高浜原発 3号機を停止 大津地裁の仮処分決定受けて - 毎日新聞(2016年3月10日)

http://mainichi.jp/articles/20160311/k00/00m/040/064000c
http://megalodon.jp/2016-0310-2043-17/mainichi.jp/articles/20160311/k00/00m/040/064000c

4号機は29日の送電設備トラブルで緊急停止

関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを命じた大津地裁の仮処分決定を受け、関電は10日午後7時59分、フル稼働していた3号機(出力87万キロワット)を停止させた。運転中の原発が仮処分で停止するのは初めて。

高浜原発に停止命令 大津地裁「新基準で安全といえず」 稼働中で初 - 東京新聞(2016年3月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016031090070831.html
http://megalodon.jp/2016-0310-0957-27/www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016031090070831.html

関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転禁止を、隣接する滋賀県の住民が申し立てた仮処分で、大津地裁(山本善彦裁判長)は九日、「過酷事故対策や緊急時の対応方法に危惧すべき点がある」として運転を差し止める決定をした。決定は直ちに効力を持つ。二基のうち4号機はトラブルで既に停止中のため、関電は稼働中の3号機を十日に停止する。
決定は東京電力福島第一原発事故の原因究明が進んでいない状況を重視し、政府が「世界一厳しい」と強調する原子力規制委員会の新規制基準に「関電の主張や説明の程度では公共の安心、安全の基礎と考えるのはためらわざるを得ない」と疑問を呈した。
仮処分決定で稼働中の原発が止まるのは全国で初めて。原発事故後、再稼働や運転を禁止する司法判断は三例目。うち新基準に適合して既に再稼働した原発に対するケースも初となる。
関電は「極めて遺憾。到底承服できない」として不服申し立ての手続きを取るが、判断が覆らなければ運転は再開できない。
申し立てた住民は原発の半径約七十キロまでの範囲に居住。各地の原発で同じ条件を当てはめれば立地県外でも多くの自治体に影響し、広域被害の議論に一石を投じそうだ。
決定理由で山本裁判長は「単に発電の効率性をもって甚大な災禍と引き換えにすべき事情とは言い難い」と指摘。関電に対し、綿密な立証責任を課した。
津地裁の仮処分決定は二度目で、前回の審理も山本裁判長が担当して一四年十一月に「再稼働は差し迫っていない」と却下。住民側は一五年一月に再び申し立てた。

関連サイト)
仮処分命令申立事件(高浜3,4号機)について、再稼働差し止めの仮処分決定 - 福井原発訴訟(滋賀)支援サイト(2016年3月9日)
http://ur0.link/szRz

津地裁
高浜原発の再稼働差し止めの仮処分決定を出す。

仮処分決定(1/2)
http://www.nonukesshiga.jp/wp-content/uploads/e9782c2ea5fefaea7c02afd880dd3bfc.pdf
仮処分決定(2/2)
http://www.nonukesshiga.jp/wp-content/uploads/b6c5742c4f89061d95ceb8a0675877e2.pdf

高浜原発に停止命令 フクシマを繰り返すな - 東京新聞(2016年3月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016031002000128.html
http://megalodon.jp/2016-0310-1004-53/www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016031002000128.html

