新小型原発、開発へ 温暖化対策を名目に経産省 - 東京新聞(2018年12月1日)


http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018120190070739.html
https://megalodon.jp/2018-1201-1006-02/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018120190070739.html


地球温暖化対策を名目に、経済産業省が新たな小型原発の開発を進め、二〇四〇年ごろまでに実用化を目指す方針を固めた。太陽光や風力などの再生可能エネルギーが世界的に普及している中、経産省温室効果ガス削減には原発が必要と判断。将来の建設を想定しており、原発の新増設に道を開くことになる。
新方針は十一月十四日、経産省内で開かれた非公開の国際会議で、同省資源エネルギー庁の武田伸二郎原子力国際協力推進室長が表明した。本紙は武田室長に取材を申し込んだが、応じていない。
出席者らによると、武田室長は地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」実現のために、原発を活用する方針を表明。国内の多くの原発が四〇年ごろに寿命を迎えることを受け、「将来も一定の原発比率を維持するには、新原発の建設に向けて今、準備を始める必要がある」と述べた。
開発目的は「再生エネが増えていくので、これをサポート(補完)する必要がある」とした。天候で変わる太陽光などの不安定な出力をならす必要があり、既存の大型原発より出力を調整しやすい小型原発が必要との見解を示した。
また、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムが国内外に大量に蓄積し、核不拡散の観点で各国の懸念が高まっていることから、プルトニウムを大量に燃やす原発が必要としている。東京など大都市圏の需要を満たすには大型の原発も必要とし、従来の軽水炉の改良も目指す。新しい方針は近く正式発表される。
日本は今年から、原発を温暖化対策として進めるための国際的な枠組み「クリーンエネルギーの未来のための原子力革新(略称NICE(ナイス) Future(フューチャー))」に、米国やカナダと共に主体的に関わり、参加国を募っている。今後、参加国の政府や企業との連携を検討し、三年以内に具体的な計画を策定する。
政府が今年夏に決定したエネルギー基本計画は新型炉の研究を進めるとしたが、新設には言及していなかった。世耕弘成(ひろしげ)経産相は国会で「新設、建て替えは全く考えていない」と答弁しており、新増設を想定した新方針は、従来の立場を翻すことになる。

<小型原発> 現在主流の軽水炉より小型の原発。従来の原発の出力が100万キロワット前後なのに対し、3分の1未満の出力となる。主要機器を工場で製造して現地で据え付けるため、コストが安くなるとされる。出力を調整しやすいという特徴もある。各国は1980年代からさまざまなタイプを開発しているが、実用化には至っていない。

<パリ協定> 地球温暖化を防ぐため、各国が温室効果ガスの排出削減に取り組むことを定めた国際協定。産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指す。2016年に発効し、現行の京都議定書を引き継ぎ、20年に始まる。

厚労省WG素案 児相の介入機能を強化 虐待死防止へ - 毎日新聞(2018年12月1日)

https://mainichi.jp/articles/20181201/k00/00m/040/224000c
http://archive.today/2018.12.01-000341/https://mainichi.jp/articles/20181201/k00/00m/040/224000c

体制整備の計画策定を自治体に義務づけ
児童虐待防止に向け、児童相談所(児相)の機能強化策などを盛り込んだ報告書の素案を、厚生労働省社会保障審議会ワーキンググループ(WG)がまとめた。虐待死を防ぐため、親から子どもを引き離して保護する児相の介入機能を強化することが柱で、児相を置く都道府県や市に対し、介入専門の部署設置など体制整備の計画策定を義務づける。7日のWGで公表し、年内に最終案をとりまとめる。【横田愛
WGでは、東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が虐待され死亡したことを受けた政府の緊急総合対策で積み残した点について議論してきた。
虐待が疑われる家庭に対し、児相は、子どもを保護する介入機能に加えて、将来的に子どもを家庭に戻すために親を含めて支援する機能を併せ持つ。しかし結愛ちゃんのケースなど、親との関係がこじれることを懸念して十分な介入ができていないとの指摘があった。
素案では、必要と判断した場合に児相がためらわずに介入できる体制整備のため、(1)介入と支援の部署を分ける(2)介入と支援は別の職員が対応する(3)介入の際に弁護士や警察官OBを活用する−−ことなどを検討した上で、計画を策定するよう求めた。
2017年度に13万件を超え、増え続ける児童虐待通告への対応も課題だ。児相の全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」を虐待通告に特化したダイヤルに改め、子育て相談などは別の電話番号を設けるべきだとした。通告の中で、子どもの前で配偶者に暴力を振るう「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」の件数が増えて業務を圧迫している。そのため、国に面前DVの通告を受けた後の対応指針も策定するよう求めた。

