成人年齢引き下げ 衆議院で可決 - NHK(2018年5月29日)

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180529/0012368.html
http://archive.today/2018.05.29-092227/https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20180529/0012368.html

成人年齢を20歳から18歳に引き下げることなどを盛り込んだ民法の改正案は、29日開かれた衆議院本会議で、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

民法の改正案では、成人年齢を20歳から18歳に引き下げることや、女性が結婚できる年齢を16歳から18歳に引き上げて、男女ともに、結婚できる年齢を18歳とすることが盛り込まれています。
また付則では、飲酒や喫煙、競馬などの公営のギャンブルはこれまでどおり20歳未満は禁止とする一方、親などの同意なしにローンやクレジットカードの契約を行うことなどは18歳から可能とするなど、関連する22の法律を改正するとしています。
法案の採決に先立って行われた討論で、自民党が「少子高齢化が急速に進行する社会を活力あるものにする大きな意義を持つ」と訴えたのに対し、立憲民主党は「18歳、19歳の若者の契約などを取り消す権利がなくなるなど、マイナスの影響が大きい」と主張しました。
このあと採決が行われ、民法の改正案は、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

日立の英国原発 国策のツケは国民に - 東京新聞(2018年5月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018052902000160.html
https://megalodon.jp/2018-0529-1029-03/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018052902000160.html

3・11以降、原発は世界中で“不良債権化”しつつある。新規建設は、「国策」でなければ成り立たず、企業は巨大なリスクを背負い込む。英国で原発新設に乗り出す日立。成算はあるのだろうか。
時代の流れに、どこまで逆らうつもりだろうか。
向かい風に帆を揚げて、急流をさかのぼろうとする小舟のようなものではないか。「成長戦略」という名目の小舟である。
グレートブリテン島中西部のアングルシーという島に、二〇二〇年代前半の運転開始をめざして、百三十万キロワット級の原発二基を建設する。
総事業費は三兆円以上。日立は六年前、英国の原発事業会社を買収して子会社化、資金難に陥った英国側の事業を引き継いだ。
福島原発事故後の建設費急騰に音を上げて、日立は日英両政府に資金支援を要請した。
最新の資金計画では、北海油田・ガス田の枯渇を見越し、先進国で唯一、原発新設に積極的といわれる英国政府が、二兆円の融資を提示した。
残りを日立と英政府や英企業、日本の政府系金融機関や電力会社などが出資し、日立などの出資分は事実上、日本政府が債務保証するという方向で交渉が進んでいる。これも「国策」だということだ。国策のつけは国民に回される。
安全対策を考えれば、原発は割に合わない。既に世界の常識だ。
フィンランドのオルキルオト原発3号機は、総事業費が当初見込みの三倍近くに膨らんで、完成は現時点で十年遅れ。フランスのフラマンビル原発3号機の事業費も同様で、この二基のつまずきが世界最大の原発メーカーであるフランスのアレバ社を事実上の破綻に追い込んだ。原子力事業子会社「ウェスチングハウス(WH)」の破綻が東芝を土俵際まで追い詰めたのも記憶に新しい。
再生可能エネルギーの台頭により、欧州ではすでに原発の電力は市場競争力を失った。
英国政府は原発の電気を一定期間、高額で買い取るシステムを導入し、建設費を国民に転嫁した。原発事業はもはや、政府の後押し、つまり国民の負担なしには成り立たない。安全面だけでなく、経済的にも巨大なリスク、いわば“泥舟”なのである。
3・11の当事者でありながら、さまざまなリスクを押して原発にこだわる日本政府。真意はどこにあるのだろうか。

(政界地獄耳)「一点の曇りもない」ウソがほころび始めた - 日刊スポーツ(2018年5月29日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201805290000240.html
http://archive.today/2018.05.29-005514/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201805290000240.html

★一点の曇りもないはずの森友・加計学園疑惑。森友学園との交渉記録はないとしていた政府答弁は、あっけなく4000ページを財務省自らが提出すれば、28日の参院予算委集中審議で首相・安倍晋三は「資料をよく読んでいただければわかること」と発言した。政府がないと言い続けたものを今更ながら持ち出して、今度はよく読めという。「関与がないのは明らか」を連呼するのは「関与していたら総理も議員も辞める」との自らの発言を自分で否定したいからだろう。
自民党ベテラン議員が言う。「相変わらず、答えになっていない説明で押し切ったり、野党が沈黙していると思っているのは、昨年の衆院選前の思考と全く同じ。選挙後、野党はバラバラになったが、この森友・加計疑惑で6党派は再結集したといっていい。つまりこの程度の答弁で乗り切れたと思っているのは、官邸の太鼓持ちの側近たちだけ。野党が詰め切れないのは、役所が資料を隠したり、なくしたと言い張ったり黒塗りにしていたから。加えて衆院予算委で江田憲司も言っていたが、関係者といわれる人物の話を、ことごとく自民党が国会に呼ぶことを拒んできたからだ」と指摘する。
自民党議員の正論を聞いていても、一点の曇りもないはずの自民党が、なぜ拒むのかの論理的説明もなければ、解決に近づくことを拒んでいることになり、これでは共犯関係だ。今までは首相夫妻とその仲間たちと官邸の問題だったが、今では自民党が抱える問題だ。28日には、共産党が提示した森友問題の内部文書から、国交省航空局長・蝦名邦晴と財務省理財局長・太田充が値引きを隠すため、会計検査院も巻き込み、国会対策、メディア対策、世論対策の口裏合わせをしていたことが発覚。2人は事実上の会合は認めたが、内容については記憶にないとかわした。国民は既に分かっている。うそで塗り固めて来たものがほころび始めていることを。あとは本人が認めるかだ。(K)※敬称略

国会召集放置は「違憲」 沖縄選出の議員5人、国を提訴 - 沖縄タイムズ(2018年5月29日)

http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/259082
https://megalodon.jp/2018-0529-0915-43/www.okinawatimes.co.jp/articles/-/259082

森友・加計学園問題の疑惑解明を求め、2017年6月に野党が要求した臨時国会の召集を安倍晋三内閣が3カ月以上放置したのは憲法違反として、沖縄県選出の国会議員5人が28日、国に20日以内に国会を召集する義務があることを確認する訴訟を那覇地裁に起こした。弁護団によると、国会議員の要求による臨時国会の召集を内閣に義務付けた憲法53条の解釈が争われるのは、今年2月に提訴された岡山地裁に続き2例目。20日以内の召集義務確認を求めるのは初めて。