稼働中の原発を司法が初めて止める。関西電力高浜3、4号機の安全性は不十分だからと。国民の命を守る司法からの重いメッセージと受け止めたい。
3・11から五年を前に、司法の良識を見たようである。住民の安堵(あんど)の声も聞こえてくるようだ。
3・11後、再稼働した原発の運転の可否をめぐる初めての司法判断は、原発は「危険」と断じただけでなく、事故時の避難計画策定も十分でないままに、原発の再稼働を「是」とした原子力規制委員会の「合理性」にも、「ノー」を突きつけた。
◆よみがえった人格権
津地裁の決定は、高浜原発3、4号機が、そもそも危険な存在だという前提に立つ。
その上で、最大の争点とされた基準地震動(耐震設計の目安となる最大の揺れ)に危惧すべき点があり、津波対策や避難計画についても疑問が残るとし、住民の「人格権」が侵害される恐れが高い、と判断した。
昨年暮れ、福井地裁が危険性は「社会通念上無視し得る程度まで管理されている」と切り捨てて、同地裁が下していた両機の運転差し止めの判断を覆したのとは、正反対の考え方だ。
一昨年の十一月、大津地裁も「避難計画などが定まらない中で、規制委が早急に再稼働を容認するとは考え難く、差し迫る状況にはない」と申し立てを退けていた。
ところが、規制委は「避難計画は権限外」と、あっさり容認してしまう。
今回の決定からは、そんな規制委への不信さえうかがえる。危険は現に差し迫っているのである。
住民の命を守り、不安を解消するために、今何が足りないか。3・11の教訓を踏まえて、大津地裁は具体的に挙げている。
▽建屋内の十分な調査を踏まえた福島第一原発事故の原因究明▽事故発生時の責任の所在の明確化▽国家主導の具体的な避難計画▽それを視野に入れた幅広い規制基準−。私たちが懸念してきたことでもある。
県外住民からの訴えを認めたことで、原発の“地元”を立地地域に限定してきた電力会社や政府の方針も明確に否定した。
そして、その上で言い切った。
原子力発電所による発電がいかに効率的であり、コスト面では経済上優位であるとしても、その環境破壊の及ぶ範囲は我が国さえも越えてしまう可能性さえある。単に発電の効率性をもって、これらの甚大な災禍と引き換えにすべき事情であるとは言い難い」
◆過酷事故が具体論へと
効率より安全、経済より命−。憲法が保障する人格権に基づいて住民を守るという基本への回帰。司法の常識が働いた。
五年前、東日本大震災による福島第一原発の事故が起きる前まで、司法は原発事故と真剣に向き合っていたといえるだろうか。「起きるはずがない」という安全神話に司法まで染まっていたのではないだろうか。
震災前までは多くの原発訴訟の中で、二〇〇三年のもんじゅ訴訟控訴審名古屋高裁金沢支部)と〇六年の志賀原発訴訟一審(金沢地裁)の二つの判決以外は、すべて原告が負け続けていた。
この二つの判決も上級審で取り消され、原告敗訴に終わっている。原発差し止め−という確定判決は一つも存在しなかった。
ただ、「レベル7」という福島原発の事故を目の当たりにして、司法界でも過酷事故は抽象論から具体論へと変質したはずだ。
司法は原発問題で大きな存在だ。経済性よりも国民の命を守ることの方が優先されるべきなのは言うまでもない。司法が国民を救えるか−。
その大きな視点で今後の裁判は行われてほしい。
現に動いている原発を止める−。重い判断だ。しかし、国会、行政とともに三権のうちにあって、憲法のいう人格権、人間の安全を述べるのは司法の責務にちがいない。
繰り返そう。命は重い。危険が差し迫っているのなら、それは断固、止めるべきである。
◆規制委は変われるか
対策も不十分なままに、四十年を超える老朽原発の再稼働が認められたり、再稼働の条件であるはずの免震施設を建設する約束が反故(ほご)にされてしまったり、規制委の審査にパスした当の高浜4号機が、再稼働直前にトラブルを起こしたり…。
再稼働が進むのに比例して、住民の不安は増している。
規制委は、司法の重い判断を受け止めて、審査の在り方を大きく見直すべきだ。
政府は福島の現状も直視して、再稼働ありきの姿勢を根本から改めるべきである。

高浜運転差し止め 「司法、勇気ある決断」原発に疑念示す - 毎日新聞(2016年3月9日)

http://mainichi.jp/articles/20160310/k00/00m/040/049000c
http://megalodon.jp/2016-0310-1006-22/mainichi.jp/articles/20160310/k00/00m/040/049000c

