辺野古へ土砂運べず - しんぶん赤旗(2018年11月3日)

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-03/2018110301_03_1.html
http://archive.today/2018.11.04-075647/https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-11-03/2018110301_03_1.html


本部町 港の使用許可せず

沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に伴い、防衛省沖縄防衛局から工事を請け負った業者が1日に埋め立て土砂の搬出のため港の使用許可を本部町に申請したところ、受理されなかったことが分かりました。同町港湾管理事務所によれば、「台風24号で被災し新規の受け入れができる状況ではない」ことが理由です。
県や町によると、本部町本部港塩川地区は9月28日から30日に通過した台風24号で全岸壁6カ所中3カ所が被災。残る3カ所に延べ45件の使用を許可しており、新規受け入れは物理的に限界だといいます。
本部港は県が管理する港で、本部町が岸壁と荷さばき地の使用許可の事務を受託しています。2017年末から業者が町から許可を受け、新基地建設に使う石材や土砂の運搬で使用していましたが、9月末で許可が切れていました。
防衛局は1日に工事再開を強行しましたが、埋め立て土砂搬入の見通しがたたず、早くも暗礁に乗り上げた形です。岩屋毅防衛相は2日の会見で、「引き続き本部町との調整を進め、速やかな使用許可を得たい」と述べました。

(写真)台風24号で被災した港=2日、沖縄県本部町

(政界地獄耳)3つの裁判と入管法改正議論 - 日刊スポーツ(2018年11月3日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201811030000222.html
http://archive.today/2018.11.04-015454/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201811030000222.html

★日本統治下の朝鮮半島で戦時中、日本本土の工場に動員された韓国人の元徴用工4人が、新日鉄住金を相手に損害賠償を求めた訴訟で、先月30日、韓国大法院(最高裁)は個人の請求権を認めた控訴審判決を支持し、日韓間は大騒ぎとなっている。しかしながら日本の外務省は1991年8月27日の参院予算委員会で当時の外務省条約局長・柳井俊二は「いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません」と答弁しており、首相・安倍晋三、外相・河野太郎が率先して怒りをぶつける様は俯瞰(ふかん)する外交どころの騒ぎではない。

★同日、日本では福島第1原発の事故をめぐり、旧経営陣の刑事責任を問うべきかが争われ、当時の最高責任者である元会長・勝俣恒久への初の被告人質問があった。そこでは「聞いていない」「福島沖には大きな津波が来ないと聞いていたので問題意識はなかった」「原発の安全は、現場が全て行うので責任も現場にある」と言い放った。これには東京電力社員をはじめ、原発事故当時から現在までも現場で命を張って作業に当たっている人たちも開いた口がふさがらないのではないか。

★これまた同日、日本では高校の授業料無償化を巡り朝鮮学校を対象から外したのは違法だとして、元生徒らが国を訴えた裁判の控訴審で、東京高裁は元生徒らの控訴を退ける判決を出した。元文科相下村博文は「無償化は国民の理解が得られない」とコメントした。いずれもこれから移民開国しようとする国での司法の判断だ。徴用工とは時代が違えど外国人労働者を奴隷化し、単純労働を安価に使う当時の仕組みとこれからの受け入れが重なる。原発事故でも言葉巧みに外国人労働者が現場に送り込まれている事態も発覚している。そして国内の在日韓国・朝鮮人への差別は後を絶たない。こんな状況で入管法改正議論を安直に決めていいのだろうか。同じ日の裁判をどう受け止めればいいのだろうか。(K)※敬称略

95歳、憲法手帳を相棒に全国回り 戦前回帰恐れ護憲講演 - 東京新聞(2018年11月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018110402000156.html
https://megalodon.jp/2018-1104-1003-44/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018110402000156.html

