大阪市の教科書アンケートをめぐる新たな疑惑――「育鵬社7割肯定」は動員か - 週刊金曜日編集部(2016年3月8日)

http://blogos.com/outline/165317/

右寄りの育鵬社歴史・公民教科書を採択した大阪市で、教科書展示会の市民アンケートに関する重大な疑惑が新たに発覚した。

昨年の大阪市教委の採択会議は異例の展開で始まった。市教委は、歴史・公民採択の冒頭で、市民アンケートの結果として育鵬社に肯定意見が約7割(779件)、否定意見が約3割(374件)と報告し、圧倒的に育鵬社支持が多かったと印象付けた。特定教科書の賛否数(割合)だけを報告するのは初めてのことだ。

情報公開された市民アンケートの集約では、保護者、大阪市内在住者の結果は育鵬社の賛否に有意な差が見られなかった。全体の4割を占める大阪市外在住者の約85%が育鵬社肯定意見であり、これが決定的な影響を与えていたのだ。一人で4枚以上提出していると思われる事例が28件以上あり、最大で24枚提出していた。それらの記載内容はほぼ同じ文面で、市内各地の展示会場に提出されていたのだ。

育鵬社を肯定した意見の多くは、岸和田市に本社のあるフジ住宅(今井光郎会長は日本教育再生機構の設立発起人)による組織動員と推測される。今井会長は育鵬社教科書事業部の情報として、大阪市は「数多くの教科書アンケートを記入していただければ、育鵬社に採択される可能性が高くなる」と社員に呼びかけた。勤務時間中に社用車を乗り合わせて展示会場を回ることを奨励し、未記入のアンケート用紙を大阪市内33の展示場のうち32カ所から持ち帰らせた。持ち帰り総数は最低1232枚。教科書展示会に行けない社員がアンケートを記入し、代理人が投函する行為も行なわれていたのだ。

市民アンケートの結果は、大阪市教委と育鵬社日本教育再生機構、フジ住宅によって偽造された疑いが濃い。

(伊賀正浩・子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会、2月26日号)

<高浜原発3号機>運転差し止め受け10時間で「ゼロ出力」- 毎日新聞(2016年3月9日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160309-00000057-mai-soci
http://megalodon.jp/2016-0309-1638-32/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160309-00000057-mai-soci

関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)を巡り、滋賀県内の住民29人が運転の差し止めを求めた仮処分申請で、大津地裁(山本善彦裁判長)は9日、住民側の申し立てを認める決定を出した。地裁の仮処分決定を受け、関電はフル稼働中の3号機の停止作業に入る方針。手順は通常の定期検査と同じで、作業開始から約10時間で運転停止を意味する「ゼロ出力」の状態になる見込み。
関電によると、原発施設の安全性を確認し、電力不足にならないよう火力発電所などのバックアップ態勢を整えたうえで停止作業をスタートさせる。まずタービンの回転速度を落とすために蒸気量を調整。中性子を吸収して核分裂の連鎖反応を抑えるホウ素を注入しながら、制御棒を自動挿入させて発電出力を徐々に下げていく。
停止後に核燃料棒を原子炉から取り出すかどうかは、停止期間を見極めてから判断する。担当者によると、3、4号機の停止が続けば、1日4億円程度の負担増になるという。【北出昭】

高浜原発3、4号再び差し止め 大津地裁仮処分決定 - 福井新聞(2016年3月9日)

http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/91105.html
http://megalodon.jp/2016-0309-1613-01/www.fukuishimbun.co.jp/localnews/npp_restart/91105.html

関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転差し止めを求めて滋賀県の住民が申し立てた仮処分について、大津地裁(山本善彦裁判長)は9日、差し止めを命じる決定をした。仮処分は即時効力があるため、関電は不服申し立て手続きなどで決定を覆さない限り、2基を法的に運転できない状態となった。営業運転中の3号機も即時、停止の手続きに入る必要がある。
高浜2基を差し止める仮処分決定は昨年4月の福井地裁以来、2度目。その後、関電は異議を申し立て同12月、同地裁は決定を取り消した。
これを受け、3号機は今年1月29日に再稼働。4号機は同2月26日に再稼働したが、同29日の発送電開始の際に原子炉が緊急停止するトラブルが発生し運転を停止している。

(本音のコラム 斎藤美奈子さん)灯台もと暗し - 東京新聞(2016年3月9日)

三日の新聞各紙の社説が興味深かった。
......

