「緊急!! 緊急!! 」Queenのブライアン・メイさんも呼び掛け 辺野古の工事停止求める署名 - 沖縄タイムス(2019年1月7日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/368171
https://megalodon.jp/2019-0107-1859-40/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/368171

沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を巡り、人気ロックバンド「QUEEN(クイーン)」のギタリスト、ブライアン・メイさんが7日未明、自身の公式ツイッターで、米ホワイトハウス辺野古沿岸部での埋め立て作業の一時停止を嘆願する電子署名に協力を呼び掛けた。「緊急!!緊急!!」と訴え「米軍基地に脅かされている美しいサンゴ礁とかけがえのない生態系を守ろう」と記した。
ブライアンさんのアカウントのフォロワーは83万7千人。辺野古沿岸部などの現場では7日午前も、建設に向けた埋め立て作業が進んでおり、早朝から新基地建設に反対する市民が抗議活動を続けている。
署名は辺野古埋め立ての賛否を問う2月24日の沖縄県民投票まで埋め立て工事を停止するよう、トランプ米大統領に求めるもの。7日午前9時半現在で18万筆以上が寄せられており、国内でもモデルでタレントのローラさんや県出身タレントのりゅうちぇるさんらが協力を呼び掛けている。
13歳以上であれば国籍や居住地関係なくできる署名は米時間7日まで、日本時間で8日午後2時まで。署名のやり方はhttps://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/361226
署名サイトはhttps://petitions.whitehouse.gov/petition/stop-landfill-henoko-oura-bay-until-referendum-can-be-held-okinawa

通販生活の意見広告「9条球場」 - 通販生活(2018年12月31日)

日本民間放送連盟の「憲法改正国民投票のテレビCM量に関しては一切、自主規制しません」という理事会決議がとても気になります。

国民投票のテレビCMはイギリスやフランスのように「有料CM禁止」が公平でしょう。

今だって「意見広告」はどの局も禁止ですし。

りそな「核製造企業への融資禁止」 国内大手銀初の宣言 - 毎日新聞(2019年1月5日)


https://mainichi.jp/articles/20190105/k00/00m/020/164000c
http://archive.today/2019.01.06-073302/https://mainichi.jp/articles/20190105/k00/00m/020/164000c

りそなホールディングス(HD)は、核兵器を開発・製造・所持する企業に対して融資を行わない方針を定め、公表した。核兵器製造を使途とする融資を禁止する例はあるが、それ以外の目的であっても該当企業には一切の融資を行わないと宣言したもので、こうした取り組みは国内の大手銀行では初めて。2017年7月に核兵器禁止条約が国連で採択され、欧州を中心に投融資を禁止する銀行や機関投資家が広がっており、国内でも同様の動きが出てくるか注目される。

昨年11月に公表した「社会的責任投融資に向けた取り組み」と題する文書に盛り込んだ。具体的には、核兵器化学兵器生物兵器や対人地雷・クラスター弾などの製造企業▽人身売買や児童労働、強制労働への関与が認められる企業▽環境に重大な負の影響を及ぼすおそれのある開発プロジェクト――などへの融資を行わないと明記。融資先の社会・環境へ配慮した活動を支援するとした。
りそなHDはもともと核兵器製造企業への融資を行っていないが、明文化した理由について「持続可能な社会に向け、資金を提供する側の働きかけは重要と考えたため」と説明する。
一方、毎日新聞三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友FG、みずほFG、三井住友トラストHDの大手4行と、日本、第一、明治安田、住友の大手4生保にアンケートを実施したところ、いずれも非人道的兵器への投融資を回避する方針は策定しているものの、対象として核兵器製造企業を明記していなかった。取材に対し、三井住友FGとみずほFGは「核兵器製造を使途とする融資は禁止している」と説明、三菱UFJFGは「個別取引ごとに慎重に判断している」と述べた。【竹下理子】

自民案 自衛隊明記「9条の2」逐語点検 平和主義骨抜き表現だらけ - 東京新聞(2019年1月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201901/CK2019010702000123.html
https://megalodon.jp/2019-0107-0946-11/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201901/CK2019010702000123.html


