規制外の山からセシウム 山形で採取、出荷のキノコ - 東京新聞(2018年12月12日)


http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121202000263.html
http://web.archive.org/web/20181212183523/http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121202000263.html


東京電力福島第一原発から100キロ以上離れた山形市蔵王で採れ、店先に並んだ野生のキノコに食品基準を超える放射性セシウムが含まれていた。出荷規制がない「安全」とされる地域だが、山の幸はまだ原発事故の放射能リスクと隣り合わせ。行政は出荷前の測定を促すものの、費用面で個人には限界があるのが実情だ。 (大野孝志)
蔵王の山でキノコや山菜を採り、「道の駅」に卸して生計を立てている山形県大江町の木村隆一さん(67)は今年九月、思わぬ事態に直面した。厚生労働省の抜き打ち検査で、採取したサクラシメジから食品基準値(一キログラム当たり一〇〇ベクレル)を超えるセシウムを検出したのだ。木村さんは「規制されていないから安全と思って採ったんだけどな。それで引っ掛かるなら、安心して卸せないよ」と嘆く。
原発事故後、木村さんは山菜のコシアブラ放射能に汚染されやすいと聞けば、仲間とともに民間の測定機関に依頼し、安全性を確かめてきた。基準値を超えたことは、このサクラシメジまで一度もなかった。
測定には、検体一件につき八千円かかる。福島県では採った人が自分で食べる物なら、市町村役場やNPO法人などに持ち込めば無料で測れる。しかし山形県によると、県内で無料測定をしている自治体は、コシアブラの出荷自粛が続く最上町だけ。対象は、採った人が自分で消費する物に限られている。
木村さんは「測定費はけっこうな負担になる。採取を山ごと規制し、国や自治体が責任を持って種類ごとに安全を確認してから、採っても良いとしてほしい」と訴える。
山形県林業振興課の担当者は「県は林産物を測定しており、基準値を超えれば、市町村に出荷自粛を要請する。今秋の県の測定では、自粛に値するレベルの物は出ていない」との考えを示した。木村さんのような個人での測定については、「費用の賠償について相談があれば対応するよう、東電に要請している」と説明した。

◆14県で出荷制限・自粛 「自治体が再調査を」
木村さんの案内で十月、食品基準値を超えたサクラシメジが生えていた林で、野生のキノコを採取。独協医科大国際疫学研究室福島分室(福島県二本松市)の協力を得て、放射性セシウムがどれぐらい含まれているかを調べた。
その結果、初冬まで採れ、鍋や汁物に入れて食べるクリタケから、基準値を超える一キログラム当たり一四七ベクレルを検出。他のサクラシメジやウラベニホテイシメジは五〜一〇ベクレルと低かった。
林は山形市中心部から車で三十分ほどで、道端にはキノコ狩りに来た北関東ナンバーの車が何台も止まっていた。木村さんは「ここで採ったキノコを食べれば内部被ばくする恐れがある、ということですね」と表情を曇らせた。野生キノコの放射能汚染は広範囲に及び、東日本の十四県で市場への出荷制限や自粛が続く。同大福島分室長の木村真三准教授(放射線衛生学)は「山の木や雑草が土中のセシウムを濃縮し、それが腐葉土になり、土の表層にたまる。キノコはセシウムを濃縮する性質があり、原発事故後に一部でも出荷が制限されていた自治体では、新たに全ての地域を再調査する必要がある」と指摘した。

<女川原発>再稼働問う住民投票請求 県民の理解深める契機に - 河北新報オンラインニュース(2018年12月13日)

https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201812/20181213_13032.html
http://archive.today/2018.12.13-011751/https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201812/20181213_13032.html