訴状などによると、原告の赤嶺政賢照屋寛徳玉城デニーの各衆院議員と伊波洋一糸数慶子の両参院議員は17年6月22日、他の国会議員と連名で衆参両院議長を通じて臨時国会の召集を内閣に要求した。しかし実際の召集は9月28日で、質疑を経ないまま冒頭解散。「討論の機会は永久に失われた。実質的な不召集で、違憲かつ違法」と主張している。
憲法53条は「衆院参院いずれかの4分の1以上の議員が要求すれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならない」と規定するが、召集の期限は明記していない。
原告側は、憲法学者が2、3週間程度と指摘していることや、衆院解散総選挙後の召集が30日以内と規定されていることを挙げ「遅くとも20日以内の召集が合理的な期間」とした。
28日、県庁で記者会見した照屋議員は「国会議員の召集要求が握りつぶされた。このままでは憲法が破壊される」と訴えた。
法務省の担当者は「訴状を受け取っておらず、コメントできない」と話した。

発表コメント矛盾だらけ 加計学園「安倍利用」自白の墓穴 - 日刊ゲンダイDIGITAL(2018年5月29日)

hthttp://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/editprofiletps://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229977

「公的機関に偽りの説明をしたとすれば、県や市に説明と謝罪をして、責任者が記者会見を開くのが常識だ」――。加計学園獣医学部新設をめぐるウソのもぐらたたきのような展開に、愛媛県中村時広知事がブチ切れた。
県が国会に提出した公文書の〈(2015年)2/25日に(加計)理事長が首相と面談〉との記載について、加計が26日、「当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と今治市に誤った情報を与えてしまった」なんてコメントを発表したからだ。
中村知事が激怒するのも当然だ。自前の土地もなく、資金力も乏しい加計に対し、県や市が獣医学部の施設整備費として計約93億円の税金補助を決めた背景には、安倍首相と加計理事長の「面談」を踏まえ、国という後ろ盾を信用したからだろう。それが県や市に何ら説明もなく、当然、「面談は作り話でした」と言われて「ハイそうですか」となるワケがない。
そもそも県の公文書には〈加計学園から、理事長と安倍首相の面談結果等について報告したいとの申出があり、(2015年)3月3日、同学園関係者と県との間で打ち合わせ会を行った〉とあるのだ。つまり、加計側はわざわざ両者の面談内容について話したい、と県に要望。そこで2月25日の面談や、〈首相からは「そういう新しい獣医大学の考えはいいね。」とのコメントあり〉と報告しているのだ。
さらに加計はウソをついた理由として〈当時、獣医学部設置の動きが一時停滞していた時期であり、何らかの打開策を探していた〉としている。つまり、安倍首相の総理大臣としての地位や立場を獣医学部設置の打開策に利用したと認めているワケだが、これは〈理事長が私の地位や立場を利用して何かを成し遂げようとしたことは一度もなかった〉という安倍首相の国会答弁と真っ向から反する話ではないのか。

森友学園問題で籠池氏は証人喚問
森友学園をめぐる補助金詐欺事件で、詐欺罪などで起訴、勾留され10カ月ぶりに保釈された前学園理事長の籠池泰典被告は安倍首相の妻・昭恵氏からの100万円寄付が虚偽との理由で証人喚問された。仮に加計側の説明通りであれば、安倍首相と理事長の面会を引き合いに出して獣医学部をつくり、県や市からカネを引っ張ることにまんまと成功した加計孝太郎理事長の証人喚問は避けられないだろう。

元検事の落合洋司弁護士は次のように指摘する。

「一担当者が理事長や首相の名前を勝手に使ったとは考えにくい。恐らく、愛媛県の公文書の信用性は否定できないため、ならば『担当者がウソをついた』となったのでしょう。もはや、証人喚問か参考人招致かはともかく、国会で加計理事長にきちんと説明してもらう以外に真相解明はできません」
ウソまみれでありながら、よくもまあ「世界に冠たる獣医学部を目指す」(加計理事長)なんて言えたものだ。

野党追及 論点すり替える首相答弁は… 「ご飯論法」 - 東京新聞(2018年5月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201805/CK2018052902000133.html
https://megalodon.jp/2018-0529-0913-36/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201805/CK2018052902000133.html

安倍晋三首相の答弁は論点すり替えの「ご飯論法」−。加計(かけ)学園理事長と首相の面会を記載した愛媛県の文書などを巡り、二十八日に開かれた衆参予算委員会の集中審議。野党側は、インターネット上で注目されている「ご飯論法」を持ち出して追及したが、首相は従来の見解を繰り返した。識者は「政府は国民を愚弄(ぐろう)している」と批判している。 (佐藤圭、小林由比、望月衣塑子)
首相が午前の参院予算委で、加計学園問題について「一点の曇りもない」と答弁すると、共産党小池晃書記局長は「これが今話題のご飯論法ですよ。全くのすり替えだ」と断じた。
ご飯論法」とは何か。「朝ご飯を食べましたか」と質問された場合、パンを食べていても、あたかも「ご飯(白米)」について問われたかのように論点をずらし、「食べていない」と強弁する論法だ。労働問題に詳しい法政大の上西充子教授がツイッター上で紹介すると、「秀逸な表現」などと一気に拡散した。
愛媛県が国会に提出した新たな文書には、首相が二〇一五年二月二十五日に加計孝太郎理事長と面会した際に「新しい獣医大学の考えはいいね」とコメントしたと書かれていた。小池氏は「首相と理事長との面談が架空では説明がつかないことが多すぎる」と指摘した。しかし、首相は、そうした官邸の水面下の動きには触れず、政府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG)の八田達夫座長が「決定のプロセスには一点の曇りもない」と主張していることを引用した。「ご飯論法」に当てはめれば、朝ご飯の話題中に、昼ご飯の話をするようなものだ。
上西氏が「典型的なご飯論法」とみるのが、午後の衆院予算委での立憲民主党長妻昭政調会長とのやりとりだ。獣医学部新設を目指す「利害関係者」の加計理事長が首相や秘書官と食事をしたり、食事代を支払うことなどは問題ではないかとただすと、首相は余裕めかして「別に食事を私がごちそうしてもらいたいから戦略特区で特別にやる、焼き肉をごちそうしてもらいたいからそんなことするって考えられないですよ」と反論した。
上西氏は「ご飯論法が注目されたことで、国会質疑の何がおかしいのかということを伝えることができたと思う。モリカケ問題ばかりやっている、といった批判があるが、卑怯(ひきょう)なのはこうした答弁で国会や国民を愚弄している政府ではないか」と話した。

