いま読む日本国憲法(47)第77条 訴訟手順、司法が制定 - 東京新聞(2017年6月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017060302000138.html
https://megalodon.jp/2017-0604-1030-13/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2017060302000138.html

最高裁判所が、司法に関する規則をつくる権限を定めています。ここでいう規則とは、訴訟の手続きや段取りなど。七六条が掲げる「司法権の独立」を保障するため、立法府である国会の干渉を受けることなく、内部的な規則を決められるようにしたのです。
憲法は四一条で「国会は国の唯一の立法機関」として、国のルールづくり(立法)は国会だけに認められた役割であること(国会中心立法の原則)を定めていますが、七七条は例外と位置づけられます。
もっとも、司法の手続きを定めた法律は、ほかの法律と同様に国会の議決によって決まります。例えば、一般人が裁判官と一緒に刑事裁判を行う裁判員制度の根拠となる裁判員法も、国会で成立しました。一方で、裁判員裁判の具体的な進め方の規則は、最高裁が定めています。
憲法論議では、七七条を見直すべきだという意見はほとんどありません。
ただ、自民党改憲草案は二項で、最高裁判所の定める規則に従わなければならない対象として、「弁護士その他の裁判に関わる者」を付け加えました。現行の条文は検察官だけを対象としています。
あえて弁護士を加えたことに対し、弁護士の権力からの独立を保障した「弁護士自治」を侵す可能性があるという懸念の声が上がっています。
     ◇
「読むための日本国憲法 東京新聞政治部編」(文春文庫)をベースに、憲法の主な条文の解説を、随時掲載しています。
自民党改憲草案の関連表記(抜粋)
(2)検察官、弁護士その他の裁判に関わる者は、最高裁判所の定める規則に従わなければならない。
((1)(3)は略)

(政界地獄耳)「憲法の理想」も壊す安倍 - 日刊スポーツ(2017年6月2日)

https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1833565.html
http://archive.is/2017.06.04-034136/https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/1833565.html

★首相・安倍晋三の政権は数々の「新しい考え」を打ち出した。日米関係、中東政策、日中、日韓関係。いずれも日本外交の歴史から逸脱し、長年の積み重ねたものを壊したといっていい。沖縄米軍基地政策は従来の政権と基地に関しては大筋で同様だが、沖縄県や県民に寄り添うことを拒否した。経済政策の失敗はもとより、天皇陛下のお考えを無視し、望まぬ形で退位を進めた。集団的自衛権の解釈変更と安保法制の成立により憲法を事実上骨抜きにした。今は共謀罪を成立させ、憲法改正に向けた反対勢力の排除に躍起だ。
★ほかにも妙な理屈の閣議決定の乱発、メディアへのどう喝や御用メディアの育成。最近では国連にかみついてみたり、首相の望む「美しい国」を形成しつつある。しかし、党内も野党もメディアもこの無秩序な政権を正面から批判できないでいる。恐怖政治が浸透した証拠なのか。だがやっと声が上がった。
★「憲法は現実に合わせて変えていくのではなくて、現実を憲法に合わせる努力をまずしてみることが先ではないか。『事実上はこうだから憲法をこう変えましょう』と、憲法が現実を後から追っかけて歩いているなんて、憲法にはひとかけらも理想がないのかと言いたくなる。憲法には1つの国家の理想がこめられていなければならない」「安倍政権は不思議な政権」「(首相の言うことは)理解のしようもない。私は9条はさわるべきではないと思う」。語ったのは元衆院議長・元自民党総裁・外相を歴任した河野洋平だ。
★さすがに我慢できなかったのだろう。それでも現職の議員たちはだんまりを決め込む。河野の後輩にあたる宏池会会長の外相・岸田文雄が情けない。「9条を守る」というので精いっぱい。自民党の幅の広さや、自由闊達(かったつ)な議論は権力の前に消えた。もう1度言う。情けない。(K)※敬称略

関連サイト)
「自民が一貫して改憲政党というのは誤り」河野氏が講演 - 朝日新聞(2017年5月31日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20170531#p12

