ヘリパッド・辺野古NO 沖縄の市民団体が都内で集会 - 東京新聞(2016年12月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016121102000116.html
http://megalodon.jp/2016-1211-1044-18/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016121102000116.html

沖縄県東村(ひがしそん)高江の周辺で進む米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)工事や、米軍普天間(ふてんま)飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)への移設に反対する集会が十日、東京都千代田区日比谷野外音楽堂で開かれた。
沖縄の市民団体「基地の県内移設に反対する県民会議」などが主催し、主催者発表で約三千九百人が参加した。県民会議の仲本興真(こうしん)事務局次長は「高江や辺野古での抗議行動で逮捕者は五十人を超えた。県民運動への政治的萎縮行為だ」と政府の対応を批判。「負担軽減に名を借りた米軍基地の固定化、機能強化を断じて許すわけにはいかない」と訴えた。
米軍の新型輸送機オスプレイについて、国内基地への配備に反対する意見も相次いだ。
参加者は集会後、「高江・辺野古 NO!」「平和壊すな 沖縄壊すな」などと書いたプラカードを掲げながら、新橋や銀座をデモ行進した。

沖縄県、英語版HPを開設 基地問題を米に直接発信
沖縄県は米軍基地問題を米国に直接発信するための英語版ホームページ(HP)を開設した。普天間飛行場の移設計画について「日米両政府は沖縄の人々の意見を誠実に聞き、断念すべきだ」と訴えている。
辺野古移設反対を掲げる翁長雄志(おながたけし)知事は十日、就任から二年を迎えた。来年一月に発足するトランプ米政権の幹部に訪米して直接、辺野古断念を訴えたい意向だ。翁長氏はHPで「移設阻止には、沖縄の民意を米国の政府や連邦議会に伝えるのが大変重要だ」と強調する。
HPでは辺野古移設計画について、対抗できる知事権限に言及し「終わりなき法廷闘争や、県外移設を求める県民の強い意志、粘り強い反基地運動を考えた場合、計画達成は極めて困難だ」と主張。基地対策課は「米軍基地の当事者である米国に正確な情報を発信し、沖縄の基地問題を理解してもらいたい」と話す。
沖縄県が米要人に働き掛けるために、首都ワシントンに設置した事務所も紹介している。
政府は十一日の週以降、辺野古の米軍キャンプ・シュワブで陸上工事を一部再開する。今回は移設区域外での工事だが、移設を巡る訴訟での最高裁判断によっては埋め立て工事も始める構えだ。

英語版HPのURLはhttp://dc-office.org/

義父母と「関係終了届」 配偶者死別後 提出増える - 東京新聞(2016年12月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016121002000243.html
http://megalodon.jp/2016-1211-1043-38/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016121002000243.html

配偶者との死別後、その親きょうだいとの関係を書類だけで解消する「姻族関係終了届」を出す人が増えている。義理の親の介護を担うことや同じ墓に入ることに抵抗感がある女性から、専門家への相談が目立つ。そもそも法的な扶養義務はなく形式的な意味合いが強いが、「絶縁」できる届け出は、昔ながらの家制度に心のどこかで縛られる女性たちの安心材料になっている。
四十代のライター椙原繭実(すぎはらまゆみ)さんは一年半前、軽い足取りで市役所を後にした。三年前に病死した夫の親族との姻族関係終了届を提出し、「ようやくあの家と絶縁できる」と晴れ晴れとした気持ちになった。
ひと回り年上の夫と十七年前に結婚し、子どもにも恵まれたが、二世帯同居の夫の両親と折り合いが悪かった。慢性疾患があった夫が急死すると、葬儀や相続を巡り意見が対立、最後は家を追われた。
見かねた友人から「気持ちの整理になるから」と渡されたのが、見慣れぬ姻族関係終了届。椙原さんは、書類を出す日を心の支えに相続の手続きなどを進めた。「戸籍上も赤の他人だと思ったら憎しみもなくなり、前向きになれた」
配偶者が死亡しても、法律上、配偶者の親族との関係は消えない。解消したい時は、市区町村に届け出れば認められる。相手の了解は不要で通知も行かず、配偶者の遺産を相続することも可能だ。法務省の戸籍統計によると、姻族関係終了届の提出数は二〇〇五年度が千七百七十二件だったが、年々増加傾向で、一五年度には二千七百八十三件となった。
家族・夫婦問題カウンセラーの高草木陽光(たかくさぎはるみ)さんの元には、今年に入り約三十件の相談が寄せられた。これまでは年一〜二件だった。相談者のほとんどが四十〜五十代の女性だ。
多くは義理の親と同居や近居で、全国から相談がある。「介護に巻き込まれたくない」「しゅうとめと折り合いが悪かったので縁を切りたい」という内容が多い。中には「夫と一緒の墓は嫌」と、夫が生きているうちから「死後離婚」を希望するケースもあるという。高草木さんは「親は『嫁に面倒を見てもらうのは当然』と思うが、嫁は『夫の死後は自分の人生を歩みたい』と葛藤している」と指摘する。
民法七三〇条には「同居の親族は互いに扶(たす)け合わなければならない」との条文があるが、扶養義務はない。大阪大の床谷文雄教授(家族法)は「法的義務があると思い込んだ人や親類との付き合いを断ちたい人が届けを出しているのではないか」と指摘している。