安倍晋三首相が改憲案の今国会提出に強い意欲を示す中、条文が列記された「憲法手帳」を常にポケットに忍ばせながら、自身の戦争体験や護憲を各地で訴えている九十五歳がいる。国際政治学者の畑田重夫さん=静岡市清水区。三日は憲法公布から七十二年。教育勅語を評価するような閣僚発言などに「国家観が戦前回帰しているように感じる。平和憲法を変えることは絶対に認められない」と熱を込める。 (井上靖史)
「亡くなった同期生の分を一人で生き、無念を伝え続けなければならない」。身ぶりを交えながら戦争体験を語る様子にエネルギーがみなぎる。講演は今でこそ月二〜三回に減ったが、関東や東海、関西など全国を飛び回る。
名古屋市の旧制第八高等学校在学中の一九四三年、軍隊に召集され、甲府市にあった旧陸軍の歩兵部隊へ。訓練で患った腸の病気の治療のため陸軍病院に入院中、同期は中国に移動。台湾とフィリピン間のバシー海峡で米軍の魚雷攻撃に遭うなどして二千人近くがほぼ全滅したことを、終戦後に上官から聞かされた。
「生き残った申し訳なさと同時に、生きて無念を伝え、二度と戦争させないようにするのが使命だと感じた」
旧東京帝大法学部へ入学後の四六年、公布された現行憲法を読んだ。「最初に『国民主権』が書かれている。天皇中心だった旧憲法と全く違い、新鮮だった」と回想する。
内務省に勤めたが、「官僚は好きではない」と三カ月で退職。東大大学院で学び直し、名古屋大で教えた。健康を損ねて助教授で六二年に退職した後も、政治学会や市民を対象に平和を訴える講演を続けてきた。
いつも上着の右側の内ポケットには、憲法手帳。「片時も体から離さない。疑問がわけば、この権利は憲法何条に基づいているとか、その都度確認する。だからすぐにボロボロになってしまう」という。
憲法を大事にしてきたからこそ、このところの政治の動きを「戦前回帰では」と懸念する。改憲教育勅語再評価、明治維新から百五十年を祝う歴史観東京五輪パラリンピックに向けた国威発揚−。
かつては保守系にも思いを同じにする人がいた。官房長官自民党幹事長を歴任し、今年一月に九十二歳で死去した野中広務さんは、京都府の旧制園部中学校(現南丹市)の二年後輩で同じ剣道部員だった。交流を続け、数年前には南丹市で開かれた集会へ一緒に登壇。憲法は守らなければいけないという意見で一致した。
自民党ではっきり物を言える数少ない人物だった。少なくなった戦争体験者である私たちが、『九条改憲だけはだめだ』と肉声で語り、聞いてもらうことが大事だ」
左側の内ポケットに入っているのは、健康療法として摂取し続けてきたニンニクと、すり下ろすためのおろし金、包んで飲むオブラート。発信を続けるため、自身に言い聞かせる。「あと三年くらいは死ねない」

<はただ・しげお> 1923(大正12)年9月生まれ。京都府綾部町(現綾部市)出身。旧姓は「藤枝」。結婚の際に妻の姓を選んだ。名古屋大助教授を退職後、労働者教育に携わり、沖縄・伊江島平和運動家の故・阿波根昌鴻(あはごん・しょうこう)さんも教え子。87年と91年に東京都知事選に立候補し落選。趣味は野球観戦で西武ライオンズ選手応援団長を務め、「ライオンズ時代がやってくる」などの共著もある。

憲法手帳> 日本国憲法の条文が列記された小冊子。制定直後から、多くの人に内容や国民の権利を知ってもらおうと各市民団体や自治体が独自に作成して配ったり、印刷会社などが予定表と一体にした物を市販したりしている。畑田さんが使っているのは条文だけが書かれた市販の物。

憲法手帳

価格:1冊 100円(税込・送料別)
サイズ:7.6cm×15.3cm 40ページ
http://www.kenpou-goods.com/goods/techo.html

「戦後の平和 覆さないで」 国会前、改憲反対集会 - 東京新聞(2018年11月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018110402000155.html
https://megalodon.jp/2018-1104-1005-21/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018110402000155.html

自民党改憲案の国会提出や国会の改憲発議の阻止を訴える集会が三日、国会前で開かれた。護憲団体などでつくる「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の主催。約一万八千人(主催者発表)が「改憲発議絶対止めよう」「九条変えるな。憲法生かせ」と気勢を上げた。
安倍晋三首相は十月二十四日の所信表明演説で「政党が具体的な改憲案を示すことで、国民の理解を深める努力を重ねる」などと述べ、今国会中に衆参憲法審査会へ自民党改憲条文案を提示する意欲を示した。改憲の是非を問う国民投票に向け、国会の改憲発議も呼び掛けた。
東京都武蔵野市の主婦岡田友紀さん(42)は「改憲は絶対反対。戦後の平和を覆してはならない」、北区の片柳静子さん(75)は「憲法を変えようとする動きに怒りを感じる。海外で日本人が活躍できるのも今の憲法があってこそ」と語気を強めた。横浜市の村田広さん(68)は「多くの人が疑問を持っていることを伝えたくて、その一人として駆け付けた」と話した。 (服部展和)