「偉大な米国を取り戻す」なんて、耳タコのスローガンと同じじゃないの。
テレビ報道を含め、他国の次期大統領(になってもらっては困る人)だと、ここまでおおっぴらに批判できるんだね。

広島・中3自殺 誤った指導で自殺相次ぐ - 毎日新聞(2016年3月8日)

http://mainichi.jp/articles/20160309/k00/00m/040/135000c

広島県府中町で中学3年の男子生徒が自殺した問題で、専門家らは学校の誤った指導が生徒を死に追いやるケースが相次いでいると指摘する。
「指導死」親の会(東京都)の代表世話人で、教師の誤った指導で次男が自殺した大貫隆志さん(59)によると、「指導死」とは、教員らによる不適切な言動や暴力行為といったパワーハラスメントで子どもが死に追い詰められることを指す。だが、生徒指導で子どもが自殺に至るほど心に深い傷を負うことはあまり知られていないという。
教育評論家の武田さち子さんがまとめた統計によると、教員の指導が原因で児童生徒が自殺したとみられる事案(未遂も含む)は1989年以降61件で、うち間違った事実に基づいて生徒を責めるなどした「えん罪型」も10件ある。
札幌市内の道立高校では昨年10月、3年生の男子生徒が同級生の携帯電話を盗んだとの疑いをかけられ、教諭に事情を聴かれるうちに失踪して遺体で見つかった。生徒は「盗んでいない」と同級生にメールをしていたという。
2009年には、福岡市内の中学1年の男子生徒が、同級生の上履きを隠したとして担任から1時間以上問い詰められるなどし、悩んで自殺した。母親には「否定したのに何を言っても信じてもらえない」と話していたという。
大貫さんは「言い分を聞いてもらえず、人格を否定されたり、長時間責められたりするケースが多い。今回は『えん罪型』にあてはまる」といい、府中町教委が設置する第三者委員会には「情報管理のあり方だけでなく、進路指導で教師が具体的にどのような対応を取ったか明らかにしてほしい」と求めている。【高橋咲子】

辺野古案堅持を掲げる読売社説への疑問(小川 和久さん) - GoHoo(2016年3月8日)

http://gohoo.org/16030801/

社説 辺野古訴訟和解 移設推進方針は堅持して臨め - 読売新聞(2016年3月5日)

(前略)安倍首相は、辺野古移設について「普天間飛行場の全面返還のためには、唯一の選択肢との考えに変わりはない」とも強調した。
日米両政府と地元関係者が膨大な時間と精力を費やした末に、ようやくまとめた結論が辺野古移設である。米軍の抑止力の維持と基地周辺住民の負担軽減を両立させるため、政府は、今の立場を堅持することが重要である。(後略)

返還合意以来、20年の時間と精力を注入したにしては、あまりにも杜撰な点が目につき、これではかえって安倍首相の足を引っ張りかねない印象さえあります。
例えば、辺野古案が軍事的合理性の面から検討されていないことなど象徴的でしょう。
米国海兵隊上層部は自衛隊のカウンターパートに対して、「ワシントンの頭のいい連中が書いたものだからね」と、暗に「使えない」ことを伝えています。
それは、滑走路が1200メートル(オーバーランを含め1800メートル)しかなく、最初から戦闘機と中型以上の輸送機の使用を除外するとしていること、海兵隊の航空基地が海兵隊地上部隊と装備・物資を受け入れられるだけの面積が必要なのに、普天間基地の40%以下の広さしかないことでも明らかです。

夫婦同姓など「差別的」 国連委、日本に改正勧告 - 東京新聞(2016年3月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030902000112.html
http://megalodon.jp/2016-0309-0940-17/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030902000112.html

