加計理事長、首相との面会否定 獣医学部新設巡り初会見 - 朝日新聞(2018年6月19日)

https://www.asahi.com/articles/ASL6M3C3LL6MPTIL010.html
http://archive.today/2018.06.19-043444/https://www.asahi.com/articles/ASL6M3C3LL6MPTIL010.html

愛媛県今治市での獣医学部新設をめぐり、学校法人「加計(かけ)学園」の加計孝太郎理事長が19日、岡山市の学園内で記者会見した。県の文書に書かれている加計氏と安倍晋三首相の面会は「ありません」と否定した。
加計氏が、獣医学部新設をめぐり会見するのは初めて。会見への出席は地元の記者に限定され、30分足らずで打ち切られた。
加計氏は、文書の記載は学園の渡辺良人事務局長の不適切な言動によるものとして減給(月額10%を6カ月)の懲戒処分にしたと発表。自身は監督責任を明らかにするとし、給与の月額10%を12カ月分、自主返納する。「愛媛県今治市の関係者のみなさまに多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを代表者として深くおわび申し上げる。大学生、保護者、学園関係者、多大な心配をおかけして本当に申し訳ございませんでした」と話した。
そのうえで、県文書に記載された面会について「記録を調べたところ、3年前だったので、記憶にも記録にもなかった」と説明。「我々は何十年来の友達。仕事のことは話すのはもうやめようというスタンスでやっている。リラックスするためにお会いしてますから。政治の話は色々聞いたことはあるが、こちらの話は興味はないと思う」と話した。
県の文書には2015年2月に首相と加計氏が面会したと学園から報告があった、と記載されている。学園は今年5月、「実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出した」とし、渡辺事務局長が県に謝罪。面会の発言は「たぶん自分が言ったのだろうと思う」と話した。
会見での学園の説明によると、19日に緊急の理事会を開き、一連の問題を常務理事でもある渡辺事務局長の不適切な言動による「重大なコンプライアンス違反」にあたるとした。
学園側の対応をめぐっては、中村時広愛媛県知事は「最高責任者が公に説明するのが当然」などと求めていた。18日にも、加計氏が記者会見を開いていないことについて、「早くされた方がいい」と苦言を呈していた。


東京新聞読者の安倍政権支持率は「5%」、対する産経新聞読者では「86%」― 都内世論調査番外編(米重克洋) - Y!ニュース(2018年6月19日)


https://news.yahoo.co.jp/byline/yoneshigekatsuhiro/20170620-00072316/

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特徴的なのは産経新聞東京新聞だ。産経新聞読者のなかでの政権支持率は86%に達した一方で、東京新聞読者ではわずか5%と極端な差が表れている。不支持率は産経新聞読者が6%なのに対して、東京新聞読者は77%と、そのまま支持率を裏返した結果となった。

朝日新聞毎日新聞の読者も政権支持率はそれぞれ14%と9%にとどまり、かなり低い。

安倍首相が国会答弁で「熟読」を求めたことで話題になった読売新聞の読者層では、政権支持率は43%と、不支持率29%を上回っている。

また、唯一の経済紙である日本経済新聞では、支持率が41%なのに対して不支持率は38%と拮抗した。

全体の傾向として、各社の社説や右・左といった報道姿勢の「立ち位置」と、政権支持率の傾向とがかなり一致していると言える。,,,,

「官邸が介入」共産追及 法務省に佐川氏処分急がせる - 東京新聞(2018年6月19日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018061902000165.html
https://megalodon.jp/2018-0619-0940-42/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201806/CK2018061902000165.html