「司法が勇気ある決断をしてくれた」。新規制基準に合格して再稼働した関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止めた9日の大津地裁決定に、仮処分を申し立てた住民らは興奮に包まれた。東京電力福島第1原発事故から11日で5年。国民の拭えない不信感を代弁するかのように、決定は電力会社の説明や新規制基準への疑念を突きつけた。稼働中の原発の運転を禁止した初の仮処分決定に、関電や福井県の地元関係者からは戸惑いの声が聞かれた。
「止めたぞ」「やった」。午後3時半過ぎ、申立人代表の辻義則さん(69)=滋賀県長浜市=らが「画期的決定!」「いのちとびわ湖を守る運転差し止め決定!」などと書かれた垂れ幕を掲げると、大津地裁大津市)前で待機していた申立人や支援者ら約100人から歓声が起きた。冷たい雨が降りしきる中、抱き合ったり、涙を流したりして喜んだ。

申立人の一人で原発事故後に福島県南相馬市から大津市に避難してきた青田勝彦さん(74)は「天にも昇る気持ち」。この日が誕生日の妻恵子さん(66)は「高浜原発の再稼働は、福島の人たちの苦しみを無視している。福島第1原発の事故が収束していない中では当然の決定だが、今日は(震災後の)5年間で一番うれしい日になった」と喜んだ。
住民らは関電に対し仮処分異議や執行停止の申し立てをしないよう求める声明を発表。原子力規制委に新規制基準の見直し着手、政府に原発ゼロ政策への転換を求めた。
住民らは午後5時半から大津市内で記者会見。辻さんは「『高浜3、4号機は運転してはならない』の文字が目に入り、鳥肌が立った。裁判長が今日決定を出したのは『3・11』から間もなく5年というタイミングを意識したんじゃないか」などと語った。別の申立人男性は「『避難計画は国家の責任』と言い切ってくれたことがうれしい」と話した。

弁護団長の井戸謙一弁護士は金沢地裁の判事だった2006年、北陸電力志賀原発2号機(石川県)の運転差し止め判決を出した。今回の決定について「関電に対し、福島の事故を踏まえて、原発の設計や運転がどのように強化され、どう要請に応えたのかを立証するよう求めている点が、従来と異なっている」と指摘。「『避難計画をも視野に入れた規制基準が望まれる』と、新基準にも疑問を呈している。決定を出すには大きなプレッシャーがあったはずで裁判官に深い敬意を表したい」とまとめた。【衛藤達生、村瀬優子】

高浜差し止め 政府も重く受け止めよ - 毎日新聞(2016年3月10日)

http://mainichi.jp/articles/20160310/ddm/005/070/092000c
http://megalodon.jp/2016-0310-1007-39/mainichi.jp/articles/20160310/ddm/005/070/092000c