<税を追う>取材班から 優先順位 ちぐはぐ - 東京新聞(2018年12月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120102000146.html
https://megalodon.jp/2018-1201-0904-26/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201812/CK2018120102000146.html

「今すぐ、どうしても導入しないといけないのか」
急増する米国製兵器の輸入問題を取材していると、自衛隊の現役やOBからそんな声をよく聞く。特に俎上(そじょう)に載るのが地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」だ。
二基で二千三百五十二億円。「どっさりミサイルが飛んできたら、全部を撃ち落とすのは難しい」「あった方がいいとは思うが、費用に見合った効果はあるのか」。議論は尽きないのに早々と導入を決めた。
政府が検討を進める護衛艦「いずも」の事実上の空母化も、論点は専守防衛からの逸脱だけではない。
「人員や搭載機だけでなく、空母を守る艦船の態勢も必要になる。予算が多少増えたとしても、それで賄えるのか。現実的とは思えない」。ある自衛官はそう言って眉をひそめた。
戦闘機の部品不足を別の機の部品で補う「共食い整備」など、現場は日々の活動で四苦八苦。アショアが話題になると、「二千億円あればもっと手当てができるのに」との思いがにじむ。
五兆円を突破して膨張する兵器ローン。岩屋防衛相も三十日の会見で「有り体に申し上げると、やりくりが大変」と認めた。優先順位はきちんと付いているのか。政府と現場のちぐはぐ感が拭えない。 (原昌志)

(政界地獄耳)政府憂う?秋篠宮さま発言 - 日刊スポーツ(2018年12月1日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812010000124.html
http://archive.today/2018.12.01-004423/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201812010000124.html

★11月30日、秋篠宮さまは53歳の誕生日を迎えられた。これに先立ち、同妃紀子さまと宮邸で会見に応じた。テレビ局は結婚を延期している長女眞子さまと小室圭さんの今後について、「(小室さんは)それ相応の対応をすべき」と厳しい見解を示したことばかりを報道しているが、皇太子さまが即位後に臨む大嘗祭(だいじょうさい)への公費支出について「(手元金の)内廷会計で行うべきだ」と異議を唱え、「身の丈に合った儀式」とするのが本来の姿ではないかとの考えを示した。

★加えてこうした考えは宮内庁の山本信一郎長官らに伝えたが「話を聞く耳を持たなかったことは非常に残念だった」と述べた。代替わりの重要祭祀(さいし)「大嘗祭」は宗教的色合いが強く、「平成のときの大嘗祭のときにもそうするべきではないという立場だった」と秋篠宮さまが述べているように、公費である皇室の宮廷費から支出することに対し、憲法政教分離原則に抵触するのではないかといわれ、憲法違反ではないかという裁判も起こされた。当時の費用は総額で約22億5000万円に上った。

★山本長官は会見で「聞く耳を持たない」という厳しい発言について「私もつらいがそう受け止められたのであれば申し訳ない」と的外れな答えを、30日の会見で西村康稔官房副長官は「あくまでも殿下ご自身のお考えを述べられたものと理解している。改めて何らかの対応を取ることは考えていない」と無視することを決めた。秋篠宮さまのみならず今上天皇は戦後、天皇は象徴になったことで、象徴天皇とは何かを模索してきた。国民の思いと乖離(かいり)せぬよう努めてきた皇族が憲法について慎重かつ深く洞察しているということを述べているのに対して、宮内庁や政府は決まったことを守ればいいと国民との議論を避けていることに問題を提起したと受け止める。憲法論を避けた、いやこの議論をリードすることができない政府に憂いをお持ちなのではないか。(K)※敬称略

秋篠宮さま発言 大嘗祭の性格を問うた - 東京新聞(2018年12月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018120102000173.html
https://megalodon.jp/2018-1201-0907-02/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018120102000173.html

