財務省決裁文書改ざんが起訴できない“本当の理由”(郷原信郎が斬る) - アゴラ(2018年6月4日)

http://agora-web.jp/archives/2032990.html

いずれにせよ、検察がこれまでかけてきた捜査期間の大半は、国民向けの「ポーズ」だったと言わざるを得ない。
虚偽公文書作成罪での起訴は「検察の判断」の問題
......
しかし、私は、検察が今回の事件を「起訴しない」と確信していた。それは、検察が、自らの「虚偽公文書作成罪」の問題に関して過去に行ってきたことと比較して、「組織的な虚偽公文書作成」が疑われる事件を起訴することは凡そあり得ないと考えられたからだ。

森友問題と政治責任 社会のモラルを掘り崩す - 朝日新聞(2018年6月5日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13526068.html
http://archive.today/2018.06.04-221433/https://www.asahi.com/articles/DA3S13526068.html

民共有の財産で、歴史の記録でもある公文書を改ざんし、廃棄する。国民を代表する国会でうその答弁を重ね、立法府による行政監視の役割を骨抜きにする。その問題の重大性に、この政権が真摯(しんし)に向き合っているとはとても言えない。

■一部官僚に押しつけ

財務省がきのう、森友学園との国有地取引をめぐる決裁文書の改ざんなどに関する内部調査の結果と、関係者の処分を発表した。
一連の行為は国有財産を所管する理財局内だけで行われ、麻生財務相事務次官には一切報告がなかったという。当時の佐川宣寿(のぶひさ)理財局長が廃棄や改ざんの「方向性を決定づけた」と認定され、停職3カ月相当とされたが、トップの麻生氏は1年分の閣僚給与の自主返納だけで続投を表明した。
責任を官僚組織の一部に押し込め、問題が政権全体に及ぶのを回避しようという狙いは明らかだ。国有地の大幅値引きの経緯は今回の調査の対象外であり、疑惑の全容解明には程遠い。これでは、失った信頼を回復するどころか、政治不信に拍車をかけるだけだろう。
一方で報告書は、交渉記録の廃棄は「私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」との安倍首相の国会での言明の直後に始まったとした。首相は自らの答弁は無関係と説明してきたが、首相を守る意図がはっきりしたことで、より重い政治責任を負ったことになる。
改ざんや廃棄の動機については、佐川氏の答弁とのつじつま合わせや、国会で野党に追及材料を与えないためとされた。国会軽視も甚だしい。昨年2月にこの問題が表面化して以来、1年以上にわたる国会論戦の前提を無にするものだ。

■麻生氏は即刻辞任を

麻生氏は再発防止に全力で取り組むとして、職にとどまる意向を表明した。首相も「麻生氏に責任を全うしてもらいたい」と支持した。しかし、この問題を軽視する発言を繰り返してきた麻生氏の下で、行政への信頼回復や財務省の抜本的な立て直しが実現できるとは到底思えない。麻生氏は速やかに辞任し、新しい大臣の下で財務省は出直すべきである。
一連の不祥事はすべて麻生氏の下で引き起こされた。改ざんの舞台となった近畿財務局では、自殺者まで出ている。報告書は冒頭で、ようやく今回の行為を「改ざん」と認めたが、麻生氏はつい先週まで、「悪質なものではない」として、「書き換え」が適当との認識を示していた。
きのうの会見でも、佐川氏が明確に改ざんや廃棄を指示した事実が確認できず、その発端が未解明な点をただされると、「それが分かりゃ苦労せん」などと、ひとごとのような発言に終始した。
このような大臣には、問題を解決する能力も資格もない。同じような不祥事が民間企業で起きていれば、トップが責任をとって辞任し、調査は第三者機関に委ねるのが当たり前だ。
麻生氏の続投を許した首相の責任もまた重大である。秋の自民党総裁選で3選を果たすためには、党内第2派閥を率いる麻生氏を敵に回せない。政権発足以来、副総理として支えてくれた麻生氏が閣外に去れば、政権・与党内の力関係が不安定になる――。政治的なけじめより、そんな自己都合を優先させた判断ではないのか。