ジュネーブ=共同】国連の女性差別撤廃委員会が七日公表した対日審査会合に関する「最終見解」は、旧日本軍の従軍慰安婦問題だけでなく、女性に関するさまざまな問題を取り上げた。夫婦同姓や女性の再婚禁止期間などの民法規定については、差別的だとして速やかな改正を勧告、慰安婦問題でも日本に厳しい注文を付けた。
委員会は前回の二〇〇九年の会合でも、同様の改正を求める勧告を出した。女性差別撤廃条約の履行を迫る厳しい勧告が再び出たことで、日本政府は一層迅速な対応を迫られそうだ。一方、委員会は昨年成立した「女性活躍推進法」など前進もみられると指摘した。
最高裁は昨年十二月に夫婦別姓を禁じた民法規定を「合憲」と判断したが、七日の勧告は「女性に夫の姓を強制している」としてあらためて改正を求めた。
女性にだけ六カ月の再婚禁止期間を定めた民法規定については、最高裁が昨年十二月に「禁止期間が百日を超える部分は違憲」と初判断したが、勧告は「依然として女性にだけ一定期間の再婚を禁じている」として、完全な廃止を求めた。
慰安婦問題では、ジャハン委員は昨年末の日韓合意の実行に向け「被害者中心のアプローチ」を取るよう要求。日本側は菅義偉官房長官が八日「日本政府の説明を十分踏まえておらず、遺憾だ」と反発した。
◆「慰安婦らの要求反映」 韓国、国連委見解に反論
【ソウル=上野実輝彦】旧日本軍慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意は元慰安婦への配慮が不十分だったと指摘する国連女性差別撤廃委員会の最終見解に対し、韓国外務省は八日、「被害者や(支援)団体の要求が最大限反映された」と反論し、合意を守っていく姿勢を強調した。
外務省報道官は記者会見で「合意の過程で、被害者らの意見を反映するため最善の努力をした」と説明。「日本政府にとっても難しい合意だった」と配慮をみせた。
韓国政府は昨年末以降、慰安婦問題で日本批判に抑制的だ。尹炳世(ユンビョンセ)外相は二日にスイスで開かれた国連人権理事会で、過去三年間訴え続けてきた慰安婦問題の解決に言及しなかった。国際社会での相互批判を控えるとの合意事項を踏まえた対応とみられる。
朴槿恵(パククネ)大統領も「三・一独立運動」記念式典の演説で、批判を抑え日韓関係の改善を強調している。
ただ、「当事者が納得していない」などとして合意の白紙化を求めてきた元慰安婦や支援団体は、女性差別撤廃委の指摘を受けて反発をさらに強める可能性がある。

(筆洗)「天使の分け前」を次の方へ - 東京新聞(2016年3月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016030902000138.html
http://megalodon.jp/2016-0309-0941-21/www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2016030902000138.html

エンゼルズ・シェア。日本語では「天使の分け前」「天使の取り分」という。ウイスキーなどを長い期間、樽(たる)の中で熟成させていると、どうしても少しずつ蒸発していく。この減った分が「天使の分け前」である。
なんでも、フランスのある地方では一日にボトル二万本の「天使の分け前」があるというからばかにはできぬ。もっともこれは悪い天使ではなかろう。天使に分けてあげる。そのお礼に天使はうまい酒を醸造させてくれる。そんな返礼のイメージがある。
英国のケン・ローチ監督による高価なウイスキーをめぐる人情コメディー映画「天使の分け前」(二〇一二年)。「天使の分け前」とは優しさであると描いている。不良青年の主人公が自分を助けてくれた女性に尋ねる。「なぜ親切にするんだい」「わたしも昔、誰かに親切にしてもらったことがあるから」
法政大学の教授が独自の奨学金制度をスタートさせた。資金は給与や退職金、遺産など。自前である。ご自分も奨学金で学び、返済を免除してもらった経験がある。「受けた恩を次世代に返したい」とおっしゃる。
天使の分け前」を次の方へ。世知辛い世間にも、受けた「分け前」がめぐりめぐれば、救われる方は無限に増えていく。
<美談は泣きながら疑うことを誓う>。谷川俊太郎さんの「年頭の誓い」の一節だが、この美談には成功を信じたい。

(関連サイト)
返済気にせず学んで 法政大教授が給与・退職金・遺産で独自奨学金 - 東京新聞(2016年3月7日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20160307#p2

映画『天使の分け前
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20130301#p1

(私説・論説室から)会計検査院と秘密保護法 - 東京新聞(2016年3月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016030902000140.html
http://megalodon.jp/2016-0309-0942-12/www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2016030902000140.html