東北大大学院准教授河村和徳氏(政治学

原発再稼働の是非を問う住民投票は、再稼働についての宮城県内の有権者の賛否を「見える化」する意義がある。原発を巡る議論が風化する中で改めて考えてもらう機会になり、住民が政治参加できるという手段を示したことも評価できる。
首長や議員は選挙の洗礼を受けた代理人だが、有権者は全ての地域課題を白紙委任したわけではない。本来、住民への意見聴取プロセスを十分に果たしていれば、住民投票を求める声は出ないはずだ。
課題もある。設問は二者択一で、「今は仕方ないが原発は中長期的にいらない」といった時間軸の選択肢がない。議員は投票結果が自身の意見と異なると、次の自分の選挙にどう影響するか計算するので慎重にならざるを得ない。
ただ、現在の県議会は1人区が多く、与野党どちらかの声が反映しにくくなるなど民意の縮図になりきれていない。簡単に賛否は決められないだろう。
(直接請求を経て)条例案が県議会に上程されれば議論を喚起し、しっかりと判断の根拠を示すべきだ。これまで県議会は復興議論が優先され、本格的な原発議論は見送られてきた面もある。分断ではなく、県民の理解を深める契機にする必要がある。
(談)

「安倍首相は判断力が悪い」 小泉元首相、20年改憲姿勢を批判 - 朝日新聞(2018年12月13日)

https://digital.asahi.com/articles/DA3S13809260.html
http://archive.today/2018.12.13-002005/https://www.asahi.com/articles/DA3S13809260.html

小泉純一郎元首相は12日、朝日新聞のインタビューに応じ、安倍晋三首相が掲げる2020年の新憲法施行について、「野党は賛成しない。やれることをやらないで、やれないことをやろうとしている」と指摘。「(安倍首相は)判断力が悪い」と批判した。
10日に閉会した臨時国会では、安倍首相が意欲を示した改憲論議は進まなかった。小泉氏は「憲法改正なんて自民党だけでできるわけないよ。野党第1党の協力が必要だ」と指摘。来夏の参院選を念頭に、「(憲法は)選挙の争点にすべきじゃない」とも語った。
一方、福島第一原発事故を機に唱えている「原発ゼロ」について、「(安倍首相は)できることをなぜやらないのか」と強調。「野党が『原発ゼロ』で(選挙の)候補者を一本化したら、自民党もおちおちしていられない。野党がバラバラのおかげで助かっている」と述べた。 (石井潤一郎)

いずも型護衛艦の空母化 なし崩しの議論を憂える - 毎日新聞(2018年12月13日)

https://mainichi.jp/articles/20181213/ddm/005/070/061000c
http://archive.today/2018.12.13-002457/https://mainichi.jp/articles/20181213/ddm/005/070/061000c

来年度から始まる新たな「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の素案を与党が了承した。
政府・与党の調整で焦点となったのは、海上自衛隊保有する最大級のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」型2隻を戦闘機も搭載できるように改修する「空母化」の扱いだ。
いずも型は艦首から艦尾まで飛行甲板がつながっている形状から「ヘリ空母」とも呼ばれるが、通常の戦闘機は発着艦できない。しかし、短距離での離陸や垂直着陸が可能なタイプの機体なら、甲板などを改修すれば艦載機として運用できる。
一方で政府は従来、憲法9条のもとで「攻撃型空母」の保有は許されないとしてきた。戦闘機は航続距離や弾薬の搭載量が限られるが、空母で海上を移動すれば他国の領土近くから出撃できる。それは自国を守るときにのみ武力を行使する専守防衛に反するとの憲法解釈だ。
護衛艦を空母化しても他国への攻撃に使わなければ攻撃型空母ではないというのが政府の説明だが、それを明確に担保するよう公明党が政府に求め、与党ワーキングチームでの了承が3回見送られた。
最終的に、戦闘機は常時搭載せず「必要な場合に運用する」ことで落ち着いた。これにより「多用途化」と表現する狙いがあるようだが、他国を攻撃する能力を持つことには変わりない。それだけでは空母運用の歯止めになるとは言い難い。
日本の安全保障環境が厳しくなっていることは素案に書かれた通りで、特に中国の軍事力強化が大きな脅威であることも確かだ。中国が2隻の空母を導入したことで、南西諸島や太平洋島しょ地域の制海・制空権の確保が重要な課題となってくるというのもそうだろう。
だからといって、中国に対抗心を燃やして空母を持つというのでは、軍拡競争につながりかねない。
専守防衛とは、他国の脅威にならないことで自国の安全を維持する日本の基本戦略でもある。なし崩しに変えるかのような疑念を国内外に与えてしまうことを危惧する。
政府はいずも型の空母化へ向け、ステルス戦闘機F35Bを導入する方針だ。武器の大量購入を求めるトランプ米大統領への配慮を優先させたのではないかとの疑念が残る。