 モリカケ問題 政府答弁は論点のすり替え? ネットで話題「ご飯論法」 - 毎日新聞(2018年5月27日)

https://mainichi.jp/articles/20180527/mog/00m/040/004000c?fm=mnm
http://archive.today/2018.05.28-003119/https://mainichi.jp/articles/20180527/mog/00m/040/004000c?fm=mnm


森友学園加計学園を巡る国会論戦が1年以上も続くのに、世論調査では国民の過半が政府の説明に納得していない。この異常事態について、ごまかしや論点のすり替えを図る不誠実な政府の国会答弁が原因だとの指摘もある。ネット上でいま、そのカラクリを暴く「ご飯論法」なるものが注目されている。発案者とともに政府の答弁を考えた。【和田浩幸/統合デジタル取材センター】

「朝ごはん食べましたか?」
 ツイッター上に5月上旬、次のような投稿が載った。

Q「朝ごはんは食べなかったんですか?」

A「ご飯は食べませんでした(パンは食べましたが、それは黙っておきます)」

Q「何も食べなかったんですね?」

A「何も、と聞かれましても、どこまでを食事の範囲に入れるかは、必ずしも明確ではありませんので……」

そんなやりとり。加藤大臣は。

投稿者は、労働問題に詳しい法政大キャリアデザイン学部の上西充子(うえにし・みつこ)教授だ。働き方改革関連法案を巡る質疑を「朝ごはん」になぞらえ、のらりくらりとした加藤勝信厚生労働相の国会答弁を皮肉った。
実例の一つが、働き方改革関連法案に当初含まれていた「裁量労働制の適用拡大」(厚労省の統計データ不備発覚で削除)を巡る国会質疑だ。
裁量労働制は、実際に働いた時間でなく、あらかじめ決めた「みなし労働時間」を基に残業代込みの賃金を支払う制度で、一部の専門的な職種で認められている。これを営業職などに広げる同法案に対し、労働界などは「過労死を招きかねない」と強い懸念を表明してきた。厚労省東京労働局も昨年12月26日、野村不動産裁量労働制を社員に違法に適用していたとして是正を求め特別指導したと発表していた。
同法案に反対する野党の追及に対し、安倍晋三首相は東京労働局の指導の例に言及し、「制度が適正に運用されるよう指導を徹底する」と強調していた。ところが、問題の野村不動産で社員の1人が2016年9月に過労自殺し、是正指導の発表と同じ昨年12月26日に労災認定されていたことが、朝日新聞の報道で今年3月4日に発覚。野党側が一斉に反発した。政府が、是正指導という都合のよい部分のみを発表し、裁量労働制のもとで過労死があったことは隠していた−−との疑惑が持ち上がったのだ。
個別問題を一般論にすり替え
翌日の3月5日、参院予算委員会立憲民主党石橋通宏議員が質問に立った際、加藤氏との間で以下のやり取りがあった。

石橋氏「(社員が過労自殺し、労災認定されたことを)加藤厚労相は、もちろん知っておられたんでしょうね?」

加藤氏「それぞれ労災で亡くなった方の状況について、逐一私のところに報告が上がってくるわけではございませんので、一つ一つについてそのタイミングで知っていたのかと言われれば、承知をしておりません」

石橋氏は「知っておられなかった、と。この事案」と念押しし、新聞各紙も翌日の朝刊で、加藤氏が過労自殺を「把握せず」などと報じた。

このやり取りについて、上西さんは「加藤氏はきちんと答えていない。野村不動産の事例を聞かれているのに、全ての労災死事案に論点をすり替えている」と見抜いた。

実際、加藤氏はその後の国会で、先の答弁について「一般論として申し上げた。労災補償の個別事案は常に説明、回答を差し控えさせていただいている」と説明し、5日に答弁した時点で知っていた可能性を否定しなかった。

答えたようで実は何も答えず
こうした加藤氏の巧妙なレトリックを、上西さんは「ご飯論法」として、ツイッターに次々に投稿した。

Q「では、何か食べたんですか?」

A「お尋ねの趣旨が必ずしもわかりませんが、一般論で申し上げますと、朝食を摂る、というのは健康のために大切であります」

Q「いや、一般論を伺っているんじゃないんです。あなたが昨日、朝ごはんを食べたかどうかが、問題なんですよ」

A「ですから……」

Q「じゃあ、聞き方を変えましょう。ご飯、白米ですね、それは食べましたか」

A「そのように一つ一つのお尋ねにこたえていくことになりますと、私の食生活をすべて開示しなければならないことになりますので、それはさすがに、そこまでお答えすることは、大臣としての業務に支障をきたしますので」