<配偶者と離別後の親族関係> 結婚すると、配偶者の親や兄弟などと「姻族」になる。姻族になっても家庭裁判所が「特別な事情」と認めた場合を除いて扶養義務はない。配偶者と離婚した場合、姻族関係は自動的に解消されるが、死別の場合は継続される。関係を解消するには「姻族関係終了届」を市区町村に提出する必要があるが、期限はない。ただ、終了届を提出しても戸籍はそのままなので、旧姓に戻る場合は「復氏届」を提出しなければならない。

原発避難いじめ 横浜の生徒市教委に手紙 「先生あやまってくれない」 - 東京新聞(2016年12月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016121002000128.html
http://megalodon.jp/2016-1211-1043-10/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201612/CK2016121002000128.html

東京電力福島第一原発事故福島県から横浜市自主避難した中学一年男子生徒(13)がいじめを受けた問題で、生徒側の弁護士は九日、市教育委員会に対し、学校や市教委の謝罪などを求める生徒の手紙を提出した。
手紙は、原発事故で自主避難した新潟市の児童が、担任から名前に「菌」を付けて呼ばれていた問題に触れながら、生徒に直接謝罪していない学校などの対応を批判。「新がたのいじめをテレビで見たけど、あっちは学校の先生があやまっているけど、どうしてこっちはあやまってくれない(のか)」とつづっている。
いじめを認定した第三者委員会の報告書が十一月上旬に出てから、市教委は対応の問題点を内部で検証する予定だが、まだ始まっていない。
手紙は「お父さんとお母さんから、どうしてこうなったか教育委員会が調べてくれるって聞いたけど、あれからものすごく時間がかかっているし、僕はこれからどうすればいいのか」と、早急に検証を進めるよう求めた。
弁護士はこの日、学校がずさんな調査でいじめを見過ごし、第三者委員会の調査開始も遅れた理由などについて、内部検証で徹底調査するよう求める要望書も提出。市教委は、文部科学省の職員や学識者も加え、年内にも内部検証を開始するという。
市教委の伊東裕子担当部長は「手紙の意見を受けて、内部検証はできるだけ早く着手したいと考えている。申し訳ないという気持ちは持っており、どのように伝えたらいいか検討している」と話した。

「絶望の内戦、ついに終わった」 コロンビア大統領に平和賞 - 東京新聞(2016年12月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201612/CK2016121102000113.html
http://megalodon.jp/2016-1211-1042-46/www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201612/CK2016121102000113.html