特定秘密保護法会計検査院はどう関係するのだろうか。
政府は先月下旬の衆院予算委員会の理事会で、この問題について統一見解を示した。
ポイントは安全保障上著しい支障が生じる場合に提供を拒否できるとする特定秘密保護法の条項を適用するかどうか−だ。
政府の見解は「特定秘密の内容、入手の経緯のほか、保護措置の度合いによる」とした。同時に「一定の特定秘密の提供が、当然にわが国の安全保障に著しい支障を及ぼすというものではない」とも指摘した。
何とも分かりにくい。要するに「内容次第」という意味ではないだろうか。すると、これは憲法上問題になる。会計検査院憲法九〇条で、国の収入支出の決算を検査すると定めている。政府から独立した機関なのだ。
戦前の大日本帝国憲法にも、会計検査の定めがあったが、“抜け穴”があった。政府や軍部の機密費は検査の対象外だった。軍秘密漏えいを罰する軍機保護法もあり、膨大な軍事関係予算を監視できなかった。
日本国憲法の規定は、当然、この反省の上に立っているはずだ。今度は「特定秘密」という“抜け穴”を許すのだろうか。そうだとすれば、事実上の憲法無視となる。そもそも検査を受ける側である政府が、独立機関たる会計検査院に出す文書を選べるはずがない。 (桐山桂一)

教科書採択の現状は? 19日に「千葉の教育を考えるつどい」:千葉 - 東京新聞(2016年3月9日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201603/CK2016030902000176.html
http://megalodon.jp/2016-0309-0943-18/www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201603/CK2016030902000176.html

教科書採択をめぐる県内の現状などを話し合う「千葉の教育を考えるつどい」が、十九日午後二時から、千葉市中央区の市生涯学習センターで開かれる。
教育委員会は県立の中学校二校で今春から使用する歴史と公民の教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」の流れをくむ育鵬社版を採択。会議は非公開で実施され、議事録も作成していなかった。
県教委は一方で、国旗掲揚や国歌斉唱に「強制の動きがある」と記載した実教出版の高校日本史教科書を選定した県立高校には、詳しい指導計画や授業報告などの提出を求めている。
集会では、こうした教育現場の問題について、高校教諭や保護者、市民らが発言。十八歳選挙権や道徳の教科化も取り上げる。市民や教員らでつくる「千葉の子どもを幸せにする教育タウンミーティング実行委員会」などが開催する。
資料代五百円で、事前申し込みは不要。集会終了後にはJR千葉駅前で、県の教育の現状を訴え、安全保障関連法の廃止を求める街頭活動も実施する予定。問い合わせは、市川さん=電080(5017)1584=へ。
  (村上一樹)

(余録)「此比都ニハヤル物」に始まる… - 毎日新聞(2016年3月9日)

 
http://mainichi.jp/articles/20160309/ddm/001/070/175000c
http://megalodon.jp/2016-0309-0944-32/mainichi.jp/articles/20160309/ddm/001/070/175000c

「此比(このごろ)都ニハヤル物」に始まる二条河原落書(らくしょ)は建武(けんむ)の新政が始まって約1年後に掲げられた。「夜討(ようち)強盗謀綸旨(にせりんじ) 召人(めしうど)早馬虚騒動(そらそうどう)……」。授業で習ったのは遠い昔でも、小気味良い調子は忘れられない。
落書とは時の権力者や世相を批判、風刺する匿名の文書のことだ。街中に掲げたり、落としておいたりして、人目につくようにした。当時の政治の混乱をみごとに描き出した二条河原落書は「落書史上の傑作」といわれる。
「何なんだよ日本。一億総活躍社会じゃねーのかよ。昨日見事に保育園落ちたわ。どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか……」。乱暴な言葉も、かえって多くの人々の共感を呼んだようである。ネットの匿名ブログに掲げられた「保育園落ちた日本死ね!!!」だ。
ネットでたちまち評判になったこの一文を、さらに世に広めたのが首相や与党議員の国会での答弁やヤジだった。匿名では真偽が分からない、誰が書いたかを示せといった対応に、「保育園落ちたの私だ」という親たちが続々と名乗りを上げたのは成り行きであろう。
結局、首相が保育施設対策に「一生懸命頑張っている」と答えたのは、女性の支持率低下を示す世論調査が伝えられた後となった。落書もデマや中傷とは限らない。世の現実を鋭く切り取り、人の心をつかむ落書の伝統が日本にあるのを首相たちは知らなかったのか。
「十分になればこぼるる世の中を ご存知(ぞんじ)なきは運の末(すえ)かな」。豊臣秀吉が天下統一した翌年に詠まれた落首(らくしゅ)(落書の歌)で、十分という慢心からこぼれる運命の皮肉を突いた。誰が詠んだかを示さねば信用ならないといわれても困る。