改憲支持団体は街宣活動
新宿駅東口前の広場では、十〜四十代の若手世代でつくる改憲支持の団体「憲法BlueWave」が街宣活動を行った。憲法自衛隊を明記するべきだと主張するチラシを配布。改憲議論を進めるべきかについて通行人らにアンケートを取るなどした。

「自衛隊明記」問題点を指摘 群馬弁護士会 改憲を考える集会:群馬 - 東京新聞(2018年11月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201811/CK2018110402000168.html
https://megalodon.jp/2018-1104-1007-46/www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201811/CK2018110402000168.html

憲法9条自衛隊の存在を明記する改憲案を自民党が国会に提出する動きを見せている現状を踏まえ、国民投票を含む法的問題点を考える集会「本当に変わらないの?〜自衛隊明記の憲法改正案を考える〜」(群馬弁護士会主催)が3日、前橋市日吉町の市総合福祉会館で開かれた。来場した260人の市民を前に、講演した学習院大の青井未帆教授(憲法)は安倍晋三首相が主張する憲法9条自衛隊を明記する案に「自衛隊の明記が矮小(わいしょう)化されている」と懸念を示した。 (市川勘太郎
青井教授は自衛隊の明記について、隊が憲法上の機関になり、位置付けも変わって権威付けが高くなると指摘。実力部隊である自衛隊をコントロールする必要があるが、内閣に「文民統制」の意識が醸成されていないとの見解を示した。
青井教授は、自民党憲法改正草案は人権や国家の考え方が現在の日本国憲法とは異なる点も解説。最後に「憲法一二条にあるように、自由や権利を国民の不断の努力によって保たなければならない」と来場者に呼び掛けた。
日弁連憲法問題対策本部事務局長、川上詩朗弁護士は国民投票の問題を解説。国民投票では、国会の発議から投票まで最短で六十日でできる点を紹介した。国民投票運動の期間中にテレビCMを流すことは可能だが、資金力の違いにより偏った情報が発信され、国民に公平な情報提供ができない可能性にも触れた。
群馬弁護士会憲法問題特別委員会の下山順委員長は「主権者を取り残した改憲は許されない。改憲案や国民投票の問題点をできる限り発信したい」と締めくくった。

憲法公布72年 改憲に反対する市民らが国会前で集会 - 朝日新聞(2018年11月3日)

https://www.asahi.com/articles/ASLC36365LC3UTIL00Z.html
http://archive.today/2018.11.04-010738/https://www.asahi.com/articles/ASLC36365LC3UTIL00Z.html

国会前に集まり、安倍政権と改憲への反対を訴える人たち=2018年11月3日午後2時9分、東京都千代田区永田町、鬼室黎撮影

憲法公布から72年となる3日、東京・永田町の国会前で、安倍政権が目指す憲法改正に反対する集会があった。主催者発表で1万8千人が参加。野党の国会議員や憲法学者らとともに「改憲反対」「絶対止めよう」などと訴えた。
市民団体「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」などの主催。
東京都小平市の介護職員、鈴木大智さん(35)は「国民の声が首相に届いていない」と1人で参加した。施設を利用するお年寄りたちは改憲を危惧しているという。南北首脳会談や米朝首脳会談が実現したことに触れ、「平和を目指す世界の動きに逆行している」と語った。
東京都府中市の無職、宮井真理子さん(69)も友人らと足を運んだ。地元で改憲反対の署名活動をした際、自衛隊への入隊を志望する女子高校生も署名したという。「若い人も反対している。福祉や医療など国民生活をよくするためにやるべきことはたくさんある」と訴えた。

(筆洗)どうして戦争をしてはいけないのか - 東京新聞(2018年11月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018110402000184.html
https://megalodon.jp/2018-1104-1009-12/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018110402000184.html

