東海第二、新基準「適合」 被災原発で初 規制委了承 - 東京新聞(2018年7月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018070490140130.html
https://megalodon.jp/2018-0704-1548-45/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018070490140130.html


原子力規制委員会は四日の定例会合で、日本原子力発電(原電)の東海第二原発茨城県東海村)が、新規制基準に「適合」したことを示す審査書案を了承した。東日本大震災で被災した原発の新基準適合は初めて。再稼働には四十年の運転期限となる十一月末までに、二十年の運転延長の可否など残り二つの審査を通過する必要がある。さらに、周辺六市村の同意が必要で、一自治体でも反対すれば動かせない。(越田普之)

東海第二は震災で自動停止したが、外部電源を喪失。高さ約五・四メートルの津波に襲われ、非常用ディーゼル発電機の一部が使えなくなり、残りの発電機でかろうじて原子炉を冷却した。
事故を起こした東京電力福島第一と同じ沸騰水型という発電方式で、同型の新基準適合は東電柏崎刈羽6、7号機(新潟県)に続き二例目。
規制委は五日から一カ月間、意見募集(パブリックコメント)を実施。八月下旬にも、審査書案を正式決定する。
原電は二〇一四年五月に審査を申請。審査書案によると、津波の高さを最大一七・一メートルと想定し、原発の三方に高さ二十メートルの防潮堤を築く計画を立てた。火災対策として、総延長千四百キロに及ぶケーブルの四割弱を燃えにくいケーブルへ交換し、ほかは防火シートなどで覆う。重大事故で原子炉格納容器が破裂するのを防ぐため、内部の蒸気を抜くフィルター付きベント(排気)設備も整備する。
対策工事費は、当初試算の倍以上の千七百四十億円に膨らみ、原電は資金調達のため、東電と東北電力から支援を受ける。工事は二一年三月までに完了予定。
再稼働には運転期限の十一月二十七日までに、運転延長の可否と、設備の詳細を定めた工事計画について、規制委の認可が必要となる。工事計画の審査が原電の準備不足で遅れていたが、大型設備の性能試験を終え、間に合う見通しが立った。残りの審査も通過する公算で、廃炉は免れる。
原電は三月、東海村水戸市など三十キロ圏六市村から、再稼働の同意を得るとした新協定を締結。水戸市議会は六月、「住民理解を得ないままの再稼働は認めない」とする意見書を可決しており、同意が得られる見通しは立っていない。

<東海第二原発> 日本原子力発電が1978年11月に営業運転開始。出力は110万キロワットで、電気は東京電力東北電力に供給してきた。住民の避難計画策定が必要な30キロ圏の14市町村には、全国の原発で最多の約96万人が暮らす。都心に最も近い原発で、都庁までの距離は福島第一からの半分程度の約120キロ。放射能が漏れる重大事故が起きた場合、首都圏全域に甚大な被害を及ぼす可能性がある。

住民が逆転敗訴、大飯原発運転認める 名古屋高裁、福島事故後初の判断 - 福井新聞(2018年7月4日)

http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/614908
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関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを福井県などの住民が求めた訴訟の控訴審判決が7月4日、名古屋高裁金沢支部であり、内藤正之裁判長は運転を禁じた一審福井地裁判決の関電敗訴部分を取り消し、住民側の逆転敗訴を言い渡した。東京電力福島第1原発の事故後、原発訴訟の本訴に対する高裁判決は全国で初めて。
判決理由で内藤裁判長は、安全性審査に用いられた新規制基準に違法、不合理な点はないとした上で、「新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断にも不合理な点は認められず、発電所の危険性は社会通念上無視しうる程度にまで管理・統制されている」と述べ、住民側の訴えを退けた。
判決理由を読み上げている最中、傍聴席からは「なぜ福島の事故は起きたんだ」「(判決理由に対し)それが安全神話だ」などと怒号が飛んだ。内藤裁判長が「お静かに」と大きな声で制止する場面もあった。
住民側は2012年11月、福井地裁に提訴した。14年5月に樋口英明裁判長が「原発は社会的に重要だが、電気を生み出す一手段にすぎず、人格権より劣位にある」と指摘。「(人の生命、生活に対し)具体的な危険性があれば、運転が差し止められるのは当然」とし、原告189人のうち250キロ圏内に住む166人への人格権の侵害を認定した。
関電は判決を不服として控訴し、原告適格を認められなかった250キロ圏外の23人も控訴していた。
控訴審では13回の口頭弁論が開かれ、大飯原発地震対策を審査した元原子力規制委員長代理の島崎邦彦東京大名誉教授(地震学)が、耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)が過小評価になっていると証言した。
しかし内藤裁判長はその後、住民側が求めた専門家らの証人申請をすべて却下し、昨年11月に結審。住民側は「審理が尽くされていない」と主張し、結審後に弁論再開を5度申し立てていた。

関西電力大飯原発3、4号機
福井県おおい町にある関西電力の加圧水型軽水炉。3号機は1991年、4号機は93年に営業運転を始めた。出力はそれぞれ118万キロワット。東京電力福島第1原発の事故後、国内の稼働原発がゼロとなる中、当時の民主党政権が決めた「暫定的な安全基準」で唯一再稼働した。昨年5月に新規制基準に基づく原子力規制委員会の審査に合格し、11月に西川一誠福井県知事が再稼働に同意。今年3月に3号機、5月に4号機が再稼働し営業運転している。

自公 国民投票法改正案 今国会成立見送り - 毎日新聞(2018年7月4日)

https://mainichi.jp/articles/20180704/k00/00m/010/145000c
http://archive.today/2018.07.04-001126/https://mainichi.jp/articles/20180704/k00/00m/010/145000c

