先週発売『週刊文春』の片山さつき大臣疑惑は、本紙が6年近くも前に指摘 - Access-Journal(2018年10月22日)

https://access-journal.jp/12571

10月11日発売の『週刊文春』(10月18日号)が、片山さつき参議院議員が10月2日、第4次安倍改造改革で紅一点、内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革、男女共同参画)になったことを機に、第一弾として、政治資金問題(元恐喝犯からの1400万円の借金)を報じたのはご存知の通り。
元恐喝犯とボカし、実名報道してなかったこともあり本紙は確認を怠っていたのだが、何と、この福田氏、本紙がすでに2012年12月3日に「あの『自民党同志会』福田会長の支援を受けている片山さつき参議院議員」というタイトル記事でズバリ指摘していたことではないか。
しかも、『週刊文春』記事では、肝心の「収支報告書」の約1400万円借入の借入先(福田氏個人)を黒塗りにしているが、本紙はその部分を隠さず転載してもいた。
さらに、本紙では単に1400万円借り入れているだけでなく、福田氏は「片山さつき後援会連合会」事務総長という肩書きの名刺を使っていたとして、その名刺写真も転載していた(名刺には、1400万円借り入れた片山大臣の政治団体「高輪皐月政経懇話会」の記載もある)。
さらに、『週刊文春』ではその1400万円を使った会社2社の実名も報じていないが、本紙では報じている。
また、この福田氏が恐喝の前科を隠すため、以降、通称名で通していたこともスッパ抜いている。
これを機に、是非、ご覧いただきたい。
それにしても、福田氏は反社会勢力といってもいい人物。
本紙スクープの安倍首相と小山佐市氏の関係同様、有力政治家と反社との持ちつ持たれつの関係の一端が浮上してしまったということだろう。親分(安倍首相)にして、この子分(片山氏)ありということか。

防衛局「県は権限乱用」 承認撤回停止文書 国の「私人」性強調 専門家、国の立場「矛盾」 - 琉球新報(2018年10月23日)

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-822592.html
http://web.archive.org/save/https://ryukyushimpo.jp/news/entry-822592.html


米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡り、沖縄防衛局が県の埋め立て承認撤回取り消しと執行停止を求めた件で、沖縄防衛局は国土交通相に提出した文書で故翁長雄志前知事の「撤回を必ず行う」との発言などを挙げ「結論ありきで行政権限の乱用だ」と主張していることが22日、分かった。その上で撤回処分は「違法で不当」だと結論付けた。2015年に県が承認を取り消した際と同様、「国も私人と同じ立場で行政不服審査法に基づき審査請求できる」と強調している。
琉球新報が同日までに入手した審査請求書と執行停止申立書で判明した。県は撤回について「法に基づき判断した」と主張、正当な権限行使だと説明している。
「私人と同じ立場」の理由として政府は仲井真弘多元知事から通常の事業者と同じ手続きで埋め立て承認を得たことなどを挙げている。ただ、撤回で生じる不利益に普天間飛行場の固定化や米国との信頼関係が損なわれることなどを挙げている。
これについて白藤博行専修大教授(行政法)は「私人と同じだと言いながら国益の損失を主張している」と矛盾を指摘した。
防衛局は、県による埋め立て承認撤回について(1)県は防衛局に十分な反論機会を与えずに撤回した(2)県が示す撤回理由が抽象的な恐れや可能性を示すにとどまる(3)撤回による甚大な不利益が生じる(4)行政権の乱用だ―などと主張している。
その上で、埋め立て工事ができなければ、普天間飛行場の危険性除去が滞って見通しが立たなくなるとし「辺野古移設が唯一の解決策」との考えを強調した。
執行停止申立書では、工事が停止している間も現場の維持管理などに1日当たり約2千万円の支出があることなどを記述し、工事を再開する緊急の必要性があるとした。
執行停止の取り消しを求める審査請求書と添付書類は65ページ、効力の停止を求める執行停止申立書と添付書類は13ページある。

沖縄防衛局が作成した審査請求書

(政界地獄耳)よくパラリンピックなどといえるもの - 日刊スポーツ(2018年10月23日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201810230000176.html
http://archive.today/2018.10.23-044403/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201810230000176.html