どうして戦争をしてはいけないのか。いろんな答えがあるだろう。人の道に反するから、命の重さゆえ、理由以前に…。ひとつ、とても簡単な回答法がある。パリ不戦条約以来、戦争は違法になったというものだ。
不戦条約は一九二八年、日本を含む大国が調印した。今年は九十周年の節目の年にあたる。ただ、忘れられた条約という呼び名もある。戦争違法化という画期的な内容に比べ、この条約のありがたみは薄いようにも思える。
条約は自衛権を認めていて、解釈の余地も残された。調印の十一年後に第二次大戦が始まっている。違法化といいながら、大戦を防げなかった。薄い印象の一因だろう。
最近、その見方を揺さぶる論考が登場した。米国の法学者二人による『逆転の大戦争史』(文芸春秋)によれば、条約を機に、経済封鎖などによる制裁が機能する、新しい世界秩序の時代になる。
戦争が合法だった条約以前、十カ月に一度もあった領土の征服は、大戦後に、千年に一、二度にまで減った。中東の内戦などで、戦火は絶えないという実感はあろうが、侵略は激減しているのだと研究成果は語る。
不戦条約の内容に似ているのが、日本国憲法の九条一項である。戦争をしてはいけないという新しい世界秩序の明確な表れだ。大国の一国主義が世界秩序を脅かしそうにみえるなか、重みを考える節目の年かもしれない。

週のはじめに考える ガラスの天井は破れる - 東京新聞(2018年11月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018110402000185.html
https://megalodon.jp/2018-1104-1025-53/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018110402000185.html

不正入試や女性閣僚が一人の内閣。この国のガラスの天井の厚さにあらためてびっくりです。その閉塞(へいそく)感は女性だけの不運、不幸でしょうか。
まずはニーブという一人の赤ちゃんの話から始めることにします。お母さんはニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相。九月には国連総会にも一緒に行きました。お父さんのクラーク・ゲイフォードさんはツイッターでこんな投稿をしています。

◆移民の夢が変化を促す
<昨日、国連の会議室でおむつを替えてる最中に入ってきた日本の代表団のびっくりした顔を写真に撮れれば良かったんだけど>
ニーブの初めての海外旅行は、世界の人にも(少なくとも日本の代表団には)初体験となる驚きをもたらしたのでした。
人口四百七十万人余の小さな国ニュージーランドはいくつもの「世界初」を生み出しています。一つが女性参政権。一八九三年九月に法律が可決されました。中心的な役割を果たしたのはケイト・シェパードという女性です。
父の死後、英国からニュージーランドに移住し、雑貨商の夫と結婚。キリスト教系の女性団体で参政権獲得に奔走しました。「人種や階級、信条や性別など、あらゆる分断は克服されるべき」と訴え集めた署名は三万人以上。人手不足の移民国家で、女性が貴重な労働力として存在感があったことも参政権実現を後押ししたと考えられています。
移民たちには新天地を「旧世界」とは違う国にする夢もありました。八時間労働制は、大工が「一日の三分の一は睡眠、三分の一は好きなことに使う」と主張したことが始まりです。出身の英国では十二時間労働が当たり前でしたが「ここはロンドンじゃない」と朝六時から働けという依頼主の命令を突っぱねたそうです。

◆「公事」と「私事」壁厚く
シェパードが求めたような分断の克服を模索する政治は、最低賃金制度や児童手当法などを世界に先駆けて実現させていきます。現在、国会の女性議員比率は40%近くに達しています。仕事以外の人生を大切にする価値観も尊重され、家族との時間を確保したいと辞任した男性の首相もいます。ニーブは百二十五年かけて積み上げられた多様性のゆりかごに揺られているのです。
さて、翻って日本です。実は、ニュージーランドよりも早い一八八〇年に区会選挙で女性参政権が認められた町が高知県にあります。夫と死別した楠瀬喜多という女性が「戸主として納税しているのに、女だから選挙権がないのはおかしい」と国に訴え出たのです。高知は自由民権運動がさかんで、楠瀬も「民権ばあさん」と呼ばれました。
しかし法改正で参政権は四年で消滅し、次に女性が一票を投じることができたのは戦後。衆院での女性議員比率はいまだ10%台にとどまっています。
女性参政権の空白期間となっていた一九三〇年、女性史の創始者高群逸枝は「公事」「私事」という言葉を使って女性を阻む天井の正体を考察しています。「支配階級を益する労働」である公事が尊いとされる社会では、生活にまつわる私事は「支配者への奉仕率を低減する」として蔑視されます。そのため出産などで公事から脱落する女性は、男子より低い地位におかれるというのです。
九十年近くたった今も、病院の運営を優先し、女性が医学部の入試で差別されるような事態が続いています。それ自体も悲しいことですが、公事と私事の壁が分厚い社会で、公事に閉じ込められた人たちも長時間労働に疲弊し、過労死に追い込まれています。ガラスの天井の厚い社会は、別の壁もつくりだし、性別問わず人々の生きづらさを増しているのではないでしょうか。「生産性」にも決して寄与しないでしょう。人口減少など未知の課題に直面し、多様な知恵を寄せ合うことが必要なこれからの社会では、なおさらに。