財務省の決裁文書改ざん問題で大阪地検が佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官らを不起訴としたことを巡り、共産党の辰巳孝太郎参院議員は十八日、首相官邸法務省に対して刑事処分の決定を急ぐよう働きかけていたことをうかがわせる文書を入手したとして、政府側を追及した。
文書はA4一枚で、題名や作成者、作成時期などは書かれていない。ただ、右上に手書きで「5/21」の日付や、国土交通省の大臣官房参事官の名字があった。共産党は、五月に国交省内で作成された可能性があるとみている。
文書は、改ざんを巡る財務省の調査報告書の公表時期について「刑事処分がいつになるかに依存している」と指摘した上で「官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れている」と記載していた。
さらに大阪地検の処分について「五月二十五日夜という話はなくなりそうで、翌週と思われる」と予想していた。実際に、地検は同月三十一日に佐川氏らを不起訴とした。
辰巳氏は十八日の参院決算委員会で「官邸が法務省を通じて検察に介入しようとしていたのではないか」と追及。安倍晋三首相は文書について「真実かどうかも分からない中で、答えることは不可能」と述べた。
元検事の落合洋司弁護士は「法務省と官邸の間で刑事処分の見通しについて、緊密にやりとりしていた可能性がある。官邸は法務省を通じ検察庁に何らかのメッセージを伝えていたのではないか」と話した。

関連記事)
共産 森友学園への国有地売却めぐる文書入手として公表 - NHK(2018年6月18日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20180618#p9

外国人労働者 骨太方針に欠けるもの - 朝日新聞(2018年6月19日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13546065.html
http://archive.today/2018.06.19-004155/https://www.asahi.com/articles/DA3S13546065.html

大きな政策転換に見える。だが、根底を流れるご都合主義と排除の思想は相変わらずだ。
政府は、外国人が就労できる新たな在留資格をつくり、受け入れを拡大することを「骨太の方針」に盛り込んだ。一定の技能と日本語能力を持つと判断した人に、最長5年間の在留を認める。25年ごろまでに50万人超の来日をめざすという。
いまは、技術や知識を学んで自国に帰ってもらう「技能実習制度」がある。政府は国際協力の一環というが、実際は低賃金労働者の確保策になっていて、内外の批判を浴びてきた。
今回の方針は、そうしたごまかしではなく、正式に門戸を開く点で新たな一歩と言えなくはない。だが政府の目に映っているのは、人手不足を補うための単なる「労働力」であって「人間」ではないのではないか。そんな疑問がぬぐえない。
象徴的なのは、家族の帯同を基本的に認めないことだ。技能実習生から新資格への切りかえも可能で、その場合、長いと10年間、離ればなれの生活を強いられる。あまりに酷な話だ。
ところが日ごろ家族の大切さを説く自民党は問題視せず、むしろ外国人が増えると治安が悪化するとして、方針に「在留管理の強化」を書き加えさせた。
首をひねる点は他にもある。
当面は、建設、農業など人手不足が深刻な5業種での受け入れが想定されているが、方針には明確な定めはない。早くも製造業への適用を求める声が出ていて、なし崩し的に低賃金の固定化が進むおそれもある。
大切なのは、外国人労働者を社会を構成する一員として正面から迎え入れる姿勢だ。
その観点から政府がとり組むべき課題のひとつに、日本語学習の機会の保証がある。生活のルールや習慣が共有されなければ、対立や分断を生み、治安にも影響が及ぶ。すでに大勢の外国人がくらす自治体には、学習支援やきめ細かな行政サービスの提供など、さまざまな経験が蓄積されている。その歩みに学ぶことは多いはずだ。
雇い入れる企業の側も、賃金や休日などの労働条件を順守するのはもちろん、その外国人の文化・習俗を理解し、働きやすい職場をつくる責任を負う。方針に書かれた「受け入れ環境の整備」を、官民で内実あるものにする必要がある。
政府は「移民の受け入れではない」とくり返すが、もはや日本社会は外国人の支えなしにはなり立たない。現実を見すえ、共生のための仕組みづくりを急がなければならない。

(若年妊産婦支援)相談しやすい仕組みを - 沖縄タイムズ(2018年6月19日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/269597
https://megalodon.jp/2018-0619-0946-30/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/269597