天皇即位後の儀式である大嘗祭(だいじょうさい)について、秋篠宮さまが「国費で賄うことが適当かどうか」と疑問を呈された。宗教色が強く、憲法政教分離上の問題を指摘する声はある。深い議論が必要だ。
「宗教行事と憲法との関係はどうなのかというときに、やはり内廷会計で行うべきだと思っています」と秋篠宮さまは述べた。
内廷会計、つまり「内廷費」は天皇家のプライベートなお金だ。それに対し「宮廷費」は国賓を招いたり、外国訪問するなど公的活動に使われる。
大嘗祭自体は私は絶対にすべきものだと思います。ただ、できる範囲で身の丈に合った儀式で行うのが、本来の姿ではないかなと思います」(秋篠宮さま)
天皇が即位後、初めて迎える新嘗祭(にいなめさい)が大嘗祭だ。皇位継承に伴う最も重要な宮中祭祀(さいし)と位置付けられる。だが国費投入は政教分離を定めた憲法に反しはしないか…。確かに一九九五年の大阪高裁は原告の訴えを棄却したものの、「政教分離規定違反の疑いを一概に否定できない」と指摘した。
秋篠宮さまの発言は、憲法との整合性、莫大(ばくだい)な費用を考慮しての問題提起と受け止める。
そもそも戦後の新皇室典範には大嘗祭の規定がない。四六年の衆院で担当大臣は「信仰に関する点を多分に含んでいるため、皇室典範に姿を現すことは不適当」との趣旨を述べている。
国民統合の柱を国家神道とした時代から、戦後は大転換した。憲法政教分離を明記した。さらに皇室典範も国家の法になった以上、信仰を含む大嘗祭の文字は記すことができなかったのである。
前回の大嘗祭の際も、当時の閣議では「宗教上の儀式としての性格」「国がその内容に立ち入ることはなじまない性格の儀式」であることを確認した。だが、公的性格があると政府は解釈し、宮廷費からの支出となった経緯がある。来年の大嘗祭についても現政権は「前例踏襲」である。
むしろ秋篠宮さまが宮内庁長官らに進言しても「聞く耳を持たなかった」と漏らされた。大嘗祭の性格と公費のあり方に関する貴重な意見が封じられていた事実も驚きである。
来年五月の代替わりで皇位継承順位が一位になる人だ。天皇は国政への権能を有しない。とはいえ、天皇家としての重要行事について、憲法との関わりに疑念を呈した秋篠宮さまの言葉は、国民への問い掛けでもあるだろう。

大嘗祭 異例の発言機に考える - 朝日新聞(2018年12月1日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13792764.html
http://archive.today/2018.12.01-000746/https://www.asahi.com/articles/DA3S13792764.html

秋篠宮さまが誕生日前の記者会見で踏み込んだ発言をした。
天皇の即位に伴い、来年秋に予定されている大嘗祭(だいじょうさい)について「宗教色が強いものを国費でまかなうことが適当かどうか。すっきりしない感じをもっている」と述べたのだ。
皇位継承儀式の執り行い方を決めるのは内閣であり、その判断に異を唱えた形だ。大嘗祭は国事行為ではなく皇室の行事と位置づけられる。だから質問に答えて皇族の一人として見解を明らかにしたとのことだが、政治的な対立に発展しかねない極めて微妙なテーマだ。
秋篠宮さまは7年前の同じ会見でも「天皇にも定年制が必要になってくると思う」と、いまふり返って問題の本質をついた発言をしている。
お仕着せでない肉声が発信されるのは歓迎だが、来春には皇位継承順位第1位となる立場を踏まえ、テーマや表現については慎重な対応を望みたい。
もっとも、今回の指摘それ自体は正鵠(せいこく)を射たものだ。
大嘗祭は、天皇が祖先や天地の神々に国の安寧と五穀豊穣(ほうじょう)を感謝・祈念する儀式で、神道方式で進められる。そのため政府も「国事行為として行うのは困難」としながら、「公的性格」があるとして、費用を公金である宮廷費から支出する取り扱いにしている。天皇ご一家の日常生活や通常の宮中祭祀(さいし)の費用をまかなう内廷費(お手元金)とは性格が異なるお金だ。
政教分離を定めた憲法大嘗祭との関係は、平成への代替わりの際も論議になった。「知事らが公費を使って大嘗祭に参列したのは儀礼の範囲内で違憲ではない」とする最高裁判決はあるが、国が大嘗祭に関与することや費用支出の合憲性についての判断は示されていない。
朝日新聞の社説はかねて、前回のやり方にただ従うのではなく、憲法の諸原則やこの間の社会通念の変化を踏まえてゼロから検討し、改めるべき点は改めるべきだと主張してきた。
ところが政府は突っ込んだ議論をしないまま、大嘗祭のあり方を含めて「前例踏襲」の基本方針を早々と決めてしまった。見直せばその内容がどうあれ、必ず疑問や批判が寄せられて対応に追われる。それを避けようと安直な道を選んだのだろう。憲法が掲げる価値に立ち返り、真摯(しんし)な議論を重ねていくというやり方がとられなかったのは、残念というほかない。
政府はきのう、方針に変更はない旨を表明した。誠実とは言い難いその態度は、政治への不信の石をまた一つ積み上げる。