◆一票の「滴」で少しずつ
少しずつ変化は生まれています。新潟県津南町では二児のお母さん、桑原悠さんが三十一歳で全国最年少の町長になりました。ニュージーランドの研究者で、山形県酒田市の副市長に起用された矢口明子さん(51)は「日本一女性が働きやすい町」を掲げ、長時間労働是正などに取り組んでいます。
ニュージーランドの十ドル札になったシェパードは、こんな言葉を残しています。
「一票にたいした意味はないと考えないで。乾燥した大地を潤す雨も一滴からできているのだから」
来年は統一地方選参院選があります。一票という滴(しずく)には、天井や壁を破る力もあるはずです。

(東京エンタメ堂書店)質高い「わかりやすさ」 岩波ジュニア新書 山本慎一編集長 - 東京新聞(2018年10月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/entamedo/list/CK2018102902000182.html
https://megalodon.jp/2018-1104-1019-53/www.tokyo-np.co.jp/article/book/entamedo/list/CK2018102902000182.html

岩波ジュニア新書は、中学生や高校生をおもな読者とする、他にあまりない個性的な新書です。
学校の勉強を深めるための副読本、広く社会を知り基礎的な知識を身につけるための入門書、そして友人関係や恋愛の悩みに応えたり、将来の進路を考えたりするうえで役立つ生き方案内として中高生に親しまれています。
来年創刊四十年を迎えますが、これまでに茨木のり子著『詩のこころを読む』や川北稔著『砂糖の世界史』などのロングセラーを数多く出版してきました。
特に教育現場でよく読まれていて、学校の授業で使われたり、課題図書に指定されたりすることが多く、入試問題に採用されることも頻繁にあります。
主体的な学びやアクティブラーニングの重要性が高まるなかで、生徒が自ら学んで考えるための教材として役立てられています。
ジュニア新書をつくるうえで心がけているのは「わかりやすさ」です。中高生向けだからといって大人の本より質やレベルを落とすわけでは決してありません。
専門用語を使ったり難解な言い回しをしたりすることなく、最も重要なことを的確に伝えるように工夫を凝らしています。書き手が著名な作家や大学教授であっても、「わかりやすさ」のために、納得のいくまで何度も書き直しをお願いすることもあります。
内容が濃く、しかも読みやすいので「大人の学び直し」に最適、という評価もいただいています。
テーマや書き手は、「若い世代にいま伝えるべきことは何か」を、徹底的に議論して決めます。大人の意見を一方的に押し付けるのではなく、中高生が本を読みながら自分で考えることができるようにしています。
既に選挙権年齢が十八歳に引き下げられ、二〇二二年四月には成人年齢も引き下げられます。ジュニア新書には、環境問題や人権・平和、国際情勢、科学技術などさまざまなテーマの本があるので、若い世代がこれらの本を読んで、広く世の中に目を向けていってほしいと思っています。
編集部に中高生から感想が寄せられることも多く、学校図書館でジュニア新書を読んでいる生徒に出会うこともよくあります。ジュニア新書を読んでくれる中高生がたくさんいるので心強いですね。


◇お薦めの3冊
◆「正解」ない課題に対し
<1>名古谷隆彦著『質問する、問い返す』(929円) 主体的・対話的な学びに注目が集まるなか、教育現場への豊富な取材をもとにさまざまな事例を取り上げます。「正解」のない課題に向き合う、これからの「学び」のあり方について多角的に検討します。「学ぶ」ということはどういうことなのかを改めて考えさせられる本です。