東京電力福島第1原発事故から5年の節目を迎えるのを前に、原発に対して高度な安全性を求める司法判断が再び示された。
今年1月と2月に相次いで再稼働した関西電力高浜原発3、4号機(福井県)について、大津地裁が運転差し止めを命じる仮処分決定を出した。決定の効力は直ちに生じるため、関電は運転の停止作業に入る。今後の裁判手続きで決定の取り消しや変更がない限り、再開できない。
福島の事故後、原発の運転を差し止める仮処分命令は、昨年4月に福井地裁が同じく高浜3、4号機に対して出して以来2例目。運転中の原発停止を命じたのは初めてだ。政府と電力会社は、なし崩し的な再稼働の動きに対する司法からの重い警告と受け止めるべきだ。
高浜3、4号機は新規制基準に基づく原子力規制委員会の安全審査に合格した。今回の決定は、新基準自体に合理性がないとまでは述べていない。しかし、合格したとしても、それだけで安全性を保証したものとは言えないという考えを示した。
その背景には福島原発事故の原因究明が不十分との認識がある。規制委がその不十分性を容認しているのであれば「新基準にも不安を覚える」と指摘した。その上で、具体的な疑問に対し、電力会社による明確な説明や証明がなければならないと事実上の立証責任を負わせた。
さらに決定は、過酷事故の際に、住民の避難計画の策定が再稼働の重要な条件となるという見解も示した。地元自治体ではなく、国が主導して「具体的で可視的な」計画を早急に策定する必要があると述べた。
現在、避難計画は安全審査の対象外になっている。このため、国に対し、避難計画を含めた幅広い規制基準の策定を求めるとともに、福島原発事故を経験した今、そういう基準策定の「信義則上の義務」は国にあると言い切った。
事故が起きれば、住民は府県境を越えて広域避難する。計画の実効性を高めるには訓練が必要だが、高浜3、4号機は福井県内での防災訓練を実施しただけで再稼働した。
毎日新聞は、避難計画の策定や訓練など事故時の対応が再稼働の条件と主張してきた。今回の決定はこうした考えに沿ったものだ。今後の安全審査にも生かしたい。
規制委は稼働から40年を超す高浜1、2号機についても事実上の合格証をまとめた。だが、より新しい3、4号機が差し止められたことを考えると、関電は1、2号機についても厳しい局面に立たされるだろう。
福島原発事故の総括をあいまいにしたまま原発回帰を進めようとする政府に再考を求める決定でもある。

 原発事故から5年 許されぬ安全神話の復活 - 朝日新聞(2016年3月10日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12249852.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2016-0310-1008-32/www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p

できるだけ早く原子力発電に頼らない社会を実現すべきだ。
東日本大震災福島第一原発の事故が起きてから、明日で5年になる。私たちは社説で改めて、「原発ゼロ社会」の実現を訴えていく。
津地裁はきのう、関西電力高浜3、4号機(福井県)の運転を差し止める仮処分決定を出した。稼働中の原発を司法が止めるのは初めてのことだ。
安倍政権は、福島の原発事故の教訓をできる限り生かしたとは到底言えない。原発政策を震災前に押し戻し、再稼働へ突き進もうとしている。
今回の地裁の判断は、なし崩しの再稼働に対する国民の不安に沿ったものでもある。安倍政権は、原発事故がもたらした社会の変化に真摯(しんし)に向き合い、エネルギー政策の大きな転換へと動くべきである。

■新基準にも疑問
高浜をめぐっては昨年4月にも福井地裁が再稼働を禁じる仮処分決定を出した。
約8カ月後に別の裁判長が取り消したとはいえ、原子力規制委員会が「新規制基準に適合している」と判断した原発の安全性が2度にわたり否定された。
昨年4月の際、原発推進の立場からは「特異な裁判長による特異な判断」との批判もあったが、もはやそんなとらえ方をするわけにはいかない。
今回の決定は、事故を振り返り、環境破壊は国を超える可能性さえあるとし、「単に発電の効率性をもって、甚大な災禍とひきかえにすべきだとは言い難い」と述べた。
そのうえで事故原因の究明について関電や規制委の姿勢は不十分と批判。規制委の許可がただちに社会の安心の基礎となるとは考えられないと断じた。
新たな規制基準を満たしたとしても、それだけで原発の安全性が確保されるわけではない。その司法判断の意味は重い。
安倍政権は「規制委の判断を尊重して再稼働を進める方針に変わりない」(菅官房長官)としている。だが、事故後の安全規制の仕組み全般について、司法が根源的な疑問を呈した意味をよく考えるべきだ。