18歳以下の若年妊産婦を対象にした支援センターが、沖縄市の県助産師会母子未来センター内に近く開設される。市が内閣府の「沖縄子供の貧困緊急対策事業」を活用し準備を進めるもので、県内では初の施設となる。
10代で出産したママたちが1人で問題を抱え込まないように、子育てと人生を応援する枠組みとして機能させたい。
背景にあるのは沖縄の若年出産の高さである。10代で出産する割合は復帰後一貫して高く、2014年は2・6%で全国平均の約2倍だった。
温かな家庭へのあこがれや命を奪うことへの罪悪感など母親となった理由はそれぞれ。 
もちろん子どもにたっぷりの愛情を注ぎ、育児に奮闘している若いママもいる。ただ出産年齢が低いとシングルマザーとなる割合が高く、学校を中退し教育の機会を失えば経済的自立も困難になる。さらに予期せぬ妊娠は児童虐待のリスクも高める。
沖縄市に設置されるセンターは「若年妊産婦の居場所」との位置付けで、助産師、保育士、栄養士ら専門職がチームで支援にあたる。出産・育児に関する相談のほか、性教育、復学・進学や就労のための支援など生活全般に寄り添っていく計画だ。
10代の妊娠に眉をひそめる大人もいるかもしれないが、若い母親を取り巻く厳しい環境は子どもに影を落とす。母親たちの状況を理解した上で社会的サポートを強めていくことが、貧困の世代間連鎖を断つ力になる。

■    ■

若年妊産婦の居場所づくりは、望まない妊娠による悲劇をなくすためにも重要である。
3年前、うるま市の団地で生後間もない赤ちゃんが置き去りにされた事件では、当時中学3年だった女生徒が保護責任者遺棄の疑いで逮捕された。自宅トイレで出産し「どうしていいか分からなかった」という。
親の庇護(ひご)なしに生きられない赤ちゃんを遺棄する行為は許されるものではない。しかし危険を覚悟で「孤立出産」したのは、周囲に相談する相手がいなかったからだろう。
若い親たちの支援などに取り組む一般社団法人「おきなわ子ども未来ネットワーク」が3月に開いた設立記念シンポジウムのテーマは「10代の妊娠を考える」だった。10代の親を理解し、子育てを支援できる人を増やすことの必要性が議論されたのだ。

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望まない妊娠では母子手帳ももらわず、妊婦健診にも通わないなど、行政の支援から漏れるケースが少なくない。自分から「助けて」と言えない相談者とどうつながっていくか。
民間の先駆的な団体では、電話やメールの代わりに若者になじみ深いツイッターやLINE(ライン)を活用したり、直接電話ができるアプリを運用しているところがある。
支援を確実に届けるためには相談の垣根を低くして、面談へと橋渡しをする仕組みをつくっていくことが大切だ。

承認撤回と県民投票 県民的議論を尽くそう - 琉球新報(2018年6月19日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-741335.html
http://archive.today/2018.06.19-004525/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-741335.html

名護市辺野古の新基地建設に向け、沖縄防衛局が土砂投入の開始日を8月17日と通知したことを受け、県は埋め立て承認撤回や県民投票の時期を巡る検討を本格化させている。土砂が投入されると自然環境への影響が大きいだけに、緊迫してきている。秋の県知事選への影響も視野に戦略が練られている。
翁長雄志知事は「環境保全措置などについて看過できない事態となれば、ちゅうちょすることなく必ず撤回する」と明言している。
土砂投入前に撤回した場合は環境へのダメージを最小限にできる。一方で国の法的措置で早期に工事が再開したり、裁判で敗訴したりした場合、「知事選前に重要なカードを失う」との懸念もあるという。土砂投入後に撤回した場合は、工事を止めて政府と争っている状況で知事選に臨める「メリット」があるが、環境へのダメージは計り知れないと県はみている。
県は、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票は知事選後と見込む。翁長知事は任期中の撤回を明言しているため、撤回は投票結果ではなく、環境保全策の欠陥などを根拠にする可能性が高いという。
 撤回、県民投票いずれも辺野古新基地建設を止める「伝家の宝刀」といわれているだけに、県は最大限の効果を狙う時期を考えているだろう。
しかし、果たしてそれらの戦略は県民の意思をきちんと酌んでいるだろうか。知事選や国政選挙で「辺野古新基地ノー」の民意は示されてきた。知事に早期撤回を求める声も上がって久しい。そうした民意は尊重されているだろうか。
県民投票にしても、政府が土砂投入を急ぐ中、実施判断の「タイムリミット」として市民が署名運動に走りだした。活動は徐々に広がってはいるが、見切り発車感は否めない。連合沖縄が中心となって1996年に実施された県民投票の際には、自治会レベルにも根回しした上でスタートした。草の根に理解が広がり運動を押し上げるのが本来の姿である。
とはいえ、撤回も県民投票も、自治や民主主義における重要な権利行使であり、意義は大きい。これを機に県や関係団体は県民を置き去りにせず、県民との対話の場を増やしてほしい。県民は何を求めているのか意見を聞き、理解を得る努力をすべきである。
スコットランドの独立を問う住民投票など海外の事例を見ると、小規模集会を各地で開いたり、1対1の対話を徹底したりするなどして投票への参加を促した。スコットランドでは若者間で議論が活発化し、学生1万人が参加したテレビ討論も行われた。
辺野古」県民投票の会には多くの若者が参加している。若者ならではのパワーを発揮し、沖縄の未来を真剣に話し合う機会を多くつくり出してほしい。県民投票は沖縄の自己決定権行使の重要な手段でもある。