<税を追う>防衛省補正案、最大規模 2次3653億円 兵器ローン返済に - 東京新聞(2018年12月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121302000162.html
https://megalodon.jp/2018-1213-0922-57/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121302000162.html


防衛省が二〇一八年度の第二次補正予算案として、過去最大規模の三千六百五十三億円を要求していることが分かった。安倍政権になって「後年度負担」と呼ばれる兵器ローンが増大。現在編成中の一九年度予算で要求枠より事実上二千億円超過することになるため、前倒しをして兵器ローンの返済に充てる考えだ。先月成立した一次補正と合わせると、一八年度補正予算は昨年度の倍近い四千二百億円に膨らみ、歯止めがきかない状況になっている。 (「税を追う」取材班)
十二日に開かれた自民党の国防部会で、防衛省が説明した。二次補正予算の大半を占める三千百七十七億円を、過去に購入した哨戒機P1や哨戒ヘリコプターSH60K、輸送機C2のローン返済などに充てる。一九年度に支払う予定だったのを一八年度補正予算で支払うことで、一九年度予算を減額したい考え。
第二次補正予算案は一九年度予算案とともに来年の通常国会に提出される。認められれば一八年度の補正予算額は四千二百億円となり、東日本大震災や台風・豪雨災害に対応した一一年度を八百億円上回る。当初予算を合わせると、一八年度予算は五兆六千百十一億円となり、過去最高だった前年を約二千五百億円上回る。
防衛省は一八年度の第二次補正予算で隊舎や宿舎の整備も検討しており、さらに増える可能性がある。
安倍政権は米国政府の「対外有償軍事援助(FMS)」に基づく高額兵器の輸入を拡大。一九年度のローン残高見通しは五兆三千三百七十二億円と、六年間で約二兆一千億円も増加。国産兵器を含めた一九年度のローン返済額は二兆七百八億円に達していた。
防衛省は一九年度予算で過去最大の五兆二千九百八十六億円を要求しているが、ローン返済額と人件費・糧食費で全体の八割を占め、新たな兵器の購入に充てる「自由枠」は二割しかなかった。そのため、例年は二千億円程度を盛り込む米軍再編関係費を要求額に盛り込まず、その分の削減を迫られていた。
防衛省は先月初め、国内の防衛関連企業六十二社に防衛装備品代金の二〜四年の支払い延期を要請した。防衛省は要請した総額を明らかにしていないが、企業側が反発し、十億円程度しか延期できるめどが立っていなかった。そのため、補正予算を過去最大規模に増大させたとみられる。

<税を追う>過去最大の補正、防衛省要求 「第二の財布」に巨額注ぐ - 東京新聞(2018年12月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121302000138.html
https://megalodon.jp/2018-1213-0924-57/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121302000138.html