■問われる避難計画
朝日新聞は2011年7月に社説で「原発ゼロ社会」を提言した。当面どうしても必要な原発の稼働は認めるものの、危険度の高い原発や古い原発から閉めて20〜30年後をめどにすべて廃炉にするという考えだ。
実際にはこの5年のうち約2年1カ月は国内の原発がすべて止まっていた。当初心配された深刻な電力不足や経済の大混乱は起きず、「どうしても必要な原発」はさほど多くないことがわかった。再稼働の条件は厳しく設定すべきである。
原発の即時全面停止や依存度低減といった脱原発を求める世論が高まり、先月の朝日新聞世論調査でも過半数が再稼働に反対している。
安倍政権は当初は「原発依存度の低減」を掲げたが、徐々に新たな「安全神話」を思わせる言動が目立っている。
安倍首相は13年、東京五輪招致で原発の汚染水状況を「アンダーコントロール(管理下にある)」と世界にアピールした。規制委の新基準についても国会で「世界一厳しい」と持ち上げた。だが、今回の地裁決定は、その基準も再稼働の十分条件ではないとの判断を示した。
さらに避難計画の不備はかねて懸念の的だった。新基準に避難計画は入っておらず、規制委の審査対象になっていない。
高浜の場合、福井、京都、滋賀の3府県にまたがる約18万人が避難を余儀なくされるが、再稼働前に計画の実効性を確かめる訓練も実施されなかった。
地裁は「避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準をつくる義務が国家にあるのではないか」と投げかけた。政府がただちに答えるべき問いだ。

■国民の重大な関心事
あれだけの事故でありながら原発を推進してきた人たちの責任は明らかになっていない。
津地裁が言う通り、原発事故を経験した国民は事故の影響の範囲について、「圧倒的な広さとその避難に大きな混乱が生じたことを知悉(ちしつ)している」。
にもかかわらず、政府と電力会社は事故を忘れたかのように再稼働へ足並みをそろえる。
東京電力炉心溶融の判定基準を今ごろ「発見」したり、九州電力が川内(せんだい)原発の再稼働前に約束していた免震重要棟の建設を撤回したりと、事業者の反省、安全優先の徹底は怪しい。
専門家をうまく使い、事故前のように仲間内で決めようとしているのか。疑念が膨らむ。
原子力政策は難解だが、原発は、人びとの暮らし方、生き方の選択と直結した問題であることを事故は思い起こさせた。
政権と少数の「原発ムラ」関係者たちが、いくら安全神話を復活させようとしても、事故前に戻ることはできない。原発はすでに大多数の国民の、身近で重大な関心事なのである。

福島原発事故の国民負担は約11兆円 - 日本経済新聞(2016年3月7日)

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO98110430X00C16A3000000/
http://megalodon.jp/2016-0307-2221-27/www.nikkei.com/article/DGXMZO98110430X00C16A3000000/

日本政府は原発事故の費用に関する数字を何一つ発表していない。だが、大島教授はこれまでで最も掛かった費用は企業や避難者に対する賠償金で6兆2000億円、次いで福島原発周辺の除染費用が3兆5000億円、そして、廃炉費用の2兆2000億円だ。
賠償金と廃炉費用は東電が払っているが、同社は政府から支払い能力維持のための補助金をもらっている。理論的にはこれは東電やその他の原発事業者への賦課金として政府に戻ることになっているが、最終的にこれを負担するのは電力の使用者であることから、これは別の名目で国民から徴収する税金だといえる。
また、4月1日から日本の電力市場で競争が自由化されるのに伴い、これまで通りの賦課金が維持できるかも疑問だ。東電の広瀬直己社長は最近のインタビューで、同社が福島第1原発廃炉に充てる十分な収入を確保できると主張した。
東電の負担状況を把握する一つの方法は株価を見ることだ。株価は過去の損失と市場が予想する今後のすべての負担を反映しているはずだ。東電の株式は原発事故前日の2011年3月10日以降2兆6000億円を失った。債権者は損失を被っていない。
このため、東電は全費用の20%をやや下回るほどしか負担しておらず、残りの10兆7000億円は納税者が負担する計算になる。これは概算で、日本の全原子炉の停止による費用は加味されていないため、この全費用と国民の負担は低めに見積もられている。
東電と財務省経済産業省はこの試算についてのコメントを拒否した。政府関係者は東電が最終的には全費用を弁償することになると主張している。
By Robin Harding
(2016年3月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

