛成多数で可決。島袋市長はその後、記者会見したが、態度を明らかにしなかった。
沖縄市の桑江朝千夫市長は7日の記者会見で「市議会が2度にわたって否決したことは大変重い」と県民投票には参加しないことを表明した。
桑江市長は市民の投票権が奪われることについて「市長の判断に委ねられているものを執行しているだけだ」と市長の裁量内との判断を示したが、市民は投票権を奪われることまで容認していない。
首長が不参加を表明しているのは宮古島市宜野湾市沖縄市の3人。3市合わせた有権者数は約2割に上り、影響は大きい。
再議が否決された石垣市の中山義隆市長も不参加の意向を示している。

    ■    ■

桑江市長は「丸でもバツでもない人たちの思いを無視している」とも強調する。
桑江市長が想定する人たちには、棄権する選択肢があるし、白票を投じる意思表示の方法もある。県民投票を否定する理由にはならない。
不参加の3首長も予算案を否決した与党議員らも自民党などが推す政治家である。
自民党県連は2017年の県連大会で、「普天間飛行場の危険性を除去するため、基地の機能移転並びに訓練の分散移転を図りつつ、辺野古移設を容認し、早期返還の実現を図る」とはっきり辺野古容認へ方針転換した。
県民投票に参加してなぜ堂々と賛成票を投じないのか。それが不思議でならない。沖縄の将来に責任を持つのであれば、県民投票で態度を鮮明にすべきだ。
政府・自民党サイドから県民投票に参加しないよう何らかの圧力がかかっているのでは、と疑わざるを得ない。

    ■    ■

県民投票に反対の首長らは「普天間の危険性除去が原点」としてそれに言及していないことが不満のようだ。
危険性除去には誰も反対していない。辺野古新基地によって危険性を除去するのか、その他の方策を探るのかが県民投票なのである。
玉城デニー知事は9日、2度不参加を表明している宮古島市の下地敏彦市長と面談し再考を促す考えだ。知事が乗り出すのは初めてである。
玉城知事は県民投票の意義を真(しん)摯(し)に訴え、説得に努めてもらいたい。と同時に、あらゆる事態を想定した対応を急ぐべきだ。

中高の文化部 「週休2日」通達 文化庁、平日の活動は2時間 - 東京新聞(2019年1月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019010902000131.html
https://megalodon.jp/2019-0109-1038-21/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201901/CK2019010902000131.html

文化庁は長時間化した中学、高校の文化部活動を改善するため、活動時間や休養日の基準を設けた指針を策定し、先月末に全国の都道府県教育委員会などに通達した。法的拘束力はないが、生徒や教員の負担軽減を学校側に求めた。私立学校や、文化活動を実施している小学校にも適用する。
指針では一日の活動時間の上限を平日は二時間程度、土日や夏休みなどの休業日は三時間程度に設定。休養日を平日と土日それぞれに一日以上設け、大会参加などで土日とも活動した場合は平日に振り替える。
多様化する生徒の希望や少子化を踏まえ、季節ごとの活動や大会で勝つことを第一目標としない娯楽的な活動をする部の設置も推奨。部員数が確保できない学校には、複数校による合同活動を促した。
運動部については昨年三月にスポーツ庁が指針を策定。文化部も、文化庁の調査で一部の吹奏楽部や演劇部で土日に一日五時間を超える活動をしている実態が分かり、有識者会議で策定が進められた。
調査では「体力を使う運動部と同じ尺度で考えるべきではない」との意見もあったが、指針は運動部とほぼ同じ内容になった。
同庁学校芸術教育室の担当者は「長時間の拘束による精神的負担や生活習慣の乱れは文化部も共通する問題。生徒や教員の健康に配慮し、部活動を実施してほしい」と説明した。 (原田遼)