投稿は計3000件もリツイート(拡散)され、「霧が晴れたよう」などとネット上に共感が広がった。上西さんは「ご飯論法」による厚労相答弁の詳細な分析もネット上に投稿。取材に「何かを答えているように装うが、実は何も答えていない。しかも、やり取りがかみ合っていないことに質問者がすぐに気づけない言い方で、悪質です」と憤る。
モリカケ問題でも続々登場
この「ご飯論法」は、モリカケ疑惑の政府答弁にも当てはまる。
加計学園問題を巡る柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)の昨年7月の答弁が典型だ。今治市の職員と会ったかと問われ「会った記憶は全くない」と答えた。ところが、今月の参考人招致では一転、学園関係者と会い、その場に職員もいた可能性を認めた。
上西さんは「職員と会った記憶がなかったとしても、学園関係者と会ったと答えるべきだ。重要な点に意図的に触れないようにしたとしか思えない」と話す。
森友学園への国有地売却を巡る財務省決裁文書改ざん問題で、理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官は昨年2月24日の衆院予算委で、森友側との交渉記録について「確認したところ、ございませんでした」と答弁した。だが、今年3月27日の証人喚問では、当時は記録の存否自体を確認していなかったと主張。「確認したという意味は(保存義務が1年未満という)文書の取扱規則を確認したということだった」と奇妙な論理で、過去の答弁を正当化した。
安倍首相の国会答弁も、個別の問題についての野党の質問を一般論ではぐらかすなど、まともに答えない例に事欠かない。
不誠実な答弁で時間を空費
加計学園問題で新たに見つかった愛媛県の国会提出文書には、首相が2015年2月25日に加計孝太郎理事長と会い、「新しい獣医大学の考えはいいね」と語ったという記載があった。首相は学園の獣医学部新設計画を知った時期について、「国家戦略特区に認定された2017年1月20日に初めて知った」と繰り返し説明してきた。愛媛県文書の記載内容が事実なら、国会の場で国民にうそをつき続けてきたことになる。
安倍首相は5月22日午前、報道陣に「指摘の日に加計氏と会っていない。念のため官邸の(入邸)記録を調べたが確認できなかった」と記載内容を否定した。午後の衆院本会議でも野党2人の追及に「(加計氏らが)官邸を来訪した記録は確認できなかった」と繰り返した。
この入邸記録がくせものだった。菅義偉官房長官は同日、記者会見で「業務終了後、速やかに廃棄される取り扱いで残っていなかった」と説明した。本会議で三たび加計問題を取り上げた本村賢太郎氏(無所属の会)は「先ほどから確認できなかったと言うが記録はないということだ。正直に説明してほしい」と厳しく追及。首相は「廃棄する取り扱いで確認できなかった」と正確な答弁をした。
上西さんは「記録が存在せず確認できなかったのに、まるで『記録は存在し、確認したが面会の記載はなかった』と語っているように見せかけたかったのだろう」と見る。

ご飯論法」に訳すと、こうだろうか。

Q「首相は朝ごはん食べたんですよね」

A「食べていません。念のため朝ごはんの記録を調べたが、食べた記録は確認できませんでした(実は記録がなくて確認できなかったのだが、はっきり言わないでおこう)」

上西さんは怒りを含んで言う。「いつまでモリカケ問題を追及するのか、と野党への批判がある。だが、不誠実な答弁を繰り返し、時間を空費する政府に問題があると冷静に認識すべきです」

牧太郎の青い空白い雲 /671 加計も、日大も「危機管理学部」なんてよく言うよ! - サンデー毎日(2018年5月29日)

https://mainichi.jp/sunday/articles/20180528/org/00m/070/003000d
http://archive.today/2018.05.29-060149/https://mainichi.jp/sunday/articles/20180528/org/00m/070/003000d

「危機」は突然やって来る。どこからでも、誰にでも「危機」はやって来る。
週刊誌の関心事は3S(政治・セックス・スポーツ)!とされていた時代があった。今は新3K(経済・健康・孤独)とも言われるそうだ。金儲(もう)け、長生き、ステキな一人暮らし……を書けば、『サンデー毎日』は売れる。
しかし考えてみると、この新3K、煎じ詰めると「危機管理」である。誰にでもやって来る「貧乏の危機」「がんの危機」「孤独死の危機」に立ち向かう知恵である。
相変わらず「不倫もの」も歓迎されるが、それは「セックス」ではなく、なぜ不倫がバレたのか? 不倫話で誰が儲けているのか?「不倫の危機」が売り物である。
つまり、我々は週刊誌で新3Kの「危機管理」を学んでいるのだ。

    ×  ×  ×

週刊誌がそのくらいだから「危機管理」が学問になってもおかしくない。
某大学の「危機管理学部」の案内書にはこう書いてある。
【社会のリスク・危機に迅速に対応する知識を学ぶ「危機管理システム学科」、持続可能な地球環境の保全と環境教育について学ぶ「環境危機管理学科」、人の健康と生命を守るための知識と技術を学ぶ「医療危機管理学科」、工学的な技術と航空機について学ぶ「航空技術危機管理学科」、ヒトと動物の適切な関係を学ぶ「動物危機管理学科」の5つの学科で構成されています。これらの学科が連携し、社会を、そして地球を助ける危機管理の専門家を大切に育てています】

 ご立派である。

でも、よく読んでみると環境学、医学、航空学、動物学などという従来の学問とどこが違うのか? 疑問だ。いま流行(はや)りの「危機管理」という言葉を使っているだけではあるまいか? ともかく胡散(うさん)臭い。
調べてみると、2018年度、この大学の危機管理学部は定員300人なのに、入学したのはわずか146人。半分にも達しない。

    ×  ×  ×

この「危機管理」が売り物の大学は、「千葉科学大学」である。西日本を中心に4法人、21の教育施設を持つとされる、例の“アベ友”、加計(かけ)学園グループが2004年に、初めて首都圏で開いた大学である。
開校に至る「不透明な経緯」はいまだ解明されていないが、千葉県銚子市加計学園に市有地9・8ヘクタールを無償貸与した上、92億1500万円の補助金を提供して誘致した。
銚子市の年間予算は約240億円である。その年間予算の40%近いカネを「危機管理の大学」に投じたことになる。しかも、加計グループを応援した補助金のかなりの部分が市の借入金。銚子市民は、加計グループのために多額の借金をして、2025年まで返済を続けなければならない。
「次代を先取りして新しい取り組みに挑戦し、社会で活躍できる実践的な人材育成を目指す」と言うが、学生がどうしても集まらない。つまり、人気がないのだ。

当然、授業料収入も減る。

私学補助金の金額は収容定員に対する在学者数の割合を示す「収容定員充足率」で決まる。17年度の危機管理学部の充足率は71%で、大学全体として今年の補助金は前年から約3500万円ダウンしている。「危機」である。銚子市民も「危機」である。

    ×  ×  ×

加計学園を真似(まね)た!とは言わないが、天下の日本大学も「危機管理学部」を16年春に開いた。「オールハザード・アプローチの視点で、多様な危機を理論と実践の両面から追究します」
こちらは、危機管理の最前線で活躍してきた法務省国土交通省警察庁など官公庁出身の実務家教員が教壇に立ち、実績を上げているという。
が、例のアメリカンフットボールの“殺人タックル騒動”である。まず謝らなくてならないのに、日大の前監督は他人事(ひとごと)のように振る舞い、謝っても相手の大学名「かんせいがくいんだい」を「かんさいがくいんだい」と発言する始末。
「何一つ危機管理ができていないのに、一体何を教えるんだ」「危機管理学部がある日大だけど、危機管理対応ができていない日大」と笑われる。はっきり言って、日大の殺人タックル騒動は「危機管理学」以前、人間学の範疇(はんちゅう)だ!