広島・中3自殺 万引の生徒名を口頭で聞き、誤記 - 東京新聞(2016年3月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030902000242.html
http://megalodon.jp/2016-0310-1011-43/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030902000242.html

広島県府中町立府中緑ケ丘中三年の男子生徒(15)が、誤った万引記録に基づく進路指導を受けた後に自殺した問題で、生徒指導会議用の資料を作った教諭が、実際に万引した生徒の名前を別の教諭から口頭で伝えられたのに、誤って男子生徒の名前を記載していたことが分かった。
学校は九日午前、全校集会を開催。坂元弘校長が、不適切な進路指導があったことや、生徒が死亡した翌日の全校集会で自殺したことを伏せ急性心不全で亡くなったと伝えていたことを謝罪した。学校は全生徒にアンケートを実施する。
会議は別の生徒による万引があった二〇一三年十月に開かれた。誤記した教諭は口頭で報告を受けた際にメモを取っていなかった。「なぜ間違えたのか覚えていない」と話している。
会議の場で間違いが指摘され、出席した教諭らは手元の資料を直したが、校内のサーバーに保存された元の電子データは誤った内容のまま放置された。坂元校長は八日の記者会見で「データを修正する担当者も決まっておらず、考えていなかった」と釈明した。
生徒の自殺後、当時の教諭らの聞き取りから万引をしたのは別の生徒だったことが判明した。町教育委員会によると、非行事実があった場合、通常は指導教諭が反省文や、保護者の意見などの記録をノートに残すが、このケースは残っていなかった。
男子生徒は、一年生の時に万引をしたことがあるとの記録を理由に志望校の推薦を出せないと担任から言われ、昨年十二月八日、両親を交えた三者懇談を欠席し、その日に亡くなった。
遺族は「ずさんなデータ管理、間違った進路指導がなければ、わが子が命を絶つことは決してなかった」とのコメントを出し、学校側の対応を強く批判した。

広島・中3自殺 三者懇談日に 町教委「誤った進路指導が原因」 - 東京新聞(2016年3月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030902000124.html
http://megalodon.jp/2016-0310-1016-11/www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201603/CK2016030902000124.html