■1強長期政権の弊害

加計学園獣医学部の新設をめぐる問題でも、政権の説明を覆す新しい文書や証言が相次いでいる。
森友・加計の両問題に共通するのは、1強体制の長期政権の下、公務員が全体の奉仕者としての使命を忘れ、時の首相に尽くす姿である。そして、首相に近い人物に特別な便宜が図られたのではないかという、行政の公正性に対する根深い疑念だ。
政治への信頼はすべての政策遂行の基礎である。この土台をなおざりにした政権運営はやがて行き詰まると首相は自覚すべきだ。
先週、大阪地検特捜部が佐川氏ら関係者全員を不起訴とする処分を発表した。きのうの財務省の報告を受け、与党内からは「これで区切りがついた」と幕引きを期待する声が上がっている。見当違いも甚だしい。
行政府に自浄能力が働かないのなら、立法府こそが行政監視能力を発揮するしかない。先の証人喚問で「刑事訴追のおそれがある」と証言を拒んだ佐川氏の再喚問は不可欠だ。首相の妻昭恵氏にも公の場で説明してもらいたい。
 国の中枢でうそがはびこり、それを正すことができない。しかるべき立場にある人間が責任を引き受けない。それは、一政権の問題を超えて、人々のモラルに悪影響を与え、社会全体の規範意識を掘り崩しかねない。
政治の退廃に歯止めをかけられるか、いまその岐路にある。

(私説・論説室から)昨年に臨時会があれば - 東京新聞(2018年6月4日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018060402000151.html
https://megalodon.jp/2018-0605-0906-30/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2018060402000151.html

皆さん、覚えていますか。昨年六月二十二日に野党議員が臨時国会の召集を求めたことを。憲法五三条では、いずれかの議院で総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は召集を決定せねばならない。衆参両院ともこの要件を満たしていた。学校法人「加計学園」問題などを追及するためだった。
だが、安倍晋三内閣は憲法を無視するがごとく、臨時会の召集を先へ先へと延ばした。その日数、実に九十八日だった。召集は九月二十八日に実現したものの、何と質疑をしないで、冒頭で解散してしまった。
今年五月二十八日、臨時会の先送りは憲法違反だとして、沖縄の国会議員五人が那覇地裁に訴訟を起こした。要求から二十日以内に応じるべきとの確認も司法に求めている。
今、国会では加計問題で紛糾している。愛媛県から見つかった新文書が首相の関与の有無の証明になっているからだ。逆に加計学園からは「県への説明はうそだった」との趣旨のコメントも出た。学園幹部が県に謝罪に訪れた。その謝罪もうそでないのか?
「もし」があったなら…。去年に野党が求める臨時会があったなら、昨夏は国会が大紛糾していたかもしれない。一年ずれた間に、大学設置の審議会が学園の獣医学部の新設を認める答申を出し、今年四月にめでたく開学! 九十八日間もの臨時会の先延ばしこそ「加計隠し」だったのでは? (桐山桂一)

(筆洗)財務省トップの麻生さんがお辞めにならぬのも納得できぬ。 - 東京新聞(2018年6月5日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018060502000139.html
https://megalodon.jp/2018-0605-0907-26/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018060502000139.html

ある藩の幹部が冷酷苛烈な政治を行った。領民を苦しめ、藩内の反対勢力には刃(やいば)を向けた。が、その職を降りたとき、男は自分を死罪にせよと求めた。山本周五郎の短編『晩秋』である。
男が専横な政治を行ったのは藩の基礎を急いで確立するためであった。それならば罪にならぬと諫(いさ)める者に対して、男は否定する。どんな理由があろうと、「政治の過誤がゆるされる道理はないのだ」。藩のためでも間違ったことは間違っている。
漫画ファンで新聞さえお読みにならないと聞いたが、麻生太郎財務相にぜひとも、この短編で、身の処し方を考えていただきたいものである。学校法人「森友学園」に対する国有地売却をめぐる決裁文書改ざん問題で財務省内の処分が決定した。文書改ざんや廃棄指示を主導した、当時の理財局長の停職三カ月も甘いが財務省トップの麻生さんがお辞めにならぬのも納得できぬ。
財務省が国民を欺いたのである。事は重大で、あの小説とは違い、一分の理もない政治の過誤である。大臣が関与したとはいわぬが、それを許してしまった。トップが身をもって責任を取るのは当然である。
閣僚給与の一年分を自主返納というのも不愉快である。無給なら、国民が許すとでもお考えか。カネで買えぬものがある。
著書に『とてつもない日本』というのがあった。とてつもないのは、その面の皮の方である。

(政界地獄耳)問われるのは自民党の責任だ - 日刊スポーツ(2018年6月5日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806050000150.html
http://archive.today/2018.06.05-001819/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201806050000150.html