◆太郎の青空スポット
砂の世界旅行
鳥取砂丘の一角にある「砂の美術館」で「砂で世界旅行・北欧編」が来年1月6日まで開催中。北欧の大自然、神話の世界、アンデルセン童話の人魚姫……。「砂」を素材にした彫刻は世界でここだけだろう。砂丘では天気が良ければ、日本海に沈む夕日の絶景が見られる。0857―20―2231

まき・たろう
1944年生まれ。毎日新聞に入社後、社会部、政治部を経て『サンデー毎日』編集長に。宇野宗佑首相の女性醜聞やオウム真理教問題を取り上げる。現在、毎日新聞客員編集委員。ブログに「二代目・日本魁新聞社」がある。

「最後の砦」の会計検査院、森友学園公文書改ざんの隠蔽どころか財務省・国交省らとグルだった疑い - BUZZAP!(2018年5月29日)

https://buzzap.jp/news/20180529-board-of-audit-collaspe2/

気付かなかったどころの話ではありません。詳細は以下から。

森友学園の国有地大幅値下げ問題で、財務省国土交通省の幹部が2017年9月に会計検査院の「検査報告」に関し、報告書の原案を財務省が入手していた疑いが浮上しました。

財務省国交省会計検査院への「介入」疑惑
この話は共産党が5月28日の衆参両院の予算委員会で明らかにしたもので、財務省の太田充理財局長と国土交通省の蝦名邦晴航空局長らが森友学園への国有地売却に関する会計検査院の「検査報告」への対応などを協議したことを示す文書を入手したとしています。

共産党小池晃書記局長によると太田理財局長は面会でごみ撤去に関して「総額を消すことが重要だが、それが難しい場合には失点を最小限にすることも考えなくてはいけない。少なくともトン数は消せないのではないか」と発言。

さらに蝦名航空局長から決裁文書などの提出範囲を問われると「政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要がある」と応じています。

共産党の宮本衆院議員は、会計検査院が2017年11月に本件の「検査報告」を公表する前に、財務省は原案を入手していたのではないかと追及。太田理財局長は「情報交換」を行ったことのみ認めました。

しかし会計検査院の「検査報告」の原案を見ていたかという質問に対しては以下のようにのらりくらりと逃げを打ちます。

お答え申し上げます。会計検査院とはいろんなことを御指摘をいただいてということですが、今おっしゃられるのはその時に報告書の案が云々という話について、私に通告もなく今そのようなことをお尋ねをいただいても何も今私がお答えのいたしようがございません。申し訳ありません。

実際には、この「情報交換」から2ヶ月後に公表された会計検査院の「検査報告」には国が見積もったごみの量は過大だった可能性は示しながら、検査過程でごみ撤去費用の値引き額は最大約六億円過大と試算したものの金額は盛り込まれませんでした。

実のところ、既にこの答弁の時点で太田理財局長も会計検査院も完全に詰んでいます。

◆「最後の砦」会計検査院は完全な独立機関…のはず
どういうことかというと、会計検査院日本国憲法第90条によって権限が定められ、会計検査院法第1条により、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する」とされています。

また公式サイトにも「国会及び裁判所に属さず、内閣からも独立した憲法上の機関として、国や法律で定められた機関の会計を検査し、会計経理が正しく行われるように監督する職責」を持つ機関とあります。

つまり、太田理財局長は質問の通告があろうとなかろうと完全に独立した機関である会計検査院の文書を事前にチェックすることも絶対にできませんし、「検査報告」の原案に対して介入することも絶対にできません。

ですから、この場合は即座に「ありません」と断言する以外の答えは絶対にあり得ず、「何も今私がお答えのいたしようがございません」などと否定もなしで保留する事そのものが異常事態なのです。

そうした答弁が行われた以上、太田理財局長は断定的に虚偽答弁を行う事を避けようとしたと受け取る以外ありませんし、そうなれば会計検査院の三権から独立するという憲法上の存在意義が瓦解しますし、その独立性を脅かそうとした太田理財局長は重大な違憲行為を行っていることになります。

ですが、会計検査院は既に森友学園問題に関する財務省の決裁文書の改ざんを巡って「2種類の文書が存在することには検査中から気付いていた」と明らかにしています。

つまり、この検査を行っていた2017年の段階でこの改ざんを認識していながらこれまで隠蔽してきたことになり、「最後の砦」は既に陥落していることはBUZZAP!でもお伝えしたとおり。

この際の記事でも、会計検査院が進んで自らの存在意義を土足で踏みつけてドブに投げ込み小便を掛けるような隠蔽行為を行う事は考えられず、どこかから何らかの極めて強い圧力が掛かったからこそこのような最悪の事態が発生したはずだと指摘しました。

そして実際に財務省の太田充理財局長と国土交通省の蝦名邦晴航空局長らが「情報交換」を行い、その際の「政府の失点を最小限に抑える」という発言に沿った方向性で会計検査院の「検査報告」に試算の金額が盛り込まれていなかったという事実が明るみに出たわけです。

憲法でその独立性を担保された会計検査院もグルだったとなれば、国民が信じられる機関がどこにもなくなってしまいますが、これを国難と呼ばずして何が国難なのでしょうか?

すでに42億円交付の現実 「補助金出さねば加計倒産、出せば今治市長背任」のシナリオ - 田中龍作ジャーナル(2018年5月27日)