自民、公明両党は、憲法改正国民投票の詳細を公職選挙法に合わせる国民投票法改正案について、今国会成立を見送る方針を固めた。立憲民主党など野党が慎重姿勢を崩さない中、強行に採決すれば、与野党対立で改憲論議が停滞しかねないと判断した。改めて秋の臨時国会で成立を目指す。
衆院憲法審査会の自民、立憲両党の筆頭幹事は3日、審査会を5日に開き、改正案を審議入りさせることで合意した。5日は趣旨説明にとどめるため、22日の会期末までに衆参両院で審議日程は窮屈になっている。
自民党関係者によると、参院の定数を「6増」する公職選挙法改正案の成立を優先させたい参院自民党が、国民投票法改正案の参院での審議入りに難色を示している。今国会で改憲項目に関する与野党の議論が深まらず、国民投票制度を急いで整える必要がなくなったという事情もある。与党は衆院で継続審議扱いにする方針だ。
改正案は、駅や商業施設への共通投票所設置などを認め、現行の公選法とのずれを解消する。自公両党が日本維新の会希望の党と共同で提出した。【田中裕之、小田中大】

(ゲーム障害)実態把握と予防教育を - 沖縄タイムズ(2018年7月3日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/276949
http://web.archive.org/web/20180703005907/http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/276949

世界保健機関(WHO)が「ゲーム障害」を新たな疾病に認定した。
オンラインゲームやテレビゲームのやり過ぎで日常生活が困難になるゲーム依存が病気として認められ、「国際疾病分類」の最新版に加えられたのだ。
予防教育の充実と治療法の確立は待ったなしである。
依存症とは、特定の何かにのめり込み、「やめたくてもやめられない」状態をいう。ゲーム障害は、物質にはまるアルコールや薬物依存症とは異なり、特定の行為や過程に依存する病気だ。
スマートフォンタブレット端末の普及に伴い広がるゲーム依存は、日本をはじめ世界各国で問題化しており、特に若い世代で増えているという。
ゲームに夢中になり過ぎて昼夜逆転し、学校を休んだ。寝食を忘れて没頭した結果、体調を崩した。家族が強制的にやめさせようとしたため、暴力を振るった。
WHOは、日常生活よりゲームを優先してしまう、こうした症状が少なくとも12カ月続き、家族や社会、学業や仕事に重大な支障を来している状態をゲーム障害と定義する。
これまで「やめられない本人が悪い」など自己責任を問う声も小さくなかっただけに、自分の力ではどうにもならない病気と認められた意義は大きい。 
新たな疾病認定を契機に、治療が必要な病気だという正しい理解を広めていく必要がある。

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IT大国を自負する韓国では、人口の18・6%がインターネット・スマホへの「過剰依存危険群」だという。
中国では、6〜10歳の子どもの6人に1人が、5歳前にゲームを始めるなど低年齢化が進んでいる。
日本でも未成年の依存問題は深刻だ。
2013年の厚生労働省の調査で、ネット依存が疑われる中高生は約51万人に上った。当時よりスマホ利用は増えていることから、状況は悪化していると推測される。
特に指摘されるのは、ネットを介して複数人でプレーするオンラインゲームへの依存である。
ゲーム内の人間関係から抜けられなくなったり、ゲームに使う道具ほしさに課金を続けるなど、やめる機会がつかみにくいからだ。
しつけの延長線上で親だけに責任を押し付けても、解決は難しい。

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ゲームをすることが悪いと言っているのではない。ただゲームには依存性があり、そのための対策は講じなければならない。
政府は、患者数や相談件数などの実態調査を行い、治療のガイドラインづくりを急ぐべきだ。
学校や保護者は、スマホ利用のルールを子どもと徹底的に話し合ってほしい。
状況次第では深夜の利用を制限するなど、何らかの規制も検討すべきではないか。
ゲーム依存では居場所のない子が心の隙間をゲームで埋めている場合もあり、背景にも目を向ける必要がある。

<金口木舌>宮森小学校を襲った米軍機墜落事・・・ - 琉球新報(2018年7月4日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-752400.html
http://archive.today/2018.07.04-000653/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-752400.html

宮森小学校を襲った米軍機墜落事故から約1年後、娘を亡くした遺族を琉球政府の職員が訪ねた。賠償金交渉のためだった。アイゼンハワー米大統領来沖の数日前というタイミングである

▼賠償額には納得できなかったが「ぜひ、来沖までに補償問題を解決してほしい」と職員に求められ、やむなく受け入れた。大統領来沖前の決着を目指す米側と琉球政府の交渉過程が先日、米側資料で分かった
▼2000年サミットの直前、遺族からこの話を聞き、記事にした。「基地問題が未解決な状態で沖縄に行きたくない」というクリントン大統領の発言もあり、普天間問題とサミットのリンクが批判されていた
▼「クリントン大統領が、来沖までに普天間問題を解決してくれと言ったのと同じではないか」。遺族は40年を隔てた2人の米大統領の来沖を重ねていた。アイク来沖を理由とした賠償問題決着への憤りがよみがえった
▼米軍属が若い女性の命を奪った事件の賠償金支払いで日米両政府が合意した。凶行から2年2カ月のタイミングをどう考えればよいか。事件後も遺族は法廷で苦悶(くもん)を重ねてきた
▼今回の賠償は「自発的、人道的な支払い」と米側は位置付ける。「人道」を持ち出すなら、事件事故を根絶すべきだ。それが宮森小の悲劇をはじめ、今日まで続く県民の怒りと悲しみへの、せめてもの償いではないのか。