(斜面)定数6増の参院改革案はどうか。身を切る改革どころか、お手盛りだ - 信濃毎日新聞(2018年6月16日)

戦後第1回の衆院選から16回連続で当選した故井出一太郎さんがトップの票を得たのは1度だけ。「上野駅に着くのに一番先のハコに乗ろうと、最後のハコに乗ろうと、着くときは一緒だ」。こう言って毎度の低空飛行を笑い飛ばした…

<金口木舌>明治の足尾銅山での鉱毒被害の発・・・ - 琉球新報(2018年6月19日)

https://ryukyushimpo.jp/column/entry-741336.html
http://archive.today/2018.06.19-004703/https://ryukyushimpo.jp/column/entry-741336.html

明治の足尾銅山での鉱毒被害の発生は日本で初の公害とされる。住民が国に訴える請願、衆院議員の田中正造の直訴によって窮状が広く知られるようになった

▼民による請願は大日本帝国憲法に定められていた。日本国憲法にも権利として明記された請願権を活用し、静かな空を取り戻す取り組みが宜野湾市で動きだしている
▼米軍機の住宅密集地上空の飛行を禁止する条例を制定しようと市議会に請願する運動だ。普天間第二小への窓枠落下から半年。ヘリ接近のたび、授業が中断される状況を改善したいとの思いがある
▼嘉手納基地では墜落したF15同型機が飛行を強行した。嘉手納町議会の抗議を米軍は拒み続けていて、議会は今月5本目の決議を可決した。住民の生命を守る立場から決議せざるを得ない機会が月5度あるのは異常である
▼「日本政府は要望する相手方か」。中城村議会はそんな思いで意見書を出さなかった。F15飛行再開を追認する態度には期待できないとの判断で、何も見限る訳ではない。国民を守る政府であれ、と願わざるを得ないむなしさだ
▼「真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」は田中正造の言葉。沖縄では空を荒らされ、村が破られないよう知恵や権限を用いた取り組みが続く。田中の死から105年。日本は真の文明を手にしていると言えるのか。

想田監督が夫婦別姓訴訟「僕らが自由に別姓を選んだとしても他者の不利益にならない」 - 弁護士ドットコムニュース(2018年6月18日)