安倍晋三首相が、今年も改憲論議を国会に促していく姿勢を繰り返し示している。首相が国会への提示を目指す四項目の自民党改憲条文案のうち、首相が特に重視するのが、自衛隊の存在を明記する「九条の二」の新設。短い文章の中に、憲法の平和主義を骨抜きにする表現が驚くほど多く盛り込まれていると専門家は危ぐする。日本体育大の清水雅彦教授(憲法学)=写真=の指摘を基に「逐語点検」した。 (清水俊介)
自民党案は、戦争放棄をうたった現行の九条一項と、戦力不保持を定めた二項を維持した上で、九条の二の一項、二項を加える内容。一読すると、平和を守るため自衛隊を保持し、国会が統制するとだけ書いてあるように読めるが、清水教授は「非常に巧妙にできている条文」と注意を促す。
一つは「国及び国民の安全を保つため」。自衛隊の任務を「国の安全を保つため」とした自衛隊法三条と違い、「国民」が加わっているのがミソ。清水教授は「海外にいる国民の安全を保つためにも使える組織ということ。海外派遣しやすくなる」と懸念を示す。
さらに危ういのは「自衛の措置」。清水教授は、自民党憲法改正推進本部の資料に「自衛の措置(自衛権)」という説明があることに触れ「集団的自衛権も入っていると解釈できる」と指摘。他国を武力で守る集団的自衛権を巡り、安倍政権は安全保障関連法で「存立危機事態」に限って行使できるとしたが、自民党の条文案は限定しておらず「フルスペック(全面的)の集団的自衛権行使が憲法上可能」という。
「実力組織」に関しても、自民党内の議論では当初「必要最小限度の実力組織」とする案もあったが、採用されなかった。「自衛隊の活動に歯止めがなくなる」と清水教授。仮に今後、他党との調整で復活することがあっても、何が最小限度なのかそもそも曖昧と首をひねる。
自衛隊の最高の指揮監督者としての首相を「内閣の首長」と修飾したのも、自民党の意図が隠されているという。清水教授によると、首相が「内閣を代表して」自衛隊を指揮監督するとした自衛隊法七条は、閣議決定を前提とした表現。自民党の条文案は首相の権限を強化し、閣議決定を経ずに「首相の判断一つで自衛隊を動かせる」という。
自衛隊が「国会の承認その他の統制に服する」と定めた二項についても、国会承認は例示にすぎないと問題視。「行政側の組織による統制だとしたら、ほとんど意味がない」という。国会承認にしても、事前承認が原則になっていない。
清水教授は、自衛隊憲法に明記すること自体「自衛隊が公共性を帯び『徴用』がやりやすくなる」とも懸念。有事に国が民間の技術者や運輸業者を動員し、自衛隊や米軍に従うよう命じやすくなるとしている。

<安全保障関連法> 安倍政権が閣議決定した憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認や、他国軍への後方支援拡大を盛り込んだ法律。2015年9月に成立、16年3月施行された。密接な関係にある他国が攻撃を受けて日本の存立が脅かされる場合を「存立危機事態」と認定。他に適当な手段がないなどの「武力行使の新3要件」を満たせば、他国を武力で守る集団的自衛権を行使できると定めた。

各党首 改憲語る 首相「骨太」議論に期待 - 東京新聞(2019年1月7日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201901/CK2019010702000122.html
https://megalodon.jp/2019-0107-0950-05/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201901/CK2019010702000122.html

安倍晋三首相は六日放送のNHK番組で、一月下旬に召集予定の通常国会で、与野党改憲論議が進むことにあらためて期待感を示した。「憲法は国の未来、理想を語るもの。日本をどういう国にするかという骨太の議論が国会で求められている。各党が考え方を持ち寄るべきだ」と語った。他党の党首からは、慎重な審議や、改憲の是非を問う国民投票法の改正を求める意見などが出た。 (木谷孝洋、柚木まり)
首相は、九条改憲を含む四項目の自民党条文案について「一昨年の衆院選で掲げ、勝利を収めた」と強調。二〇二〇年に新憲法施行を目指す考えについて「気持ちは全く変わらないが、スケジュールありきではない」と話した。首相の出演分は四日に収録された。

