伊方原発3号機 耐圧検査で部品変形…漏水の原因推定 - 毎日新聞(2016年7月26日)

http://mainichi.jp/articles/20160726/k00/00m/040/109000c
http://megalodon.jp/2016-0726-1140-11/mainichi.jp/articles/20160726/k00/00m/040/109000c

四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の1次冷却水ポンプで水漏れが確認されたトラブルで、四電は25日、漏えいを防ぐ「軸封(じくふう)部」の部品が、耐圧検査の際に変形し、隙間(すきま)ができたことが原因と推定される、と発表した。万全を期すため同じ構造のポンプ全3台の部品を交換する。作業には約1週間かかるといい、26日に予定していた再稼働は8月以降にずれ込む。
四電によると、耐圧検査は、新規制基準に対応する耐震工事に伴い、今月12日に実施した。その際「O(オー)リング」と呼ばれる軸封部を構成する円形のゴム部品に圧力が均一にかからなかったため軸封部の一部が傾き、隙間が生じたとみられる。四電の担当者は「重大事故につながるようなトラブルではない」としており、部品交換が終わり次第、再稼働の準備を再開したい意向を示した。【橘建吾】

浜岡工事 5回目の延期 中電方針:静岡 - 中日新聞(2016年7月26日)

http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20160726/CK2016072602000094.html
http://megalodon.jp/2016-0726-1055-52/www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20160726/CK2016072602000094.html

◆安全対策、完了時期も未定
中部電力は、浜岡原発御前崎市)の安全対策工事の工期を延期する方針を固めた。4号機は九月、3号機は来年九月の完成を目指してきたが、工事の一部が遅れていた。延期は五回目で、今回は初めて完了時期の設定も見送る。今月末にも、原子力規制委員会の審査を踏まえた追加工事とともに延期を公表するとみられ、浜岡の再稼働時期は、これまで以上に不透明になる。
中電は二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故後、いち早く地震津波の対策強化に着手。当初は「二、三年で再稼働できる」(中電幹部)と見込んだが、その後に国が新規制基準を定め、南海トラフ巨大地震の想定も見直したことを受けて、設計変更を繰り返した。同じ現場で防火や耐震の工事が重なるなど、日程の調整は難航し、遅れの一因ともなった。
一方、耐震設計の前提となった地震の揺れの想定が妥当かどうかなどを判断する規制委の審査は開始二年以上たっても終了のめどが立たない。審査次第でさらなる工事追加の可能性が残るため、完了時期を示すこと自体が困難と判断した。
福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)で再稼働した原発はまだなく、浜岡を含む五原発が横並びで規制委の審査を受けている。審査の進展によっては追加工事が必要になるので、工事の完成目標を明示するかどうかの判断は分かれている。東京電力柏崎刈羽原発日本原子力発電・東海第二原発は完工時期が未定。中国電力・島根原発は一六年度内、東北電力女川原発は一七年四月の完工目標を今のところ取り下げていない。
規制委の審査と工事を終えても、再稼働には地元同意などのハードルが残る。

原子力白書 7年ぶり復活 「原発回帰」の伏線か - 毎日新聞(2016年7月25日)

http://mainichi.jp/articles/20160725/k00/00m/040/102000c
http://megalodon.jp/2016-0725-1012-56/mainichi.jp/articles/20160725/k00/00m/040/102000c

内閣府原子力委員会(岡芳明委員長)は、東京電力福島第1原発事故以来、発表を中止していた「原子力白書」を来春に復活することを決めた。2010年以来、7年ぶりとなる。原子力委はかつては「原発推進の司令塔」と位置付けられており、「原発回帰」の伏線との臆測を呼びそうだ。
白書は、11年春に10年版が発表される予定だったが、福島事故を受けて急きょ中止され、09年版以降、発表がストップしていた。今年度になって「編集作業に必要な人員を確保できた」(内閣府幹部)として復活を決めた。来春発表される16年版は、事故後の原子力政策の動きや、今後の展望を紹介する内容になりそうだ。
原子力委は、国の原子力政策を推進するために56年設置された。78年には旧原子力安全委員会と分離され、福島事故後も業務や体制を縮小されたが、自民党内には「『原発推進のとりで』として復権させるべきだ」といった意見が根強くある。【中西拓司】

(いま読む日本国憲法)(19)第25条 貧困救済 国に求める - 東京新聞(2016年7月25日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016072502000167.html
http://megalodon.jp/2016-0726-0928-18/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/imayomu/list/CK2016072502000167.html