http://tanakaryusaku.jp/2018/05/00018190

裁判に訴えてでも補助金をせしめなければ、自転車操業加計学園は倒産の危機に陥る。だからといって今治市が約束通り加計学園補助金を交付すれば、菅良二市長は背任で訴えられる・・・この先、十分予想されるシナリオだ。
今治市加計学園のキャンパス建設補助金として最大96億円を交付することを決めている(2017年3月定例議会)。96億円には愛媛県の負担も含まれる。
愛媛県今治市は3月末までに42億円の補助金加計学園に交付した。内訳は県が14億円、市が28億円。残る補助金は54億円だ。今後、県が18億円、市が36億円を負担する。
市有地をタダでふんだくり、キャンパス建設費の半分を補助してもらう。加計学園愛媛県今治市の援助があってこその開学だった。ところがここに来て「県と市に誤情報を与えた」とするコメントを出した。安倍首相と口裏を合わせるためのウソなのだろうが、愛媛県今治市にしてみれば「俺たちを騙したということか?」となる。
柳瀬唯夫首相秘書官との面会も否定されるなど面子を潰されっぱなしの愛媛県が、「残りの18億円を負担しないよ」と言ったら・・・あにはからんや加計学園はピンチにならない。
今治市加計学園に対して「補助金96億円を交付する」と決定した公文書を通知しているからだ。昨年3月31日に加計孝太郎理事長が申請し、即日、菅良二市長が決裁し通知した。人を食った話だ。この日3月31日は大学設置認可申請の締め切り日だった。
愛媛県が負担しなくなっても、今治市は全額交付しなくてはならない。加計学園に「96億円の交付」を公文書で通知しているからだ。払わなければ、今治市加計学園から詐欺で訴えられる可能性もある。
補助金水増し請求の疑い」が裁判沙汰となっている加計学園が、今治市を詐欺で訴えることになるのだろうか。詐欺師が「詐欺の被害に遭った」という図式だ。
世も末の泥仕合でとんだ迷惑を被るのは、今治市民である。〜終わり〜

不登校の先にも輝ける道 ライター・三岡さん、虎ノ門で作品展:東京 - 東京新聞(2018年5月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201805/CK2018052902000139.html
https://megalodon.jp/2018-0529-0906-02/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201805/CK2018052902000139.html

いじめをきっかけに不登校になり、自殺未遂や自傷を繰り返した経験のあるフリーライターの三岡瑞希さん(29)=都内在住=が、初の作品展「Photo×Story展 Bridge」を港区虎ノ門5の「カフェ パピエ」で開いている。苦しい日々を乗り越えた自分が感じたことを写真と掌編小説で表現した。三岡さんは「つらい思いをしている人に、1人じゃないと伝えたい」と話す。 (原尚子)
三岡さんは昨夏から、一枚の写真に一つの物語をつけた作品をインスタグラムで発表。フォロワー同士が交流を始めるなど手応えを感じる中、「実際に皆が会ってつながれる場があれば」と個展を思い立った。会場には掌編小説集のほか、自らをモデルに撮り下ろした写真に一つずつ物語をつけた作品集、その抜粋パネル十三点を展示した。
ガラスに映る三岡さんのポートレートには、三島由紀夫仮面の告白」をモチーフに、周囲の評価を気にしながら生きる「僕」の葛藤を描いた物語をつけた。作品集の巻末には、着想を得た文学作品のリストも載せている。
岐阜県出身。小学五年生で転校した後、机に「死ね」と書かれたり、上履きに画びょうを刺されたりするいじめが始まった。いじめは中学でも続き、不登校に。先の見えない三岡さんを支えたのは読書。「私をいじめる人たちが絶対読まない本を」と三島など純文学を読みあさるうち、図書の先生が金原ひとみさんの「蛇とピアス」を貸してくれた。
当時、芥川賞授賞式に茶髪、ミニスカートで現れた存在感に圧倒され調べると、金原さんも不登校だったことが分かり「普通の道でなくても、自分を表現して輝いている大人がいる」と初めて励まされた。
高校、大学を通信制で卒業、現在はライターとして過去の経験をつづったり、作品の中で表現したりしている。「作品には自分のかけらを埋め込んでいる。つらい思いの先に道があると思ってくれたら。来場者同士でつながりが生まれるといい」と願う。
作品展は六月一日まで。入場無料だが、一オーダーが必要。問い合わせは三岡さんのメール=et.alors.0425@gmail.com=へ。

<大人って… 迫る18歳成人> (1)親の同意なくローン契約可能に:千葉 - 東京新聞(2018年5月27日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201805/CK2018052702000134.html
http://web.archive.org/web/20180527020215/http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201805/CK2018052702000134.html


国会で審議中の成人年齢を二十歳から十八歳に引き下げる民法改正案が、二十五日に衆院法務委員会で可決された。今後衆参の本会議で審議される見通し。成立すれば二〇二二年四月に施行される見通しで、一八七六(明治九)年に二十歳と定められ、約百四十年続いてきた成人の定義が大きく変わる。生活にどのような影響を与えるのか。若者たちの思いに耳を傾けた。
「大人って、経済的に自立している人だと思う」。千葉市淑徳大学コミュニティ政策学部で十八日にあった授業。一年生の男子学生の発言に、他の学生たちが聞き入った。
授業は一年生ら約二十人が参加。十八歳成人が実現すれば、十八、十九歳の若者が親の同意なくクレジットカードやローン契約を結べることの是非などを議論した。一年の井上李音(りおと)さん(18)は「クレジットカードを作ったら、使いすぎてしまうかも。契約できても、トラブルになれば自分を守れるか不安」と話す。
別の男子学生は「高校時代、携帯電話に『不動産投資に興味ありませんか』とかかってきた」と明かした。見知らぬ相手だったが思わず話を聞き、自分が高校生だと告げると電話を切られたという。よくある勧誘の手口で、契約トラブルに巻き込まれる可能性もあった。
二〇一六年度に県消費者センターや市町村の窓口に寄せられた、二十歳未満の契約トラブルを巡る相談件数は九百六十九件。同センターによると、十代の相談事例は「スマートフォンで誤ってアダルトサイトに入り、登録されてしまった。数十万円の解約料を請求された」といったインターネットサイト絡みの不当請求などが多い。
現行では、二十歳未満の未成年なら保護者の同意のないまま契約しても、原則として取り消すことができる。だが成人年齢が十八歳に引き下げられれば、十八、十九歳の若者がローンを組んでバイクを購入したり、インターネットで契約したりした後、トラブルになった場合でも、解約できないケースが出てくる。十八、十九歳の若者を狙った悪質業者による契約トラブルの増加が懸念される。
国会では、今回の民法改正案に合わせ、不当に結ばせた契約は取り消せる規定を追加する消費者契約法改正案も審議中だ。例えば、就職活動の不安をあおって高額なセミナーに誘ったり、恋愛感情を利用して契約させるデート商法など、不当な勧誘による契約は、取り消せる規定を盛り込もうとしている。
若者への消費者教育も、広がりつつある。県弁護士会消費者問題委員会は昨年六月、消費者教育を行う部会を設立。県内の高校や大学で、契約トラブルの事例を紹介する出張授業を続けている。部会長の中島順隆(まさたか)弁護士は「高校生や大学生に消費者問題の知識を増やしてもらい、相談窓口も周知して被害を防ぎたい」と話している。