のし掛かる高額兵器購入のツケ−。防衛省が二〇一八年度の第二次補正予算で、過去最大規模の三千六百億円余りを要求していることが明らかになった。安倍政権になってから防衛費は毎年過去最高を記録しているが、米国製兵器の輸入拡大で、それでも足りない状況に。補正予算という「第二の財布」を膨らませ、巨額の税金を注ぎ込む構図が浮かび上がった。 (「税を追う」取材班)
防衛省の一九年度予算編成に大きな歪(ゆが)みが起きているようだ」
二週間前、ある防衛関連企業の社員は本紙の取材にそう漏らしていた。防衛省は毎年必ず、同社から装備品を購入していたが、一九年度は予算不足を理由に見送られたからだ。「一八年度の補正予算で買ってもらう方向で調整している」と社員は明かした。
防衛省の異変をかぎ取っていたのは、この社員だけではない。業界では「一九年度予算でローン返済に困っている」という話が広がっていた。
十二日の自民党国防部会で、防衛省が示した二次補正予算案の概要。配布資料には三千六百億円規模の予算額のうち、ヘリや輸送機などの整備として三千百七十七億円が明記されていた。
防衛省関係者によると、この費用の多くは兵器ローンの返済。一九年度当初予算案の編成に当たり、当初の要求額に盛り込んでいた返済額の一部を一八年度補正予算に組み替えたものだという。つまり来年度の当初予算の枠内に収まりきらない返済額を、前倒しで本年度の補正に回した形だ。
こうした「裏技」は、近年の米国製兵器の大量購入に伴い、一四年度以降、毎年のように多用されるようになった。ローン払いが急増し、当初予算を圧迫するようになってきたからだ。
岩屋毅防衛相も先月末の記者会見で、「有り体に言えば、やりくりも大変」と苦しい財政事情をこぼしている。国産兵器を含めたローン残高は本年度、五兆円を突破。補正の裏技だけでは、もはや対応しきれないところまで来たのだろう。
防衛省は先月、取引先企業六十二社を集め、追加発注する代わりに支払い延期を求める異例の要請を行った。要請を受けた企業の幹部が「来年度払わなきゃいけないカネを捻出するのに、防衛省は本当に切羽詰まっている。大変だよ」と同情するほどだ。ただ、支払い延期に応じてもらえる見通しは、現時点で十億円程度。厳しいやりくりに変わりはない。
軍事ジャーナリストの清谷信一氏は「『リボ払い』の枠を増やそうという話で借金をさらに重ねるだけ。米国に貢ぐのが国防みたいな形になっている。金銭感覚を身に付けるほうが先だ」と指摘。「臨時国会が閉じたこのタイミングで、二次補正を編成するのは不健全だ」と批判している。

本当は学校嫌 中学生1割 33万人、公表不登校の3倍 - 東京新聞(2018年12月13日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121302000149.html
https://megalodon.jp/2018-1213-0926-26/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018121302000149.html

日本財団は十二日、中学生の十人に一人が、通学はしているが学校に通いたくないと考えている「不登校傾向」にあるとの調査結果を発表した。文部科学省が公表している実際の不登校者数の三倍にあたる。財団の担当者は「学校側が答える文科省調査と異なり、当事者の声をとらえた」とし、対策を求めている。 (神谷円香)
文科省不登校を「病気や経済的理由以外で年間三十日以上欠席する生徒」と定義している。
調査は十月、中学生約六千五百人を対象にインターネットで実施。年間三十日未満だが一週間以上続く欠席がある生徒は全体の1・8%▽校門や保健室などには行くが教室に入らなかったり、給食だけ食べる「部分登校」などが4・0%▽授業は受けていても心の中で「学校がつらい、嫌だ」と思っている「仮面登校」が4・4%いた。
こうした生徒を不登校傾向とすると全体の10・2%で、全国の中学生から推計すると三十三万人。二〇一七年度の文科省調査では、不登校の中学生は約十万九千人で、不登校傾向の生徒は三倍にのぼる。
学校に行きたくない理由では「疲れる」「朝起きられない」のほか、「授業がよく分からない、ついていけない」「テストを受けたくない」が多く、家庭や友人関係より体調面や学業的理由が目立った。「自分が学びたいと思える場所」を複数回答で聞くと、「自分の好きなこと、追求したいことを突き詰められる」が58・1%、「自分の学習ペースに合った手助けがある」が44・6%と続いた。
日本財団の調査に助言したNPO法人全国不登校新聞社の石井志昂(しこう)編集長は「形だけ学校につなぎ留められ、その子にとって学びが機能していないのは喫緊の課題」と指摘。東京大先端科学技術研究センターで学習支援を研究する高橋麻衣子講師は「学業に関する要因は、大人が介入することが可能。子どもたちは学びたいと考えており、方法を選択させてほしい」と訴えた。
調査結果は日本財団ホームページで公開している。