自由競争によって格差が広がると、個人でいくら努力しても生活できないケースが出てきます。そうした弱い立場の人たちも一定水準の暮らしを営める権利を保障し、国家がそのための役割を果たすよう義務付けたのが二五条です。福祉国家の理念を具体化した条文と言えます。
今の憲法は、国家権力による個人への介入を防ぐという思想で成り立っていますが、この条文は、国の関与を求めるものです。貧困がさまざまな国策の結果と考えれば、国家に救済を求める当然の権利を定めたとも言えます。
一項の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」は生存権と呼ばれます。この項は当初、連合国軍総司令部(GHQ)案にはなく、衆院で討論されて修正追加されました。
二五条に基づく代表的な法律に、生活保護法があります。年金、医療、介護といった社会保障制度も、この条文が根拠です。
生存権を否定するような議論は聞かれません。自民党改憲草案も、生存権に関してはほぼ現行通りの表現です。むしろ問題は、現実が二五条に追いついていないこと。子どもの六人に一人が貧困状態にあるとされるなど、世代を超えた貧困が問題になっているのに、生活保護社会保障は抑制の流れが続いています。
二五条は「新しい人権」の一つ・環境権との関係でも議論になります。幸福追求権を定めた一三条と、二五条を根拠に環境権が認められているという考え方がある一方、自民党改憲草案で、環境権を新たに書き込みました。
また、草案は、海外で緊急事態が起きた際に、国が在外国民を保護する義務も新たに加えています。草案のQ&Aは「グローバル化が進んだ現在、海外にいる日本人の安全を国が担保する責務を憲法に書き込むべきだ」などと説明。しかし、自民党の草案で保持するとした「国防軍」が、在外国民を保護するという名目で海外に派遣される根拠になりかねないとの懸念も出ています。

     ◇
憲法の主な条文の解説を、随時掲載しています。
自民党改憲草案の関連表記(新設部分)
国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない。
国は、国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない。
国は、犯罪被害者及びその家族の人権及び処遇に配慮しなければならない。

芥川賞・村田さん 「普通」って何だろう - 東京新聞(2016年7月26日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016072602000129.html
http://megalodon.jp/2016-0726-0929-59/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016072602000129.html

コンビニ店員たちの日常を描いた村田沙耶香さんの「コンビニ人間」が芥川賞に選ばれた。私小説風の作品は、「普通」と「異常」をより分けようとする社会に問うている。「普通」とは何か。
子どもの時から「変わり者」と見られてきた主人公は、同じコンビニでアルバイトを続ける三十代の独身女性。「私は人間である以上にコンビニ店員なのです」と考える。身内や友人から、恋愛経験や結婚、出産という「普通らしさ」を求められることに圧迫を感じつつ、マニュアル通りにコンビニ店員として働いている時は「普通らしく」見えると感じている。
そんな日常に波乱が起きる。
縄文時代から人間は変わらない」といって仕事をサボり、世間を憎んでいる「ダメ男」と同居を始めて、主人公は目覚める。
「一見すると異常な主人公だけでなく、周りの人間も活写することで『普通』の人々への批判になっている。ユーモアもある」と高い評価を得たが、村田さんも「人間をもっとユーモラスに、慈しむように書いてみたかった」という。
村田さんはコンビニを「聖域」と呼ぶ。自身も学生時代から執筆の傍らアルバイトを続ける。商品を触る客の物音、出入り口のチャイム、店員の掛け声…。店内のあらゆる音に反応して働く店員の描写に、作家の愛情を感じる。
「歯車」といいつつ、主人公は決して非人間的ではない。描かれるのは、誰もが普通に目にするコンビニの日常。それぞれの職場で誰もが経験するようなありふれた人間関係だ。主人公の働きぶりは客の側から見れば、現実には得難いような理想的な店員像にも映る。人は誰しも、自分の職場や社会でコンビニ人間になりうるのではないか。ヒロインは私たちの分身ともいうべき普通の存在だ。
ところが彼女を取り巻く人々は三十六歳にもなって正規の職に就かない、結婚しない、子どもを産まない−などと理由をつけ、その生き方を否定する。多様性を掲げつつ、異質なものの排除に動く現代社会の病理はむしろ、「普通」と思っている側に現れる。
村田さんは、その両者を頭から否定せず、温かいまなざしを注ぐ。人間肯定の文学だろう。
ヒロインには、社会から失われていく寛容や包容力さえ感じられる。人間を深く豊かに描き、社会を鋭くえぐるのが純文学の王道であるなら、芥川賞はむしろ原点回帰を試みたのではないか。文学の面白さが多くの読者に届くよう。