◆公明、慎重姿勢を崩さず
公明党山口那津男代表は、五月一日の新天皇即位や十月の消費税増税を念頭に「重要行事がめじろ押しの中、国民の合意を成熟させる努力は容易でない」と、首相の考えに重ねて難色を示した。

◆立民、国民投票制度優先
立憲民主党枝野幸男代表は、与党が昨年の臨時国会衆院憲法審査会を主要野党の合意なく開催したことを踏まえ「円満かつ建設的な議論をするという積み重ねでやってきたが、破壊された」と批判。「国民投票のテレビCMの全面規制を中心とした議論が最優先だ」と話した。
国民民主党玉木雄一郎代表も「まず国民投票法の改正案の議論をしっかりやるべきだ」と指摘。共産党志位和夫委員長は「憲法をないがしろにしてきた首相に憲法を変える資格はない。改憲にピリオドを打つ年にしたい」と強調した。
日本維新の会松井一郎代表は「各党が改憲案を持ち寄って真正面から議論すべきだ」と主張した。
自由党小沢一郎代表は、首相が目指す九条改憲について「国会で発議したいなら、やればいい。国民投票で賛成にはならない」と語った。希望の党松沢成文代表は憲法審で党の改憲案を説明すると話し、社民党又市征治党首は、国民の多くは改憲を求めていないと指摘した。 

外国籍の子 就学不明1.6万人 義務教育の対象外 - 毎日新聞(2019年1月6日)

https://mainichi.jp/articles/20190106/k00/00m/040/148000c
http://archive.today/2019.01.06-160022/https://mainichi.jp/articles/20190106/k00/00m/040/148000c

日本に住民登録し、小中学校の就学年齢にある外国籍の子どもの少なくとも約2割にあたる約1万6000人が、学校に通っているか確認できない「就学不明」になっていることが、全国100自治体を対象にした毎日新聞のアンケート調査で明らかになった。既に帰国している事例もあるとみられるが、外国籍の子は義務教育の対象外とされているため就学状況を確認していない自治体も多く、教育を受けられていない子どもが多数いる可能性がある。

アンケートは昨年9〜11月、義務教育を受ける年齢の外国籍の子どもが多い上位100市区町を対象に実施。新年度が始まった直後の昨年5月の時点で住民登録されている6〜14歳と、公立の小中学校や外国人学校に通っている児童・生徒の人数を聞いた。5月のデータがない自治体には近接した時点の人数を尋ね、全自治体から回答を得た。
100自治体で住民登録されている6〜14歳の外国籍の子どもは約7万7500人。アンケートでは、このうち7割超にあたる5万7013人が公立小中学校に在籍していた。この他、3977人が外国人学校フリースクールなどに通っていた。
就学不明の約2割は、家にはいるが就学していない▽所在不明になっている▽住民票を残したまま帰国・転居した▽私立や外国人学校に通っているが自治体が把握していない――などとみられる。
自治体別では、住民登録者数が約4800人で最も多い横浜市で、3割にあたる約1400人が就学不明だった。住民登録者が2番目に多い大阪市でも3割の1307人、東京都江戸川区では半数の1030人が就学不明だった。
一方、住民登録者数が2034人で5番目に多い浜松市は、就学不明は2人。1680人で6番目に多い埼玉県川口市も6人だった。両市は住民登録していながら公立小中学校に在籍していない全ての子どもの所在を調査しており、自治体間で把握状況に大きな差が出た。就学確認をしていない自治体の多くは「外国籍の場合、日本人と違い子どもを小中学校に通わせる義務がないため確認していない」と説明した。
外国籍の子どもの就学状況に詳しい愛知淑徳大の小島祥美准教授は「就学不明児の中には、不就学のまま放置されている子がいる。国際人権規約に照らすと教育の機会を保障すべきで、自治体任せにせず国が統一の指標を作る時期に来ている」と指摘した。【奥山はるな、堀智行】