広島県府中町の町立府中緑ケ丘中三年の男子生徒(15)が昨年十二月、自宅で自殺した問題で、生徒が一年生の時に万引をしたことがあるとの記録を理由に志望校の推薦を出せないとの話を、学校側が三者懇談で両親に伝えていたことが八日、分かった。生徒は事前に推薦を出せないと告げられており、三者懇談を欠席、その日に亡くなった。
自殺後の調査で、万引したのは別の生徒で、記録が誤っていたことが判明。一年生当時の生徒指導の会議で別人と認識されていたのに、学校側が元のデータを修正せず、今回の進路指導で誤った資料がそのまま使われていた。
教育委員会高杉良知(りょうち)教育長は八日夜、記者会見し「あってはならないことが起きた。心からおわび申し上げます」と謝罪。「引き金になったかどうかは別にして、誤った記録に基づく指導が(自殺の)原因にあるのは間違いない」と話した。今後、第三者委員会を設置して経緯を調査する。
会見前に学校内で開かれた保護者説明会では、学校側の情報管理や対応に批判が集中した。
会見には坂元弘校長も同席。説明によると、生徒は公立高校を第一志望とし、受験するために校長の推薦が必要な私立高校を第二志望にしていた。
担任教諭は昨年十一月中旬以降、教室前の廊下で万引の記録に間違いがないか生徒に聞いたが、時期や場所の確認は不十分だった。担任は生徒が否定したと認識していなかった、としている。
担任は十二月八日の三者懇談で両親と会ったが、生徒は姿を見せず、同日夕、自宅で自殺しているのを父親が見つけた。遺書のようなものもあった。
学校側は翌九日、全校集会で生徒が亡くなったことを伝えたが、自殺については伏せていた。
また、町教委は「同級生の動揺を避けてほしいと遺族から要望があった」として約三カ月間、公表しなかった。
◆保護者会で疑問の声次々
町立府中緑ケ丘中学校によると、体育館で開かれた保護者会には約四百五十人が出席。保護者からは「なぜ亡くなったのか」など次々と疑問の声が上がった。
保護者会には、亡くなった男子生徒の両親も出席。母親は「勉強もできて、何でもがんばる自慢の息子でした」と述べた。最初は冷静だったが、泣きじゃくる時もあったという。
男子生徒と同じ学年の長男がいる男性(47)は「先生が生徒の言葉に耳を傾けていれば防げたはずだ。親身に調べればよかった」と厳しく批判した。
遺族の代理人弁護士は取材に「(男子生徒の家族は)大きな出来事で、どう対処していいのか整理ができていない様子だ。第三者委員会の報告を待ち、対応を検討したい」と話した。生徒の自宅には、花を手にした親族とみられる男性らが訪ね「話せることはない」と言葉少なだった。
◆教育者の配慮欠く
東京聖栄大の有村久春教授(生徒指導論)の話 基本に立ち返っていれば起きるはずのなかったミスで、学校は教育者としての配慮をあまりにも欠いている。文部科学省の中学校学習指導要領は、生徒の良い点や進歩の状況、指導の過程と成果について積極的に評価するよう定めている。今回のように万引の非行記録だけで生徒の進路を閉ざそうとすること自体が、教育の指導原則から外れた行為だ。

(筆洗)どうにも最後まで聞くのがつらい人情噺がある - 東京新聞(2016年3月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016031002000127.html
http://megalodon.jp/2016-0310-1012-44/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016031002000127.html

どうにも最後まで聞くのがつらい人情噺(ばなし)がある。「柳田格之進」。名作だが、あまりの物語に腹も立つ。
浪人と、大店(おおだな)の主人が碁を通じて仲良くなる。浪人はたびたび店に招かれては、碁を打つようになるが、ある日、店の五十両が消える。番頭は浪人を疑う。浪人には覚えのないことできっぱり否定するが、耳を貸さぬ番頭はお上に訴えると迫る。
浪人は盗みを疑われた上にお上の手をわずらわせること自体が武士の名折れと腹を切る覚悟を固めるが、娘が気付いて思いとどまらせる。自分が吉原に身を沈め、五十両をこしらえるという。
罪なき人をよく確かめもせずに疑い、父娘の人生を狂わせた番頭がどうにも、憎らしい。物語と分かっていても身をよじる。そして、それ以上に胸の痛い現実の出来事である。
広島の中学三年の男子が自ら命を絶った。背景には、やってもいない万引を理由に学校側が志望校への推薦を断ったことがあるという。誤った「記録」が学校側に残っていた。生徒の「記録」とはその子の歴史であり、歩んだ道そのものであろう。それを学校側は間違って記録した。あまりにも軽々しく、悲しい。
生徒の混乱と絶望は想像に難くない。されど人生の結論だけは急いでほしくなかった。あの人情噺は最後は丸く収まる。それでも、生きてこそである。その若い命と誤記とではまるっきり釣り合わない。

なぜ新任女性教員は自殺した? 保護者対応・支援不足… - 朝日新聞(2016年3月10日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ334391J33UTIL00D.html
http://megalodon.jp/2016-0310-2015-39/www.asahi.com/articles/ASJ334391J33UTIL00D.html