★「閉会後にのろしを上げるのかと思っていたが、国会が延長になることからどうやら野党の攻撃との相乗効果を狙うようだ」とはある自民党議員の声だ。9月にある自民党総裁選挙。政権は既に強引な政治を行う死に体ながら、首相・安倍晋三を支える官邸の政治家や官僚、側近たちによってあたかも何事もないように振る舞っているが、既に自民党の物差しから見ても相当に逸脱した内閣といえる。
★それでも自分たちが選び支えた総裁を引きずり降ろすことは並大抵ではない。ただ国民から信用されず、責任を取らない政治の横行を阻止できなくて政権政党の責任はないのだろうか。冒頭の自民党議員の声は1つは党総務会長・竹下亘の「役所の不祥事も最終的には安倍晋三首相の責任であり、それぞれの担当の政治家が真正面から受け止めるのが政治のあるべき姿だ」との発言。もう1つは元首相・福田康夫の「おとがめなしになってしまったのは、あの事件で(近畿財務局職員が)自ら命を絶ったことはどうなるのか、ずいぶんギャップがある」の一言。「一点の曇りもない」と言い張る政府への直言だ。
★そして元環境相鴨下一郎は「日大の理事をやっている。これからどういうふうに、違反タックルをやったあの学生を救済するのがいいのか、大人たちがどう責任を取ったらいいのか」と日大と今の政局をなぞらえ責任問題に言及した。また政調会長代理・田村憲久は「加計さんが記者会見をするのも1つではないか」と首相の友人で国会で議題になって以来、公の場所に一切出てこない加計学園理事長・加計孝太郎を引っ張り出すべきとの考えを示した。鴨下、田村は石破派ではあるが、党内の危機感と自浄能力が言わせたことも分かる。国会開会中に事態は動きだすか。問われるのは自民党の責任だ。(K)※敬称略

(政界地獄耳)自民幹部の首相責任論に同調なし - 日刊スポーツ(2018年6月4日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20180604#p14

「公文書管理を考える」(3) 福田康夫・元首相 - 日本記者クラブ(2018年6月1日)
「不起訴でおとがめなしとなれば、自ら命を絶った人はどうなるのか」
役所の不祥事、最終責任は安倍総理」 自民・竹下氏 - 朝日新聞(2018年6月2日)
役所の不祥事、役人が犯したいろんなことも、最終的には内閣総理大臣である安倍晋三総理の責任だ。

アメフト「日本の状況と似てる」日大理事の自民・鴨下氏 - 朝日新聞(2018年6月3日)
https://www.asahi.com/articles/ASL634TG3L63UTFK007.html
http://archive.today/2018.06.03-201609/https://www.asahi.com/articles/ASL634TG3L63UTFK007.html

自民党鴨下一郎・元環境相(発言録)
(出身大学が)いま話題の日本大学で、いまは日大の理事をやっている。これからどういうふうに、違反タックルをやったあの学生を救済するのがいいのか、大人たちがどう責任をとったらいいのか、そして日大のブランドが傷んだ、こういうものをどういうふうに回復すればいいかということを、いずれかのタイミングで私たちも役割を果たさなければいけない。
ちょうど日本国のいまの状況と少し似ているところがある。やっぱり国民を中心に、大学は学生を中心に、しっかりと大人たちはもう一度、襟を正して頑張らないといけない。(鳥取市での講演で)

「加計さんが記者会見するのも一つ」自民・政調会長代理 - 朝日新聞(2018年6月3日)
https://www.asahi.com/articles/ASL634FM5L63UTFK005.html
http://archive.today/2018.06.04-124120/https://www.asahi.com/articles/ASL634FM5L63UTFK005.html

学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、自民党田村憲久政調会長代理は3日、NHKの討論番組で「加計さんが記者会見をするのも一つではないか」と述べ、加計孝太郎理事長の記者会見の必要性について言及した。一連の問題で、加計氏は一度も記者会見を開いていない。
愛媛県の文書には安倍晋三首相と加計氏の面会が書かれていた。これに対し、学園側は実際はなかったと主張しており、中村時広愛媛県知事は「最高責任者が公に説明するのが当然のこと」と求めている。
田村氏は、森友学園との国有地取引に関する公文書改ざん問題についても「麻生(太郎・財務)大臣の責任は重いと思う」と指摘。「一定の責任の取り方をしていただきたい」と述べ、麻生氏がけじめをつけるべきだとの考えを示した。
一方、自民党石破茂元幹事長は3日、鳥取市内で記者団に、安倍政権の現状について「(内閣)支持率は不支持を下回っている。総理の言うことに信頼がおけるかということに相当多くの国民が信頼できないと言っている。この状況が良くないことはみんな分かっている」と厳しく批判。政治不信の解消のため、党内での活発な議論が必要との認識も示した。
これに先立つ講演で、石破氏は「間違っていることを間違っていると言うのは批判があるが、誰もそれを言わないと世の中の信望につながらない」と述べた。(星野典久、岩尾真宏)