関連サイト)
保育園落ちた日本死ね!!!
http://anond.hatelabo.jp/20160215171759

慰安婦問題 日韓合意を育てるには - 朝日新聞(2016年3月9日)

http://www.asahi.com/articles/DA3S12247835.html?ref=editorial_backnumber
http://megalodon.jp/2016-0309-0945-31/www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p

国連の女子差別撤廃委員会(CEDAW)は、慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意について「被害者中心のアプローチが十分にとられていない」などと遺憾を表す最終見解を発表した。これに対し、岸田文雄外相が「国際社会の受け止めとはかけ離れている」と述べるなど、日本政府は反発している。
しかし、国連委員会の見解に対して反発するだけでは、合意の精神から離れたメッセージを日韓両国民に送ることにならないか。こうした見解や見方に対する答えは、合意の中身を一つずつ着実に実行に移していくことに尽きるはずだ。
慰安婦問題は、日韓国交正常化50年という節目の年の最後になってようやく合意をみた、両国政府にとって長年の懸案だった。合意に対して、国連の潘基文(パンギムン)・事務総長や米国をはじめとする国々から、日韓のその努力と成果に対して歓迎の意を表する動きがあった。
しかし、日韓双方の国内で合意内容が浸透したと言える状況にはない。むしろ、日韓両国、とりわけ韓国国内には強い反対意見があるのが現状だ。
それだけに、政府間で約束が守られなければ、最終的な解決など望めない。そのためには日韓の政治指導者の強い意思が欠かせない。
実際、変化の兆しも出てきてはいる。日韓合意の発表後、慰安婦のことを「職業としての娼婦(しょうふ)」と発言した自民党の国会議員に対し、安倍首相は国会ですぐに「合意を踏まえた発言を」などと諭した。一方、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相は先日開かれた国連人権理事会で、慰安婦問題について言及しなかった。朴政権になって初めてのことだ。
双方とも、こうした努力を重ねることが重要だ。
日韓は、韓国政府が作る財団に日本が政府予算から10億円を出すことで一致している。「元慰安婦の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業」にあたるためだ。最終見解の勧告にある「被害者中心のアプローチ」に重なる部分がある。
また、両政府は慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決も確認しあっている。
両国政府関係者は、この合意が保たれるように努力し、双方が事実に基づいた冷静な主張を重ねていく必要がある。
日韓が手を携えて合意の内容を着実に履行する。互いに信頼関係を深めながら大きく育てていく。慰安婦問題をみつめる国際社会の視線を変えることも、こうした取り組みの積み重ねにかかっているはずだ。

誤った万引き歴、2年前に気づく 学校側修正せず 広島 - 朝日新聞(2016年3月9日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ385V5TJ38PITB01N.html?iref=comtop_list_nat_n04
http://megalodon.jp/2016-0309-0948-47/www.asahi.com/articles/ASJ385V5TJ38PITB01N.html?iref=comtop_list_nat_n04

広島県府中町の町立府中緑ケ丘中学校3年の男子生徒(当時15)が昨年12月に自殺した問題で、学校側が「生徒が万引きした」とする誤った記録にもとづき、同11月から5回、生徒への進路指導を繰り返していたことがわかった。学校側は2年前、この記録が誤りだと指摘され、会議用の紙の資料は直したものの、サーバー上の電子データを修正していなかったという。
教育委員会高杉良知(りょうち)教育長、緑ケ丘中の坂元弘校長らは8日夜に会見を開き、本来なら生徒の志望する私立高校に推薦できたが、誤った記録を根拠に「推薦できないと伝え、生徒を苦しませた」と認めた。高杉教育長は「尊い命が失われるという、あってはならないことが起きた。不安や悲しみを感じた生徒や保護者、関係者に深くおわびする」と謝罪した。
会見の説明によると、2013年10月6日、「万引きをした生徒がいる」と店から連絡を受けた学校職員は、口頭で生徒指導部の教諭に万引きをした生徒の名前を伝えた。しかし、生徒指導部の教諭は生徒指導用の資料を更新する際、フォルダーに別の生徒名を入力した。さらに同8日に教諭が配った会議資料に万引きをしていない自殺した生徒名が記載されていた。職員から誤りの指摘を受け、教諭は配布した紙の資料は直したが、フォルダーはそのままになっていた。伝達の際、教諭はメモをとっていなかったという。

関連記事)
「1年生時に万引き」誤記録で進路指導 広島の中3自殺 - 朝日新聞(2016年3月8日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20160309#p3