コンビニ人間

コンビニ人間

独での殺傷事件 社会の動揺が心配だ - 毎日新聞(2016年7月26日)

http://mainichi.jp/articles/20160726/ddm/005/070/035000c
http://megalodon.jp/2016-0726-0518-56/mainichi.jp/articles/20160726/ddm/005/070/035000c

イスラム過激思想の影響を受けたテロ事件の続発に揺れる欧州の中で比較的治安が良いとされてきたドイツで、無差別殺傷事件が4件続けて起きた。詳しい動機の解明が待たれるが、いずれも過激派と関連するテロ事件とは性格が違い、単独犯の可能性が強いようだ。
気がかりなのは、事件を起こした容疑者のうち3人がシリアやアフガニスタン出身の難民という点だ。事件はいずれも多くの難民を抱えるドイツ南部で起きた。社会に動揺が広まることが心配だ。
24日に野外音楽祭の会場近くで自爆死し、巻き添えで10人以上を負傷させた27歳の男は、シリア出身で難民申請を1年前に却下され、一時滞在許可を得て難民向け施設に住んでいた。同じ日に通行人に包丁で襲いかかり、当局に拘束された21歳の男もシリア出身で難民申請中だったという。18日に列車内で乗客に切りつけ射殺されたアフガニスタン出身の17歳の少年は、保護者を伴わず単独でドイツ入りした難民だった。
また22日にミュンヘンの商業施設近くで銃を乱射し、9人を死亡させて自殺した18歳の男は、イランとの二重国籍を持つドイツ人だった。
どんな理由にせよ市民への無差別な攻撃は厳しく非難されるべきだ。一方で類似の事件を防ぐためには、紛争地域から必死の思いで欧州へ渡ってきた難民や、社会で孤立しがちな移民系の若者に対する政策的な配慮が一層求められるだろう。
メルケル首相が難民受け入れに寛容な姿勢を見せ、ドイツは昨年だけで100万人を超える難民を受け入れた。だが支援体制が追いつかず、難民や移民の排斥を訴える極右勢力が人々の不安をあおってきた。
人命を奪う事件に人々が不安を募らせることは理解できるが、排斥は失望と恨みから新たな事件を生みかねない。昨年末にケルンなどで難民による女性暴行事件が起きた後は、難民施設への襲撃事件や暴力的な難民排斥デモが各地で起きた。再びこうした暴力の連鎖に陥らないよう市民の自制を求めたい。
欧州の難民政策は難航している。各国で受け入れを分担する案は東欧諸国が拒否した。シリア難民対策で協力相手のトルコはクーデター未遂と反体制派弾圧で混乱が続く。ドイツでは社会不安の高まりを追い風に極右勢力が伸長し、来年秋の総選挙に向けて首相への風当たりは一層強まるだろう。しかし、主導的な役割を担ってきたドイツが揺らげば、欧州全体に及ぼす影響は大きい。
難局の中でメルケル首相は「人々の安全と自由を守るため全力を尽くす」ことを約束した。社会の動揺を抑える努力に期待したい。

社会的入院、1年超の子どもも 虐待恐れ退院できず - 朝日新聞(2016年7月26日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ7Q65WFJ7QPTFC00T.html
http://megalodon.jp/2016-0726-0935-37/www.asahi.com/articles/ASJ7Q65WFJ7QPTFC00T.html

入院した子どもが、保護者に虐待や養育力不足の疑いがあるため治療後も退院できない「社会的入院」について、1年を超えたり、当初から医学的な入院理由がなかったりするケースが大阪府内で複数ある実態が、一般社団法人大阪小児科医会の調査でわかった。「虐待が心配で家に帰せない」「施設に空きがない」などの理由からだ。
医会は、小児科病床がある府内106病院を対象に昨年9月から調査。昨年6月までの3年間で、4日以上の社会的入院が少なくとも30病院で延べ168人いた。追加調査で、うち76人の詳しい状況がわかった。
医会によると、大阪市近郊の病院では、10歳男児が内科の病気で入院。ネグレクト(育児放棄)の疑いがあり、治療後も1年近く社会的入院が続いた。大阪市内で36日間入院した1歳男児もネグレクトの疑いがあり、医学的な入院理由はそもそもなかったとみられるという。
76人のうち37人は、入院時の年齢が1歳未満。
社会的入院の期間は、1年以上が3人、30日以上1年未満も20人いた。