外国人の就学義務
就学義務は憲法26条に基づき、国民に対し子どもに小中学校の教育を受けさせる義務を課す。外国籍の保護者は「国民」ではないため、子どもに就学させる義務を除外されるが、文部科学省は「教育についてのすべての者の権利を認める」とする国際人権規約を踏まえ、「外国籍であっても本人が希望すれば就学できる」として受け入れを自治体に委ねている。

フェイクニュースは沖縄知事選に影響したのか? 「見た」県内学生11% - 沖縄タイムス(2019年1月7日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/368138
https://megalodon.jp/2019-0107-0955-52/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/368138

沖縄タイムスと法政大学藤代裕之研究室は2018年11月、沖縄県内の大学生と専門学校生525人を対象に「沖縄県知事選挙のニュース接触に関するアンケート」を実施した。それによると9月の県知事選挙に関する「フェイクニュースを見た」と回答した学生は60人で全体の11・4%にとどまった。「見ていない」と回答した学生は451人で85・9%だった。無回答は14人(2・7%)。県知事選ではフェイクニュースが多くの若者の投票行動に影響を与えたとされていたが、異なる実態が浮かび上がった。(「幻想のメディア」取材班・與那覇里子、石川亮太)
フェイク見ない学生、メディア接触機会が少ない
 アンケートは、若者のフェイクニュースへの接触状況を調べるため昨年11月、県内の大学2校、専門学校3校の協力を得て実施した。
ニュースを扱うメディアのうちSNS(会員制交流サイト)への接触率をみると、ツイッターに「毎日接している」と回答したのは、フェイクニュースを見た学生が65・5%(38人)で、見なかった学生の37・7%(168人)に比べて27・8ポイント高かった。
フェイクニュースを見た学生のうち、逆に、ツイッターに「全く接していない」と回答したのは13・8%(8人)で、見なかった学生29・1%(130人)に比べ15・3ポイント低くなった。
メディア別では、フェイクニュースを見た学生のうち「テレビのニュース番組を毎日視聴している」と回答したのは52・2%(31人)。見なかった学生は41%(183人)だった。「県内新聞社のニュースサイトを毎日見ている」としたのはフェイクニュースを見た学生の9%(6人)で、見なかった学生は4・4%(21人)だった。
フェイクニュースを見た学生は、普段からテレビや新聞、SNSなど多数のメディアに接触する傾向にあった。一方、見なかった学生は、メディアそのものに触れる機会が少なかった。
アンケートを実施した藤代准教授は「フェイクニュースを見てもうそに気付いてないという可能性もある。民主主義を揺るがしかねない選挙時のフェイクニュースを誰がどのように発信し、受け止められているか、さらに詳しい調査が必要だ」と話した。

【調査方法】アンケートは県内の大学2校、専門学校3校の協力を得て2018年11月に実施。学生525人にアンケート用紙を配布、回収した。回答したのは主に18歳〜20代前半の学生で30、40代も計3人いた。男性309人、女性180人、性別不明・無回答が36人だった。

ネットのデマ 影響探る
2018年9月の県知事選で、若者の多くがフェイクニュースに影響を受けたと思われていたが、今回の調査では「フェイクニュースを見た」学生は約1割にとどまった。誰がフェイクニュースに触れ、どんな影響があるのか、メディアも実態をつかめていない。
誰もが発信者となれるSNSの普及により、各種選挙でもSNSによる発信力が高まっている。だが、そこにはデマも紛れ、そうした情報に基づいた投票では民主主義の根幹が揺らいでしまう。
私たち有権者は有用な情報を得るため、どう向き合えばいいか。2月24日にある「名護市辺野古の新基地建設に必要な埋め立ての賛否を問う県民投票」に向け、インターネット上のニュースの流れをひもときながら読者と一緒に考える。