オスロ=共同】コロンビアで半世紀余り続いた政府軍と左翼ゲリラ、コロンビア革命軍(FARC)などとの内戦の和平合意に尽力した同国のサントス大統領は十日、ノルウェーの首都オスロの市庁舎でノーベル平和賞を受賞した。受賞演説で「私たちの美しい大地に多くの苦しみと絶望をもたらした戦争はついに終わった」と宣言した。
サントス氏には記念メダルと賞状が授与された。
サントス氏は、世界各地で続く紛争で死者が増え続けていることを嘆き「どのくらいの人が死んだら、多くの人が死んだと気付くのだろうか。友よ、答えは風に吹かれている」と、今年の文学賞ボブ・ディラン氏の代表曲「風に吹かれて」の歌詞を引用した。
授賞式にはサントス氏の家族や政府側の和平交渉担当者、内戦の被害者らが出席。一方で出席が期待されていたFARCのロンドニョ最高司令官は招待されなかった。
平和賞の選考主体、ノーベル賞委員会は授賞式の声明で「賞はFARCのメンバーを含めた国民への贈り物」とし「ロンドニョ氏も称賛したい。倣うべき例となる」と貢献をたたえた。
サントス氏は平和賞の賞金八百万スウェーデンクローナ(約一億円)の全額を、内戦の犠牲者の補償に充てるため寄付する意向を示している。
現職国家元首への平和賞授与は十五人目で、コロンビア人へのノーベル賞授賞は文学賞の故ガルシア・マルケス氏に次いで二人目。

フアン・マヌエル・サントス氏> 51年8月10日、コロンビアの首都ボゴタ生まれ。北部カルタヘナの海軍士官学校を経て米ハーバード大大学院修了(行政学)。91〜93年貿易相、00〜02年財務相。06〜09年の国防相時代にコロンビア革命軍(FARC)掃討作戦を指揮した。10年に大統領就任後、FARCとの和平模索に転じ、12年10月、和平交渉入り。14年8月から2期目。 (共同)

(筆洗)常識が覆され、新たな不思議が見つかる。 - 東京新聞(2016年12月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016121002000139.html
http://megalodon.jp/2016-1211-1042-19/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016121002000139.html

科学とは「不思議を殺すものでなくて、不思議を生み出すものである」という名言を残したのは、夏目漱石の弟子で物理学者の寺田寅彦だ。
たとえば、かつては「すべてのものは原子からできている」と教わったのに、科学の進展で、私たちが知る原子でつくられている物質は宇宙のわずか4%にすぎず、残りは謎の物質だと分かった。
常識が覆され、新たな不思議が見つかる。そのおかげで私たちはより深く、違った角度から考えられるようになる。それが科学の醍醐味(だいごみ)だろうが、どうもわが国の政府は「不思議を生み出す」科学に冷淡なようだ。
きょう、ノーベル賞の授賞式典に臨む大隅良典さんは「謎が解かれた時、新たな謎が生まれるのが科学」と説き、「科学が役に立つというのが、数年後に企業化できることと、同義語になっている」と憂いている。研究費が削られ、拙速に成果が求められる現状では、科学立国の礎(いしずえ)が危ういとの警鐘だ。
偉大な政治家にして科学者でもあったベンジャミン・フランクリンには、こんな逸話が伝わる。自然科学の新たな成果に接した人が、「これは何の役に立つのだ?」と聞くと、彼は聞き返した。「では、生まれたばかりの赤ん坊は、何の役に立つというのです?」
大人には計り知れぬ可能性を秘めた「赤ん坊」に「何の役に立つか?」を問う。そういう社会では、未来は育めまい。

三反園知事 看過できない変節ぶり - 毎日新聞(2016年12月11日)

http://mainichi.jp/articles/20161211/ddm/005/070/012000c
http://megalodon.jp/2016-1211-1041-53/mainichi.jp/articles/20161211/ddm/005/070/012000c

鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事の変節ぶりに、多くの県民が疑念を抱き、不信を募らせているのではないか。
定期検査で10月から停止中だった九州電力川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)が、運転を再開した。
知事は脱原発を掲げて7月に初当選した。ところが、今回の運転再開については、「私に稼働させるかどうかの権限はない」などとして明言を避け、事実上容認した。
知事選で公約した原発の安全性などを検証する県独自の検討委員会の設置も、川内1号機の運転再開には間に合わなかった。知事は9月の県議会で、運転再開も含め「検討委の提言を踏まえて県の対応を総合的に判断する」と述べていた。
なぜ、有権者との約束を破ることになったのか。その理由をきちんと説明する責務が知事にはある。
知事は就任直後、稼働中だった川内1、2号機の即時停止を2度にわたって九電に要請した。4月に起きた熊本地震で、県民の不安が高まったことが背景にある。原発事故に備えた周辺住民の避難計画を見直す意向も示していた。
一方、要請を受けた九電は、川内原発について、定期検査期間を中心に、法定の検査に加え熊本地震の影響を調べる特別点検も実施することを決めたが、即時停止は拒否した。
すると、知事は「仮にどういう対応をとろうが、九電は稼働するのではないか」などと、弱腰の発言を繰り返すようになった。
知事に原発を停止する法的な権限がないことは、最初から分かっていたことだ。だからこそ、県独自の検討委員会を早急に設置して原発の安全性や避難計画を検証し、浮かび上がった問題点を九電や政府に問うていく必要があったはずだ。
ところが、検討委設置のための予算案を知事が県議会に提案したのは先月末で、採決は16日の予定だ。対応が遅すぎると言わざるを得ない。
さらに疑問なのは、知事が、検討委のメンバーは議案可決まで公表できないとしていることだ。「予算成立後に委嘱する前提で依頼している」ためだというが、検討委の公正さを確保するためには、氏名を明らかにして県議会に諮るのが筋だろう。
知事は市民団体と政策合意をした際に、検討委には「反原発の方々など幅広い人に入ってもらう」と述べていた。にもかかわらず、県議会では「約束したかどうか記憶が定かではない」と答弁した。
脱原発は、知事選を有利に戦うための打算の産物だったのか。原発を止める権限はなくとも、原発に対する県民の不安を解消し、安全を確保する義務が知事にはある。脱原発を掲げた真意が問われている。

LGBT進まぬ理解 「自殺を考えた」5割 世田谷区アンケート:東京 - 東京新聞(2016年12月11日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201612/CK2016121102000156.html
http://megalodon.jp/2016-1211-1041-27/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201612/CK2016121102000156.html

全国のLGBT(性的少数者)約1000人を対象に世田谷区が実施したアンケートで、当事者の多くが自殺を考えたり、実際に自殺を図ったりしていたことが明らかになった。区は昨年11月から同性パートナーを公認する証明書を発行しているが、周囲の理解が進んでいない実態が浮き彫りになった。区は調査結果を踏まえ、一層の支援体制を整える考えだ。 (神野光伸)
アンケートは、LGBTをサポートするNPO法人「ReBit(りびっと)」(新宿区)に委託し、8月22日〜9月11日にインターネットで実施。965人から有効回答を得た。
いずれも複数回答で、「LGBTとして経験したこと」という質問では、「自殺したいと思った」が最多の49.7%を記録。「自殺未遂」(18.9%)、「性暴力被害」(10.4%)と続いた。
渋谷区や三重県伊賀市など世田谷と同様の動きは全国に広がりつつあるが、「生活する上で困ったこと」との問いで、「地域住民の無理解」が35.5%を占め、次は「地域に相談できる場所がない」(34.6%)。「同性パートナーと暮らす上で困ったこと」との質問では、「医療や福祉で法律上の家族と同等のサービスが受けられない」との答えが30.6%あった。
国に対しては、「同性同士でも結婚できるようにしてほしい」「遺族年金や扶養控除などのサービスを受けられるようにしてほしい」と望む回答がいずれも70%を超えた。
世田谷区の保坂展人区長は「専門のアドバイザーを配置して十分な相談ができるようにするなど、今後の政策につなげていきたい」と話した。

国際学力調査 政策見直す鏡にしよう - 朝日新聞(2016年12月11日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12701289.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2016-1211-1040-26/www.asahi.com/paper/editorial2.html?iref=comtop_shasetsu_02