◆激動の30年、テーマ解説
<2>後藤謙次著『10代に語る平成史』(972円) テレビの報道番組のコメンテーターとして活躍する政治ジャーナリストによる1冊。消費税の導入、バブル経済の終焉(しゅうえん)と失われた20年、テロとの戦い、沖縄の苦難、日韓・日朝関係、自然災害など、テーマごとにわかりやすく解説します。激動の30年が1冊でわかるコンパクトな現代史入門です。

◆10代向け「生活力」養成本
<3>南野忠晴著『正しいパンツのたたみ方』(907円) あなたは二つ折り派? それとも三つ折り派? 悩ましいパンツ問題を皮切りに、ご飯の作り方、お金とのつき合い方、時間の使い方や働き方など、自立した生活に必要な知識をアドバイスします。家庭科の授業から生まれた、10代のためのユニークな「生活力」養成ガイドです。

正しいパンツのたたみ方――新しい家庭科勉強法 (岩波ジュニア新書)

正しいパンツのたたみ方――新しい家庭科勉強法 (岩波ジュニア新書)

◆筆者の横顔
<やまもと・しんいち> 1963年生まれ、55歳。学校図書館を訪ねる機会がよくあります。機能的で使いやすく、しかも居心地が良いように工夫されている所が多くて興味深いですね。中高生の皆さんと学校図書館で会うのを楽しみにしています。

北杜中1いじめ 第三者委「秘密」 市教委、開示拒否 - 毎日新聞(2018年11月4日)

https://mainichi.jp/articles/20181104/k00/00m/040/121000c
http://archive.today/2018.11.04-011224/https://mainichi.jp/articles/20181104/k00/00m/040/121000c

山梨県北杜市で当時中学1年の女子生徒(14)が自殺を図り、いじめ被害を訴えたにもかかわらず、学校側が「重大事態」と判断しなかった問題で、市教委が家族側に第三者委員会メンバーの名前や選定理由の開示を拒んでいる。国は2度開示を促したが、市教委は拒否し、第三者委は一度も開かれていない。埼玉県川口市でも同様の問題が発覚しており、いずれのケースも実態解明の遅れを招いている。
女子生徒の家族や北杜市教委によると、市教委は家族の要望を受け、7月に第三者委員会の設置を決めた。メンバーは弁護士や臨床心理士、県教委や児童相談所の職員ら8人とみられる。家族側が委員の名前と選んだ理由の説明を求めたが、市教委は「公平性・中立性は確保されている」として具体的な回答を控え続けた。文部科学省は7月と9月に「柔軟な対応」を求めたが、変化はないという。
学校側が第三者委向けに作成した資料によると、学校と市教委は時系列のメモを作成。対応にあたった生徒指導担当と女子生徒の関係について「(面談で)緊張がとれ、女子生徒がリラックスしていくのが分かった。何かの呪縛が解けたように心が解放されていくのが分かった」「女子生徒にとって(担当への)信頼は大きく、救いとなっている」などと記述。一方、家族との関係について「問題がある」「愛情不足」「(家族の言葉が)自死への衝動を助長させてしまう可能性もある」などと記していた。
家族は「第三者委の名前を示せない理由が分からないし、メモの内容も一方的で信用できない」と不信感を強めており、委員会も開催されていない。女子生徒は「事実と異なることばかり。先生たちは全力でやっているという感じだが、そこまで話せる仲ではなかった。相手は大人だけれど、しっかり反論したい」と話した。
三者委については、川口市教委もメンバー名や審議内容を、いじめを訴え自殺を図った生徒と家族に開示せず、委員会が開けない状態が続いている。
一方、学校と市教委は2日夜、緊急保護者会を開催した。この場で別学年の女子生徒の保護者が別のいじめ被害を訴えた。
保護者によると、女子生徒は5月ごろから殴られたり、私物を隠されたりしたため、担任にいじめ被害を伝える作文を提出した。しかし「話を聞いてもらえなかった」と話していたという。
一連の報道をきっかけに、女子生徒から「もしものことがあったらすべてノートに書いてあるから」と明かされ、保護者が確認したところ「誰か助けて」などと記されていた。
保護者は「あした死ぬかもしれない子が学校にいることを忘れないでください。子どもの話を聞いてあげてください」と訴えた。【野呂賢治、井川諒太郎】