★行政では内閣官房内閣府宮内庁公正取引委員会消費者庁)、総務省法務省公安調査庁)、外務省、財務省国税庁)、厚労省農水省水産庁)、経済産業省特許庁)、国交省海上保安庁観光庁気象庁運輸安全委員会)、環境省防衛省(防衛装備庁)、人事院会計検査院の28機関。立法では衆議院事務局、参議院事務局、参議院法制局国立国会図書館。北海道や東京都などを除く全国37府県、2政令指定都市、5市町村、2つの警察本部が17年6月1日時点までで最長で42年間にわたって障がい者雇用水増しが行われていた。

★22日、中央省庁の障がい者雇用水増し問題を調査した第三者検証委員会は不正に3700人を障がい者として計上していたとする報告書を発表した。省庁別では国税庁が1103人で最多。国交省629人、法務省512人、防衛省332人と続いた。制度を所管する厚生労働省でも不正は行われていた。発覚した当初、水増ししていた大臣や自治体の首長たちは口々に「ルールを知らなかった」「障害者手帳の提示を知らなかった」など、子供だましのような言い訳をしていたが、極めて悪質で障がい者雇用問題を理解せず、また彼らの雇用を妨げていた。

★これでは障がい者差別を撲滅すべき中央官庁や地方自治体が推進していたといわれても仕方がない極めて悪質な行為かつ、健常者の職員を恣意(しい)的に障がい者と見なす悪質な手口が長年横行していたことになるが、自らも手を染めていた厚労省のトップである厚労相根本匠は「政府として真摯(しんし)に受け止め、今回の事態について深く反省したい」とした。また官房長官菅義偉は「検証結果を真摯に受け止め、再発防止と法定雇用率の速やかな達成に向けて政府一体で取り組む」と述べた。そのくらい誰でもいえる。関係官庁や地方自治体のトップと担当者は国民に向け、障がい者や関係者、まじめに障がい者を受け入れ雇用を続けている企業に対して明確な謝罪と、速やかな改善策を実行すべきだ。これでよくパラリンピックなどといえるものだ。(K)※敬称略

核軍縮の破棄 歴史に逆行する愚行 - 朝日新聞(2018年10月23日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13735533.html
http://archive.today/2018.10.23-002005/https://www.asahi.com/articles/DA3S13735533.html

核戦争の恐怖と隣りあわせに暮らした冷戦時代に時計の針を戻すつもりなのか。トランプ米大統領が、核戦力を縛る条約の一つを捨てる決定をした。
INFと呼ばれる中距離核戦力の全廃を決めた条約である。1987年に当時の米国とソ連が結んだ史上初の核兵器削減条約であり、冷戦の終結を予感させる歴史的な合意だった。
核大国の米国は、核の広がりを防ぐ国際条約により核軍縮の義務を負っている。それが逆に核軍拡へかじを切るのは愚行というほかない。
トランプ氏は、ロシアの側に非があると主張している。オバマ前政権の時から、ロシアは条約違反の巡航ミサイルを開発・配備していたという指摘だ。
ロシアの兵器開発に問題があるなら、条約を盾に圧力をかけて変更を迫るのが筋だ。貴重な取り決めの性急な破棄は、ロシアのさらなる開発と配備を許す逆効果をもたらすだろう。
INF条約は、旧ソ連の中距離ミサイルが届く西欧の安全を念頭に作られた。特定の射程を持つ地上発射型だけを対象とするのは、今の時代としては内容の狭さが目立つのも事実だ。
トランプ氏は、中国の急速な核強化にも言及した。今では、インド、パキスタンなども核保有し、国際条約に縛られていない核開発が進んでいる。
しかし、その問題をただす道は、対抗的な核軍拡ではない。たとえ不十分ではあっても核開発にブレーキをかけてきた既存の枠組みや条約を土台に、核兵器の役割と数量を減らす規制を拡張していくことが重要だ。
07年にシュルツ、キッシンジャー両元米国務長官らが提唱した通り、核の力で安全を守るという抑止論は脱却するときだ。偶発的な衝突や判断ミス、核の流出のおそれ、経済的負担などを考えれば、核に依存する世界は危うい。
米国の取るべき道は、ロシアとともに、中国なども巻き込んだ実効性のある核軍縮の枠組みづくりや信頼の醸成である。
米ロの間にはまだ、大陸間弾道ミサイルなどを対象とした新戦略兵器削減条約がある。21年の期限切れをにらみ、延長の交渉が続いている。この対話の場も生かして、両国だけにとどまらない核軍縮の道筋を探らねばならない。
戦争被爆国の日本にも責務がある。北朝鮮問題を含め、今のままではアジア太平洋は核がひしめく危険地帯になる。安倍首相は、トランプ、プーチン習近平(シーチンピン)各氏との会談の機に、核軍縮の重要性を説くべきだ。