 (この企画は中山岳が担当します)

<大人って… 迫る18歳成人> (2)民法改正案の賛否 淑徳大生に聞く:千葉 - 東京新聞(2018年5月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201805/CK2018052802000129.html
http://web.archive.org/web/20180528064037/http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201805/CK2018052802000129.html


成人年齢を二十歳から十八歳に引き下げる民法改正案について、本紙は、淑徳大学コミュニティ政策学部(千葉市)の一年生らにアンケートを行った。十八歳成人の賛否は「どちらとも言えない」が最多の四割強で、自分たちの生活にどんな影響があるのか具体的にイメージできていない様子が浮かんだ。大人の条件として経済的な自立を重視する学生が多かった。
アンケートは十五日に行い、十八、十九歳を中心とする学生百三人から、自由記述を含めて回答を得た。
成人年齢引き下げの賛否を聞いたところ、いずれも三割弱だった「賛成」と「反対」よりも「どちらとも言えない」が四割強を占め、最も多かった。自由記述では、「どちらが良いか分からない」、「特別に変わることがなさそう」との意見があった。
賛成の学生は「高校を卒業して働く時に親の許可なくいろいろ契約できる」「もう子どもではない自覚を持たせるため」と回答。一方で、反対の学生は「十八歳は高校生活を終えていない」、「成人式(の時期)などいろいろ狂ってしまう部分がある」との意見を寄せた。
現行法は結婚できる年齢を男性は十八歳以上、女性は十六歳以上と定めているが、今回の民法改正で、女性が結婚できる年齢も十八歳以上に変更される。学生の回答は「賛成」と「どちらとも言えない」がいずれも四割強で、「反対」は一割強にとどまった。
成人年齢が十八歳になっても、飲酒・喫煙ができる年齢は二十歳以上のままで変更はない。それぞれ二十歳未満を禁じる法律は維持されるためだ。アンケートでこの点をたずねたところ、「十八歳から認めるべきだ」と「二十歳解禁のままで良い」が、いずれも四割弱だった。
自由記述で十八歳から認めるべきだという学生は「(十八歳成人と)統一させた方がいい」、「酒やたばこで失敗する人は十八歳も二十歳も変わらない」などと指摘。現状維持に賛成の学生からは「体に良くないので十八歳から許すと悪影響」、「高校生から飲み始めてしまう」と危ぶむ声が上がった。
大人のイメージを複数の項目から選んでもらうと、「経済的自立」が最も多く、「働いている」が続いた。「実家を出て暮らしている」と「結婚している」は、ほぼ同数だった。
同学部の矢尾板俊平・准教授(総合政策論)は、経済的自立を重視する学生が多かった点に注目し「働いていない学生の多くは、自分が大人になりきれていないと思っている」と指摘。十八歳成人が実現すれば、ローン契約などで十八、十九歳が責任を負うことになることから、「消費者被害に遭わないようにするため、実態を学ぶなど、大人の責任を果たせるようになるための教育が、高校時代から必要だ」と話している。

<大人って… 迫る18歳成人> (3)難民支援に取り組む千葉大生:千葉 - 東京新聞(2018年5月29日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201805/CK2018052902000159.html
https://megalodon.jp/2018-0529-0910-42/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201805/CK2018052902000159.html


「十八歳から自分のことは自分で決める雰囲気が、うらやましかった」。千葉大学国際教養学部二年の椿原萌(もえ)さん(20)は、高校生の時に一年間、障害者福祉を学ぼうと留学したスウェーデンでの経験を、今もよく覚えている。
スウェーデン成人年齢は十八歳。現地の高校生たちは、教師ら周囲から「もうすぐ大人。何をしてもいいが自分で責任を取りなさい」と言われていた。
椿原さんが在籍した外国人留学生のクラスには、シリア紛争で故郷から逃れてきた約三十人の同世代の学生がいた。学生から「住んでいたマンションの前に爆弾が落ちて、とても揺れた」などと聞き、紛争の現実を知った。「シリア難民について何も知らず、打ちのめされた。日本の学生の多くが、親ら大人たちに守られていることも実感した」と振り返る。
千葉大に入学した椿原さんは今年一月、難民支援に取り組む学生団体「フェリチェート」を設立した。六月に同大で、パネルディスカッションや写真展を開く予定だ。
同団体で広報を担当する法政経学部二年の山崎久稔(ひさとし)さん(19)は、一年だった昨夏、アフリカ・タンザニアで二週間、教育支援などのボランティアを経験。現地の小学校で英語の授業を手伝い、荒れ地にマングローブを植えた。「日本では未成年でも、海外でボランティアをすると、大人として扱われることがある」と話す。
日本の成人年齢を二十歳から十八歳に引き下げる民法改正案については「高校三年で『もう大人』と言われたら、多くの学生は身構えてしまうのではないかな」と感じている。
成人年齢は国ごとに異なるものの、米国の大半の州、イギリス、中国などが十八歳で、海外では十八歳が主流となっている。国際教養学部講師の佐々木綾子さんは「日本の十八歳は高校生も多く、部活や勉強が生活の中心で、社会への関わりはまだ少ない」と分析する。
佐々木さんは千葉大で二〇一三年度から、国内外のボランティア活動を取り入れた科目「グローバルボランティア(GV)」を担当。同科目では年間約五十人の学生が、教育支援や環境ボランティアなどを経験する。
フェリチェートで活動する学生の多くも、GVを受講した。佐々木さんは「国内外にかかわらずボランティアを経験した学生たちは、視野を広げて帰ってくる。大切なのは、自発的にやってみようとする気持ちだ」と指摘。留学やボランティアなど、自分の世界を広げる意欲が「大人の一歩」になるとし、若者が高校時代から社会の一員だと自覚できるような「市民教育」も重要だとしている。

(教育ニュース)幼保無償化 来年10月 全面実施 消費増税と同時 - 東京新聞(2018年5月28日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2018052802000172.html
http://web.archive.org/web/20180528063941/http://www.tokyo-np.co.jp/article/education/edu_national/CK2018052802000172.html