木村草太氏が緊急寄稿 「県民投票不参加は憲法違反」 - 沖縄タイムス(2019年1月7日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/368131
https://megalodon.jp/2019-0107-0954-14/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/368131

沖縄県名護市辺野古の新基地建設是非を問う県民投票について、下地敏彦宮古島市長が不参加を改めて表明するなど、県が全41市町村の参加を呼び掛ける一方、実施する方針の市町村は現時点で35にとどまる。県民投票の事務処理拒否は、憲法上も問題があると指摘する木村草太首都大学東京教授が本紙に寄稿した。
沖縄県議会で昨年10月に成立した住民投票条例に基づき2月24日、辺野古埋め立ての賛否を問う県民投票が実施されることになった。地方自治法252条の17の2は、「都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例の定めるところにより、市町村が処理することとすることができる」とする。今回の住民投票条例13条は、この規定を根拠に、投票に関する事務は「市町村が処理する」こととした。
なぜそうしたのかと言えば、投票所の設置や投票人名簿の管理は、国や県よりも地元に密着した市町村が得意とする事務だからだ。つまり、今回の事務配分は、各市町村に投票実施の拒否権を与えるためではなく、あくまで県民投票を円滑に実施するためのものだ。
しかし、宜野湾市宮古島市で、県民投票の事務処理を拒否する動きが進んでいる。この動きには、地方自治法・県条例のみならず、憲法の観点からも問題がある。
一番の問題は、憲法14条1項が定める「法の下の平等」に反することだ。一部の市町村で事務執行がなされないと、住んでいる場所によって「投票できる県民」と「投票できない県民」の区別が生じる。「たまたま特定の市や町に住んでいた」という事実は、県条例で与えられた意見表明の権利を否定するだけの「合理的な根拠」とは言えない。したがって、この区別は不合理な区別として、憲法14条1項違反だ。
この点、投票事務が配分された以上、各市町村は、その区域に居住する県民に投票権を与えるかどうかの選択権(裁量)を持つはずだとの意見もある。しかし、「県条例が、そのような選択権を認めている」という解釈は、県民の平等権侵害であり、憲法14条1項に反する。合憲的に解釈するならば、「県条例は、そのような選択を認めていない」と解さざるを得ない。
この点については、昭和33年(1958年)の最高裁判決が、「憲法が各地方公共団体条例制定権を認める以上、地域によって差別を生ずることは当然に予期されることであるから、かかる差別は憲法みずから容認するところ」との判断を示していることから、自治体間の差異は許されるのではないか、との疑問を持つ人もいるかもしれない。
しかし、この判決は、各自治体の条例内容の差異に基づく区別についての判断だ。今回は、各市町村が自らの事務について独自の条例を定める場面ではなく、県条例で与えられた県民の権利を実現する責任を負う場面だ。最高裁判例の考え方からも、地域による差別は許容されない。
さらに、平等権以外にも、問題となる権利がある。県民投票は、県民全てに開かれた意見表明の公的な場である。県民の投票へのアクセスを否定することは、憲法21条1項で保障された「表現の自由」の侵害と認定される可能性もある。さらに、憲法92条の規定する住民自治の理念からすれば、「県政の決定に参加する権利」は、新しい権利として憲法13条によって保護されるという解釈も成り立ちうる。
このように考えると、各市町村の長や議会には、県民の憲法上の権利を実現するために、「県民投票に関わる事務を遂行する義務」がある。議会が関連する予算案を否決したり、長が地方自治法177条の原案執行を拒否したりするのは、この義務に反する。訴訟を検討する住民もいると報道されているが、市町村が事務執行を拒否した場合、裁判所も厳しい判断をする可能性がある。
もちろん、「県民投票反対の市民の声を代表しなくてはならない」との責任感を持つ市町村長や議員の方々がいるのは理解できる。しかし、宜野湾市宮古島市にも、県民投票に参加したいと考える市民は多くいる。そうした市民の声にも耳を傾けるべきだろう。
ちなみに、県条例は棄権の自由を認めているから、県民投票反対の県民は、市長や市議会議員に代表してもらわなくても、棄権という形で抗議の意思を表明できる。市民全員に棄権を強制することは不合理だ。
前回の参議院議員選挙では、徳島県と合区選挙となった高知県で、大量に「合区反対」と書いた棄権票が投じられたことが話題となった。今回の県民投票でも、棄権票に「県民投票反対」と書いて、強い反対の意思を表示することもできる。宜野湾市で、千単位、万単位のそのような棄権票が出れば、大きな話題となるはずだ。
県民投票は、県民の重要な意見表明の機会だ。沖縄県内の市町村長・議会議員の方々には、ぜひ、県民の権利を実現する憲法上の義務のことも考えてほしい。(首都大学東京教授、憲法学者