日本財団子どもサポートプロジェクト - 日本財団
https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/child_support/index.html

旧優生保護法 強制不妊、国の再審査1件 61〜81年「人権保障」形骸化 - 毎日新聞(2018年12月13日)

https://mainichi.jp/articles/20181212/k00/00m/040/268000c
http://archive.today/2018.12.13-003137/https://mainichi.jp/articles/20181212/k00/00m/040/268000c


障害者らに不妊手術を強いた旧優生保護法(1948〜96年)に基づき都道府県優生保護審査会が決定した強制手術に不服がある場合、本人や家族らが国の中央優生保護審査会に申請できるとした再審査について、記録が残る61〜81年の20年間の請求が1件だったことが厚生労働省の保管資料から判明した。強制不妊が人権侵害に当たるのではとの懸念に対し、国側が否定材料の根拠にしてきた「厳格な手続き」が法施行中の早い段階から形骸化していた実態が、国の記録から初めて裏づけられた。
厚労省の資料によると、81年ごろに厚生省(当時)内で作られた文書に「中央優生保護審査会は昭和36年(61年)5月19日 再審査の(1件の)申請に基づき(中略)2回開催されているが、それ以後は申請がなされていない」と記されていた。厚労省は中央審査会に関する記録について今年4月以降、毎日新聞の取材に対し、公文書保存の期間が過ぎていることなどを理由に「ない」としていた。その後の省内調査で発見したという。
毎日新聞が全都道府県に請求し開示された旧法関連の記録などによると、人権侵害への懸念は強制不妊の適否を決定する都道府県審査会が法施行直後に指摘していた。厚生省が49年10月に都道府県に行った通知によると、本人が手術を拒否した場合に強行できるかを同省が法務府(現在の法務省)に照会。法務府は強制手術が「基本的人権の制限を伴うものであることはいうまでもない」との見解を示した上で、手術決定に異議があれば再審査の申請が認められていることなどを挙げ、旧法の手続きが「人権の保障」に「十分配慮」していると強制手術を認める回答をしていた。
しかし、北海道の開示文書では65年7月、道優生保護審査会が手術を決めた女性の保護者から「決定の取り消し」を文書で求められた際、「(保護者は)同法への理解が乏しい」と門前払いしていた。神奈川県の62〜63年審査会資料では、保護者の同意が不要な4条手術(強制)に申請時に親の同意書を提出させて異議申し立てを事実上封じていた。再審査を請求できる「2週間以内」に少なくとも68人に手術が行われたことも和歌山県の資料から判明している。
一方、国は旧法が96年に母体保護法に改定された後、強制不妊の人権侵害を指摘して救済措置などを求めた国連機関に対し、再審査制度など「厳格な手続きにのっとり」手術が行われたと退けている。【上東麻子】
国は検証・説明を
松原洋子・立命館大学教授(生命倫理)の話 国は再審査制度を担保に正当性を主張してきたが、再審査が1件しか確認できない事実は制度が「厳格だった」とは言えないことを示す。国は検証と説明が求められる。