元慰安婦へ配慮不十分 国連委が日本に勧告 - 東京新聞(2016年3月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030802000249.html
http://megalodon.jp/2016-0309-0910-14/www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201603/CK2016030802000249.html

ジュネーブ=共同】国連の女性差別撤廃委員会は七日、ジュネーブで二月十六日に開かれた対日審査会合に関する「最終見解」を公表した。旧日本軍の従軍慰安婦問題について、日本政府の取り組みはなお不十分と指摘。昨年末の日韓合意を実行に移す際には元慰安婦の意見に十分配慮するよう日本政府に勧告した。
委員会は二〇〇九年の前回会合で、元慰安婦らへの賠償や加害者の訴追などを含む慰安婦問題の「持続的な解決」を探る努力をするよう日本政府に勧告。七日の最終見解は日本がこうした過去の勧告を依然として実行していないとして「遺憾の意」を示した。
昨年末の日韓合意については「元慰安婦らを中心としたアプローチを完全には取っていない」と指摘、元慰安婦らの「真実、正義、償いを求める権利」を保証し、彼女らの立場に寄り添った解決を目指すよう求めた。
また元慰安婦らを傷つけることになるとして、指導的立場にある人物や公人が慰安婦問題の責任を軽くしようとする発言をやめるよう要求。学校教科書で慰安婦問題を適切に取り上げ、子どもたちに歴史的事実を客観的に示すことも求めた。
日韓両政府は昨年末、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」で合意した。
二月十六日の会合では、日本政府は「政府が発見した資料には、軍や官憲による強制連行を確認するものはなかった」と説明。韓国外務省は翌十七日「慰安婦動員の強制性は、国際社会が既に判定を下した歴史的事実だ」と反論した。最終見解には「強制性」に関する言及はなかった。勧告に法的拘束力はない。


広島の中3男子が自殺 進路指導のミスが原因か - 朝日新聞(2016年3月8日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ3773K7J37PITB01P.html
http://megalodon.jp/2016-0309-0912-01/www.asahi.com/articles/ASJ3773K7J37PITB01P.html

広島県府中町教育委員会は7日、中学3年の男子生徒(当時15)が昨年12月、自殺したと明らかにした。学校側のミスに基づく進路指導を男子生徒にしていたという。町教委はこれが自殺につながった可能性もあるとして第三者委員会を設置し、原因を調べる。
町教委によると、昨年12月8日夕、生徒が自宅で倒れているところを父親が発見。病院に運ばれたが、死亡が確認された。学校側は第二志望の私立高校について学校長の推薦が必要な専願受験を「できない」と生徒に伝えていたという。その後、その指導が中1当時の誤った記録に基づいていたことがわかった。いじめの事実は把握していないという。
学校側は県内の公立高校一般入試(選抜?)が終わる8日夜、記者会見を開いて経緯を説明するという。

「1年生時に万引き」誤記録で進路指導 広島の中3自殺 - 朝日新聞(2016年3月8日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ383R87J38PTIL005.html
http://megalodon.jp/2016-0309-0928-13/www.asahi.com/articles/ASJ383R87J38PTIL005.html

広島県府中町で昨年12月に中学3年の男子生徒(当時15)が自殺した問題で、学校側が「(生徒が)1年生の時に万引きをした」とする誤った記録をもとに進路指導をしていたことが分かった。この記録にもとづき、学校側は生徒が志望した私立高校に対して学校長による推薦はできない、と告げていた。生徒はこの指導内容が保護者に伝えられた12月8日の夜に自殺したという。
府中町教委によると、学校側は生徒が1年生だった当時、別人の万引き行為を生徒の行為として書面に記録。ある教員が校内の会議で誤りを指摘したが、訂正されずに引き継がれた。生徒は私立高を第二志望としていたが、学校側は誤った記録をもとに専願受験はできないと告げていた。
学校側は生徒が自殺した翌日の12月9日に開いた全校集会で亡くなったことを伝えたが、公表していなかった。自殺後、誤った記録に基づく進路指導だったことが判明した。町教委は第三者委員会を設けて一連の経緯を調べるとともに、8日の保護者説明会の後に記者会見を開くことにしている。

砂川事件、再審請求を棄却 東京地裁 - 朝日新聞(2016年3月8日)

http://www.asahi.com/articles/ASJ376X9FJ37UTIL04F.html
http://megalodon.jp/2016-0309-0915-54/www.asahi.com/articles/ASJ376X9FJ37UTIL04F.html