きむら・そうた 1980年、横浜市生まれ。東京大学法学部卒業、同大助手を経て2006年から首都大学東京准教授、16年4月から教授。主な著書に「憲法の創造力」や共著「憲法の条件―戦後70年から考える」など多数。本紙に「憲法の新手」連載中。ブログは「木村草太の力戦憲法」。ツイッターは@SotaKimura。

検察の個人情報リスト 過剰な収集は憲法違反だ - 琉球新報(2019年1月7日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-857741.html
https://megalodon.jp/2019-0107-0949-23/https://ryukyushimpo.jp:443/editorial/entry-857741.html

強大な権力を持つ捜査機関によるプライバシーの侵害に当たるのではないか。
検察当局が企業などから膨大な個人情報を集め、本人の許可を得ず、捜査に活用していることが分かった。顧客情報を入手できる約290の企業や団体名に加え、その入手方法などを記したリストを作り、検察内部で共有している。
検察が取得している顧客情報は、公共交通機関や商品購入の履歴、位置情報、ICカード作成時に提出された運転免許証の写しなど、約360種類にも及ぶ。
対象企業も、クレジットカード会社、コンビニ、スーパー、量販店、交通各社、ポイントカード発行会社、携帯電話会社と、実に幅広い。
問題は、こうした複数の情報を組み合わせると、私生活が丸裸にされてしまう点だ。何を買ったか、いつどこにいたか―などが網羅的に把握できる。思想信条や趣味嗜好(しこう)、健康状態まで容易に分かってしまう恐れがある。
その入手に使われたのが、裁判所の令状を必要としない「捜査関係事項照会」だ。刑事訴訟法で定められており、捜査当局が官公庁や企業などに捜査上必要な事項の報告を求めることができる。
通常、捜査当局が対象者を強制捜査する際には、裁判所の令状が必要だ。憲法35条は、令状に基づかない住居や書類、所持品への侵入、捜索、押収を禁じている。さらに個々の捜索・押収ごとに令状が必要だと記している。
公権力による人権侵害を防ぐために、裁判所がチェックをする仕組みだ。個人のプライバシーや財産権は最大限に守られなければならない。
事件解決が目的なら、幅広い個人情報の収集は必要であろう。ただ、犯罪とは関係なく、捜査当局が目を付けた人物の個人情報を得ようとする危険性もある。捜査関係事項照会を必要以上に乱用すると、令状主義を定めた憲法に抵触する。
最高裁は2017年、捜査対象者の車に衛星利用測位システム(GPS)端末を取り付ける警察の捜査は違法だという判決を下した。情報の過剰把握と認めたのである。公権力による私的領域への侵入は抑制的であるべきだ。
しかし、現時点で捜査当局が個人情報をどう管理し、どう使っているかは全くうかがい知ることができない。
捜査関係事項照会で得た情報の扱い方について、第三者的機関がしっかりチェックできる仕組みが不可欠だ。法的規制も必要になろう。
一方で、企業側にも課題が残る。情報のデジタル化が進み、膨大な個人情報を結び付けることが容易になった。こういう時代だからこそ、企業は今まで以上にプライバシーを重視すべきだ。
顧客情報を本人の承諾も得ないまま安易に提供してしまうのは企業倫理にもとる。捜査機関に対しても毅然(きぜん)と対応することを求めたい。