河野外相の記者会見発言 「次の質問」という傲慢さ - 毎日新聞(2018年12月13日)

https://mainichi.jp/articles/20181213/ddm/005/070/060000c
http://archive.today/2018.12.13-003415/https://mainichi.jp/articles/20181213/ddm/005/070/060000c

河野太郎外相が北方領土交渉をめぐる基本姿勢についての説明をかたくなに拒んでいる。その言いぶりが11日の記者会見で問題になった。
ロシアのラブロフ外相が「日本が第二次世界大戦の結果を認めなければ、一切議論できない」と発言したことへの反応を聞かれた河野氏は、質問を無視するかのように「次の質問どうぞ」と受け流した。
関連質問が2回続いたが、何ら答えず「次の質問どうぞ」と繰り返し、「何で『次の質問どうぞ』と言うんですか」との質問にも「次の質問どうぞ」と無視を決め込んだ。
木で鼻をくくったような対応には傲慢さを感じる。記者側は「誠実な対応を求める」と文書で抗議した。
河野氏は先の臨時国会でも「手の内を公の場で言うのは日本側の利益にならない」と交渉に臨む原則的な立場すら答弁を拒み、批判された。
記者会見は基本政策を国民に示す場でもある。機微に触れる領土交渉の難しさはわかるが、国民の利益に関わる主権をめぐる問題だ。
国民の理解と支持なくしては解決できない。そうした認識をどこまで持ち合わせているのか。
トランプ米大統領は自身に批判的な主流メディアを「国民の敵」と言ってはばからない。政権の政策遂行を邪魔していると映るからだろう。
河野氏安倍晋三首相から交渉の責任者に指名された。重責を担う重圧もあるに違いない。だが、領土問題に関する質問自体が交渉の妨げになると考えているのなら残念だ。
ロシア側が北方領土はロシア領だと主張しているのに、河野氏がロシアの反発を招かないようにとだんまりを決め込んでいるのであれば、アンバランスに過ぎる。
一方で河野氏は同じ領土問題を抱える韓国には厳しい態度を取ってきた。ロシアとの対照的な姿勢は二重基準と言われても仕方あるまい。
安倍首相や麻生太郎財務相安倍内閣には国会や記者会見などで質問や疑問に正面から答えなかったり、はぐらかしたりする政治家が多い。
河野氏はもともと情報公開や説明責任の重要性を訴えてきた政治家ではなかったか。記者側の抗議に河野氏は「神妙に受け止める」とのコメントを出したが、それを言動できちんと示すべきだ。

河野外相 質問無視はひどすぎる - 朝日新聞(2018年12月13日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13809256.html
http://archive.today/2018.12.13-003907/https://www.asahi.com/articles/DA3S13809256.html

公式の会見で、4度にわたって記者の質問を黙殺する。大臣としての説明責任を放棄した前代未聞の対応は、ひどすぎると言うほかない。
河野太郎外相の11日の記者会見のことだ。
日ロ平和条約交渉について「日本が第2次大戦の結果を認めることが第一歩だ」というロシアのラブロフ外相の発言への見解を尋ねた質問を無視し、「次の質問どうぞ」。
日本の立場を表明しないのか、日本側が一方的に発言を抑えることが交渉に影響を与えないかという関連質問にも一切応じず、「次の質問どうぞ」。
「なんで『次の質問どうぞ』と言うのか」という問いにも、「次の質問どうぞ」と、繰り返すだけだった。
「お答えできない」ということすら言わない。質問などなかったかのように、次を促す。あまりにも不誠実な対応だ。
河野氏に猛省を求める。
安倍政権は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を結ぶという従来の政府方針を転換し、歯舞(はぼまい)・色丹(しこたん)の2島引き渡しを定めた1956年の日ソ共同宣言を基礎に交渉を進めることを決めた。
外交交渉である以上、公にできないことがあるのは当然だろう。しかし、国境の画定と安全保障がからむ重大な方針転換である。国民の理解を得るため、最大限の説明を尽くす姿勢をとるのは当然のことだ。
河野氏は先の臨時国会でも、日ロ交渉に関する野党の質問に「交渉に悪影響を及ぼすようなことは控える」と、具体的な説明を避け続けた。
交渉に前のめりな安倍首相のもと、河野氏はラブロフ氏と対峙(たいじ)する交渉責任者の任にある。自らの発言がロシア側を硬化させることを恐れてのことかもしれないが、議員や記者の向こうには国民がいる、そんな当たり前のことを忘れたか。
質問に正面から答えず、論点をずらしたり、自説を滔々(とうとう)と述べたりするのは、安倍首相の常套(じょうとう)手段だ。説明責任をないがしろにする政権の姿勢は、今回の河野氏の質問無視で極まった観がある。
河野氏は会見終了後、「誠実な対応」を求めた外務省記者クラブの申し入れに、「神妙に受け止めます」とのコメントを出した。本気で反省しているか、今後の言動を注視したい。
民主主義国の外交は、国民の理解に支えられて初めて成り立つ。どれだけ誠実に国民に向き合えるか、河野氏の外相としての器が問われる。