(余録)小学校や中学校が統廃合で減り続けている… - 毎日新聞(2018年11月4日)

https://mainichi.jp/articles/20181104/ddm/001/070/176000c
http://archive.today/2018.11.04-011524/https://mainichi.jp/articles/20181104/ddm/001/070/176000c

小学校や中学校が統廃合で減り続けている。平成元年の1989年には小中学校は計3万6115校あったが、今年は計3万162校になった。生まれてくる子どもが減り続けているためだ。
もう一つ、学校減少の要因になりそうなのが不登校の増加である。文部科学省によると、2017年度に年間30日以上欠席した「不登校」の児童・生徒(高校生を含む)は前年度比6・3%増の19万3674人で過去最多となった。
92年の旧文部省通知で、フリースクールなどに通えば出席扱いされるようになってから、学校に来ない子は増えた。学校に行きたくない子どもには救いとなった。だが、学校への復帰が前提の制度だったため、再び登校を強いられて傷つく子も多かった。
最近は家庭の貧困と孤立が不登校の背景にあることも指摘される。虐待やネグレクトのために生活習慣が身につかず、勉強についていけない子が増えている。いじめにあい、学校に適応できず、不登校になるという。
「先生は自分が担任をしている年度内に問題解決をしようと急ぐ」「クラス全員を見なければいけない先生に余裕はない」。困窮家庭の子を支援している専門家らは学校復帰の難しさを強調する。
昨年、文科省フリースクールなどを積極的に容認する方針を打ち出した。無理に学校に来なくてもよいという大転換だ。学校は数が減るだけでなく、唯一絶対の存在ではなくなりつつある。「不登校」という言葉が使われなくなる日が来るかもしれない。

防衛相誤認発言 事実ゆがめた責任重大だ - 琉球新報(2018年11月4日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-828839.html
http://web.archive.org/web/20181104011423/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-828839.html

記者会見で大臣が説明したことが、事実と違っているなどと誰が思うだろうか。しかし岩屋毅防衛相は2日の会見で、明らかに事実と違う説明をした。その発言はテレビやインターネットなどを通して全国に発信され、多くの人に事実に反する情報が広がってしまった。
発言は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の埋め立てに使う土砂搬出に関するものだ。埋め立て土砂の搬出業者が出した本部港塩川地区の岸壁の使用許可申請に対し、本部町が受理しなかったことに「(本部町は)沖縄県から新たな申請を受けないようにと指導されている」と発言した。
現在、辺野古新基地建設を巡って、移設阻止を掲げる県と、移設を強行している国とでは対立関係にある。防衛相の発言は、あたかも新基地に反対する県が意図的に妨害をしているかのような印象を与えるものだ。
しかし県も町も琉球新報の取材に「指導はなかった」と全面否定している。本部港は県管理だが、使用許可権限が県から町に委譲されている。県はそもそも指導する立場にはなく、指導権限もない。
町は2017年10月に業者が出した申請については許可している。それは港湾法13条に「何人に対しても施設の利用その他港湾の管理運営に関し、不平等な取り扱いをしてはならない」と記されているからだ。
許可を受けた業者は12月から港を使用して石材を搬出している。今年8月末まで、石材を積んだ大型車両が頻繁に出入りし、港を拠点に積み出し作業が繰り返された。
このため建設に反対する市民は港を管理する県を批判し、使用許可を取り消すよう迫った。しかし県は「使用許可の判断をするのは県ではなく町だ。使用の可否を判断する立場にはない」との見解を示した。町が許可した判断に口出しできないとする立場を明確にしている。
今回、業者が出した申請は、前回の使用許可が9月末に期限を迎えていたことで再申請したものだ。これに対して町は受理しなかった。理由は明白だ。9月に本島に接近した台風24号の影響で、港の六つある岸壁のうち、三つの岸壁が陥没するなどの損傷を受け、使用できないからだ。
ただ単に物理的に受け入れられないのだ。辺野古新基地の工事かどうかに関係なく、町は「これ以上は許可できない状況だ」との立場だ。
防衛相は一体、何を根拠に「県から指導されている」などと断定的に説明したのか。極めて不可解だ。結果的に、県がなりふり構わず建設阻止に動いているとの印象を全国に植え付けたことは否定できない。
事実に基づかない「フェイク(偽)」情報が世界的に問題になっている。事実をゆがめた責任は重大だ。防衛相は自身の発言を訂正する責任がある。