横田基地騒音訴訟、国に賠償命令 飛行差し止めは認めず - 朝日新聞(2018年11月30日)

https://www.asahi.com/articles/ASLCW77P6LCWUTIL05V.html
http://archive.today/2018.12.01-005554/https://www.asahi.com/articles/ASLCW77P6LCWUTIL05V.html

横田基地(東京都福生市など)の周辺住民らが、騒音被害を理由に国を訴えた訴訟の判決が30日、東京地裁立川支部であった。見米(みこめ)正裁判長は過去分に限って被害を認め、国に総額約9500万円の賠償を命じた。住民が求めていた、将来分の賠償や、自衛隊機と米軍機の夜間・早朝の飛行差し止めの訴えは退けた。
見米裁判長は「裁判所が繰り返し、騒音被害の慰謝料の支払いを国に求めてきたにもかかわらず、米国と国は抜本的な被害防止対策を講じず、被害を漫然と放置してきた」と指摘した。
横田基地をめぐる訴訟は繰り返し起こされており、今回は第9次訴訟。東京都と埼玉県の6市1町に住む144人が「激しい騒音にさらされ、平和に生きる権利が侵害された」などとして2012〜14年、提訴した。見米裁判長らは昨年9月に現地を訪れ、騒音や飛行状況を検証していた。
判決は、騒音によって睡眠や会話が妨害されているほか、「病気が発症するかもしれない」といった不安感も被害にあたると認定。航空機の騒音基準「うるささ指数(W値)」75以上の住民について「受忍限度を超える騒音被害が生じている」とし、騒音レベルに応じて月4千〜1万2千円の賠償を認めた。75未満の住民については「騒音にさらされた状況が明らかではない」として認めなかった。
原告側は「騒音被害は半永久的に続くと予想され、何度も提訴しなければならない原告の負担は大きい」として将来分の賠償も求めていたが、判決は「将来判断すべきで、提訴する権利がない」として却下した。
午後7時から午前8時の間の米軍機と自衛隊機の飛行差し止めについては、「自衛隊機の飛行差し止めは民事訴訟では請求できない」という最高裁判決や、「日本政府は米軍の活動を制約する権利はない」という法理論を挙げて退けた。(滝口信之、岡本玄)

憲法9条を考える 3日に都内でシンポジウム:首都圏 - 東京新聞(2018年12月1日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201812/CK2018120102000190.html
https://megalodon.jp/2018-1201-0909-41/www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201812/CK2018120102000190.html

日本ペンクラブ平和委員会は三日、東京都文京区の文京シビックホールで、シンポジウム「『憲法と平和』−どう考える9条−」を開く。
登壇者は、作家で前日本ペンクラブ会長の浅田次郎さん、キャスターでジャーナリストの金平茂紀さん、作家で元琉球大学教授の大城貞俊さん、作家でエッセイストの中島京子さんら。首都圏の学生九条の会で活動する大学生らも参加予定で、世代を超えて議論を深める会を目指す。
午後六時四十五分から。参加費千円、大学生以下無料。問い合わせは、日本ペンクラブ事務局=電03(5614)5391、またはメール=kenpou@japanpen.or.jpへ。

入管法と参院 良識持って審議尽くせ - 朝日新聞(2018年12月1日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13792763.html
http://archive.today/2018.12.01-001035/https://www.asahi.com/articles/DA3S13792763.html

