妊娠での高校退学防げ…中学性教育へ医師ら派遣 - 読売新聞(2018年11月6日)

https://www.yomiuri.co.jp/science/20181106-OYT1T50021.html

全国の公立高校で妊娠により退学した女子生徒が2015、16年度の2年間で、600人を超えたことが、文部科学省の実態調査で明らかになった。性の問題が低年齢化している実態を受け、福岡県教委は今年度、中学生を対象に医師ら専門家による性教育の派遣授業を始めた。県教委単位で中学校への派遣授業を実施するのは九州初。専門家は「早い時期に始めることは意義深い」としている。
文科省が昨年9、10月に初めて実施した調査によると、妊娠した生徒は全国の公立高校が把握しているだけでも15、16年度で計2098人に上る。うち妊娠を理由にした退学は674人。福岡県でも妊娠した60人のうち35人が退学している。
県教委は、望まない妊娠や出産への対応をより早い時期に行う必要があると判断し、派遣授業を始めることにした。希望校を募っており、今年度、約70校に実施する。20年度まで行う予定だ。
「性って何だと思いますか」。9月下旬、福岡県八女市矢部村の市立矢部中学校(20人)で行われた派遣授業で、同市の保健師、今永美波さん(32)が2年生男女8人に語りかけた。
今永さんはスライドで思春期を迎えた男女の体の変化や性的な接触による妊娠の仕組みを説明。若年出産や性感染症のリスクも紹介し、胎児のエコーの動画をスクリーンに映し出した。
「妊娠は素晴らしいこと。でも、中学、高校生に子育てができますか。好きな人でも嫌なことは断り、信頼できる大人に相談してほしい」と呼び掛けた。
女子生徒(13)は「性感染症になると子供ができない体になることもある。友人に相談されたら、正しい情報を伝えられるようになりたい」と感想文につづった。

木村草太の憲法の新手(91)裁判官分限法で判事処分 適正手続きに大きな問題 弁明・防御の機会奪われる - 沖縄タイムス(2018年11月4日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/340592
http://web.archive.org/web/20181106005634/https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/340592

9月16日掲載の本コラムで触れた、東京高等裁判所岡口基一判事に対する分限裁判の判断が、10月17日に示された。
まず、事案を振り返ろう。今年5月、岡口判事はツイッターに、「公園に放置されていた犬を保護し育てていたら、3か月くらい経(た)って、もとの飼い主が名乗り出てきて、『返して下さい』。え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しておきながら…、裁判の結果は…」との文章と共に、犬の所有権を巡る訴訟を報じたニュースへのリンクを投稿した。
東京高裁は、林道晴長官名義で、岡口判事のこのツイートは原告(犬の元の所有者)の「感情を傷つけ」るものであり、「品位を辱める行状」(裁判所法49条)に該当するとして、最高裁に懲戒を申し立てた。最高裁は、次のような理由で、岡口判事を戒告処分とする決定をした。
まず、「品位を辱める行状」とは、「裁判官に対する国民の信頼を損ね、または裁判の公正を疑わせるような言動」を意味する。
「本件ツイートは」「訴訟を上記飼い主が提起すること自体が不当であると被申立人〔著者注:岡口判事〕が考えていることを示すもの」である。この行為は、「裁判を受ける権利を保障された私人である上記原告の訴訟提起行為を一方的に不当とする認識ないし評価を示すことで」、「裁判官に対する国民の信頼を損ね、また裁判の公正を疑わせ」た。したがって、岡口判事を戒告処分に処すべきである。
この最高裁判所の決定には、さまざまな問題があるが、今回は、手続保障の観点に絞って検討しよう。
公務員の懲戒処分は、国家が処分対象者に重大な不利益を与えるものだ。したがって、刑事手続きの適正を要求する憲法31条が類推適用される。憲法が求める「適正な手続き」と言えるためには、(1)あらかじめ処分理由が告知され、(2)十分な弁明と防御の機会が与えられねばならない。

まず、(1)について。

そもそも東京高裁の申立書は、岡口判事のツイートが「原告の感情を傷つけた」とするのみで、「国民の信頼を損ねた」とか「裁判の公正を疑わせた」といった事実は主張していない。つまり、最高裁決定は、申立書にない理由に基づいて、岡口判事を処分している。

続いて(2)について。

当然のことながら、岡口判事側は、申立書に記載されていない事情について、弁明も防御もしようがなかった。
さらにひどいことに、手続きはこの最高裁決定で終結してしまう。通常の刑事裁判では、一審が不当な判断を示したと考えられる場合には、控訴審に判断の見直しを求められる。ところが、最高裁による裁判官の懲戒処分には、法律上、異議申し立てをする手続きが定められていない。岡口裁判官は、完全に弁明・防御の機会を奪われたまま、懲戒処分を甘受せねばならない。この責任の一端は、裁判官分限法を制定した国会にもある。
このように、今回の決定と、その根拠となった裁判官分限法には、適正手続きに大きな問題がある。それだけでなく、この決定は、一般市民にも大きな悪影響がある。次回はその点を扱いたい。(首都大学東京教授、憲法学者

野党、初入閣組に照準=参院予算委、たびたび紛糾 - 時事ドットコム(2018年11月5日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018110500936&g=pol
http://archive.today/2018.11.06-004542/https://www.jiji.com/jc/article?k=2018110500936&g=pol

5日の参院予算委員会で、野党側は初入閣組の資質に照準を合わせて厳しく追及した。攻撃対象となった片山さつき地方創生担当相らは的確に答弁できず、審議はたびたび紛糾。待機組を大量登用し「在庫一掃セール」ともやゆされる改造内閣への不安が早くも的中した格好だ。
「上から目線、人権軽視とも取れる発言が多い。生活保護バッシングの先頭に立っていた」。立憲民主党の杉尾秀哉氏は、片山氏が「生活保護は生きるか死ぬかのレベルの人がもらうもの」と発言したことを取り上げてこう指弾した。
片山氏は当初、「所管外なので答えは差し控えたい」と逃げの一手だったが、野党議員から猛烈なやじを浴びて質疑が中断すると、「もし不快に思われた方がいたら大変申し訳ない」と陳謝。かつて四国を「離れ小島」と表現したことも指摘され、「気分を害した方がいれば誠に申し訳ない」と渋々語った。
国税庁への口利き疑惑でも追及を受けた。片山氏は、会社経営者から100万円を受領したとされる税理士について、私設秘書ではないと説明している。ただ、杉尾氏から、この税理士のため秘書用の国会通行証の申請書に押印したか問われると「どちらの事務所でも、秘書がはんこを押しているものがたくさんある」と、まるでどこの事務所でも行っているかのように強弁。審議は中断し「失礼な発言があった」と発言の一部を撤回した。
一方、桜田義孝五輪担当相は、立憲の蓮舫参院幹事長から2020年東京五輪パラリンピック関連予算の膨張について指摘され、「東京都や組織委員会を支援したい」と見当違いの回答。「多様性と調和」など三つの大会ビジョンもすぐに答えられなかった。
蓮舫氏は出入国管理法改正案をめぐり、新設される在留資格で滞在を続ければ永住権を申請できるかもただした。同改正案を所管する山下貴司法相は「自動的に認めるものでもない」と答弁。だが、繰り返し追及されると、最後は「10年で要件は満たす」と認めた。蓮舫氏は「移民政策への入り口だ」と指摘した。
自民党内では、「新閣僚がターゲットにされている。片山氏は厳しいかもしれない」(中堅)と先行きを危惧する声が上がる。立憲幹部は「もっと深みにはまってもらう」と語った。