生活保護と進学 貧困の連鎖を断ち切れ - 東京新聞(2017年6月3日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017060302000170.html
https://megalodon.jp/2017-0603-1237-09/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017060302000170.html

「誰もが希望すれば、高校にも大学にも進学できる環境を整えなければならない」。安倍晋三首相は言い切る。ならば生活保護家庭に育つ子どもの大学などへの進学の障壁を取り除くことも必要だ。
生活保護世帯から大学進学できる子というのはごくまれで、運がよい。ぜひ、普通の子が普通に進学できるようにしてほしい」
東京大三年の島田了輔さんは訴える。高知市の母子家庭に育ち、中一の頃から生活保護を受けた。母親は非正規で働いていたが、年収は多くて百数十万円。修学旅行にも行けず、周囲から「勉強するために修学旅行をサボった変なやつ」とみられ、孤立した。
県内の公立では一番の進学校に進み、次の目標として東大合格を掲げた。だが、保護家庭の子どもは大学に進学できないということを知る。利用できる資産や能力は活用する、という生活保護制度の趣旨から、保護家庭の子どもが大学などに進学することを国は認めていないからだ。大学進学のためには親と生計を分離する「世帯分離」が必要となり、世帯が受け取る保護費も減らされる。「『君は大学に行っちゃ駄目だ』と言われていると感じた」という。親に無理を言って受験費用を出してもらい、東大一本に絞った。「落ちたら死ぬ」との覚悟で挑んだ。
大学では一定以上の成績を修め学費は免除されているが、生活費は奨学金とアルバイトで賄う。将来、数学の研究者になるのが夢だ。しかし、良い成績をとることとバイトで忙しく、やりたい数学を勉強する時間がない。夢をかなえるのは簡単ではないと感じている。
世帯分離をすると保護費は月四万〜六万円程度減る。親の生活が苦しくなるという理由で進学をあきらめる子どももいる。また、進学した学生は、奨学金とバイト代で自分の学費と生活費をすべて賄わなければならない。生活が大変で中退せざるを得ないケースも少なくないという。
保護世帯の子どもの大学や専修学校などへの進学率は三割超。一般世帯の八割の半分にも満たない。学歴は生涯賃金や、その次の世代の生活にも大きく影響する。超党派議連は保護家庭の子どもの大学等進学率を上げるための支援策を早急に講じるべきだとする要望を政府に提出した。
「貧困の連鎖」を断ち切るためには、まず世帯分離を廃止し、その上で、学業にできるだけ専念できるよう給付型奨学金や授業料免除制度の拡充を検討すべきだ。

減らない若年者の自殺 孤立を防ぐ対策が大事だ - 毎日新聞(2017年6月4日)

https://mainichi.jp/articles/20170604/ddm/005/070/003000c
http://archive.is/2017.06.04-013207/https://mainichi.jp/articles/20170604/ddm/005/070/003000c

日本の自殺者の数は年々減少しているが、世界各国の中では依然として高い水準にある。特に若年層は高止まりしたままだ。
どうして子供や若者は自ら命を絶つのか。その原因を詳しく分析し、若年層に重点を置いた対策を講じる必要がある。
政府が閣議決定した自殺対策白書によると、日本の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)は世界で6番目に高く、女性だけだと3番目。主要7カ国で10位以内に入ったのは日本だけだ。
日本の自殺者数は2003年の3万4427人をピークに顕著な減少傾向が続いており、16年は2万1897人になった。だが、若年層だけは減少の兆しが見られない。
5歳単位での統計を見ると、15〜39歳の死因はどの年代も自殺が最も多く、15〜34歳の自殺死亡率は事故による死亡率の2・6倍に上る。主要7カ国で自殺が事故を上回るのは日本だけだ。
自殺の背景には、長時間労働による過労、生活困窮、育児や介護疲れ、孤立などが複雑に絡まっている。政府や自治体は自殺対策として相談窓口の整備に努めてきた。
子供の場合はいじめや友人関係の悩み、学業不振、家庭内の問題などが指摘される。だが、一般の相談窓口になかなかつながらず、周囲が予兆に気づかないケースが多い。
政府は、子供自らが周囲に悩みを打ち明けやすい環境を作ること、学校における「SOSの出し方教育」を進めていくことを検討している。そのためには、担任教師だけでなくスクールカウンセラーなどの専門職をもっと配置する必要がある。
周囲の大人に対する教育も重要だ。子供が小さなSOSを出しても、学校関係者や家族がそれに気づくことができる感性や知識を身につけていなければ生かされないだろう。
また、高校中退者や自宅に引きこもっている若者は、教育と福祉のはざまで困窮状態にある人が多い。孤立する若者をどう支援につなげるかを考えないといけない。
先進国の間では子供の自殺について政府主導の調査研究で未然防止につなげようという動きがある。日本も重要な国政の課題と認識し、全力で取り組むべきだ。