米がINF条約離脱方針 核軍拡の歯止めを外すな - 毎日新聞(2018年10月23日)

https://mainichi.jp/articles/20181023/ddm/005/070/067000c
http://archive.today/2018.10.23-002155/https://mainichi.jp/articles/20181023/ddm/005/070/067000c

1987年12月、ワシントンで中距離核戦力(INF)全廃条約に調印したレーガン米大統領ゴルバチョフソ連共産党書記長の力強い握手は、東西冷戦の終わりを告げる象徴的な光景だった。
それから30年余り、トランプ米大統領はINF条約から離脱する意向を表明した。旧ソ連の条約継承国・ロシアが同条約に違反しており、中国の核軍拡も米国にとって大きな脅威になっているからだという。
ロシアの「違反」については北大西洋条約機構NATO)の事務総長も認める見解を示しており、必ずしもトランプ政権の独断とはいえない。だが、「離脱ありき」で突き進むのはあまりに危険である。
現在、タカ派で知られるボルトン米大統領補佐官がロシアを訪れ折衝を続けているが、離脱は思いとどまってほしい。ロシアも違反を否定するなら誠実に潔白を証明すべきだ。
射程500〜5500キロの地上発射型の弾道ミサイル巡航ミサイルを全廃する同条約は核軍縮における歴史的成果である。条約がなくなれば米露は再び欧州などで中距離核の配備に動くだろう。日本周辺の緊張が高まることも避けられない。
また2021年には米露の新戦略兵器削減条約(新START)の有効期限が切れる。核軍拡の数少ない歯止めである両条約が失効すれば、冷戦中のような軍拡競争が始まり、新たな核保有国も出現しかねない。北朝鮮非核化をめざす米朝交渉にとっても、米国の条約離脱が大きなマイナス要因になるのは必至だ。
むしろINF条約の精神に沿って核軍縮を推進すべきである。トランプ政権は核態勢に関する報告で特にロシアの脅威を強調し「小型核」の開発・配備にも言及した。だが、脅威に対抗して軍拡に走るより、世界の脅威を減殺する国際交渉を主導する方が有益なのは言うまでもない。
この問題の背景に見えるのは、核拡散防止条約(NPT)に反して核兵器の削減・全廃の努力を怠り、核兵器禁止条約も相手にしない核保有国の姿だ。本当にNPTを尊重しているなら、米露はINF条約を存続させ、新たな軍縮交渉を始めるべきだ。30年前とは比較にならぬ核戦力を持つ中国も加えて、米露中が真剣に核軍縮交渉を行う時である。

(米「INF)」破棄表明)核軍縮を後退させるな - 沖縄タイムス(2018年10月23日)