政府は、幼児教育・保育の無償化を二〇一九年十月から全面実施する方向で調整に入った。これまでは一九年四月から五歳児の幼稚園や認可保育所などの利用料を先行して無償化し、二〇年四月からゼロ〜四歳児に広げる方針だったが、一九年十月に予定されている消費税率の10%への引き上げに時期をそろえる。
経済財政運営の指針として六月に決定する「骨太方針」に盛り込む。無償化には消費税増税に伴う増収分の一部を活用。一四年四月の8%への引き上げ時には、駆け込み需要の反動で消費が落ち込んだ経緯があり、増税と全面無償化の実施時期を合わせることで、子育て世帯の負担感を和らげる効果を狙う。
また、五歳児の先行実施を半年延期することで、実務を担う自治体の準備期間を確保し、混乱が生じないようにできるとの判断もある。
今回の無償化は、安倍晋三首相が昨年の衆院選で公約に掲げていた。対象は、三〜五歳は全ての子どもの幼稚園や保育施設の利用料で、ゼロ〜二歳は住民税非課税世帯の子どもの保育施設利用料。

生活保護受給者に後発薬 社会の公平性どう考える - 毎日新聞(2018年5月29日)

https://mainichi.jp/articles/20180529/ddm/005/070/099000c
http://archive.today/2018.05.29-001445/https://mainichi.jp/articles/20180529/ddm/005/070/099000c

生活保護法改正案が今国会で成立する見通しとなっている。4兆円近くに上る生活保護費の約半分を占める医療費を抑えるため、受給者には原則として低価格の後発薬(ジェネリック医薬品)を処方することが盛り込まれている。
生活保護費の膨張は抑えなければならないが、受給者だけ後発薬を義務づけることには異論も根強い。
新薬の特許権が切れた後に、別の会社が同じ有効成分を用いて作るのが後発薬だ。新薬開発時に有効性・安全性は試験済みであるため、開発期間は平均で3〜5年と短い。価格も新薬の3〜7割と安い。
政府はこれまでも受給者への後発薬処方を進めてきたが、現在72%にとどまっている。薬効は同じでも、新薬とは形状や添加物が異なり、溶け方や塗り心地が違うことから、後発薬を嫌がる人がいるためだ。
受給者だけでなく、政府は国民全体にも後発薬の使用促進を図っている。ジェネリック医薬品の使用割合が1%上がれば10億〜15億円は削減できる。医療費全体の膨張を抑えることにつながるためだ。
ところが、日本全体の後発薬の使用の割合は現在65%。米国の90%をはじめとする諸外国に比べて低い。このため、2020年9月までに後発薬の使用を80%にすることが、昨年6月に閣議決定された。
生活保護の受給者だけをターゲットにするよりも、国民全体で後発薬の使用を進める方が医療費を抑える効果ははるかに高い。お金のない人を自動的に後発薬とすることによる差別感を避けることにもなる。
日本には貧困層への医療に配慮してきた歴史がある。1911年には貧困者に無料で薬の投与、治療を行う「施薬救療の大詔」が発せられた。雇用労働者を対象にした旧健康保険法の施行(27年)より前のことだ。現在も保険証のない困窮者に対して無料低額診療制度がある。
高齢化や医療技術の進歩で今後も医療費は増加することが予想される。負担増や受診制限など、厳しい政策の検討も避けられないだろう。
社会的公平性を守りながら、医療制度を持続可能にするには何が必要か。公的医療が担ってきた社会に対する国民の信頼や連帯感についても深く考える必要がある。

防衛局員が投資本 基地の効果喧伝おかしい - 琉球新報(2018年5月29日)

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-727900.html
http://archive.today/2018.05.29-001742/https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-727900.html

沖縄防衛局の職員が県内の軍用地への投資を薦める単行本を出版し、自身も米軍嘉手納基地などの土地を購入して軍用地料を得ていたことが分かった。防衛省は省に無断で出版したことを問題視し、処分を検討しているという。
しかし、問題の本質は無断出版ではない。米軍基地が返還されて跡地利用が進めば税収も雇用も増えることは、那覇新都心北谷町の西海岸エリアなど目に見える形で現れている。にもかかわらず軍用地は「安定的で長期的な収入が見込める」とうたい、「リスクは基地返還」などとして、あたかも米軍基地が沖縄に多大な経済的なメリットを生んでいると強調している。
職員は著書で軍用地購入を「究極のローリスク・ミドルリターンの投資だ」などと紹介した。一方で基地返還をリスクとし、基地の存続に反対する一坪反戦地主会を「契約手続きで多額の税金を費やしている」と批判している。
軍用地が「金融商品」として取引が活発化したのは2008年のリーマンショック後だ。株価が大きく下落する中で、利回り2〜3%ほどだが、日本政府が賃料を支払う安定性が注目された。不動産業者が土地を分割して価格を下げたことも購入者を増やした。
現実には、跡地利用が成功した場所では軍用地料よりも民間への賃料の方が高くなった。地主に利益をもたらし、雇用を生み、地域経済に貢献している。那覇新都心で返還後、直接経済効果が31倍の約1634億円、雇用が93倍の約1万5千人になったのが典型だ。
同書は軍用地が復帰後、上がり続けてきたことを挙げ「ドル箱」と称する。軍用地料の上昇は、日本政府が米軍に基地を安定して提供するために地主の不満を抑える、いわば「政治価格」だ。財源は私たちの税金である。
政府内でも軍用地料の金融商品化が議論になった。民主党政権時代の2010年、第1回事業仕分けで軍用地料の一部経費が廃止を目指す「仕分け」の対象に上げられた。委員からは基地被害と関係ない県外在住者が軍用地料を得ることへ疑問が呈された。
軍用地の賃貸借契約や管理を担う防衛局職員が基地を「金融商品」として喧伝(けんでん)する意図は何であろうか。
戦後、米軍に強制的に土地を奪われ、対価としてわずかな地料が設定された。復帰後は政府による米軍基地維持政策の一環とされた。それが金融商品と化し、さらに基地被害を受けない県外在住者の投機対象となっている現状は、基地経済の「ひずみ」の一つだ。投資目的の地主の増加が今後の返還跡地の開発に悪影響を与えることも懸念される。
職員は防衛省が買い入れた土地などの財産管理業務に携わったという。資産形成に職務で知った情報を参考にしたのであれば、国家公務員倫理規定に違反する。防衛省は厳密に調査すべきだ。