https://www.bengo4.com/internet/n_8058/

選択的夫婦別姓を求める新たな訴訟が始まった。アメリカで法律婚をしたにもかかわらず、日本の戸籍に婚姻が記載されないのは、立法に不備があるとして、映画監督の想田和弘さんと舞踏家で映画プロデューサーの柏木規与子さん夫妻が6月18日、国を相手取り婚姻関係の確認などを求めて東京地裁で提訴した。今年になって起こされた夫婦別姓訴訟はこれで3件目となる。
●米国で法律婚したが、日本では夫婦の戸籍が作成できない…
訴状などによると、想田さんと柏木さんはアメリカ・ニューヨーク州に在住の日本人で、1997年にマンハッタンにあるニューヨーク市庁舎で、夫婦別姓を選んで結婚した。海外で結婚する場合は、現地の法律に基づいて行われれば、国内でも婚姻は成立しているとみなされるため、夫妻は事実婚ではない(法の適用に関する通則法第24条)。
外国で法律婚した日本人夫婦は、戸籍法41条1項に従い、婚姻証書の謄本を提出しなければならず、民法750条にもとづく夫婦同姓が前提となる。しかし、結婚当時、法制審議会民法部会が選択的夫婦別姓の導入を答申していたため、「1、2年経てば日本の法律が変わって別姓で届けられるだろうと待っていたところ、20年が経ってしまった」(想田さん)という。
あらためて夫妻は今年6月6日、東京・千代田区役所に婚姻証書の謄本を提出したが、夫婦同姓でなければ夫婦の戸籍が作成されないため(戸籍法6条)、法律婚した夫婦であるにもかかわらず、現在、戸籍上で婚姻関係を公証することができない状態にある。
そこで、民法などが定める婚姻関係の公証という目的を、戸籍法が定めていないことは立法の不備があると指摘。戸籍以外の公証手段が裁判所による判決しかないため、確認請求を求めると同時に、この法の不備は結婚の自由を定めた憲法24条違反に違反するとして、慰謝料合計20万円を求めて提訴した。
●「事実婚」という誤解から、日本では不利益も…
提訴後、想田さんと柏木さんは東京・霞が関の司法記者クラブで会見。想田さんは、「現行の法律では、どちらかの姓を選ばなければいけないが、独立した人格のまま結婚したいという僕らの結婚観とはしっくりこなかった」と提訴のきっかけを語った。
また、「それぞれの個人の自由が、それ以外の個人の権利を侵さない限り、認めて欲しいと思います。我々が夫婦別姓を選んだとしても、僕ら以外に誰も影響は受けない。他者に不利益を与えない範囲の自由を認めて欲しいと思います。これは、別姓の問題だけでなく、言論の自由表現の自由、思想信条の自由など、あらゆることに言えます。世論調査でも、選択的別姓を支持する人は過半数を超えている。その声をきちんと聞いて、制度化してほしいです」と語り、訴訟を通じて世論に訴えたいとした。
会見では、柏木さんも日本で「事実婚」と誤解され、在日アメリカ領事館でビザがなかなか発行されなかったエピソードを披露。「日本では不都合が多くて大変さを感じる」と語った。夫妻の代理人である竹下博将弁護士と野口敏彦弁護士らによると、外国で法律婚しても国内では誤解から事実婚扱いを受けることが多く、相続や子育てなどあらゆる面で不利益をこうむることがあるという。
そのため、今回の海外で法律婚した夫婦が別姓のまま国内でも夫婦であるという判決文が得られれば、同様のケースの夫婦にも新たに夫婦として証明できる方法が確立できるというねらいもある。想田さんは、「実際に、僕らみたいな結婚観の人は増えていると思いますが、法律に不備があるために不利益をこうむっている人もたくさんいます。原告は2人ですが、そういう方達を代表するつもりで訴訟を提起しています」と話した。
夫婦別姓を求める訴訟は、今年に入って活発化している。今年1月には、ソフトウェア企業「サイボウズ」の社長、青野慶久氏ら4人が戸籍法上の問題を指摘して、東京地裁に提訴。また、2015年に最高裁まで争われた夫婦別姓訴訟の弁護団が5月、事実婚をしている7人を原告に、別姓の婚姻届が受理されないのは「信条」の差別にあたるとして、東京地裁と立川支部広島地裁の3カ所で同時に提訴、第二次夫婦別姓訴訟を起こしている。今回の夫婦別姓確認訴訟は、第二次夫婦別姓訴訟の弁護団代理人となっている。

種子法廃止に考える 食料主権の問題です - 東京新聞(2018年6月18日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018061802000132.html
http://web.archive.org/web/20180618045926/http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018061802000132.html