外国人労働者の受け入れ拡大を図る出入国管理法改正案の審議は、舞台を参議院に移した。その矢先に、あっけにとられる光景がくり広げられた。
29日の法務委員会で、与党の委員2人が割り当てられた時間を1時間残して質問を終えたのだ。1人は自民党の法務部会長を務める長谷川岳氏である。
議論したらいくらでも問題点が出てくる――。はしなくも衆院自民党議員がそう本音を吐露した法案だ。突っ込まれたくない政府に同調した行動と見るほかない。これこそ国会の「職場放棄」ではないか。
賛成なら賛成の立場で、質問を通じて政府のていねいな説明を引きだし、国民に法案への理解を求める。そんな使命感は毛頭ないらしい。「良識の府」の名を自らおとしめる愚行であり、容認した野党側も批判されてしかるべきだ。
その前日の参院本会議での安倍首相の答弁も、法案の生煮えぶりを改めて印象づけた。
たとえば現行の技能実習制度では、外国で働き手の募集などをする業者をめぐって、法外な保証金を要求するなどの問題が起きている。首相は、新制度では悪質なブローカーの介在がわかれば、その労働者は日本に受け入れない方針だと述べた。
だがそのためにどんな仕組みを作り、実効性を保つかについては「検討」の域を出ない。
職場で仲間と連携してスムーズに働き、また地域でくらしていくうえで最も大切な日本語教育の取り組みも同様だ。
これまでは「年内に示す総合対策に盛りこむ」と繰り返すだけだったが、ようやく「地方公共団体による日本語教室開設を支援する」と、いくらか内容のある答弁になった。
しかし、その予算をいくらと見込んでいるのか。教師をどうやって確保し、教育の質を維持するのか。こうした肝心な点への言及は一切ない。
ドイツやフランスは外国人労働者向けに数百時間の語学研修制度を公費で設け、韓国も同様の対応をしている。「自治体任せ」で日本は受け入れ国としての責任を果たせるのか。
問題を指摘されるとあいまいな答弁で逃げ、それでは済まないとなると、対策らしきものを打ち出してみせる。だが相互の連関もあいまいなら、予算の裏付けもはっきりしない。結局は「がらんどう」のままだ。
政府は今国会での法案成立を訴えるが、とてもそれに堪えうる内容ではない。参議院の存在意義が問われていると、議員一人ひとりが自覚するべきだ。

県が不服審査申し出 係争委は適法か判断を - 琉球新報(2018年12月1日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-842164.html
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玉城デニー知事は、辺野古新基地建設で埋め立て承認撤回の効力を一時停止させた国土交通相の決定を不服として、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会(係争委)」へ審査を申し出た。
辺野古新基地建設問題を巡って3度目の審査を行うことになった係争委だが、2015年は県の申し出を審査の対象外として事実上、門前払いをしたし、16年は国の指示が適法か否かの判断はしなかった。第三者機関として求められた役割を果たしたとは言えない。
地方自治体に対する国の関与を巡り、争いが生じた際にその妥当性を審査する第三者機関が係争委だ。3度目の今回は国の決定が法的に正しいのかを踏み込んで判断してほしい。
県は係争委への審査申出書で(1)沖縄防衛局は行政不服審査制度で執行停止を申し立てることはできない(2)国交相は内閣の一員であり、防衛局の申し立てに対して判断できる立場にない―と指摘した。
国の機関である沖縄防衛局が、本来は私人(国民)の権利救済を目的とする行政不服審査制度を使って国交相に承認撤回の効力停止を申し立てた。これに対し全国の行政法研究者110人が「違法行為にほかならない」と声明の中で断じている。さらに国交相がそれを審査するというのも、身内のお手盛り以外の何物でもない。結論ありきの出来レースだった。
係争委による過去2回の判断のうち、15年は翁長雄志知事が取り消した辺野古の埋め立て承認を国交相が効力停止にしたことが審査された。係争委は防衛局を「私人と同じ立場」とする国交相の解釈に疑問を呈しながらも、「審査の対象に該当するとは認められない」と知事の申し出を却下した。
16年には、国交相が知事による「埋め立て承認取り消し」を取り消すよう是正の指示を出したことを受けて、翁長知事が、国による「是正の指示」を取り消すべきだとして審査を申し出た。係争委は国と県の協議を促し「普天間飛行場の返還という共通の目標の実現に向けて、納得できる結論を導き出す努力をすることが最善の道」との見解を示したものの、国の是正の指示が適法か否かは判断しなかった。
係争委は、国の関与が違法であると認めた場合には、必要な措置をするよう勧告できる。係争委が県の主張を認めなかった場合、防衛局は工事を続け、県は高裁に提訴するとみられる。
係争委は国と地方を対等な関係に置くとする地方分権改革の一環で設置された。米軍基地建設という国策に関わる事柄だからといって、地方自治体の意向に取り合わないのなら、係争委の存在意義が問われる。国と県、双方の主張を公正に審査して、良識ある判断が下されることを期待したい。

行政法研究者有志による声明を発表しました - 辺野古と行政法(ブログ)(2018年10月26日)

https://henoko-adlaw.blogspot.com/2018/10/blog-post_26.html

(声明)辺野古埋立承認問題における日本政府による再度の行政不服審査制度の濫用を憂う 行政法研究者有志一同