(地獄耳)「無関心ではなく声上げろ」日本への苦言か - 日刊スポーツ(2018年12月13日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812130000203.html
http://archive.today/2018.12.13-022635/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812130000203.html

★日本の外相は会見で記者からの日露関係の質問に「次の質問どうぞ」と4回にわたり無視するが、国際政治は口をつぐんだところで好転などしない。表向きの態度よりも水面下で行われる外交交渉がタフであるかが問われる。国民からすれば「次の外務大臣どうぞ」という気持ちだ。トランプ米大統領の言動や振る舞いなどが記されたワシントン・ポスト副編集長、ボブ・ウッドワードの「FEAR」訳書名「恐怖の男」(日本経済新聞出版)には感情的で気まぐれで予想のつかない米大統領の言動に世界が翻弄(ほんろう)されているさまが描かれている。

★その意思決定のプロセスに側近たちは翻弄されるが、金銭的損得でものを判断しようとする大統領に数少ない側近幹部、マティス国防長官がたしなめる箇所がある。「第3次世界大戦を防ぐために我々はやっている」。外交の展開が読めずに国民に話すことのできない外相など必要ない。そのために各国首脳は自国の国益とともに世界の平和を維持するために日々、場合によっては自ら足を運ぶ。今回のG20はアルゼンチンで開かれたが、世界の首脳がはせ参じるのはそのためだ。

★そのトランプだが、16年の米大統領選でのロシア関与疑惑を捜査する前FBI長官ジェームズ・コミーが米下院司法委員会の公聴会で証言した。「司法省やFBI、情報機関は国家の安全保障に不可欠なものだ。これを政治的な理由から中傷することは、国家安全保障を損なう。大統領がウソをついたり、法の支配を攻撃したりしていることに対し、全ての人々の感覚が一定程度、まひしてきている。あるべきことではない。無関心でいるのではなく、皆が声を上げていかなければならない。黙っていれば、それを恥じる時がやってくる」。一瞬、我が国への苦言かと思った。(K)※敬称略

(大弦小弦)共働きやひとり親家庭の小学生が放課後を過ごす… - 沖縄タイムス(2018年12月13日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/358624
https://megalodon.jp/2018-1213-0939-46/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/358624

共働きやひとり親家庭の小学生が放課後を過ごす学童保育(放課後児童クラブ)は、単なる預かり場所ではない。子どもの育ち、特に遊びを通した成長を支える

▼けん玉やベーゴマの技を磨いたり、集団遊びの陣取り合戦「Sケン」やおにごっこに夢中になったり、秘密基地を造ったり、子ども時代にしかできない貴重な経験を積む。大人になると、けんかしたり仲直りしたりした体験の重さを実感する