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/333852
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トランプ米大統領が、米国と旧ソ連で交わされた中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄する方針を表明した。
東西冷戦時代の1987年、レーガン米大統領ソ連ゴルバチョフ共産党書記長との間で締結された条約である。80年代末の冷戦終結を後押しし、核軍縮の潮流をつくった画期的な合意だった。
核兵器を削減する史上初の条約は、米ソが地上配備の中・短距離核ミサイル(射程500〜5500キロ)を88年から3年以内に、全廃すると定めた。実際に91年までに両国で計2692基を廃棄する成果を上げた。
オバマ前政権が打ち出した「核なき世界」からの方針転換である。トランプ政権は2月に新たな核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」を公表。爆発力が低く「使える核兵器」といわれる小型核や、海上発射型の核巡航ミサイルの開発を盛り込んだ。条約の破棄はその流れの中にある。
米国の破棄の背景には米ロの相互不信がある。
米軍は昨年3月、ロシアが地上発射型巡航ミサイルを配備したのを初めて確認したと発表。条約に違反していると指摘する。一方、ロシアは米国がルーマニアなど欧州に配備したミサイル防衛(MD)システムは巡航ミサイルを発射する攻撃兵器に転用可能だとして違反と主張している。
破棄には6カ月前の通告が必要とされ、ロシアを訪れているボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が伝えるとの見方も浮上。米国が条約を破棄すれば、ロシアばかりでなく中国も核軍拡競争に陥る恐れがある。冷戦時代に逆戻りしかねない。

■    ■

条約を締結したゴルバチョフ氏は米国の破棄方針を「誤りだ」と批判。条約が破綻すれば「米ソの核軍縮に向けた全ての努力を崩壊させる」と警告した。
ロシアは「世界をより危険にする」と破棄方針に懸念を表明した。トランプ氏に条約に縛られず中距離ミサイルを開発していると批判された中国は「中国を言い訳に使うことは完全に間違っている」と反発した。
ドイツも、条約が軍縮に有効で「とりわけ欧州各国の国益にかなうものだ」と、北大西洋条約機構NATO)加盟各国と対応を協議する考えを示した。
日本はといえば菅義偉官房長官が記者会見で「米ロの動きを注視したい」と述べるだけで、腰が引け、政府の方針が見えないのである。

■    ■

日本は唯一の戦争被爆国である。米国の「核の傘」の下にあるのも事実だが、本来なら核軍縮に向け国際社会の先頭に立たなければならない。
条約は欧州における核戦争回避が主な目的だったが、米国が破棄した場合、米、ロ、中が核軍拡競争に突入し米軍基地が集中する沖縄にも影響が出る恐れが払拭(ふっしょく)できない。
米国が北朝鮮に非核化を求める一方で、自身は条約を破棄し核開発を進めるのは整合性がとれない。国際社会を不安定化させるだけである。
日本政府は米国の顔色をうかがい追随するだけでなく、破棄を思いとどまらせるよう働き掛けるべきだ。

(筆洗)トランプ米大統領がINF廃棄条約からの離脱を表明した - 東京新聞(2018年10月23日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018102302000151.html
https://megalodon.jp/2018-1023-0923-01/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018102302000151.html

「ざわめきも今はなく ものみなまどろむ 君知るや すばらしき夕べのひととき」。「モスクワ郊外の夕べ」は旧ソ連時代の国民歌謡で米国や欧州、日本でも広まった。歌われているのは愛する人のことを想(おも)うおだやかで平和な故郷の夕べの光景であろう。
この曲をピアニストが突然弾き始めた。聞き覚えのある曲にその場にいたソ連と米国双方の人々が歌い始め、大合唱になったらしい。一九八七年十二月、ホワイトハウスレーガン米大統領によるゴルバチョフソ連共産党書記長歓迎会での一場面である。
この訪米時に米ソ首脳は核軍縮やその後の冷戦緩和につながった中距離核戦力(INF)廃棄条約に調印している。「私たちは、感情のほとばしるままに歌いだし、二カ国語で歌がひびきわたりはじめた」。ゴルバチョフさんの回想である。
その合唱はINF廃棄条約調印によって、それぞれの故郷を核戦争から遠ざけられるという両国の安堵(あんど)の歌であったかもしれぬ。
先人たちが声を合わせた、あの歌に背を向けるのだろうか。トランプ米大統領がINF廃棄条約からの離脱を表明した。さむけがする。
ロシアが守らぬ。中国が制約を受けない。米国にも言い分はあろう。が、離脱は核軍縮のたがを失わせ、人類全体の平和な「夕べ」を不安定にしかねない。「ざわめきは今や戻り ものみなおびえる」。ごめんである。

INF条約離脱 核軍拡を阻む新合意を - 東京新聞(2018年10月23日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018102302000179.html
https://megalodon.jp/2018-1023-0923-56/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018102302000179.html