最高裁 稲田氏の上告棄却、敗訴確定(サンデー毎日記事) - 毎日新聞(2017年6月1日)

https://mainichi.jp/articles/20170602/k00/00m/040/134000c
http://archive.is/2017.06.04-013343/https://mainichi.jp/articles/20170602/k00/00m/040/134000c

在日特権を許さない市民の会」(在特会)と近い関係にあると報じたサンデー毎日の記事で名誉を傷つけられたとして、自民党稲田朋美防衛相が発行元だった毎日新聞社に550万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は5月30日付で稲田氏の上告を棄却する決定を出した。請求を退けた1、2審判決が確定した。
記事は2014年10月5日号に掲載。当時、自民党政調会長だった稲田氏の資金管理団体が10〜12年に在特会の関係者8人から寄付を受けたとして「在特会との近い距離が際立つ」とした。
1、2審判決は「記事は事実を踏まえた評価であり違法ではない」などと判断し、毎日新聞側の勝訴としていた。
毎日新聞社社長室広報担当の話 当社の主張が認められた妥当な決定と考えます。【伊藤直孝】

森友交渉時のデータ消去へ 財務省がシステム更新 - 朝日新聞(2017年6月2日)

http://www.asahi.com/articles/ASK625VXNK62UTFK015.html
https://megalodon.jp/2017-0603-0101-30/www.asahi.com/articles/ASK625VXNK62UTFK015.html

学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却の交渉記録を記した文書や電子データを財務省が廃棄・消去したとされる問題で、同省は2日までに当時使用していた情報システムを更新した。運営を委託していたNECが近くデータを物理的に消去する作業に入る。この作業でデータが完全に消去されれば真相究明への道がいっそう険しくなる。
今回、財務省が更新したシステムは2013年1月から使用していたもの。学園が国有地取得要望書を提出した同年9月から、学園に国有地を売却した昨年6月までの全期間で使われていた。職員に貸与されていたパソコンも一斉に更新された。
システムや職員のパソコンには交渉記録などのデータが物理的に残っている可能性があり、野党は保存の必要性を指摘。「犯罪捜査でも消去したデータの復元を行っている。このまま更新したら国民から隠蔽(いんぺい)と思われる」(民進党高井崇志氏)などと更新の凍結を求めた。しかし、財務省は見直しを拒否した。
NPO「情報クリアリングハウス」は財務省と近畿財務局が持つ関連電子データの証拠保全東京地裁に申し立てたが、先月31日に却下された。財務省はNECに7月31日までの物理的な消去を求めている。同NPOは「(裁判所の)決定は法の趣旨を誤解している」として、週明けに抗告する方針だ。
一方、民進、共産両党は2日、国有財産売却などの手続きに関する透明性を確保する狙いから、各省庁に関連する情報開示を義務づける国有財産法改正案を共同で参院に提出した。(南彰、中崎太郎)

編集日誌 内部文書の「破棄」「怪文書扱い」 - 東京新聞(2017年6月4日)

事実を記録した文書の保管、確認は権力監視の基本です。ないがしろにされれば民主主義の基礎も揺らぎます。

参考サイト