東京都内の公立小の新任女性教員が2006年、自殺した。心を病んだ末の死だった。これが先月、東京地裁に「公務災害」と認められた。保護者対応や職場の支援不足などが女性を追い詰めたと、判決は断じた。しかし、心を病む教員は減っておらず、専門家は研修などの対策を促す。
「泣きそうになる毎日だけど。。。。でも私こんな気分になるために一生懸命教師を目指したんやないんに…おかしいね」。母親にこんなメールを送ってしばらく経ってから、25歳の女性教員は自殺を図った。06年10月のことだ。女性は同年12月に亡くなった。
その後、うつ病を患っていた女性の自殺を公務災害としない処分を決めた地方公務員災害補償基金(本部・東京)に対し、両親が処分取り消しを求めて提訴。東京地裁は今年2月、「自殺は公務が原因」として処分を取り消す判決を言い渡した。
判決によると、女性は06年4月、初めて赴任した学校で2年生を担任。5月、ある保護者に電話で「(児童が)万引きをした」との情報提供があったことを伝えると、「事実を示せ」と激しい抗議を受けた。最後は校長が謝罪する事態になった。
「小テストの採点は子ども同士ではなく、先生がしてほしい」。連絡帳にこう記した保護者への返事が遅れた際は、電話で長時間釈明せざるを得なかった。授業での班分けについて、夜間や休日に携帯電話に繰り返し要望してくる親もいた。
新人教員向けの研修に参加した際には、講師から「(新人は)いつでもクビにできる」「病休・欠勤は給料泥棒」と聞かされた。保護者とのトラブルについて、校長から全職員の前での説明を求められ、謝罪したこともあった。児童同士のトラブルもあり、心労を重ねた女性は7月、うつ病と診断されて病気休職した。だが9月に復帰した後も不調が続いた。それでも「新任だから休めない」などと話していたという。
「毎日夜まで保護者から電話とか入ってきたり連絡帳でほんの些細(ささい)なことで苦情を受けたり…」。母親へのメールには、仕事の苦悩が記されていた。判決を受け、父親は「教育関係者には、子どもたちを育てる場に、決して過労死問題を持ち込まないでいただきたい」と話した。(岡雄一郎、千葉雄高)

きょう東京大空襲から71年 上野で1200人慰霊 - 東京新聞(2016年3月10日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201603/CK2016031002000155.html
http://megalodon.jp/2016-0310-0936-22/www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201603/CK2016031002000155.html

「八十歳を過ぎたいまでも母が恋しい。あの戦争がなければ」。東京大空襲で両親を含む家族六人が犠牲になったエッセイスト海老名香葉子さん(82)は九日、自らが主催する台東区内の慰霊行事「時忘れじの集い」で、今年もつらい戦争の記憶を語った。 (松尾博史)
十万人が犠牲になった東京大空襲から十日で七十一年になるのを前に開かれた慰霊行事は、今年で十二回目。遺族を含む千二百人余りが集まった。
寛永寺現龍(げんりゅう)院の慰霊碑「哀(かな)しみの東京大空襲」の前で供養式が営まれたのに続き、上野公園内の母子像「時忘れじの塔」の前で始まった記念式典で海老名さんは、会場に降り注ぐ雨に触れ「(多くの参加者が集まったことに)空襲で亡くなった人たちが、涙を流して喜んでいると思う」と感謝を述べた。
敗戦の混乱のなかで中国から引き揚げた漫画家、ちばてつやさん(77)も「最近は大人たちも戦争の悲惨さを忘れている」とあいさつ。海老名さんの次男で、戦意高揚のためにつくられた「国策落語」の再現に取り組んだ落語家の二代目林家三平さん(45)も「これからも、戦争の悲惨さやつらさを伝えていきたい」と決意を語った。
式典では地元の台東初音幼稚園の園児と、根岸小学校の五年生が合唱を披露。忍岡中学校の生徒は、海老名さんが戦争体験をつづった著作の一部を朗読した。
会場を訪れた千葉県習志野市の大学二年、野口あかりさんは「戦争のことは教科書などでしか知る機会がありませんでしたが、海老名さんのお話から、つらい経験が伝わってきました」と話した。