核軍拡の歯止めがなくなる恐れがある。トランプ米大統領が中距離核戦力(INF)廃棄条約からの離脱を表明した。日本の安全保障環境の悪化も懸念される。核軍縮へ新たな国際合意が必要だ。
米国が旧ソ連と結んだ核軍縮条約を破棄に追い込んだ例としては、ブッシュ(子)政権が二〇〇一年、ミサイル防衛計画の足かせになっていた弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの離脱を通告したことが挙げられる。
その時もロシアの反対を押し切り一方的に離脱へ走った。だが、INF条約の場合、かつてはロシアの方が破棄を望んでいた。
ブッシュ(子)、オバマ両政権で国防長官を務めたロバート・ゲーツ氏の回顧録イラク・アフガン戦争の真実(邦訳)」によると、〇七年に会談した当時のイワノフ・ロシア国防相は、射程五百〜五千五百キロの中・短距離核ミサイルの全廃を規定したこの条約について「米ロの二カ国のみがこのようなミサイルを配備できないというのはおかしい」と主張した。
そのうえで「中距離弾道ミサイルを西側に展開するつもりはないが、南と東、つまりイラン、パキスタン、中国に対しては配備したい」と告げた。
これにゲーツ氏は条約を破棄したいのなら「ご勝手にどうぞ。米国は条約破棄を支持しない」と応じた。
トランプ氏も離脱の理由として、ロシアの条約違反に加えて中国の戦力増強を挙げた。条約に縛られる米ロを尻目に、中国のミサイル開発は著しい。この四月には、米軍基地のあるグアムを射程に収め「グアム・キラー」と呼ばれる「東風26」の実戦配備を明らかにした。
だが、中国に対抗するためとはいえ、INF条約から離脱するのは乱暴である。影響も深刻だ。米ロ間ばかりか米中間でも軍拡競争を招きかねない。東アジアの緊張が高まり日本にも脅威になる。
半面、INF条約が調印された冷戦末期とは異なり、技術拡散は進んで北朝鮮やイランなどもミサイルを保有する。米ロだけの二国間条約がこの現状に合わないのも事実だ。
ミサイル開発・保有にたがをはめる新たな多国間条約を考える時期に来ている。道は長く険しいだろう。それでも、INF条約という画期的な軍縮を成し遂げた米ロが、この実現へ主導的な役割を果たすよう望みたい。

「憲法審が強硬派に」自民・船田氏が警鐘 - 東京新聞(2018年10月23日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201810/CK2018102302000137.html
https://megalodon.jp/2018-1023-0925-14/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201810/CK2018102302000137.html

自民党の船田元(はじめ)・衆院議員=写真=が二十二日、自らのブログを更新し、衆院憲法審査会で野党側と交渉に当たる布陣が「強硬派」に代わったとして懸念を表明した。「野党の反対を押し切って(改憲案を)国会発議できたとしても、国民投票過半数の賛成を得られなくなる可能性が高い」と警鐘を鳴らした。
衆院憲法審では、与野党協調を重視した中谷元(げん)氏が与党筆頭幹事から外れ、首相に近い新藤義孝氏に交代。船田氏も幹事を外れた。
船田氏は、自らと中谷氏が「野党との話し合いを重視しつつ憲法改正を進める『協調派』とも呼ばれていた」と説明。「『強硬派』と呼ばれる首相に近い方々が、野党との交渉の前面に立つこととなった」と指摘した。
その上で「国民投票過半数の賛成を得るためには、少なくとも野党第一党との合意が必要」と忠告。今回の人事は「それでは待てないとする強硬派によって審査会を運営するというメッセージを内外に示した」と評した。 (清水俊介)

(私説・論説室から)広がる「ニュース砂漠」 - 東京新聞(2018年10月23日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018102202000134.html
https://megalodon.jp/2018-1023-0926-06/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018102202000134.html