植えたての田んぼに梅雨は慈雨。緑が映える見慣れた景色。でも待てよ、日本の主食と言いながら、そのもとになる種子のこと、私たち、知らなすぎ。
昨年四月、国会は種子法の廃止を決めた。審議時間は衆参合わせて十二時間。その法律がそれまで果たしてきた役割も、廃止に伴う人々の暮らしへの影響も、そもそもそれがどんな法律なのかも、恐らくほとんど知られずに。
正しくは主要農作物種子法。わずか八条の短い法律だった。
主要農作物とは稲、大豆、はだか麦、小麦、および大麦−。つまり主食系である。
「あって当たり前の空気のような存在として、ことさらその大切さを考えることが少なかった法律と言えよう」
龍谷大教授の西川芳昭さんは「種子が消えれば あなたも消える」(コモンズ)に書いている。
種子法の制定は一九五二年の五月。サンフランシスコ講和条約が発効し、この国が主権を取り戻した翌月だった。
◆戦争への反省に立ち
第二次大戦末期、米や麦は一粒でも多く食用に回さねばならなくなり、種を取る余裕を失った。そのことが戦後の食糧難を一層深刻にしたのである。
種子法も憲法と同じ、先の大戦の反省に立ち、私たち国民を守るために生まれた法律だった。
もう二度と、種が途絶えて人々が飢えることのないように、穀物の優良な種子の開発と安定的な供給を都道府県に義務づけたのだ。
これを根拠に都道府県は、その土地の気候風土に合った奨励品種を定め、公費を使って作出し、その種子を安く農家に提供し続けてきた。
稲の場合、種子の流れはこうである。
まず県の農業技術センターなどで「原原種」が生産される。原原種とは、せっかく開発した優良品種に別の“血”が混じらないよう、公的機関が毎年責任を持って生産する大本の種のこと。CDで言えば原盤だ。「原原種」を増殖させたものが「原種」である。この原種がさらに特定の種子農家のもとで増やされて、一般の農家に販売される。
◆競争原理はそぐわない
その種子法がなぜ廃止されたのか。おととし秋に国が定めた「農業競争力強化プログラム」には次のように書かれている。
<戦略物資である種子・種苗については、国は、国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する−>。そのためには<地方公共団体中心のシステム>である種子法が、民間の開発意欲を阻害していたというのである。現政権お得意の「成長戦略」の一環だった。
種子法廃止で都道府県が直ちに種子の供給を止めるわけではない。だが、海外の大資本の参入により、日本人の主食を守り続けてきた「公的種子」の開発、供給システムが、崩される恐れはある。
モンサントやデュポンなど、わずか八社で世界の種子の売り上げの約八割を占めるという。
種子法の対象外ではあるが、少し前まで日本の野菜の種は、100%国産だった。今や九割が海外生産だ。そして大半が、自家採種が不可能なハイブリッド(F1)の品種に取って代わられた。
野菜の種子の価格は、四十年前の約三倍になったという。
「ニンジンがニンジンくさくなくなった。ピーマンがピーマンくさくなくなった。においも味も、どんどん画一化されていく。それがつまらなかったんだなあ」
「あいち在来種保存会」代表の高木幹夫さんが、地場の希少野菜の種を集め始めた理由である。
「農作物の多様性、豊かさを守るため、私は“種採りじじい”になった。種子の種は、種類の種でもあるからね」
米や麦が近い将来、野菜のようにならないという保証はない。
種子法廃止で一つ確かに言えること。多様性の喪失だ。
市場競争の勝者による淘汰(とうた)が進み、種子の多様性が失われ、消費者の選択肢も次第に狭められていく―。
◆自分で選ぶべきだから
そもそも種子は命そのもの、命をはぐくむものである。だから「みんなのもの」だった。すべてを競争原理の世界に放り込み、勝者による独占に委ねてしまっていいのだろうか。
「これは、食料主権の問題です」と、西川教授は考える。
私たちが何を育て、何を食べて生きていくかは、私たち自身で決めるべきではないのだろうか。「主食」であればなおさらだ。
今国会でも復活の声が上がった種子法は、私たち主権者=消費者にも無関係ではないのである。