「学力オリンピック」として国別順位に一喜一憂するのではなく、教育政策や自らの学校の実践を見直す鏡としたい。
子どもの学ぶ力を測るため、昨年実施された二つの国際機関の調査結果が発表になった。
一つは、小4と中2を対象に4年ごとに行う国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)。もう一つは、科学、数学、読解力の3分野を3年ごとに調べる学習到達度調査(PISA)で高1が対象だ。経済協力開発機構OECD)加盟国を中心に72カ国・地域が参加した。
両方の調査が同じ年にあったのは03年以来だ。このときはどちらも順位の下落が目立ち、文科省が「ゆとり教育」路線から「学力向上」路線にかじを切る一因になった。
今回の結果はどうだったか。
カリキュラムに沿った学力を見るTIMSSは過去最高の点数だった。一方、知識や技能を実生活にいかす力を問うPISAは、科学、数学の順位は上がったものの、読解力が4位から8位になり点数も下がった。
PISAでは説明文や図表など幅広い資料が出題される。これをどこまで理解できたか。
文科省は最近の生徒の傾向について、スマートフォンなどで短文は読むものの、論理的な長文に接する機会が十分でないことを重く見ている。
国立情報学研究所の調査でも、中学生の約半数が教科書の記述を正しく読みとれていないなどの実態が判明した。
次の学習指導要領が重視するアクティブ・ラーニング(能動的学習)として、討論や発表の取り組みが各地で広がるが、言葉や文章の意味がわからなければその土台が成りたたない。
文科省は今後、語彙(ごい)を増やし文章の構成をつかむ指導を現場に求めるという。足元の力を養うことを重視してほしい。
二つの国際調査で、あわせて行われた生徒や学校へのアンケートから見える課題もある。
日本の生徒は、国際平均より科学を学ぶ楽しさを感じず、学習が将来の仕事に役立つとも思っていない傾向がわかった。
改善するには、学習への関心や意欲を高め、社会と関連づける指導が欠かせない。だがPISAのアンケートに「授業準備が足りない」と答えた学校に通っている生徒の割合は3割に上る。加盟国平均の倍以上だ。
子どもの学力を支えるのは教員の授業力だ。校務や部活動に追われ、肝心の授業力が細っていないか。適切な数の教員を配置しているか。学校、自治体、国はぜひ点検してもらいたい。

相模原の事件 再発防止の歩み着実に - 朝日新聞(2016年12月11日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12701285.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2016-1211-1039-02/www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_shasetsu_01

相模原市の障害者施設で起きた殺傷事件を検証してきた厚生労働省有識者会議が、再発防止のための提言をまとめた。
当時の衝撃を思い起こし、この課題に社会全体でとり組む姿勢を確かなものにしたい。
容疑者は事件の約5カ月前に措置入院していた。提言は、退院後の対応が不十分だったとの反省にたち、こうした入院患者すべてについて、病院を出た後も引き続き支援する計画をつくることを求めた。監視ではなく、適切な治療や福祉を提供する措置だと強調している。
容疑者はいま精神鑑定をうけている段階で、事件と病気の関係ははっきりしていない。精神医療の現場などには急ぎ足の議論への懸念もあった。提言はそうした声も意識しながら、今回浮かびあがった課題や問題点を改めようとしており、配慮と苦心の跡がうかがえる。
たとえば、容疑者が殺害をほのめかす言動をしていたことから、「警察が早くから関与していれば」との声がある。これに対し提言は、関係機関の協力の重要性にふれつつ、身柄の拘束などは「(患者の)人権保護の観点から極めて慎重でなければならない」としている。重く、心にとめるべき指摘である。
支援を着実に進めるための具体的な制度づくりは、厚労省内の別の検討会が引き継ぐが、難しい問題が待ち受ける。
昨年度、新たに措置入院になった患者は全国で約7千人いる。一人一人にあった支援計画が大切だが、策定に手間取ると入院期間がその分延びてしまう。退院後の支援も、長期に及ぶと患者を過度にしばりかねず、支える側の負担も増す。
検討会には、実効性があり、均衡のとれた対策を求めたい。
さらに、提言の実現には、保健所の保健師はじめ、医療・福祉現場の態勢の整備が欠かせない。国は予算面などでしっかり後押ししてほしい。
容疑者は日ごろ障害者に接していた施設の元職員だった。その仕事ぶりや施設の対応など不明の点も多い。刑事手続きの進行をにらみながら解明・共有していく必要があるが、一般に、こうした職場の環境のきびしさは広く知られている。
提言が、職員がやりがいをもって働けるよう、研修の充実や待遇改善にとり組むべきだと注文しているのも大事な点だ。
必要とする人に医療や支援が届き、孤立を生み出さない。障害の有無にかかわらず、みんなが地域でともに暮らせる。そんな社会に向けた歩みを、着実に進めなければならない。