東京都砂川町(現立川市)にあった米軍立川基地の拡張計画に反対した学生らが逮捕・起訴された1957年の「砂川事件」の再審請求審で、東京地裁(田辺三保子裁判長)は8日、元被告ら4人の再審開始請求を棄却する決定をした。元被告側は即時抗告する方針。
再審を求めていたのは、当時は学生で、日米安全保障条約に基づく刑事特別法違反の罪に問われた土屋源太郎さん(81)ら4人。59年の一審・東京地裁判決では、「米軍の駐留は憲法9条に反する」として無罪と判断されたが、検察側は控訴審を経ずに直接上告した。最高裁大法廷は同年、「日米安保条約のような高度に政治的な問題に司法判断はしない」として一審判決を破棄。審理を差し戻された地裁が逆転有罪判決を言い渡し、確定した。
土屋さんらは2014年6月に再審を請求。最高裁判決の前に当時の田中耕太郎・最高裁長官が米国側に裁判の見通しを伝えていたことが記された米公文書が08年に見つかったため、これらの公文書を「新証拠」として提出した。田中元長官が米国側に伝達したことで「公平な裁判を受ける権利を侵害された」と主張。差し戻し審では裁判を打ち切る「免訴判決」を出すべきだった、と訴えていた。
8日の決定は、裁判官が一方の当事者だけに事件に対する考え方を具体的に伝えることは、「一般的には慎まれるべき不相当な振る舞いだ」と述べた。そのうえで、田中元長官が米国大使館の関係者と面会したことについては、「直ちに不公平な裁判をする恐れが生じるとは理解できない」と判断。公文書にある田中元長官の発言内容についても「審理の公平性を害するような内容とは考えられない」と述べ、免訴するべき明らかな証拠とは言えないと結論づけた。
同日午前、東京地裁で決定文を受け取った代理人弁護士が、集まった支援者らに「結果は棄却です」と告げると、支援者らからはため息が漏れた。
砂川事件最高裁判決は、昨年成立した安全保障関連法の議論の中で、安倍政権が集団的自衛権の行使を「合憲」とする根拠に挙げたことで注目された。(塩入彩)

砂川事件集団的自衛権 砂川事件で学生らの無罪を破棄した1959年の最高裁判決は、「わが国が必要な自衛の措置をとりうることは当然」と言及した。これらを基に、自民党高村正彦副総裁は2014年3月、「最高裁は個別的、集団的を区別しないで自衛権を認めている」と指摘。安倍晋三首相も「判決は合憲の根拠たりうる」と述べ、集団的自衛権の行使が容認されると主張した。一方で、憲法学者や元最高裁長官は「曲解だ」「当時の最高裁集団的自衛権を意識していたとは考えられない」などと批判した。

     ◇

砂川事件をめぐる経緯

1957年9月 米軍立川基地の拡張計画に反対する学生ら7人が、基地内に立ち入ったとして日米安保条約に基づく刑事特別法違反容疑で逮捕。その後、起訴される

  59年3月 東京地裁(伊達秋雄裁判長)は7人に無罪判決。「米軍駐留は憲法9条に違反する」と判断

    12月 検察庁が跳躍上告し、最高裁大法廷が一審判決を破棄。その後の地裁の差し戻し審で、7人は罰金2千円の逆転有罪に

2008年4月 最高裁判決前に、米国大使館関係者と最高裁長官が密談していた記録が米国立公文書館で見つかる

  14年3月 自民党高村正彦副総裁が、集団的自衛権の行使容認の根拠として砂川事件最高裁判決に触れる

     6月 元被告の土屋源太郎さんらが再審請求

  16年3月 東京地裁が再審請求を棄却する決定

日韓合意は「対応不十分」=元慰安婦の立場考慮を―国連委 - 時事通信(2016年3月7日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160307-00000139-jij-int
http://megalodon.jp/2016-0309-0917-46/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160307-00000139-jij-int