(大弦小弦)きっと捜査便利帳のような存在だろう。検察が企業など…2019年1月7日

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/368136
https://megalodon.jp/2019-0107-0951-24/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/368136

きっと捜査便利帳のような存在だろう。検察が企業など約290団体をリストにし、個人情報を簡単な照会で入手する方法をマニュアル化している。共同通信が報じた

▼交通やクレジットカード会社から利用履歴を入手すれば、個人がいつどこへどう移動して何を買ったのかが追える。政府が旗を振るキャッシュレス決済が進めば、捕捉範囲はさらに広がる

▼捜査は迅速さが必要。しかし、多用される「捜査関係事項照会」は裁判所の令状がいらず、外部チェックの仕組みがない。過去には警察官が元交際相手の今を知るために使ったケースもあった

▼企業は顧客と捜査当局、どちらを向いて活動するのかが問われる。照会はあくまで任意。利用規約にも示さず、裏で応じるのは背信行為ではないか

▼市民の側も無意識にこうした行為を許してきた面がある。私自身、小さな字で書かれた規約を読み飛ばして入会し、情報を提供してきた。せめて企業ごとに姿勢を見極める努力をする。まず規約を読んでみる

▼プライバシーは誰にも干渉されずに自分でいられる空間であり、権利である。「私は悪いことはしない。何を知られても大丈夫」と言う人がいるかもしれない。ただ、何が悪いことなのかは力を持つ側が決める。だから基準は簡単に変わる。譲れない一線を考えておく必要がある。(阿部岳)

捜査事項照会 私生活筒抜けの恐れ - 信濃毎日新聞(2019年1月6日)

https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190106/KP190104ETI090012000.php
http://archive.today/2019.01.07-004726/https://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20190106/KP190104ETI090012000.php

電車やバスでいつどこへ行ったか、コンビニで何を買ったか…。個人の生活に関わる幅広い情報が知らぬ間に捜査機関に筒抜けになっている恐れがある。
検察当局が、顧客らの情報を入手できる企業や機関の一覧表を作り、内部で共有していることが分かった。交通各社、家電量販店、クレジットカード会社などを含め対象は300団体近い。
情報の大半は、裁判所の令状が要らない「捜査関係事項照会」で取得できると明記している。刑事訴訟法に基づき、捜査に必要な情報の提供を求めるものだ。
当局がいつどんな情報を入手し、どう取り扱っているかを知るすべはない。情報提供があったこと自体、本人に通知されない。
照会はそもそも、捜査当局の要請にすぎない。応じるかどうかは任意である。企業は本来、本人の同意を得ずに個人情報を提供できない。にもかかわらず、提供することが義務のようになっているという。警察や検察ににらまれるのを避けようと、安易に応じている実態もあるようだ。
情報技術が進み、あらゆる面で個人の行動がデータ化され、蓄積されるようになった。各団体が持つ情報を関連づければ、私生活が丸裸になりかねない。思想・信条をうかがい知ることもできる。
捜査のために情報を集めることは必要でも、第三者の目が及ばない現状は権限の乱用につながる恐れが大きい。とりわけ心配なのは、事件と無関係な情報収集に使われることだ。照会は具体的な理由を示さずにできるため、目をつけた人物や組織を探る目的で使われても確かめようがない。
実際これまでにも、警察が国内に住むイスラム教徒を広範に監視し、交友関係などを調べていたことが分かっている。岐阜県では、風力発電施設の建設に反対する住民らの情報を集めていた。
プライバシーは個人の尊厳と自由を守るために欠かせない権利である。憲法は、令状に基づかない家宅捜索や押収を禁じている。
令状主義の原則を逸脱する不透明なやり方で、私的領域の侵害が広がりつつある状況をこのままにできない。人権保障の根幹が掘り崩され、民主主義をやせ細らせることにもなる。
まず何より、企業が顧客や利用者のプライバシーを重んじた対応をすることが重要だ。捜査当局の要請であろうと、個人情報の取り扱いは慎重でなければならない。社会が厳しい目を向け、現状を改めていく一歩にしたい。