ワシントンでの特派員勤務を終えて十三年がたった。この間、米国では、自分の想定とは異なることが相次いで起きている。
早くても二〇一二年と読んでいたオバマ氏の大統領選出馬は四年早まり、しかも当選を果たした。俗物扱いされていたトランプ氏までもがライバルを蹴落として大統領に。米国政治の変転は自分の想像をはるかに超えた。
メディアに目を転じれば、インターネットはフェイクニュースを拡散し、有権者の政治行動にも大きな影響力を持つに至る。当時の取材では、誤った情報はネットの持つ双方向機能で淘汰(とうた)されると楽観していたのだが…。
ネットの隆盛の一方で、最近発表されたノースカロライナ大学の調査によると〇四年以降、米国全体で五分の一超の地方紙が廃刊に追い込まれた。想像を超える速さだ。
全米三千百四十三郡のうち半数では現在一紙しか発行されておらず、地元紙が存在しない郡も二百郡近くに上る。
地域密着の新聞がなくなると、権力の監視役を失い、汚職と腐敗がまん延した、という別の米大学の研究結果もある。民主主義社会で新聞が担う役割は極めて重い。
地域ニュースが得られない状況を「ニュース砂漠」というらしい。ネットの隆盛は日本も米国と同じで、決して対岸の火事ではないが、知恵と工夫で砂漠化を阻止するのも、新聞に携わる者の役目だと思う。(豊田洋一)

中平和友好条約40年 関係深め 互恵と共生を - 琉球新報(2018年10月23日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-822580.html
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日本と中国の平和友好条約が発効して、きょうで40年になる。隣国の中国とは関係悪化が進んだこともあったが、条約で誓った「善隣友好の精神」を堅持していきたい。
日中平和友好条約は、国交正常化を決めた1972年の日中共同声明を踏まえて締結された。第1条で主権・領土の相互尊重、相互不可侵、内政不干渉を明記している。
この40年間で両国の関係は大きく変遷した。真の「平和友好」関係の実現にはまだ遠いのが現実だ。
中国の変化は著しい。改革・開放路線に大きくかじを切り、日本の支援も受け目覚ましい経済成長を遂げた。2010年には国内総生産(GDP)が日本を抜き、世界第2位の経済大国になった。
日本にとって中国は大きな市場となり、経済の相互依存は強まる一方だ。しかし、安全保障や歴史認識を巡っては摩擦も続く。
12年9月に日本政府が尖閣諸島を国有化した際は、中国が猛反発し、政治的には最悪の関係まで冷え込んだ。中国海警局の船による領海侵入は常態化し、緊張は今も続く。
そもそも尖閣琉球王国時代から琉球人の生活圏だ。不法行為は許されない。この海域での衝突は絶対に避けなければならない。
平和友好条約でも、紛争は平和的手段で解決し、武力には訴えないとうたっている。両国が冷静に対処し、外交努力と知恵を尽くすべきだ。
歴史認識も懸念材料だ。日本では歴史修正主義が台頭し、アジア諸国への侵略戦争を矮小(わいしょう)化する動きが目立つ。
日本軍の加害行為や南京事件を否定する言説も出ている。体験者の証言や学術的研究から既に確定した史実である。歴史をゆがめる反知性主義を放置してはならない。
98年の日中共同宣言では、中国侵略に対して日本が「深い反省」を表明した。しかし、安倍晋三首相は終戦の日の式典で、6年連続で加害責任に言及していない。歴史を直視しない姿勢は改めるべきだ。
中国にも改善すべき点がある。近年、軍事費を増強し、軍事大国への道を突き進んでいる。南シナ海への進出は覇権主義の動きで、周辺国に脅威を与えている。東アジアの平和と安定を脅かす行為は直ちにやめるべきだ。
条約第2条には、中国の要求で、双方が「覇権を求めない」と定めた。中国指導部は条文を読み直した方がいい。
両国の国民感情は良好とは言えない。日本では「嫌中」「反中」の空気が一部に漂う。中国は反日教育愛国心をあおる。その改善には国民の交流を一層進めることが大事だ。中国からの訪日客は飛躍的に増えている。互いの真の姿を知れば、偏見や先入観は薄まり、理解は進むはずだ。
歴史上もつながりの深い一衣帯水の両国。条約の原点に立ち返り、信頼関係を築いて「互恵」と「共生」を探る道を強く求めたい。<<