【ベルリン時事】国連女子差別撤廃委員会は7日、対日審査の最終見解を発表し、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的」な解決を確認した昨年12月の日韓合意は「被害者中心の対応」が徹底されていないとして遺憾の意を表明した。
合意の履行に当たっては「被害者の立場を十分考慮」し、補償などに取り組むよう促した。
2月16日にジュネーブの国連欧州本部で行われた対日審査では、杉山晋輔外務審議官が日韓合意について説明。誠実な実行に向けた両国政府の努力に国際社会の理解を求めていた。最終見解は、日韓合意を含め、解決に向けた日本の取り組みに留意するとも指摘した。
また、日本の指導者や当局者が慰安婦問題の責任に関し、「(元慰安婦の)名誉を傷つける発言を控えるよう」要請。元慰安婦に対する公式謝罪を含めた「十分で効果的な償い」を行う必要性を訴え、日本に厳しい姿勢を見せた。
アジア女性基金」による元慰安婦らへの償い事業に関しては、日本政府は委員会とのこれまでのやりとりで、対象外となった中国や東ティモールに広げる考えはないと回答。最終見解はこれに関し「国際人権法に基づく義務に取り組んでいない」と批判した。
さらに、「(日本政府は)慰安婦問題への教科書の言及を削除した」と問題視し、歴史的事実を客観的に生徒らに提示するよう要求。委員会は事前に、教科書に慰安婦問題の記述を復活させる考えをただしたが、日本政府は「国定教科書制度を採用していない」として答える立場にないと応じていた。
最終見解はまた、深刻な人権侵害に対する日本政府の「公式で明確な責任の認識」を確認することなく亡くなった元慰安婦がいることにも遺憾の意を示した。

中国帰国者の「学びの場」 32年の歴史に幕 所沢・定着促進センター:埼玉 - 東京新聞(2016年3月8日)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201603/CK2016030802000196.html
http://megalodon.jp/2016-0309-0920-01/www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201603/CK2016030802000196.html

◆6644人が巣立つ 所沢・定着促進センター
中国残留孤児らが日本に帰国後、宿泊しながら日本語や生活習慣を学ぶ国内唯一の施設「中国帰国者定着促進センター」(所沢市)の閉所式が七日、同市の所沢市民文化センターミューズであった。定着促進センターで学んだ帰国者やセンターの関係者ら約百人が出席し、一九八四年の開所以来三十二年間の歩みを振り返った。
センターは帰国者の減少に伴って今月末で閉所し、四月から通所式の中国帰国者支援・交流センター(東京都台東区)に役割が引き継がれる。これまでに帰国者六千六百四十四人が所沢のセンターで学んだ。
式典で小林悦夫所長は「開所以来、所沢市や近隣自治体、支援団体などにお世話になり、帰国者のために心血を注いだ職員も膨大な数に上る。多くの人の善意と協力に支えられてきたことを感謝したい」とあいさつ。帰国者代表の一期生、松本斗機雄(ときお)さん(73)=東京都西東京市=は「センターで知識を身に付け、安心して社会に歩き出すことができた。今後も祖国に貢献したい」と述べた。
続いて写真のスライドショーがあり、かつてのセンターの様子がスクリーンに映し出されると、帰国者たちは当時を懐かしんだ。終戦前後に中国東北部で両親を亡くし、九四年に帰国した横井春美さん(76)=同港区=は「センターでは毎日勉強が大変だったけど楽しかった」。八九年にセンターで学んだ佐久間黎明(れいめい)さん(74)=同国分寺市=は「久しぶりに所沢に来られたので良かった」と話した。 (服部展和)

参考サイト)
NPO法人 中国帰国者の会
http://www.kikokusha.com/

義務教育、重い負担なぜ 制服、かばん…中学入学で9万円 - 西日本新聞(2016年3月7日)

http://www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/229204
http://megalodon.jp/2016-0309-0924-07/www.nishinippon.co.jp/feature/tomorrow_to_children/article/229204

春3月。わが子の進学を喜ぶ一方で、公教育に予想以上の私費負担が必要なことを知って戸惑う保護者が少なくない。福岡県春日市の40代女性もその一人。2月初め、長女が来月入学する市立中の説明会に参加し、制服や通学かばんなど総額約7万〜9万円を現金払いしなければならないと知らされた。共働きで2人の子を持ち、児童手当を受給する「標準的世帯」のこの女性にとっても重い出費。生活困窮世帯であれば就学援助を受けられるが、新入学用品費の支給額は約2万3千円で到底足りない。女性が本紙子ども問題取材班に寄せた疑問を、市教育委員会に投げ掛けた。

関連サイト)
経済苦で高校中退、全国に5千人超 授業料無償化5年、支援に課題 - 西日本新聞(2016年3月7日)
http://d.hatena.ne.jp/kodomo-hou21/20160307#p18