▼昔は子どもだけで自然に集まれる遊び場があった。時代の流れで空間と時間を奪われ、今は遊ぶための仕掛けが必要な場面も多い。きっかけづくりの役割を学童の職員、児童支援員が担う

厚生労働省学童保育の職員配置基準を緩和する方針を打ち出した。1カ所に常時2人以上の配置を義務付けてきたが、早ければ来年度から1人でも可とする

▼1人勤務による過重労働が社会問題化した「ワンオペ」が子どもの福祉の現場に持ち込まれる。安全や安心の確保は大丈夫か。目が行き届かないとの理由で、あらかじめ遊ばせないような禁止事項が増えないかと心配になる

保育所整備も含め、子育て政策に規制緩和の波が押し寄せている。待機児童の受け皿づくりを急ぐあまり、当事者である子どもの視点が置き去りになっていないか。「子どもにとっての最善」をもっと重視する必要がある。(田嶋正雄)

(米軍ヘリ窓落下1年)「空の主権」を取り戻せ - 沖縄タイムス(2018年12月13日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/358627
https://megalodon.jp/2018-1213-0941-09/https://www.okinawatimes.co.jp:443/articles/-/358627

米軍普天間飛行場に隣接する宜野湾市普天間第二小学校運動場に、米軍大型ヘリの窓(重さ7・7キロ)が落下した。あの事故から、きょう13日で1年になる。
事故後に中止していた運動場使用を再開したのは今年2月である。
米軍機が接近すると、学校に配置された沖縄防衛局の監視員が、運動場にいる児童に避難を呼びかける。そのたびに体育の授業や遊びが中断された。
監視員の指示による避難回数は9月中旬までに678回を数える。
運動場の脇に避難施設が設置され、監視員はいなくなった。だが、警戒を完全に解いたわけではない。
かつて普天間第二小の校長だった仲村元惟さんは、戦争中校庭に掘られた防空壕と避難施設が重なって見え、憤りを感じたという(本紙9月10日付「茶のみ話」)。
「空襲警報聞こえてきたら(中略)あわてないで騒がないで落ち着いて…」
戦争中、国民学校で習った歌を思いださせるような避難行動が、日本の小学校で現実に行われていたことを、どのくらいの日本人が知っているだろうか。
飛行場を取り囲むように周りには、学校や保育園などの公共施設が集中し、民家が密集している。
墜落への不安、騒音被害、安心して教育を受ける権利の侵害。子どもたちの健康への悪影響−生存権が脅かされている現状は、事故後も変わらない。政府はいつまで放置するつもりなのか。

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普天間飛行場所属のオスプレイが、名護市安部の海岸に墜落、大破したのは2016年12月13日のことである。事故からきょうでちょうど2年になる。
普天間第二小への窓落下事故も名護市安部海岸での墜落・大破事故も1年違いの「12月13日」に起きている。
17年10月11日には、東村高江の北部訓練場に近い民間の牧草地で、CH53大型ヘリが炎上、大破した。
他県では起こりえないような、あまりの事故の連鎖である。このことは、米軍機による事故がどこでも起こりうる、ことを示している。
今月5日には山口県岩国基地所属のF35Bステルス戦闘機が伊江島補助飛行場で、強襲揚陸艦の飛行甲板を模した「LHDデッキ」を使い、初の離着陸訓練を実施した。
同機の離着陸の影響で宜野湾市上大謝名で、123・7デシベルの騒音を記録した。記録が残る1998年以降、普天間周辺では最大の騒音だった。

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嘉手納基地への外来機飛来も活発になっている。
政府は新機種が配備されても新たな訓練が始まっても「米軍の運用に関わること」だと追認するだけで、これを問題にする気配はない。
米軍は航空法の規制を受けない。日本の「空の主権」は大きな制約を受けており、そのことが住民の暮らしに深刻な影響を与えている。
人身事故が発生してからでは遅い。あきらめずに声を発し続け、問題を全国にアピールしていくことが大切だ。